白い巨塔と財前五郎

皆様ご無沙汰しております。

すっかりブログを放置していました、ぺんぎんです。

 

東京を離れ、関西の某都市での実務修習が始まり早4ヶ月半。

(そうそう、修習地は悩んだ末に関西某都市にして、無事配属されました)

 

新しい土地での新しい生活、民裁修習、検察修習、そして現在の刑裁修習、、、と、日々が目まぐるしく過ぎてあっという間の日々でした。

修習は大変なことも多いですが、日々新しいことが学べ、夢だった関西に住めて、同期とも仲良くでき、間違いなく今が人生で一番楽しいと言えます(ごめんね、フィリー)。ほんとに毎日が楽しいです。

書きたいことはヤマのようにあるのですが、修習生という立場ゆえブログから離れてしまいました。今後は色々と更新していきたいです。

 

そんな中今回お伝えするのは、修習とは何の関係もないタイトルの件です!笑

 

 

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 https://www.tv-asahi.co.jp/shiroikyotou/

 

なんと、実に16年ぶりに白い巨塔がドラマ化されます!

白い巨塔といえば、伝説の田宮二郎版を代表に、前回の唐沢版などなど多くの映像化がされた山崎豊子の不朽の名作であります。

僕は中学生のときに唐沢版を見てドハマリし、田宮版、映画版も見て、小説も読みました。唐沢版は10回くらいは見ていると思います。フィリーで落ち込んでたときもこれを見て元気を出してました。

 

白い巨塔は、大阪大学医学部をモデルとする国立浪速大学医学部第一外科助教授の財前五郎を主人公とする(そして同期で第一内科助教授の里見脩二をもうひとりの主人公とする)ドラマです。

白い巨塔」とは医局制度を主とした旧態依然として権威的・官僚的な大学医学部を表しています。

2部構成となっており、前半は主人公財前が教授を目指す学内政治闘争、後半はその後財前が医療過誤で訴えられた法廷闘争となっています。

主人公の財前は目的のためには手段を選ばない狡猾かつ冷徹な人間です。自分が教授にのし上がるために平気で金をバラ撒き、人を利用します。

しかし、父を亡くして必死に勉強し田舎から出てきた苦学生であり、自分を見守ってくれた母親に孝行するという優しい側面も持ち合わせています。 

もう一人の主人公里見は人間味に溢れ、弱い者に親身になって手を差し伸べる優しい人間です。

一見すると財前と正反対に見えますが、実は結果的に「患者のため」になっているという点では財前と同じです。財前は利己的、里見は利他的ですけどね。この二人がお互いの理想と現実の狭間で葛藤する姿が面白いです。

 

僕は財前が大好きなんですけど、理由はたぶん以下の2つです。

まず何より努力して自分の技術を磨き、上を目指す姿がカッコいい。傍観的で消極的な里見に対して、財前は徹底的に積極的・行動的です。一流になるためにやれることはなんでもやる。

流石に医者は目指しませんでしたが、弁護士になりたいと思ったのは財前みたいに一流のプロフェッショナルになりたいと思ったところも大きいです。

 

もう一つは人間臭さに溢れているところです。

里見はいい人なんですけど、ともするとただのお人好しです。じれったいですし。感情表現もコミュニケーションも下手です。そういう意味ではすごく人間味を感じます。

しかし、人前では弱みを見せないのに愛人のケイ子の前では弱音を吐いたり、自分のプライドのために周囲と軋轢を生じさせたりと、実は財前もとにかく不器用で人間味に溢れているのです。里見はあまりに現実とかけ離れて美しすぎて共感できないところがあります。

財前は決して綺麗事を言わず、人間としての本音の姿を汚いまでにさらけ出すことを厭わない。一見完璧を気取ってても、実はとても弱い人間である。財前のそういう人間らしい姿に、自然と心惹かれるんだろうと思います。

 

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唐沢版での僕の財前の好きなセリフを紹介します。

 

里見に対して

「3日考える…ふりをしただろうな」

ワルシャワ行を前にして、たばこを持ちながら、ケイ子に対して

「あっちのやつらは総じて不器用だ。僕の手技を見て度肝を抜かしてやる」

アラジンで東に対して

「私のすべてが腹立たしい、ですね?」

関口弁護士に対して

「それは、実際に生と死の狭間に立ったことのない方の、幼稚な詭弁ですよ」

 

カッコよすぎます。シビレます。

財前と里見、どっちが自分に似てるのか、どっちが自分の理想なのか、ってことを考えながら見ると面白いと思います。 

 

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修習には関係ないと言いましたが、後半の法廷闘争では(少なくとも唐沢版では)、証拠開示のシーンがあったり対質のシーンもあったりで、法律の勉強にもなると思います笑。

二人の弁護士も、熱血人権派の関口とクールなやり手の国平、と対照的で面白いです(この二人も結果のために全力を尽くすという点ではやはり似ています)。

 

あと、白い巨塔の舞台は山崎豊子の出身地でもある大阪です。旧阪大病院は現在の大阪地検近くの中之島にあり、財前の愛人ケイ子は北新地のママですし、財前が住んでいるのは兵庫の苦楽園、東が住んでいるのは芦屋です。

そういうわけで皆さん僕の住む関西に浸りましょう!笑 

 

岡田准一は財前を演じるには少し若すぎる気もしますが、新たなカッコいい財前が見られると思うと嬉しいです。期待です。

というわけでみなさんもぜひ、本日5月22日(水)の21時から5夜連続の白い巨塔、見てください!

導入修習振り返り

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いよいよ司法修習が始まり、先日導入修習が終わりました。

今までの立場と異なり修習生という公的な身分になったので書けることもより限られると思いますが、せっかくなので可能な限り色々振り返ってみたいと思います。

 

1 導入修習概要

導入修習は埼玉県和光市にある司法研修所での3週間の研修です。以下の2つの役割があると思っています。

①各地での実務修習が始まる前の準備

実務修習は実際の仕事に近いOJT的な研修なので、それに必要な最低限の知識などを学ぶとともに、実務修習で勉強しなければいけないことを明確にするという趣旨があります。

導入は起案やディスカッションもあるとはいえ基本的には講義を中心とする座学なので、「あれだけ司法試験に向けて学校に通い勉強したのにまた学校に通うのか…」と最初は思いました。が、内容はローや司法試験の勉強とは全く違った実務的なもので、非常に充実しています。

弁護士を目指しているというと友人から法律について色々質問されますが、実務的なことがわからないため歯がゆく思うことが今まで多くありました。導入では例えば量刑の決め方を学んだりと、そういった知識をつけることができます。

 

二回試験とそれに向けた集合修習の予行演習

導入では、各科目の簡単な講義があったあとにいきなり即日起案が課されます。これは3時間で記録をもとに訴状や起訴状などの答案を書くというものです。

この趣旨は、各科目1回即日起案をすることで、ゴールを把握しておくということにあります。僕は危機感を覚えないと勉強に身が入らないタイプなので、このショック療法というか、とにかくよくわからなくてもいいから一回問題を与えて書かせてみる、というスパルタは自分にはとても合っているなぁと思いました。

起案は例えば検察では犯人性だけ、と二回試験で書くものよりは短いのですがエッセンスは概ね一緒です。今何が足りないかを知ることができたので、二回試験を見据えながら実務修習ができるなと思いました。

 

2 5つの科目・法曹は一体

導入の科目は民事裁判、刑事裁判、検察、民事弁護、刑事弁護の5つです。 法曹は一体であるとの理念のもと、自分の志望にかかわらず全ての分野を勉強します。これは若干迂遠なようにも思えたのですが、例えば弁護士になる場合は裁判官や検察官の発想を学んでおくのは後々役に立つし、同じ事件でも立場によって見方がこうも変わるのかと実感できてとても面白いです。

内容は実務的で、例えば民事弁護であれば訴状や和解の起案など、実際に弁護士になったらまさに仕事で行うことと同じことをやります。これなら自ずとやる気が出るというもので、ここがローの勉強と決定的に違うなぁと思います。

他方で、一つ気になったのは企業法務についてはほぼノータッチであるということです。修習のカリキュラムはおそらく昔から大きく変わってはおらず、民事弁護はいわゆる昔ながらの弁護士像というか、一般民事の弁護士の仕事内容を軸にしています。しかし現在は大手の企業法務事務所が増え、さらにインハウスローヤーになる人も多くなっています。上に「まさに仕事で行うことと同じことをやります」と書きましたが、企業法務でやることは正直カバーしていないなと思いました。

それはそれで実務についてからOJTをやればいいという発想なのかもしれませんが、時代の要請に合わせるのならば、企業法務という科目を設けるとか、民事弁護で少しその内容もやるとか、そういうのがあってもいいのかぁと思いました。

 

3 クラス

導入は修習生が70名前後の22組のクラスにわかれます。まさに学校のようです。詳しくいうと修習地がバレるのでいいませんが、僕のクラスは多くが地元の人なので、若干アウェイを感じています。他方で、今までの環境と違っていてとても刺激的です。

僕はローの同期から遅れているので友達が少ないことを心配していましたが、内定先の事務所や予備校のバイトなどで案外知り合いがいたり、ローの知り合いもチラホラいたりと、杞憂でした。クラスも多くの人が新しい友達を作ろうと前のめりで、たくさん友達ができたなぁと思います。

 

4 怒涛の飲み会

導入修習は3週間、実質15日間と短い間に多くの飲み会が企画されます。

僕の場合は①教官を交えたクラスの懇親会×2、②班の懇親会、③内定先事務所の懇親会、④教官の事務所見学と懇親会、というオフィシャルな懇親会が5回あったほか、修習同期となったローの友人や先輩との飲み会、東京の友達との送別会などでほぼ毎日飲み会がありました。

新しい友だちができたり、昔の友達と旧交を温めたりと楽しいです。が、正直胃が持ちません。やはり体力勝負だなということを痛感しました。


5 司法研修所の設備

①食堂

まず悪名高き食堂ですが、今年の夏に業者が変わったようで、普通に美味しいものでした。ただ大学の学食もあまり使ってなかった僕は、あの殺風景な感じがあまり好きになれず、ほとんど行きませんでした。

 

②寮の部屋

僕は寮には入れなかったため一度先輩の部屋に遊びに行っただけですが、殺風景にせよ古めのビジネスホテルといった感じで、まぁ暮らせるなぁと思いました。排水口はめちゃくちゃ詰まるみたいですが。

