ぺんぎんぺーぱーちぇーす -PennLawLL.M.留学記-

University of Pennsylvania Law School LL.M.(ペンシルベニア州フィラデルフィア)を修了し、日本に帰ってきました。留学時代のことやアメリカのことなどを細々と書いていきます。

国家総合職試験対策(院卒行政/ロー生向け)

官庁訪問で撃沈した以上書くべき立場にはないかもしれませんが,一応総合職試験はそこそこの成績で合格できたので,ロー生向けに対策を簡単に書いておきたいと思います。

試験は

一次試験…短答試験(教養・専門)

二次試験…論文試験(専門),人事院面接,政策討議

とあり,二次試験は日程的に2つに分かれているので,都合3回の試験・面接を経てやっと最終合格という流れになります。

 

1 一次試験

(1) 短答式試験(教養)

30問必答です。出題分野としては,

国語3問,英語5問,判断推理・数的処理14題,資料読解2問,時事・一般教養6問

です。

まず国語資料読解はきちんと読めば簡単なので確実に取ります。英語もある程度できる人なら簡単です。これで10問正解できます。

判断推理・数的処理適性試験でやったものに近いですが,2,3年経っているとほとんど忘れていますし,僕はこういうのが苦手だったので対策は諦めました。中学受験している友人は結構できており,そういった背景がある人はかなり有利です。問題数も多く差がつきやすいところ。

時事・一般教養は公務員第一志望の人なら重点的に勉強しているでしょうが,世間の流れに疎いロー生には難しいでしょう。コスパが悪いです。

*ただし,後々の人事院面接・官庁訪問では必要な知識ばかりですので,少なくとも自分が志望する官庁に関連する分野については勉強しておいたほうが良いと思います。

しかし,この20問は5択なので,適当にマークしても4問正解できます。それプラスなんとか簡単な問題がわかるとすればプラス2問。

これで合計16問正解です。教養はこれくらいできれば十分です。

というわけで,ノー勉でなんとかなりました。英語に不安がある人は他のどこかを頑張る必要があります。

 

(2) 短答式試験(専門)

f:id:pennguin:20170630115636p:plain専門は49問の中から40問選択します。

まず必須問題は,憲法7問行政法12問民法12問です。憲法民法は司法試験の短答対策で対応できます。

行政法については,司法試験でも勉強しますが,司法と違い①短答であること,②知識問題であること,③手続法の問題が多いこと,から,ある程度対策が必要だと思います。僕の場合は,ほとんど読んでいなかった判例をこれが良い機会とざっと読み,かつ国賠を重点的に勉強しました。なぜなら,判例が選択肢でそのまま出るのと,国賠は必ず数問出るからです(国賠が多いのはたしかになぁという感じです)。

それから,選択問題は,商法3問,刑法3問,労働法3問,国際法3問,経済学・財政学6問から9問選んで回答します。

商法は僕が知る限り会社法オンリーですし,基本的な問題なので,これについては司法試験対策で行けます。刑法も同様です。

あと3問ですが,選択科目が労働法,国際公法であればそれを選択すれば良いでしょう。選択科目が上記2科目以外であれば,問題をザッと見て解けそうなものを勘で解くしかありません。

というわけで,問題数が多い行政法の対策をするくらいで十分だと思います。

 

 

2 二次試験

(1) 論文試験(専門)

一次試験を通過したらいよいと二次試験。まずは専門論文試験です。

法律の場合は,憲法民法,刑法,商法,民訴,行政法の6科目から3問選択して解答することになります。何を解答するかは本番問題を見てから選ぶことができます。

問題は旧司と新司の間くらいという感じです。そこそこの長さの問題文ですが,聞いていることは素直で,設問を読めば書くべきことはすぐわかります。新司に比べればかなり簡単で,問題文の分析力や複雑な法的思考力が問われているわけではありません。時間も3科目で4時間とたっぷりあり,時間が足りないということはありません。

論述の分量についてですが,マス目のようなものがついた裏表の紙に解答します(東大ロー入試のような感じ?)。しかし,このマス目は守る必要がありません。というか,守って書くと確実に分量が足りなくなると思います。僕はマス目を無視してそこそこ小さい字で3科目とも表裏いっぱいに書きました。時間がたっぷりあるので,できるだけ量を多く書いたほうがいいと思います。

なお,司法試験との最大の違いは,六法を見れないということです。これを聞いたときはマジかよと思いました。考えてみれば学部の期末試験では六法なしもありましたが,ローに入ってからは100%六法ありでしたからね…。

六法を見れないので条文摘示はどうしようかと思ったのですが,僕は憲法を除いては一切摘示しませんでした。間違うのは避けたいですし,わかるものだけ書いてもかえって印象が悪いかなと思ったからです。というわけで,条文摘示は必ずしも必要ではないと思います(もしかしたら減点されているかもなので,あしからず)。

ちなみにペンは万年筆・ボールペン・シャーペン・鉛筆いずれも可です。修正が簡単なシャーペンがいいかもしれませんが,僕は万年筆に慣れてしまったので万年筆で解答しました。

