企業法務法律事務所の就活

 

 

f:id:pennguin:20181101181355j:plain

ぺんぎんは運良く人気とされる某企業法務の事務所から内定をもらえました。

半分自己満足かつ偉そうではありますが、多くの合格者にとっては今が就活の時期みたいですし(少し遅いけど)、ロー生の事務所就活のコツみたいなものをまとめておきたいと思います。

*なお、以下の評価軸は友人の状況などを元に私が勝手に考えるものであり、その事務所の評価軸ではもちろんありません。

人事担当者からヒアリングなどしたわけでもありません。あくまで全て完全に私見なのでご了承ください。

 

**********

まず、前提として、評価される項目として、

【数字で評価されること】(学歴、成績、語学力など)と

【数字で評価できないこと】(志望動機などのES、面接、人柄)があります。

 

ロー生の就活においては前者が重視されている傾向があるとは思いますが、これで全てが決まるわけではありません。周りを見ていても、先輩などの実績から「あそこは○○大卒でGPAが○○以上じゃないと無理だ」と即断する人が多いですが、それで自分に勝手に限界を作るのは非常にもったいないです。

特に前者に不安がある人ほど、面接に向けて努力可能な後者を頑張るべきだと思います。

 

 

【数字で評価されること】

当然ですがこれは評価軸として明確なので重要になると思います。できるだけここらへんで他の候補者に差をつけるようにしたいものです。

 

1  学歴

大手の事務所はやはり東大・京大・一橋・早稲田・慶応・中央・神戸・他旧帝大の出身者がほとんどです。また、事務所によっては東大の数が圧倒しており、それ以外の大学の卒業生は頑張る必要があります。

もっとも、上記以外の大学出身者の方ももちろんいます。その場合は、なぜその大学に行ったか等が訊かれることがあります。部活に打ち込んでいたから、地理的関係、などなどあると思いますが、特殊な経歴の場合は説得的な説明を用意しておく必要があります。

 

2  成績

(1) ローのGPA

やはり弁護士という専門家の就活である以上、そして司法試験の合否と相関関係がある以上、重要なポイントです。書類選考においては一番重視されているのではないかと思われます。

ただ、成績があまり良くなくても、それについて理由をきちんと説明できればいいと思います。僕の場合は(少し言い訳がましいのですが)、留学が決まって少し気が緩んでしまったこと、留学の準備との両立が難しかったことなどを説明して、一応は納得してもらったように思います。

しかし、特にサマクラにおいては成績が最重要であると思います。ロー生の人は何よりここをがんばりましょう。

 

(2) 司法試験の順位

合格後の就活ではこちらの方が重視されるのかなと思いますが、ここは何ともわかりません。個人的には受かっちゃえば一緒感がありますが、合格者が増えた今、特に500人時代等を経験した旧司時代の人にはある程度の順位がほしいという考えもあるようです。

特に評価が悪かった科目等については、その理由を自分の言葉で説明できるようにしておくべきです。

 

3  予備試験合格・司法試験受験回数

(1) 予備試験合格

言うまでもないですが、合格していれば相当強いアピールポイントになります。やはり学部生、ロー生は予備合格を何より目指すべきだと思います。

ただし、予備に合格しているからといって必ずしも内定が出るとは限りません。当然ですが最終的には人間性が見られるので、合格している人も油断しないようにしましょう。

 

(2) 司法試験受験回数

大手に行く人の大多数は1回目合格者ですし、もちろん少ないほうがいいです。

ただ、2回目までならそこまでディスアドバンテージではないと思います。旧司時代では何回も落ちるのが当たり前でしたし、1回の失敗は何とか許容してもらえるという感じでしょうか。

この場合、なぜ1回目はだめだったのか、それからどこを改善して2回目に臨んだのか、ということを説得的に説明する必要があります。僕もここをかなり訊かれました。逆にここできちんとした説明ができれば、自己を客観視して課題に向けて取り組んだ姿勢を評価してもらえると思います。

 

4  語学力・留学経験

(1) 英語

当然できればできるほど良いです。企業法務の事務所の業務は半分以上英語だったりします。

ロー生は英語が苦手な人が多いので、例えばTOEIC900点以上があればかなりアドバンテージだと思われます。事務所によっては一定数の英語枠を設けている所も多いようです。

僕はTOEIC950点以上、TOEFL100以上あったので、ここはES通過において重要な役割を担ったと思います。

もっとも、別に今できなくても、それに向けて努力する姿勢があれば評価してもらえます。英語が嫌いという人は、嫌いと正直に答えてしまうと業務の適性がないと判断されてしまうと思います。「今は苦手だけどこれから頑張って勉強します」という姿勢を見せるべきでしょう。

 

(2) 第二外国語

やはり中国語は強いと思います。中国法務に力を入れていると明言する事務所も多いですし、周りの友人を見ていても、中国語が得意な人は内定を得た人が多かったです。学部生の方などは中国語検定や中国留学を頑張ってみると良いと思います。