集合では入寮すると思うので楽しみです。みんな合宿みたいで羨ましく感じました。

 

売店・購買

売店はまぁまぁ色々売っていますが、1500人というキャパを考えるともう少し広くしてほしかったものです。昼とかは大行列になります。

購買は弁当と松屋の牛丼が売られています。弁当はボリューミーで味も結構美味しいです。牛丼は割高で野菜もなくちょっとなぁという感じでした。

近くにコンビニもありますが、めちゃくちゃ混むし、総じて食事事情はあんまりだなという感じです。ここは官庁訪問でも感じましたが国の施設推して知るべしです。

 

6 通所で思うこと

僕は通所だったので大体朝8過ぎに家を出て、9時半くらいには研修所に着くという感じでした。電車は一本でラクなのですが問題はバスです。バスは時間どおりに来ないし、混むし、揺れるし、なかなか快適とは言い難いものがあります。

和光市で降りるとバス待ちの列がものすごいので、一つ手前の成増から乗るようにしていました。成増はバスの本数が少ないので電車に乗り遅れると致命的ですが、そうでなければそこまで混まずに乗れます。

しばらくニート生活をしていた身にとっては8時前に起きて電車とバスを乗り継ぐだけでも一苦労ですが、同時に「やっと社会に馴染んだなぁ」という感じがして嬉しくもあります。弁護士を選んだ理由の一つになんとなく社会の歯車になりたくないという思いがありましたが、とはいえずっと社会不適合な生活をしていると心配になってくるので、きちんと週5で朝起きて外に行くだけでようやく一人前になれたような錯覚を覚えます。

……しかし、月から金まできちんと朝起きて家を出るというのは、幼稚園、小学校、中学校、高校としていたわけです。実に15年間です。しかも中学とかは朝練もあったので下手したら7時前に家を出ていたわけです。

 

あれ????本当に大学は人をダメにするところなのかもしれません……。

一応これに対して反論するならば、「そもそも朝起きて毎日同じ時間に会社なり学校なりに行くという国が決めたルールに対して疑問を抱く」ところに価値があるのかもしれません。でもあの楽しさとラクさを知ってしまうのは罪だなぁと思いました。

 

7 バッジ・スーツ

初日に修習生のバッジをもらいました。

こんなバッジをもらうなんて高校の時以来でしょうか?実感が湧いてものすごく嬉しかったです。1年後これが弁護士バッジになるのが楽しみでなりません。あととりあえず飲みに行くときは外そうと思いました。

スーツもオーダースーツを新調しました。生地もわりといいものにしたので着心地がハンパなく良いです……。もう既成品は着れないなぁと思いました(白目)

いいものを身に着けたいというのが勉強のモチベーションになっていたので、これから色々揃えるのが楽しみです。スーツは面倒で嫌だという人も多いですが、気持ちが引き締まるので僕はやはりスーツが好きだなぁと思いました。

 

8 おわりに

導入は毎日充実していて、あっという間の3週間でした。座学中心でしたが、充実していたのは「勉強」ではなくてスーツを着て「研修」として臨んだのも大きいなと思います(本当はローもそういう決意で臨むはずだったのでここは反省点ですが…)。3週間という短期集中だったのも良かったです。

あとは、僕はあまり自分に自信がないタイプなんですが、今回は曲がりなりにも司法試験に受かって選ばれてここにいるんだ、という自信があるのもいいなと思いました。今後も奢らず自信をもって頑張りたいものです。

 

クリスマスは引っ越しも兼ねて修習先で過ごしましたが楽しかったです。新居の準備はまだまだですが、新生活のことを考えると今から心が躍ります。

以上東京に帰る新幹線よりお送りしました。

ぺんぎん

【TOEFL勉強法・まとめノート販売】

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noteで以下のTOEFL関連の記事2つの販売を開始しました。

*以前は無料にしていましたが、恒常的金欠のため有料にしました^^;

 

 

1 半年でTOEFL81点から103点まで上げるためにした12の具体的勉強法(500円)
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僕が100点を取るために具体的に行った勉強方法をまとめています。
TOEFLの勉強法に悩んでいる方には必ず役に立つと自信を持ってお届けします。

実はこれは以前当ブログにも掲載していたものです。

 

 

2 TOEFL100点を取るためのまとめノート(OGの要点・テンプレート集・パラフレーズ集等)(1000円)
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僕が自分用に作成したまとめノートです。

設問の分析、スピーキングとライティングで必須のオリジナルテンプレート、ライティングで点数を伸ばすために必須のパラフレーズ集などをまとめています。
僕は最後の直前はこれでひたすらイメトレしました。絶対にお役に立つことを断言します。

*なお、2019年8月から試験内容等が変更されましたが、新形式にも対応しました。

 

 

 

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どちらもかなり力を入れて書いたものです。
特にまとめノートのほうは(自分のためですが)Official Guidebookや各サイトなどを参考に時間をかけて書きました。

TOEFLは英語力を上げることも大事ですが、特殊な試験ゆえ何よりも勉強法と対策が重要です

どちらの記事も必ずやお役に立つと約束します。

 

 

 

TOEFLを勉強中の方はもちろん


「いつもブログの記事を面白く読んでいる」
「ぺんぎんに司法試験の合格祝いをあげたい」
「なんかわかんないけど寄付したい気分」

 

という奇特な方もぜひぜひお願いいたします!!!

 

 

ちなみに当ブログはアフィリエイト等のマネタイズはしておらず完全なる趣味でやっております。たまには欲を出したってバチはあたらないはずです。

 

ということで、よろしくお願いします!!!

 

ぺんぎん

ロー生の官庁訪問対策

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今年はお陰様で某省庁から内定を頂けました。

そこで、僭越ながらロー生向けに官庁訪問対策について簡単に書いておきます。

 

なお、官庁訪問対策の一般論については、こちらのブログの記事が非常に有用なので一読されることを強くお勧めします。

ameblo.jp

無断リンク失礼いたします)

 

国家総合の試験についてはこちらを

 

pennguin.hateblo.jp

 

法律事務所や民間企業の就活と同様、省庁の就活でも、評価軸として数字で評価されることとできないことがあります。以下ピックアップして私見を述べていきます。

 

 

 【数字で評価されること】

僕の肌感覚としては、官庁訪問ではやはりこちらがかなり重要であると思っています。

1 学歴

学歴はやはり重要です。各省庁の過去の採用者の出身大学を見れば一目瞭然ですが、東大生の数が圧倒的に多いです。

これはそもそもの東大出身者の国家総合職試験の合格者数が多いというのもありますが、省庁のプライド維持という観点も大きいのではと。省庁間の序列維持においてどれほど優秀な学生を確保できたかというのは重要な指標になり、学歴はわかりやすいステータスだからです。これは批判されている部分ではありますが、官僚は権威が大事であること等も考慮すると僕自身は仕方がない気もします。あとやはり彼らは優秀です。

特にいわゆる五大省庁(財務・外務・警察・経産・総務自治)は7〜8割が東大出身者なので、それ以外の大学の人は残りの枠を争うという意識を強く持った方がいいです。

 

2 院卒・ロー生であるということ

そして、ロー生についてですが、院卒の採用者数も、試験の合格者数の割合に従い大体決められているように思います(3割程度)。院卒を異常に多くとっては大卒者に不利なのでこれも理にかなっています。

さて、文系の院卒というと、公共政策という強力なライバルがいます。そして、多様性の観点からもロー生ばかりを取るのもどうかと思います。

そうすると、そもそも各省庁がとるロー生の数は1〜2名程度だと思われます。すなわちロー生の志望者数に強く依存するということです。この少ない枠を争うことになります。

blog.goo.ne.jp平成23年と少し古いですが、この表からも上記のことが言えると思います。

 

特に五大省庁がそうだと思いますが、若手が重視される傾向にあると思います。理由として考えられるのが、①若手の方が伸び代がある、②部下として扱いやすい、③早いうちから省庁を志望しているということはそれだけ志望度も高いと言えるから、というところです(ここは大手事務所と同じです)。

官僚を志望してローに入学する人はほぼいないでしょう。とすると志望してまだ1〜2年にすぎません。学部卒の人はそれこそ中高生のときからなどもっと前から志望している人も多いです。ロー生にとって総合職試験は難しくないですし、司法試験の勉強が活かせますが、学部生は民間就活なら不要な勉強をわざわざやってまで受けているのだから志望度は高いです。そこの熱意の差は面接にも現れるでしょうし、形式的に経歴から見るのも理にかなっていると思います。

さらに、ロー生は司法試験を受けて結果待ちの状況で訪問するので「官庁訪問は滑り止めでは?」という至極まっとうな疑いを持たれるところからスタートします。したがって、ここで「なぜ官僚か」ということを明確に説明できることが必須となります。

もっとも、逆に言えば訊かれることが最初からわかっているのだから対策しやすいといえばしやすいです。「試験に受かってもこちらに来ます」、ということを熱意と理由を持って伝えなければなりません。

 

私見ですが、公取委国税庁会計検査院あたりは専門性が高いということもありロー生を評価してくれる印象があります。法律に近い法務省もそうかもしれません。

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というわけで、僕のような私立ロー出身者の場合はこの時点でなかなか厳しい戦いを強いられることになります。

もちろん、採用予定者数というのはあくまで予定にしかすぎず、ロー生だろうとなんだろうと圧倒的に優秀であれば他の志望者に関わらず採用してもらえるでしょう。僕が強調したいのは、圧倒的優秀者でなければ他の志望者に依存するので運も大きい、そしてその人に勝たなければならない、ということです。

 

3 英語力

英語力は正直に言ってそこまで評価されているとは感じませんでした

まず外務省などは英語が出来て当たり前で、留学経験者、帰国子女がゴロゴロいるので差別化になりません。

他の省庁でも、英語は入ってからでもできるしいずれは留学して身につけることになるのだから、今できるということがそれほど重要とは考えられていないと思います。あと、すでに総合職試験での英語科目やTOEICスコア提出により評価もされてしまっています。

もっとも、省庁によっては海外との仕事の重要性が高まっている割にあまりそういう印象がなく、英語ができる人材を欲しているところもあるようです。この辺りはリサーチしておくべきだと思います。