 

さて,重要なのはどの科目を選ぶかです。

対策の観点からは事前に科目を決めてしまうのもありでしょう。今年の場合は司法試験の1週間後だったのでその勢いで臨めますが,3科目に絞って重点的に対策すれば効率が良さそうです。絶対的得意科目が3科目あればそれで特攻しても良いと思います。

ただ,そうでない場合は,自分の苦手分野が出る可能性もあるので注意が必要です。例えば憲法は統治が出る可能性もありますし,会社法は条文が見れません。行政も手続法がガッツリ出る可能性があります。

僕の場合,刑法は得意だったので解くと決め,一番苦手な民法は捨て,刑法+憲法・商法・民訴・行政から2科目,ということで若干対策し,本番に臨みました。本番では問題を読んでみて,解けそうな憲法と商法を選びました。周りでは憲・民・刑の人が多かったですかね。

注意点ですが,問題が簡単だからといって決して舐めないことです。法律を選択しているということはロー生である可能性が高いですし,しかも,司法試験と違って好きな科目を選んで解けるのです。したがってかなりハイレベルな戦いになるし,そういう答案が期待されているはずです。司法試験のように5〜6割を目指す試験ではなく,8〜9割を目指す試験だと心して臨みましょう。

 

 

論文試験から2週間ほど空いて,次は人事院面接・政策討議です。

(2) 人事院面接

これは当日に提出する面接カードに沿って行います。一人20分程度で,面接官は人事院の職員1人+どこかの省庁の職員2人の合計3人です。

この面接は,省庁を志望する動機などについて深く尋ねるものではなく(それは官庁訪問で行う),コンピテンシー面接といって,その人の特徴や正確を数値で表わすものです。つまり,過去の体験を通して,受験者の調整力や挑戦力などを客観的に評価しようとするものです。

敵を知り己を知れば百戦危うからずと言いますが,相手の評価方法を知っていれば強いです。この観点から対策しておく必要があります。

公務員試験 現職人事が書いた「面接試験・官庁訪問」の本 2018年度

公務員試験 現職人事が書いた「面接試験・官庁訪問」の本 2018年度

 

詳しくはこの本を参照してください。コンピテンシー面接の評価軸が載っています。官庁訪問や政策討議対策でも有用です。

なので,どのようにすればここに示されている能力をうまく伝えられるか,ということを考えながら面接カードを書き,受け答えする必要があります。そういう意味では面接というより口頭試問に近いかもしれません。

 

(3) 政策討議

いわゆるグループディスカッションのようなものです。

流れとしては,

①資料を与えられ,それを読み,一定時間でレジュメを作成する。

②6人1グループで別室に通される。6人分のレジュメがコピーして配布される。

③一定時間を与えられ,レジュメに目を通す。

④一人2分(3分だったかも…)で自分の意見を述べる。

⑤30分でディスカッション

⑥一人1分(2分だったかも…)で,ディスカッションを踏まえた自分の意見を述べる。

です。課題はわりとタイムリーなトピックが多いです。とりわけ知識は必要とされていません。英語の資料もあるので,英語の読解力も問われています。

まず注意すべきは,一定程度の発言量を確保することです。発言数が少なすぎると評価不能で低評価がついても文句は言えません。最低限の発言量を確保する必要があります。6人で30分というのは明らかに短く,全ての論点について十分な議論をすることは不可能ですし,あまり慎重になりすぎると発言の機会を失う恐れがあります。

他方,この討議の目的はあくまで建設的な議論をすることであり,相手を論破することではありません。したがって,一番やってはいけないのは,相手の意見をひたすら批判するような態度です。自分の意見の優位性を示す場ではありません。相手の意見を批判する場合は,「確かに◯◯さんのおっしゃる通り××という問題はあると思います。しかし,△△」などときちんと自分と異なる意見にも耳を傾ける姿勢があることを示すことが重要です。協調性も大事なので,自分が話しすぎてると思ったら少し抑えるとか,発言していない人に話を振るということも重要です。

役割についてですが,司会やタイムキーパーを置くことが多いようです。僕の場合は出だしに「では役割などについて決めますか…?」と言ったところ気まずい沈黙が流れたので「では言い出しっぺの私が…」とやむなく司会役をやりました。

司会役は確実に発言量を確保できるので自信があれば引き受ける価値はあると思います。反面,進行に気を取られ自分の意見を言う時間が減りますし,進行で頭がいっぱいできちんと相手の話を聴いたり自分の意見を練ったりすることが難しくなります。今考えてもものすごく頭を使った30分でした。司会役よりも,サポートして話をまとめたり話を振ったりする立ち位置(タイムキーパー?)の方が得かもしれません。

 

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だいたいこんな感じです。普通に司法試験の対策をして,面接と政策討議を無難に行えば十分に通過できると思います(今年は受験者数が大幅に減ったのもありますが)。

とはいえ,受かってからが本番なので,官庁訪問の対策をしっかりするようにしてください。