 

4 大学・大学院の成績

一応志望カードに書かされるところが多いですが、どれくらい重視されているかは不明です。もっとも、学力は総合職試験で担保されていることからも、事務所就活に比べればたいしたことないはずです。

 

5 説明会への参加等

総合職試験のだいぶ前から説明会やインターン等が開催されています。確実にこれらにはできるだけ参加したほうが良いです。

一つ目の理由として、これにより省庁に対する知識が深まり、志望動機作成や官庁訪問での面接等にその経験が活きてくるからです。官庁訪問は事前の知識は必要ないといってはいますが、全く興味のない省庁に訪問に来るわけがないしそれはあくまで建前です(ていうか、官庁訪問は建前が多すぎます)。政策等について全て知っている必要はありませんが、質問をすることができるだけの最低限の知識等は当然必要です。

二つ目の理由として、事前に採用担当者に顔を売っておくことができるというのがあります。採用担当者も人間なので、官庁訪問で突如現われた人よりは、当然説明会等で何度か会っている人ほうが熱意を感じられるし安心感もあるはずです。噂では、この時点である程度採用する人を決めてしまっている省庁もあると聞きます。

*某省庁の内定をもらった友人は10回くらい説明会に足を運んでいたそうです。もっとも、僕は内定をもらった省庁には1回も説明会に行ってませんでした。これだけをもってはなんともいえませんが一応付け加えておきます。

 

 

【数字で評価できないこと(官庁訪問

1 面接カード(志望動機)

省庁により体裁は異なりますが、事前にあるいは当日にA4で1枚程度の紙を書く必要があります。自身の学歴や資格はもちろん、志望動機などを書く欄もあります。

この欄は本当に一言程度なのでそんなに差はつかないだろうと思います。もっとも、逆に少ししか書けない以上、そこで目に留まるような強力なものが必要なのかもしれません(事務所の志望動機は字数制限がなくて長いことがほとんどですが、民間だと意外と短いので、それに近いかも)。

 

2 人事面接

人事面接はどの程度評価されているかわかりません。1回10分程度と時間も短いですし。

完全に私見ですが、大学名などで事前にふるいにかけて、最初の入口面接の印象で比較的合否を決めてしまい、選考過程でそれを確認していってるのではないか?と思っています。人事のプロの方なら数分話しただけでその人のポテンシャルはある程度わかってしまうのかもしれません。

「じゃあ官庁訪問で頑張っても意味ないの…?」ということはもちろんないです。面接で熱意を示すこと、あらゆる質問に的確に応えること、というのは当然重要になってきます。よくある質問については事前に答えを用意しておくことと、虚を突かれた質問に対してもその場できちんと考えて説得的な回答ができる必要があります。「説得的であること」「論理的であること」というのが極めて重要であると思います。

そして、官庁訪問で重要とよく言われるのは「成長をみせること」です。

訪問中は多くの方と原課面接で話すことになります。そのお話を聞いて志望理由をブラッシュアップしたり、知識をつけたり、自分で悩んだりして、成長したことを短い期間で見せることが重要です。

 

3 原課

原課とは、職員の方と1対1で30分~90分程度業務についてお話を聴く面談のようなものをいいます。一応建前上は評価には反映されていないと言われますが、さすがにそんなことはないだろうと思います。当然フィードバックはされているはずです。

①しっかりメモを取りながら話を聴く、②気の利いた質問をする、③自身の意見を問われた場合でもテンぱらず自分なりの考えを示す、といったことに注意すればいいと思います。業務から少し離れた世間話や進路相談などしてもよいです。

あくまで面接とは違うので、あまり硬くなりすぎず、楽しんで好奇心をもって臨むのが大事だと思います。

 

4 体力・気力

官庁訪問は連日朝から晩まで拘束され、その間に何度も面接が入り体力的に非常に過酷です。真偽不明な様々な情報が飛び交ったり、いつ呼び出されるかわからずずっと待機していなければならなかったり、呼び出されるまでこれから何をするのかわからなかったり、学生同士のマウンティング合戦があったり、とにかく疲れます。その意味で、体力・気力というのは思っている以上に重要です。

 

ちなみに、官庁訪問の倍率は単純に各省庁の訪問延べ人数でいうと6〜10倍くらいだと思います。僕のところも大体8倍でした。某省庁の1日目は120人来ていたので第一志望だけでいっても約5倍です。

「何を言ってるんだ。一般企業は100倍とかも普通にあるじゃないか」と反論されそうですが、企業エントリーは誰でもできるし、ESは最悪数時間かければ出せるのだから箸にも棒にもかからないような人も含まれている以上、比較しても無意味だと思います(そもそも母集団が違うもの同士の倍率を比較することが無意味ですよね)。

官庁訪問はまず難関の試験ですでにふるいにかけられています(学部卒ならば20倍。そのため、単純に倍率で言っても100倍以上です)。

さらに、第3クールの2日目は実質的に形骸化しており、1日目に訪問しなければならないため、最終的にはどこか1つからしか内定を受けることはできません。日程が合う限り何個でもエントリーし内定を取り得る民間や法律事務所とはここが決定的に違います。

なので、自分の志望だけでなく、自分の経歴や能力から可能性がありそうな省庁を見極めるということが非常に重要だと思っていますロー生は周りに志望者が少なく情報不足になりがちなので、余裕があればできるだけOB訪問などをしておくと良いと思います。

 

5 「官僚っぽさ」?

法律事務所にいる弁護士の方は、プロフェッショナルということもあり、なんというか「変わってる人、長いものに巻かれたくない人」が多い印象があります。

他方で、官僚の方は、ジェネラリストでありかつ国民の目に晒されてる公的な仕事であること、そして将来的に人の上に立つ管理職候補であるということから、なんというか「完璧さやまともさを備えている人」が多い印象があります。

もちろん弁護士にも完璧っぽい人はいるし、官僚にも変な人はいるのであくまで印象論ですが、仕事の性質や求められる能力がまったくもって異なる以上、「官僚っぽさ」というのはあるはずです。

僕は先日弁護士の先輩に合格祝いをしてもらったのですが、進路で迷った旨お話したところ速攻で「君は明らかに官僚は向いてないから弁護士で良かったと思うよ」と言われました。僕もそんな気がします。

というわけで、そもそも自分が「官僚っぽさ」を備えているかどうかを考えてみるのもよいかと思います。

 

 

他にも色々言いたいことはあるのですが、長くなったのでこの記事はこのあたりで。参考になれば幸いです。

企業法務法律事務所の就活

 

 

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ぺんぎんは運良く人気とされる某企業法務の事務所から内定をもらえました。

半分自己満足かつ偉そうではありますが、多くの合格者にとっては今が就活の時期みたいですし(少し遅いけど)、ロー生の事務所就活のコツみたいなものをまとめておきたいと思います。

*なお、以下の評価軸は友人の状況などを元に私が勝手に考えるものであり、その事務所の評価軸ではもちろんありません。

人事担当者からヒアリングなどしたわけでもありません。あくまで全て完全に私見なのでご了承ください。

 

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まず、前提として、評価される項目として、

【数字で評価されること】(学歴、成績、語学力など)と

【数字で評価できないこと】(志望動機などのES、面接、人柄)があります。

 

ロー生の就活においては前者が重視されている傾向があるとは思いますが、これで全てが決まるわけではありません。周りを見ていても、先輩などの実績から「あそこは○○大卒でGPAが○○以上じゃないと無理だ」と即断する人が多いですが、それで自分に勝手に限界を作るのは非常にもったいないです。

特に前者に不安がある人ほど、面接に向けて努力可能な後者を頑張るべきだと思います。

 

 

【数字で評価されること】

当然ですがこれは評価軸として明確なので重要になると思います。できるだけここらへんで他の候補者に差をつけるようにしたいものです。

 

1  学歴

大手の事務所はやはり東大・京大・一橋・早稲田・慶応・中央・神戸・他旧帝大の出身者がほとんどです。また、事務所によっては東大の数が圧倒しており、それ以外の大学の卒業生は頑張る必要があります。

もっとも、上記以外の大学出身者の方ももちろんいます。その場合は、なぜその大学に行ったか等が訊かれることがあります。部活に打ち込んでいたから、地理的関係、などなどあると思いますが、特殊な経歴の場合は説得的な説明を用意しておく必要があります。

 

2  成績

(1) ローのGPA

やはり弁護士という専門家の就活である以上、そして司法試験の合否と相関関係がある以上、重要なポイントです。書類選考においては一番重視されているのではないかと思われます。

ただ、成績があまり良くなくても、それについて理由をきちんと説明できればいいと思います。僕の場合は(少し言い訳がましいのですが)、留学が決まって少し気が緩んでしまったこと、留学の準備との両立が難しかったことなどを説明して、一応は納得してもらったように思います。

しかし、特にサマクラにおいては成績が最重要であると思います。ロー生の人は何よりここをがんばりましょう。

 

(2) 司法試験の順位

合格後の就活ではこちらの方が重視されるのかなと思いますが、ここは何ともわかりません。個人的には受かっちゃえば一緒感がありますが、合格者が増えた今、特に500人時代等を経験した旧司時代の人にはある程度の順位がほしいという考えもあるようです。

特に評価が悪かった科目等については、その理由を自分の言葉で説明できるようにしておくべきです。

 

3  予備試験合格・司法試験受験回数

(1) 予備試験合格

言うまでもないですが、合格していれば相当強いアピールポイントになります。やはり学部生、ロー生は予備合格を何より目指すべきだと思います。

ただし、予備に合格しているからといって必ずしも内定が出るとは限りません。当然ですが最終的には人間性が見られるので、合格している人も油断しないようにしましょう。

 

(2) 司法試験受験回数

大手に行く人の大多数は1回目合格者ですし、もちろん少ないほうがいいです。

ただ、2回目までならそこまでディスアドバンテージではないと思います。旧司時代では何回も落ちるのが当たり前でしたし、1回の失敗は何とか許容してもらえるという感じでしょうか。

この場合、なぜ1回目はだめだったのか、それからどこを改善して2回目に臨んだのか、ということを説得的に説明する必要があります。僕もここをかなり訊かれました。逆にここできちんとした説明ができれば、自己を客観視して課題に向けて取り組んだ姿勢を評価してもらえると思います。

 

4  語学力・留学経験

(1) 英語

当然できればできるほど良いです。企業法務の事務所の業務は半分以上英語だったりします。

ロー生は英語が苦手な人が多いので、例えばTOEIC900点以上があればかなりアドバンテージだと思われます。事務所によっては一定数の英語枠を設けている所も多いようです。

僕はTOEIC950点以上、TOEFL100以上あったので、ここはES通過において重要な役割を担ったと思います。

もっとも、別に今できなくても、それに向けて努力する姿勢があれば評価してもらえます。英語が嫌いという人は、嫌いと正直に答えてしまうと業務の適性がないと判断されてしまうと思います。「今は苦手だけどこれから頑張って勉強します」という姿勢を見せるべきでしょう。

 

(2) 第二外国語

やはり中国語は強いと思います。中国法務に力を入れていると明言する事務所も多いですし、周りの友人を見ていても、中国語が得意な人は内定を得た人が多かったです。学部生の方などは中国語検定や中国留学を頑張ってみると良いと思います。

僕は中国語は全然ですが、アメリカで中国の存在感の大きさに触れ一応勉強はしていたので、そのことはアピールしました。

 

(3) 留学

留学経験者はロー生においてはそう多くないので、しているとやはり有利だと思います。とりわけ僕は特殊な留学をしたので、面接でもここが会話の軸になることが多かったです。なぜ留学を決意したのか、留学から何を得たのか、などはきちんと説明できる必要があります。

留学というのは、様々な能力(積極性、コミュニケーション力、適応力、異文化理解力)を有することのシグナリング効果があります。しかし、単に「留学したからすごいでしょ」というのではなく、ここらへんの能力といかに結びつけられるか、いかに料理するかがポイントです。

 

 

 

【数字で評価できないこと】

どうしてもわかりやすい数字で評価できることに目が行きがちですが、最終的に大切なのは結局、人間性(一緒に働きたいと思えるか)だと思います。このあたりはいくらでも伸ばせる(あるいはごまかせる)ので直前まで努力することが大事です。

1 見た目・服装など

昔『人は見た目が9割』という本が流行りましたが、やはり見た目が与える印象は大きいと思います。これについては別の記事にしたいと思います。

僕も人のことは言えないんですがリクルート姿がダサすぎる人が多いです。例えばボタンダウンにネクタイとかフォーマルな場ではどうなんでしょうか?

あと個人的には黒より濃紺のスーツの方が落ち着いて見えて良いと思います。

別に高いスーツでギラギラにする必要はないですが、ロー生はもういい大人なのだから、ある程度見栄えのいい格好をするべきだと思います。

 

2 ES・自己分析

(1) ES

事務所の就活は、大手は司法試験直後、それ以外は合格発表直後から始まりますし、いずれにせよESをきちんと練っている時間はなく、ここを適当に済ませてしまう人が多いように思います。

たしかにサマクラに行っててほぼ決まっているような人はそれでもいいと思いますが、そうでない場合、ESは非常に重要です。個別訪問の機会が得られるかがかかっているのもそうですが、訪問においても、面接官はESを元に質問をしていくわけで、面接の出来がESにかかってくるからです。ESの出来が非常によければ、面接は内容の確認程度で終わるかもしれません。逆にESが微妙だけどまぁ一応会ってみようか、というスタンスの場合、面接はマイナスからスタートするので色々厳しい質問が飛んでくるかもしれません。

したがって、「とりあえずESを出してから面接対策をしよう」というのではなく、ESを作る段階で面接で話すことも整理しておくのが重要だと思います

 

(2) 自己分析

弁護士を目指した理由は人それぞれだと思いますが、結構無意識に目指している人が多く、また初めから弁護士業界一本で来ているため、普通の企業の就活生に比べると業界研究などが不十分な人が多いと思います。

例えば就活でメーカーを選ぶ場合、なぜ商社や銀行でないのかといったことを自問自答することになると思います。しかしはじめから弁護士しか目指していない場合、こうした比較検討ができません。よくよく考えてみると、企業法務がやりたいなら企業の法務部でもいいし、M&A投資銀行やコンサルでも扱います。困っている人の役に立ちたいならカウンセラーとかでもいいはずです。なぜ弁護士なのかを改めて考えなければなりません。

あとは自分の性格や長所等を書く上でも自己分析は不可欠です。僕は正直「自己分析って何だよ」と半分馬鹿にしていたのですが、いざやってみると自分のここまでの体験を振り返ってみる良い機会であったと思います。

本としては定番ですがこれがいいでしょう。

絶対内定2020 自己分析とキャリアデザインの描き方

絶対内定2020 自己分析とキャリアデザインの描き方

 
絶対内定2019 エントリーシート・履歴書

絶対内定2019 エントリーシート・履歴書

 

 

単なる就活対策ではなく、自分の生き方を考える上で参考になる本です。

 

もっとも、ESの選考は基本ローテーション性だと思うので、提出は早ければ早いほど良いです。したがってここでどの程度時間を犠牲にして内容の充実を目指すか、というジレンマが生まれます……。難しいところですが、完璧を目指すのではなく、ある程度のものが書けたと思ったら出してしまったほうが良いのではないでしょうか。

 

 

3 個別訪問(面接)

正念場です。究極的には「この人と一緒に働きたい!」と思わせられるかが重要です。

面接においては中身に気が取られがちですが、それよりも重要なのは話し方だと思います。会話の仕方などの本を見ても、人に対する印象は見た目や話し方でほとんど決まってしまうとあります。デートなどでも、「女性が楽しかったと思うデートについて感想を尋ねると、話した内容はほとんど覚えていないという回答が多かった」というのは有名な話です。

「笑顔で挨拶する」、「質問にハキハキと応える」、「いかにも暗記してきたものを吐き出しました感を出さない」、「唐突な質問が来ても趣旨から自分なりに答えを考える」などの基本的なことは練習で十分に改善できるし、これだけでもできればかなり印象は良くなるはずです。逆に言えばこれすらできてない人が多すぎます。

面接は結局コミュニケーションなので、相手が求めているものを考え、空気を読んで回答することが大事だと思います。自分中心に考えてしまいがちな人は、自分が言いたいばっかりに聞かれてないことを言ってしまったりしがちです。質問の意図や雰囲気を考えて、適宜話す内容や長さを変えることが重要です。

 

*****************

最終的には総合評価なので、数字で評価されることで足切り、その後数字で評価できないことに進むというわけではないと思いますが、少なくとも前者を通過している以上は一定の評価水準を満たしていることになります。

そこからは言ってしまえば「ご縁」「フィーリング」であり、試験と違って不確定要素が多いためここがうまくいかないとしんどいですが、めげずに場数を踏むことが大切になると思われます。

僕も色々へこむこともありましたが、面接がうまくいかなかったからといって人間性が否定されているわけでは決してないはずです(と、自分に言い聞かせて頑張りました)。面接を繰り返していけばうまくなるし、自分と相性の良い事務所も自然とわかってくると思います。

というわけで就活中の方のご検討をお祈りします。

 

インドから帰国しました/「インドにもう一度行きたいか?」

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(宿への道を通せんぼする牛@バラナシ)

 

先日無事に1ヶ月のインドの旅から帰還しました。

本当は旅行中もブログを更新するつもりでしたが、PCを置いていったこともあり、帰国後まとめて更新することにしました。

 

行ったところは

【インド1】

デリーin(3.5日)…首都。メインバザール、ハヌマーン寺院、ジャマーマスジット(モスク)、ラールキラー、コンノートプレイス(都心部)、インド門、GBロード

ハリドワール(1日)…聖地。バザール、マンサーデヴィ寺院、ガンジス川

リシケシュ(4日)…ヨガ生誕の地。ヨガアシュラム、スラム、ビートルズアシュラム

ジャイプル(1.5日)…ピンクシティ。シティパレス、ジャンタルマンタル、アンバー城

アグラ(2日)…ムガル帝国の古都。タージマハル、ラールキラー

バラナシ(4日)…この世の底。火葬場、ガンジス川ヒンドゥーバナラス大学、街

ゴーラクプール(経由)…北インド列車の終着点。

 

【ネパール】

スノウリ(経由)…国境の街。

ポカラ(2.5日)…湖畔の街。ボート、サランコットの丘

カトマンズ(2.5日)…首都・トレッカーとヒッピーの聖地。タメル地区、ダルバール広場、パタン、キャバクラ、クラブ、カジノ

ビルガンジ(経由)…国境の街。

 

【インド2】

ラクソール(経由)…国境の街。

バラウニ(経由)…名も知らぬ街。

コルカタ(4日)…東部最大都市・旧植民地カルカッタ。サダルストリート、ニューマーケット、カーリー寺院、マザーハウス、ソナガチ

 

【マレーシア】

クアラルンプールout(1日)…首都。ブキビンタン、国立モスク、マスジットジャメ、ペトロナスツインタワー、シティギャラリー

 

です。

ジャイサルメールブッダガヤは時間と体力の都合でカットし、バングラデシュもビザの関係で面倒なことになったので今回は見送りました。代わりにポカラに行き、かつそんなに慌ただしくない旅ができたかなと思ってます。

メインどころは4日間など比較的長期滞在し、見どころが少ないところは1日〜2日におさめるなど、メリハリが付けられたかなと思います。

 

***********

 

さて、インドに行った人にお決まりの質問はこれです。

 

「インドにもう一度行きたいか?二度と行きたくないか?」

 

 

答えは……「もう一度行きたい!」です。

そうですね……、たしかにインドは無茶苦茶なんですよ。道は常に大混雑、鳴り止まないクラクション、大声でしゃべる人々、断っても断ってもついてくる客引き、道を訊いても適当に返ってくる答え、すし詰めの列車、道には牛の糞と尿とゴミの山、宿には南京虫……。まさにカオスです。

ネパールのポカラに入ってすぐはものすごく落ち着きました。ゴミもなく道は綺麗だし、クラクションも規制のおかげでなくて静か。客引きもほぼいないし、いたとしても一言断ればあっさり身を引く。なんていいところなんだろう、そう思いました。

しかし、2日くらい経つとなんかモヤモヤしてくるんです。なにか違うぞ、と。何か物足りねぇぞ、と。そうなんですよね、もうすでにインドの混沌と喧騒が懐かしくなってくるんですよ。特にバラナシが強烈すぎたので。「客引きもっと来いよ、一回断られたくらいで折れてんじゃないよ」と思うわけですよ。道歩いてて誰にも話しかけられないってのが違和感でしかないんです。インドでは歩いてるだけで勝手にイベントが発生したのに、ネパールでは何も発生しない。完全にインドにハマっている自分がいることに気づきました。

そんなわけでネパールで過ごした5日間は物足りなく(いい場所ではありますが)、ようやっと2日間かけてインドに戻ると、たかが1週間ぶりなのにものすごく懐かしくて落ち着きました。インドの魔力はすごい。

 

深夜特急』の何巻かの終わりの対談で、世界の国は「サムシングハプン」と「それ以外」に大きく分けられると書いてありました。要するに、前者は道を歩いているだけで勝手に何かが起こる国、後者は起こらない国です。これは大雑把に言えば途上国と先進国と一致すると思います。例えば先進国であるアメリカの都会、西ヨーロッパ、日本等を歩いていても(客引きやナンパを覗いては)、知らない人に普通に話しかけられるとかほぼないじゃないですか。

でも「サムシングハプン」の国は、人と人との境界がものすごく薄い。外国人に対する純粋な興味から平気で話しかけたりする。古き良き昔の時代というのか、日本にもかつてはあったはずの、人間同士の濃い関係、共同体意識、そういうのが根強く残っているわけです。

当然、一人旅ではそういう国のほうが楽しい。一人旅ってのは、別に一人が好きだからするわけではなく(それもあるだろうけど)、自由気ままにプランを立てたいとか、現地の人や他の旅行者に常にオープンでありたい、という欲求でするものだと思います。できるだけローカルを味わいたい。そういう意味で現地の人と話す機会があればあるほどよい。

そして、その観点でいうと、東南アジア、中南米と比べても、インドの「サムシングハプン率」は異常でした。ただ街を散歩してるだけで色んな奴が話しかけてきます。断ればもちろんそれまでですが、なすがままをモットーについていくと、予想もしなかったところに行ったり、予想もしなかった話が聞けます。これが本当に面白い。インドでは何もしなくても勝手にイベントが発生するのです。まさにRPGの世界です。「寂しい」と思ったことはほとんどなく、むしろ「もういいからほっといてくれよ」とばかり思ってました。

僕はまだ30カ国くらいしか行ってないですけど、多分これほどイベントが発生するのはインド以外にないんじゃないでしょうか。だからこそ、一度インドに行くと、他の国では満足できなくなってしまうのかと。

 

*************

そういうわけでインドの旅はものすごく良かったです。今行ってよかったなとつくづく思います。

特にバラナシは、色々な出会いに恵まれたのもあり、今まで行った全ての都市の中でも極めて強烈に印象に残る場所でした。バラナシのカオスが恋しい。

そして、世界史の資料集で憧れていたタージマハルを見れて感無量でした。

 

インドでは本当に色々なことを考えたので、できれば記憶が新しいうちに文章にまとめてブログにもアップしたいと思います。いわゆる旅ブログみたいな感じではなく深夜特急みたいな内省的なものになると思いますが。よろしくです。

 

 

いざバックパッカーの聖地インドへ

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すっかり司法試験ブログとなっていて突然なのですが、今から1ヶ月間インド(とネパールとバングラデシュ)に行ってきます🇮🇳

1ヶ月規模の旅行は東南アジア、ヨーロッパ、南米に続く4度目です。

前回の南米は留学中に友達と行ったので、1人で途上国はメキシコ以来です。ワクワクするぅうううう

 

行き先はデリー→ジャイプル→アグラ→バラナシ→ブッダガヤ→コルカタの黄金ルートを軸に

西のジョードプルジャイサルメール

北のハリドワール、リシケシュ

ネパールのカトマンズ、ナガルコット、ポカラ

バングラダッカ

あたりを様子を見つつ組み合わせる予定です。あと帰りに経由でクアラルンプールに寄ります。

 

今までの旅行を振り返ると、「せっかく遠いところまで来たんだからできるだけ色んなところに行きたい」とせわしないものでした。東南アジアは最後がキツキツになりカンボジアを2日で通り過ぎたり、ヨーロッパは30日間で14都市も行ったり、南米は6000キロも移動したり…

というわけで今回の目標は「ゆったり」です。せっかくゆったりした国で宗教の聖地を回ったりするのだがら、訪問都市を出来るだけ絞り、一つの都市の滞在期間を長くしたいと思います。とか言って、行きたいとこをたんまりあげてるわけですが…。

そして日和らず安宿に泊まりたいと思います。ガンジス川にも入ります。

 

インドというとバックパッカーの定番スポットですが、聖地だとか人生が変わるだとか言われてるために何だか先送りにしてしまっていました。今回インド初めてと友達にいうと驚かれます。

今後はなかなかこんな長期休みも取れないだろうし、若いうちじゃないとしんどいだろうし、司法試験にも受かって一つやり遂げた今、インドを堪能してきたいと思います。

 

というわけでしばらくは旅行ブログになりますがよければお付き合いください!行ってきます。

 

出題趣旨と評価の感想

出題趣旨も公表されたので、自分の答案の評価について感想。

左が予想してた評価で右が実際の評価です。

 

憲法 D→A

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(再現率は低いです)

まず「知る自由」(情報摂取の自由)と「営業の自由」という大枠は外さず良かったです。その上で、出題趣旨どおり明確性の原則は検討しています(したはず)。青少年については内容規制であることに触れ、表現の価値について触れ、受け手が青少年である特殊性にも触れており、概ね書けていると思います。出題趣旨の書きぶりからすると色々な検討の方法があったようで、思い浮かべば浮かぶほど全部書かなくてはならないと思ってしまいそうで、そこが難しいなぁと思いました。

営業の自由のほうは方向性は大丈夫ですがいかんせん論述が薄すぎる。一括して書けばよかったです。

試験後憲法のせいで落ちたんじゃないかと思ってたのにAでした。やはり過去問研究してきた人が焦るならみんなも焦ってできないということが言えると思われます。しかも行政法がBなのに公法系が130点もいってる(上位4.63%)ということは憲法がかなりできていたということです。憲法は好きだけど最後までよくわかんない科目でした。

 

 

行政法 A→B

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原告適格については指摘されている条文を摘示できているし、反論も書けており、概ねよさそうです。趣旨はEの利益は、「適切な環境の下で円滑に業務を行う利益」としていますが、僕は周辺住民の生活及び衛生としてしまったのでここが痛かったかもしれません。

許可処分の実体違法については①13条1項違反と権利濫用の観点、②名義貸し、③主張制限、について触れることができており、よく書けていると思います。

不許可処分の実体違法について、アは反対運動について触れるべきなのに植栽について論じてしまいました。イは墓地の経営上の安定について論じており趣旨に合致していると思います。

2ちゃんを見ているとそもそも設問1(2)と設問2を裁量の問題としていない人もけっこう多いみたいですしAだと思ったらBでした。行政法は得意のつもりだったのでショック。

 

民法 B→A

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設問1はだいたい書けていると思います。注意義務の軽減は悪意又は重過失でも間違いじゃないんですね。問題点を一つずつ分けて考えるというのがうまくできてよかった……

設問2は小問1はオーケーだと思います。そして肝心の小問2ですが、177条の第三者と同視するという僕のトンデモ理論(と思ってた)はなんと正解でした。タブーである現場での思い付きがあたってしまったパターンです。リーガルマインドが炸裂してしまいました。第三者に当たらないとした上で登記を保持している者には例外的に請求できるとちゃんと書けてるので、ここで結構差をつけることができたんじゃないかと思っています。

設問3の求償は事務管理を理由にする場合は100万円だけど法定相続分で承継したとする場合には150万円が正しいようです。このあたりは色々な説があり趣旨を読んでもよくわかりません……。ということでまぁまぁできているという感じでしょうか。

基本的だけどややこしい設問1ができたこと、設問2がラッキーだったこと、設問3も一応書けていたことによるAという感じです。民法できないマンだったので嬉しい。

 

会社法 D→D

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設問1は多少あてはめが薄いとはいえ、請求要件や理由開示のところを押さえた上で二つの拒絶事由について検討しており、良いと思います。

設問2は利益供与をまるまる落としたのでひどいでふ。趣旨は触れてませんが一応利益相反構成もないことはないようで、ある程度点数が入ったとは思います……。

設問3はプラスアルファの点は論じられていませんが、最後の設問であること、一応趣旨から論じられていることから、まぁまぁだと思います。

利益供与を落としたのが悔やまれますが、Fらなかっただけマシでしょうか。そこ以外は比較的できていると思うので、基本論点は一つでも落とすと大ダメージということを思い知らされます。

 

民訴 B→A

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設問1課題(1)は訴訟物を明示した上で二重起訴と反訴、そして共同訴訟に触れており、主観的追加的併合と反訴提起による訴えの利益の喪失の論点は落としているものの、まぁ良いと思います。課題(2)はやはりできなくても大丈夫だった模様。

設問2はよくできたと思います。趣旨の書きぶりからすると利益文書は検討していなくても問題なさそうです。自己利用文書については検討の必要がないと明示されていますね。

設問3は問題ないと思います。意外とみんな書けていないみたいなので差がついたかも。補助参加の利益は辰已模試でがっつり出たので受験していると有利でした。

 

刑法 B→A

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設問1は概ねよいと思いますが、故意の中身を間違えました(名誉毀損の意図は不要で丙の社会的評価を低下させるおそれのある事実を伝播させる認識があれば足りる)。正当行為はやっぱり検討しなくて正解でしたね。

設問2はまず問題文を読み間違えて自説の検討をしていませんが、逆にしている人が超少数だと思うので問題ないと思います。殺人未遂と保護責任者遺棄の区別については殺意の有無だけでなく危険の程度についても書けており(これもリーガルマインド炸裂の現場での思いつきでしたが結果オーライ)、ここはかなり浮いたと思います。

設問3は難しい……(相変わらずよくわからない)。

模試で振るわなかった刑法でAは嬉しいです。

 

刑訴 A→A

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設問1の捜査はよいでしょう。捜査②については強制処分としてもしなくてもどちらでもいいという書きぶりですが、こういう場合採点はどのようにしてるんでしょうね?もしマックスの点数が同じなら強制処分としたほうが論述量が少なくてよいので有利だけど……。かといって結論で点数を左右するのもマズイ気もするし。

設問2の証拠もよいと思います。

むしろ刑事系はもっと伸びてほしかったです。

 

 

 

国際私法 B相当→A相当(上位12%)

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第1問

設問1は先決問題と国際私法独自説、法定地国際私法説についてきちんと書けました。ここは結構国際私法の前提すぎて盲点的なところですね。

適用条文は28条が正しいところ29条にしちゃってますが、まぁここ自体は一応色々な条文を出して法性決定について検討しているので、そんなにマイナスにはならなかったと思います。

設問2は時際法の問題であるところ、公序の問題としており壮大に爆死しています。とはいえ時際法は過去問で一度も出ておらず、辰已の1冊本にも3行しか書いていないのでよほどの国私無双でなければ書けてないはずです。ということで無視します。

設問3は反対説である36条適用を批判して13条2項の適用を論じておりよいと思います。

 

第2問

設問1小問1は特別管轄も色々検討しましたが余事記載気味かもしれません。特別の事情は落としがちで、出題趣旨でも触れられているのでここをしっかり書けたかどうかで差がついたと思います。小問2は7条、11条、8条それぞれを検討し、趣旨の指摘やあてはめも丁寧にできたので完璧に近いのではと思います。

設問2は出題趣旨の分量がハンパなくてビビりました。まず13条1項としてしまったのは大きなミスです。まぁでも仕向地法とすることが書けていれば相対試験では十分だったというところです。

 

*************** 

まぁそんなこんなで、結構いくつかの科目で大きな間違いを書いております。他方で利益供与落としを除けば僕が間違えてるところは多くの人も間違えているところだと思います。

ということで、超上位を目指す場合を除いて総じて言えるのはやはり「みんなができるところを確実にする」「みんなができないところは無視してもよい」ということだと思います。その意味で相場観を養うために過去問と答練を解いて採点実感や再現答案を分析することが重要です。

全ての科目において、①条文解釈の姿勢を見せること、②三段論法をきっちりやること、③あてはめを充実させることはかなり気をつけたので、そこが評価されたのかなという印象です。勉強の成果が出て嬉しく思います。

 

司法試験成績通知

というわけでやっと来たので約束通り晒します。

 

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ということで論文274位、総合307位でした。

自分としては500位くらいかな?と思っていたのでめちゃくちゃ嬉しいです(2ちゃんの予想までは届きませんでしたが…すみません)。

合格する前は順位なんてどうでもいいからとにかく受かればいい、と思っていましたが、合格した途端どうせなら上位がいいなぁと思い始めるあたり人間の欲は罪深いです。僕は就職も決まってるし任官任検の予定もないので何位でもいいはずなのに、成績通知が来るまでは緊張していました。

 

科目としは、大失敗した会社法がDで踏み止まっていてよかったです。

そして試験後一番不安だった憲法がまさかのAでした。たぶんみんなできなかったんだろうと思います。

他方で模試も良くて自信もあった行政がBだったのは悔しいです。

あとはまぁ予想通りという感じです。国私の突貫工事も功を奏しました。

そしてなにより好きな科目だった憲法、刑法、刑訴、そして学部のときからずっと苦手だった民法と民訴でAが取れたのは感無量です。頑張ってよかった。

※民訴については美人弁護士S先生とイケメン弁護士S先生の指導のおかげです。この場を借りてお礼申し上げます。

以上報告でした!

 

進路についてー弁護士か官僚か

成績通知がまだ来ない、ぺんぎんです。

実は今年は官庁訪問も行い、無事に某省庁から内定を得ることができました。

以前書いたように官僚という進路は非常に魅力的でした。身分が保障されている、福利厚生が手厚いという面ももちろんそうですが、国という巨大な組織の内部に入れるのだから、外からでは見ることができない多くのことを見れるようになると思います。社会の問題点を解決するために政策自体を作れるというのは行政でしかできないことです。弁護士はあくまで民間人であり、意見をいうことはできても、あくまで既存の制度の枠内で議論をするのが仕事です。

しかし、やはり弁護士という職業は自分の中で幼少期の頃からの夢であります。遅くとも中学1年生の道徳の教科書の「心のノート」の「将来の夢」の欄に「弁護士」と書いていたので、10年以上夢見ていた仕事なわけです。

もしかしたら昔からの夢であるというのは選択の邪魔になっているかもしれません。大事なのは今まで何をしたのかではなくこれから何をするのだから、フラットに考えることが重要だと思います。

しかし、昔からの夢を叶えないモヤモヤ感は一生残ると思います。やはり自分の夢を叶えたいと思いました。少々青臭いですが。

そして、フラットに見ても、自分の実力、名前と専門性で仕事をできる弁護士という職業のほうが魅力的だと思いました。そして、純粋になりたい自分の姿を想像するとそれはやはり弁護士だろうなぁと思いました。結局僕の性格からすると官僚になってもいつかは弁護士に転身したいなと思うんだろうし、それなら最初からなろうと思いました。

 

ということで、省庁の内定は辞退させて頂き(お時間をとって頂いたので大変申し訳無い思いでいっぱいです)、都内の某企業法務の法律事務所で弁護士として働かせて頂くことにしました。

 

というわけで修習の書類も無事に提出しました。修習地をどこにするかギリギリまで悩み、結局提出締切日の18日の深夜に24時間営業の郵便局で出しました。本当に優柔不断ですね……。

希望地をどこにしたかは秘密です。

 

修習を経て来年の12月に弁護士登録をし、実際に働き出すのは2020年1月なのでまだまだですね。2回試験もあるし、まだ勉強していない色んな法律を勉強しなきゃいけないし、本当にやっとスタート地点に立ったにすぎないんだなぁと実感しています。

 

というわけで、これからも頑張りたいと思います。

修習地どこにしよう問題

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書類集めも順調に進み、残る問題は修習地をどこにするかということになりました。

それにしても、4ヶ月近くも待たせておいて書類提出までは1週間ってほんとにふざけてますよね?笑 一応書類関係は事前に最高裁のHPにあがっているという言い分もわかりますが、まぁ、発表まではなかなか本腰入れて取り組めないのが人間というものです……。

 

修習地として自分の中で候補に上がったのは以下の5つです。

  • 京都
  • 大阪
  • 神戸
  • 福岡
  • 沖縄

就職も決まり、東京出身ということもあり地方に行くことにしました。そして寒いところは苦手かつ東北地方は結構旅行で行ったことがあることから西にし、田舎すぎるところはカリフォルニア時代の経験から避け、上記5つが候補として浮かんでいます。

 

京都は初めての一人旅の場所で、昔から憧れがあり、大学受験などで行こうとしましたがあえなく撃沈しました。修学旅行を含めると5回ほど訪問しており、やはりいつか一度住んでみたいなぁと思っている場所です。

ただ、以前1週間滞在したときに田舎だなぁと思い少し退屈してしまったこと、受験のトラウマが蘇りそう、夏は熱く冬は寒いというのが若干マイナス面ですね。あと倍率も高く他のところに飛ばされるリスクが高いです。憧れも昔に比べれば薄くなったかもしれません。

 

大阪は同じく初めての一人旅の場所で、それから6回くらい訪問し、東京と違うクレイジーさに取り憑かれています。一人合宿で1週間程度滞在したりしたときも面白かったです。やはり関西文化にどっぷり浸かってみるのはいいなぁと思っています。

他方で、大阪の独特なところや大阪弁に馴染めるかという不安もあります。修習性も地元の人が多いらしく、東京人が馴染めるか……。あと大阪はこれからも行く機会がありそうですよね。

 

神戸は1度しか行ったことがないのですが、静かで綺麗な場所だなぁと大変好印象でした。女性もスラっとした綺麗な人が多かったように思います。あと明石焼きがめちゃくちゃ好きです。

神戸なら大阪までも近いし、海も近いし、バランスが取れてそうだなと思います。僕の大好きな村上春樹の出身地でもあります。

 

要するに関西圏に一回住んでみたいんですよね。関西弁女子は最高だしな……(これ)

思い入れという意味では京都>大阪>神戸ですが、倍率では大阪>神戸>京都で、遊びでは大阪>神戸>京都、のんびり度なら京都>神戸>大阪と、悩ましいところです。

 

福岡は実は一度も行ったことがないんですが……(海外にはやたら行っているわりに日本はそんなに旅行していない)、行った人みんなが最高だったというので心が動いています。メシと酒がうまい・女性が綺麗・適度な都会で適度な田舎、というのがその理由なようです。祖母も福岡出身なのですが激推しされました。

行ったら絶対楽しいとは思うのですが、一度も行ったことがないというのと、関西に対するような思い入れがないのと、倍率が高いというのがネックになっています。明太子は大好きですがもつ鍋はあんまり。

 

沖縄は楽しそうですよね。最近サーフィン始めたのもあり、海のある環境は魅力的です。ただ、やはり一度も行ったことがないこと、泡盛がたいして好きでないこと、前にシェアハウスにいた沖縄出身の奴が最低でイメージが悪化したこと、などのネックがあります。沖縄文化も独特ですしね。

 

*************

選考もあるものの「日本のどこでも1年住めるよ」というのは今後二度とないであろう贅沢な悩みだとは思うんですが、僕のような決断力のない人間にとっては選択肢が多すぎるというのはかなり苦痛ですね……。留学のときは全然悩まずペン一本だったのになぁ

残り時間もわずかですが、ネットや人の情報を元に決めたいと思います。

 

再現答案は書こう/2ちゃんありがとう

 

合格発表から早くも3日も経ってしまいました。

発表後朝まで飲みに行ったので、その疲れが未だに残り猛烈に眠く昼過ぎまで寝る生活をしています…(年齢的にオールがしんどくなってきました)。昨日は中学の同級生と武道館にリアムのライブに行きました。今年はノエルとリアム両方を見れてオアシス充な年でしたねぇ。

 

さて、実は発表のちょっと前くらいに友人に言われて僕の再現答案が2ちゃん(5ちゃんねる)に晒されていることを知りました。

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司法試験ブログではないし、2ちゃん登場は久々なのでビビりました。ついにぺんぎん、留学界隈だけでなく司法試験界隈でも名が知れてしまうとは…。

とはいえ、思いがけず高く評価されていて嬉しく思いました。流石に100番以内はないと自分でも思うのですが、ネットにあげられている再現答案10人中1番と評価されているなら流石に落ちることはないだろうと思い、発表直前の心の支えになっていました。ありがとうございます。

 

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このあたりとか普通に励まされました。どこの誰か知りませんがありがとうございます(968が僕のことです)。

 

再現を作るまでは合格可能性は模試通り7割くらいかな?と思っていましたが、2ちゃんの評価を見てからは9割方受かるだろうと安心できました(というか2ちゃんの威信?のためにも落ちるわけにはいかないな…と)。むしろもっと早く8科目作っておけばよかったです。

再現答案を作るのは身を削る思いでしんどいですが、自分の答案を客観視し、予備校の解答速報や他の再現答案と見比べればだいたいの合格可能性を探ることができます。どうせ結果は変わらないのだから意味はないという意見もありますが、①合格する場合でも精神状態を保つため、②不合格だった場合の翌年のため、③いずれにせよ自分が会場で真剣に書いた答案を残すという思い出づくりのため、再現答案は是非作ったほうがいいと思います。実際2ちゃんの予想は概ね当たっていたわけなので、何も指標がない状態よりは確実にいいだろうと思います。

 

再現答案について「全体的に文字数が多すぎて盛ってんじゃね?」という指摘がありました。たしかに会社法は4254字、刑訴にいたっては4505字となかなかの分量がありますが、日本語的にはともかく書いてある内容はほとんど盛ってないと思います(少なくとも最初にアップした5科目)。僕はほぼ毎日答案を書いていたことでだいぶ筆が早くなりましたし、特にこの2科目は本番ではほとんど悩まず猛スピードで書きまくったので。あと重要な論点の当てはめを厚くして点数を稼ぐというのは一つの戦略として取っていました(書きまくりマンさんことAikawaさんの答案を参考にしていました)。

たしかに重要でないところをわざと落として必要最小限を書くという戦略もあるでしょうが、内容が合っていることは前提としてやはり分量は重要だと個人的には思っています。2ちゃんの分析は分量が少なくても結構評価する傾向にありましたが、個人的にはボーダー付近とされていた方の答案について「この量ではさすがにマズイんじゃない?」と思っておりました(後出しジャンケンですが)。新司では事実の適示と評価が重要なのだから、最低限結論が導ける程度に書けばいいのではなく、あらゆる事実にできるだけ触れるべきだと考えています。

 

出題趣旨も公表されましたし、余裕があれば自分の答案の評価の予想とかもしてみたいと思います。あと、2ちゃんの皆さんのためにも順位と評価が通知されたら晒しますのでご安心ください。

それにしても、修習地どこにしよう……。

H30司法試験再現答案ー憲法

第1 規制対象
1 条例72号の規制図書類の範囲は漠然不明確又は過度に広汎であり、憲法31条に反し違憲・違法ではないか。
(1) 規制範囲が漠然不明確であれば国民の予測可能性が担保されないし、あまりに広汎で違憲的に適用される法令はそれ自体が脅威となる。そこで、一般人が基準を読み取れ、かつ合憲的に限定解釈することができない限り、違憲無効となる。
(2)ア 本件で、「殊更に性的感情を刺激する画像又は図画に限る」という限定を付しており、規制対象とそうでないものの基準を読み取ることは可能であるから、漠然不明確とはいえない。
イ そして、たしかに条例7条は刑法上「わいせつ」とならない文書も対象としているほか、漫画・アニメ等も含んでいる。しかし、上記のような限定を付した上で、「衣服の全部又は一部を着けない者」という客観的基準を設け、その上で「卑わいな姿態」としているのだから、羞恥心や不快感を覚えるようなものに限定しているといえる。したがって、このように合憲的に解釈する限り、過度に広汎であるとはいえない。
(3) よって、31条には違反しない。
第2 図書類を購入する側の憲法上の自由
1 青少年
(1) 条例83項は青少年のわいせつな文書等を購入する自由(「本件自由1」という。)を侵害し、憲法211項に反し違憲ではないか。
(2) 思想・情報を発表し伝達するには、適切な情報や思想を知る機会が与えられなければならない。そこで、表現の自由の一環として、情報摂取の自由が同項により保障される。
 もっとも、性表現は価値が劣る言論であり、それを知る権利も憲法上保障されないとの反論が想定される。しかし、国家が表現の価値を判断し、保障の程度に差異を設けることは、表現の自由の基礎にある思想の自由市場原理に反するから認められない。
したがって、本件自由1211項により保障される。
(3) 条例83項は青少年に対する規制図書類の販売・貸与を禁止しており、本件自由1を制約している。なお、これに対して、A市の外に出れば購入できるから制約はないとの反論がありうるが、本件自由1はあくまでA市において購入する自由を問題にしているのだから、制約は肯定できる。
(4)ア 表現の自由は精神的自由の根幹である重要な権利であり、厚く保障される。そして、条例は青少年に対する規制図書類の販売等を一切禁止するものであり、さらに表現内容に着目した規制であるから、制約の態様は強い。
 もっとも、青少年は未熟で傷つきやすく、それを保護する必要性があるから、パターナリスティックな制約も一定程度は許されるべきである(有害図書販売事件)。これをもってあらゆる制約が許されるわけではないが、審査基準は緩められるべきである。
 そこで、規制目的が重要で、手段が目的と実質的関連性を有せば合憲である。
イ 規制目的について、青少年の未熟さやトラウマの残りやすさ等に鑑みれば、青少年の健全な育成は重要といえる。
 手段について、たしかに店舗での入手を不可能にすることで一定の目的は達成しうるが、隣接する市や通信販売等により容易に入手できるのだから、そもそも目的達成に効果的ということができない。
(5) よって、条例8条3項は違憲である。
2 18歳以上
(1) 条例81項及び2項は、18歳以上の者のわいせつな文書等を購入する自由(「本件自由2」という。)を侵害し、憲法211項に反し違憲である。
(2) 前述のように情報摂取の自由は同項により保障され、わいせつな文書であっても変わりないから、本件自由2は同項により保障される。
(3) 条例81項及び2項により、それぞれ日用品等を販売する店舗と規制区域において規制図書類が購入できなくなっており、本件自由2が制約されている。なお、これに対して、4項にいう事業者の店舗等から購入できるから制約が観念し得ないとの反論がありうるが、他店舗で購入ができるからといって制約自体がないということにはならない。
(4)ア 情報摂取の自由は前述のように重要である。
 制約につき、日用品等を販売する店舗での規制図書類の販売数は多くなく、需要もそこまで大きくないこと、そして、規制区域は学校の周辺200メートルで市全体の20%、商業地域の30%と狭い範囲に限られていることから、制約の態様はさほど強くない。
 したがって、規制目的が重要で、手段が目的と実質的関連性を有せば合憲となる。
イ 規制目的につき、1項は購入の意思のない者の目に触れることで羞恥心を与えることを防止することにあり、重要である。2項は青少年の健全な育成を目的としており、その傷つきやすさ、回復の困難さに鑑みれば重要である。
 手段につき、規制は規制図書類の販売を全面的に禁止するものではなく、書店等では従来通り購入することができるのだから、過剰な手段ではなく、目的と実質的関連性を有する。
(5) よって、条例81項及び2項は合憲である。
第2 図書類を販売等する店舗の憲法上の自由
1 スーパーマーケット・コンビニエンスストア
(1) 条例81項はこれらの店舗のわいせつ文書等を販売する自由(「本件自由3」という。)を侵害し、憲法221項に反し違憲ではないか。
(2) 同項は「職業選択の自由」を保障しているが、選択した職業を遂行する自由も保障しなければ同保障は無意味となるから、同項は職業遂行の自由としての営業の自由も保障している。したがって、本件自由3も同項により保障される。
(3) 販売が禁止されており制約がある。
(4) 営業の規制は様々なものがあるから、規制の目的や対象、規制の強度等を考慮して正当化基準を決めるべきである。本件の規制目的は購入意思のない者の目に触れることで羞恥心を与えることを防止することであり、個人の人格権に配慮したもので重要である。対象となる規制図書類を販売しているのは全体の25%にすぎず、さらに売上が全体の売上に占める割合は微々たるものにすぎない。そうすると規制の態様も強くない。
 そこで、規制目的が公共の福祉に合致しないことが明らかであるか、手段が必要性・合理性を欠いていることが明らかでなければ合憲である。そして、本件でこうした事情は見られない。
(5) よって、条例8条1項は本件自由3を侵害するものではなく、合憲である。
2 規制区域の店舗
(1) 条例8条2項は同店舗のわいせつ文書等を販売する自由(「本件自由4という。」)を侵害し、憲法22条1項に反し違憲ではないか。
(2) 前述同様同項により保障され、また、販売が禁止されており制約がある。
(3) 本件の規制目的は児童を含む青少年保護で、重要である。規制区域内の規制図書類販売店舗は150店舗あるところ、売上が全体の売上の20%を超えるのは10店舗にすぎない。そうすると、規制の態様も強くない。
 したがって前述と同一の基準で判断すると、そうした事情はない。
(4) よって合憲である。
3 書店・レンタルビデオ店
(1) 条例8条4項はわいせつ文書等を販売する(「本件自由5」)を侵害し憲法221項に反し違憲ではないか。
(2) 前述同様保障される。制約につき、販売自体はできるが営業活動としての陳列場所を強制されるのだからある。
(3) 本件の規制目的は見たくない者を守ることで重要である。規制についても、内装工事などは必要なものの陳列場所を変えれば済むのだから態様は弱い。
 そこで前述同様の基準で判断すると、そうした事情はない。
(4) よって合憲である。

以上

(2969字) 

 

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もはや今更感がすごすぎて再現答案とも呼べないと思うのですが、憲法だけ書かないのも収まりが悪いのでアップします。

憲法は形式を守ることを最優先課題としていたところ、問題文を開いた瞬間文字通り顔面蒼白になりました。三者間でないなら丁寧に論じたほうがいいと考えて購入側をきっちり書いた結果、時間がなくなり販売側がやっつけになりました(たしか1頁半も書いてないような……)。

しかも、わいせつ文書(要するにエロ本)規制については、アメリカのコンビニなどにはエロ本は売ってないので日本特有だよなぁ、オリンピックどうするんだろうなぁ、欧米は子供の権利に敏感だからなぁ、などと個人的に考えていたので、かえって問題文を素直に読むということが難しく感じました。

あとどこまでを常識として書いていいかもわからず……。そもそも、アマゾンで買えるから規制しても対して困らなくないですか?とか。今どきの子供は自分のスマホを持っててエロ動画を見るからエロ本なんか買わないし、規制したところで意味なくない?とか。というか、多少のエロ本はむしろ青少年の健全な育成に必要なんじゃないの?とか。もちろんそんなこと書けないのですが。

羞恥心を覚えるというのも、まぁ女性からするとそうだと思いますし、僕も普通にコンビニに飲み物買いに行くときに目に入るのは不快ですが、それがどれくらい深刻とすれば常識的なのかもイマイチわからず。身近すぎる話題も困りものです。

 

青少年、大人、3つの販売業態と全て分けて3段階審査を書いたのですが、重複する部分が多いので失敗したなと思ってます。保障と保障の程度、制約と制約の程度もまとめて書くべきでした。中身もスカスカで当てはめでの十分な議論ができず……。

ということで憲法は一番悔いが残るのですが、まぁこればかりは仕方ないです。他の科目でカバーしていることを祈ります。

H30司法試験再現答案―民事訴訟法

設問1
1 課題(1)
(1) AのBに対する訴えは適法か。既にBのAに対する訴えが提起されているため、民事訴訟法(以下略す。)142条に反さないか。
ア 同条が重複起訴を禁止する趣旨は、被告の応訴の煩、訴訟不経済、既判力の抵触による矛盾判断の防止にある。したがって、「裁判所に係属する事件について」か否かすなわち事件の同一性は、①当事者の同一性と②審判対象の同一性両者が満たされることをいうと解する。
イ 本件で、Bの訴えとAの訴えはいずれもAとBを当事者とする。原告と被告が逆になっていても当事者は同一であるといえるから、①は肯定できる。
 また、Bの訴えの訴訟物はBのAに対する不法行為に基づく損害賠償債務の150万円を超える部分の不存在であるところ、Aの訴えの訴訟物はB及びCの共同不法行為に基づく損害賠償債権の存在である。両者の訴訟物は同一ではないが、いずれも同一の不法行為に基づく債権債務の存否について争うものであり、一部重なり合うし、訴訟資料も同一のものである。そうすると、別訴で提起すると訴訟不経済や矛盾判断のおそれがあり、審判対象は同一といえるから、②も肯定できる。
ウ したがって、Aの訴えは142条に反し許されないといえそうである。
(2) もっとも、反訴(146条)であれば同一手続内で処理されるから142条に反さない。
ア 「本訴の目的である請求…と関連する請求」(同条柱書)とは、訴訟物たる権利の内容又は発生原因につき共通点を有する、すなわち訴訟資料が共通する請求をいう。前述のようにBの請求とAの請求は同一の交通事故に基づく損害賠償についてのもので訴訟資料が共通する。
 「口頭弁論の終結」(同)の前であり、Bの訴えは乙地裁に係属しているから、「本訴の継続する裁判所」(同)である。
 Aの訴えは乙地裁に管轄を有し、「他の裁判所の専属管轄に属する」(同条1号)とはいえないし、Bの訴えは提起されたばかりで、「著しく訴訟手続を遅滞させること」(同条2号)とならない。
 したがって、反訴の要件を満たす。
イ そして、同一の交通事故に基づく損害賠償請求だから、「訴訟の目的である権利…が…同一の事実上及び法律上の原因に基づく」(38条前段)といえ、CとBを共同被告として共同訴訟を提起することができる。
(3)  以上から、Aの訴えは適法である。
2 課題(2)
(1) 被告の住所地が管轄を有するところ(4条2項、1項)、共同訴訟においては一人の管轄があればよい(7条本文、ただし書)。
(2) 本件で、共同被告の一人であるCは甲市内に住所を有している。そして、甲地裁は土地管轄及び事物管轄を有している。
(3) よって、AがBとCを共同被告とする訴えを甲地裁に提起することはできる。

設問2
1 文書提出義務が認められるためには、221条に基づく申立てをしなければならない。
 「文書の表示」及び「文書の趣旨」はD病院でのAの診療記録全部、「文書の所持者」はD、「証明すべき事実」は本件事故と治療及び後遺症との因果関係、「文書の提出義務の原因」は400万円という損害額は多額であり上記因果関係の証明があること、とする。
2(1) ではDは文書の提出を拒むことができるか。本件は220条2号及び3号に当たるから、4号のいずれかに該当することを要する。そこで①「職務上知り得た事実」で②「黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書」(197条1項2号、220条4号ハ)に該当するか検討する。
(2) 法が上記文書の提出を拒むことができるとする趣旨は、医師等の専門職にある者は職務上患者の病歴などのセンシティブな秘匿情報を得ることが多く、拒めないとすると患者が医師を信頼できず虚偽の申告をする等して、業務に支障が生ずるからである。
 そうすると、その文書が含む秘匿情報の主体がその秘匿性を放棄している場合は、もはや黙秘の義務が免除されているということができる。
(3) 本件で、D病院におけるAの診療記録はDが診療という「職務上知り得た事実」である(①該当)。しかし、Aの診療記録にはAの症状や後遺症などのAにとっての秘匿情報が記載されていると考えられるところ、Aの訴えにおいてA自ら診断書等を提示しているのだから、Aは文書の秘匿性を放棄しているといえ、「黙秘の義務が免除されてい」るといえる(②非該当)。
(4) したがって、220条4号ハの拒絶事由はない。
3 以上から、DにはAの診療記録全部の文書提出義務がある。

設問3
1 理由(ア)について
(1) 補助参加人は独立して一切の行為をすることができ、上訴をすることもできる(独立性。45条1項本文)。そして、「補助参加の申出は、補助参加人としてすることができる訴訟行為とともにすることができる」(43条2項)のだから、第一審で補助参加をしていなくても、上訴提起とともに補助参加することができる。ただし、あくまで被参加人の補助をする立場であるから、被参加人の訴訟行為と抵触するときはその効力を有しない(従属性。同条2項)。
(2) 本件で、Bは上訴をしてCの過失の存否について争おうとしているところ、これ自体はAも一審で主張しているし、認められてもAの不利益とはならないのだから、被参加人Aの行為と抵触するとはいえない。
(3) よって、理由(ア)は失当である。
2 理由(イ)について
(1) 補助参加するには、補助参加の利益があること、すなわち「訴訟の結果について利害関係を有する」(42条)ことが必要である。
(2) 「訴訟の結果」につき,直接第三者に不利益を与えるのは理由中の判断であることが多いから、参加の利益を実質的にみて、理由中の判断も含まれ、訴訟物の前提をなす場合でも足りると解する。
 また、「利害関係」とは、訴訟の錯雑化防止の観点から法律上の利害関係を有する場合、すなわち当該訴訟の判決が参加人の私法上又は公法上の法的地位又は法的利益に事実上ないし法律上不利益な影響を及ぼす関係をいう。
(3) 本件で、訴訟物はAのB及びCに対する不法行為の基づく損害賠償請求権であるところ、判決はBに対する請求の限度でこれを認める一方、Cは過失がないとしてCに対する請求を棄却している。すなわち、理由中においてCに過失がなく、不法行為責任がないことを判断している。
 そして、もしCに過失がありB及びCの共同不法行為と認定されれば、損害賠償債務は不真正連帯債務になるから、BはCにCの負担部分を求償することができた。
 そうすると、Cに過失がないという判断によって、BはCに対する求償権を失っており、事実上不利益な影響がある。
 したがって、「訴訟の結果」につき法律上の「利害関係」があるから、Bに補助参加の利益がある。
(4) よって、理由(イ)も失当である。
3 結論
 以上のように、Bは補助参加することができる。Aには控訴の利益も認められる。
 以上から、控訴は適法である。
以上

(2446字)

 

 

 

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民法と同じく再現率は低いです(おそらく盛ってます)。

 

設問1課題(1)

どう見ても重複起訴に当たるのにどうやって適法にすればいいんだ……と頭をひねって反訴を絞り出しました。こんなんでいいのかよと思いながら書きましたが一応これもありな模様。

給付の訴えを提起すると確認の訴えは訴えの利益を欠いて不適法となるというのはなるほどという感じですが聞いたことがなく思い浮かばなかった…。

主観的追加的併合は落としました……。言われてみればそうなんですけどね。

あとは重複起訴の当てはめを丁寧にやりすぎた気がします。他方で訴訟物については問題文で要求されているのだからもっと書くべきだったかも。

 

設問1課題(2)

小問(1)に紙幅を割きすぎたことと管轄というマイナー分野で途方に暮れたことからあとでやろうと飛ばしたのですが、結局時間がなくなりやっつけになりました。

国際私法選択として管轄は多少有利だったはずなので、もったいなかったです。とはいえ、みんなができるところをしっかり書ききるというコンセプト的にはここができなくても問題ないと思います。

 

設問2

典型論点である自己専利用文書に飛びつかなかったのは我ながら良かったと思います。ただ利益文書というのはまったく知らずまるまる落としました。さらに220条の構造自体をよくわかってなかっていないことが露呈しています(2号を認定しつつ4号ハを検討している点)。

職業上知り得た事実のほうについてはこんなもんだろうと思います。

 

設問3(ア)

パッと見設問が何を聞きたいのかわからず焦りましたが、落ち着いて条文を見ると上訴もできるということがわかったので事なきを得ました。さらにそれをしながら補助参加ができるということも条文に書いてありました。結構アクロバティックな気がするんですがこんなのもありなんですね……。

ただ、これだけでいいかは自信がないです。

 

設問3(イ)

ここは模試でもやったし無難に処理できたと思います。

 

民訴は民法と並んで今年克服を目指した科目です。結果的に弁論主義も既判力も出ず肩透かしでしたが、文提はある程度予想していたし、重複起訴や補助参加も何度か書いていたし、なんだかんだ勉強の成果は出たと思います。

上記のように色々と抜けがあるのですが、今年の問題は難易度が高かったようなのでこの程度でも合格ラインに乗っていることを祈ります。

 

なお、再現答案を掲載しているのは自信があるからではなくこうでもしないと書く気が起きなかったからです。色々と間違っていると思いますがあしからず。