僕は中国語は全然ですが、アメリカで中国の存在感の大きさに触れ一応勉強はしていたので、そのことはアピールしました。

 

(3) 留学

留学経験者はロー生においてはそう多くないので、しているとやはり有利だと思います。とりわけ僕は特殊な留学をしたので、面接でもここが会話の軸になることが多かったです。なぜ留学を決意したのか、留学から何を得たのか、などはきちんと説明できる必要があります。

留学というのは、様々な能力(積極性、コミュニケーション力、適応力、異文化理解力)を有することのシグナリング効果があります。しかし、単に「留学したからすごいでしょ」というのではなく、ここらへんの能力といかに結びつけられるか、いかに料理するかがポイントです。

 

 

 

【数字で評価できないこと】

どうしてもわかりやすい数字で評価できることに目が行きがちですが、最終的に大切なのは結局、人間性(一緒に働きたいと思えるか)だと思います。このあたりはいくらでも伸ばせる(あるいはごまかせる)ので直前まで努力することが大事です。

1 見た目・服装など

昔『人は見た目が9割』という本が流行りましたが、やはり見た目が与える印象は大きいと思います。これについては別の記事にしたいと思います。

僕も人のことは言えないんですがリクルート姿がダサすぎる人が多いです。例えばボタンダウンにネクタイとかフォーマルな場ではどうなんでしょうか?

あと個人的には黒より濃紺のスーツの方が落ち着いて見えて良いと思います。

別に高いスーツでギラギラにする必要はないですが、ロー生はもういい大人なのだから、ある程度見栄えのいい格好をするべきだと思います。

 

2 ES・自己分析

(1) ES

事務所の就活は、大手は司法試験直後、それ以外は合格発表直後から始まりますし、いずれにせよESをきちんと練っている時間はなく、ここを適当に済ませてしまう人が多いように思います。

たしかにサマクラに行っててほぼ決まっているような人はそれでもいいと思いますが、そうでない場合、ESは非常に重要です。個別訪問の機会が得られるかがかかっているのもそうですが、訪問においても、面接官はESを元に質問をしていくわけで、面接の出来がESにかかってくるからです。ESの出来が非常によければ、面接は内容の確認程度で終わるかもしれません。逆にESが微妙だけどまぁ一応会ってみようか、というスタンスの場合、面接はマイナスからスタートするので色々厳しい質問が飛んでくるかもしれません。

したがって、「とりあえずESを出してから面接対策をしよう」というのではなく、ESを作る段階で面接で話すことも整理しておくのが重要だと思います

 

(2) 自己分析

弁護士を目指した理由は人それぞれだと思いますが、結構無意識に目指している人が多く、また初めから弁護士業界一本で来ているため、普通の企業の就活生に比べると業界研究などが不十分な人が多いと思います。

例えば就活でメーカーを選ぶ場合、なぜ商社や銀行でないのかといったことを自問自答することになると思います。しかしはじめから弁護士しか目指していない場合、こうした比較検討ができません。よくよく考えてみると、企業法務がやりたいなら企業の法務部でもいいし、M&A投資銀行やコンサルでも扱います。困っている人の役に立ちたいならカウンセラーとかでもいいはずです。なぜ弁護士なのかを改めて考えなければなりません。

あとは自分の性格や長所等を書く上でも自己分析は不可欠です。僕は正直「自己分析って何だよ」と半分馬鹿にしていたのですが、いざやってみると自分のここまでの体験を振り返ってみる良い機会であったと思います。

本としては定番ですがこれがいいでしょう。

絶対内定2020 自己分析とキャリアデザインの描き方

絶対内定2020 自己分析とキャリアデザインの描き方

 
絶対内定2019 エントリーシート・履歴書

絶対内定2019 エントリーシート・履歴書

 

 

単なる就活対策ではなく、自分の生き方を考える上で参考になる本です。

 

もっとも、ESの選考は基本ローテーション性だと思うので、提出は早ければ早いほど良いです。したがってここでどの程度時間を犠牲にして内容の充実を目指すか、というジレンマが生まれます……。難しいところですが、完璧を目指すのではなく、ある程度のものが書けたと思ったら出してしまったほうが良いのではないでしょうか。

 

 

3 個別訪問(面接)

正念場です。究極的には「この人と一緒に働きたい!」と思わせられるかが重要です。

面接においては中身に気が取られがちですが、それよりも重要なのは話し方だと思います。会話の仕方などの本を見ても、人に対する印象は見た目や話し方でほとんど決まってしまうとあります。デートなどでも、「女性が楽しかったと思うデートについて感想を尋ねると、話した内容はほとんど覚えていないという回答が多かった」というのは有名な話です。

「笑顔で挨拶する」、「質問にハキハキと応える」、「いかにも暗記してきたものを吐き出しました感を出さない」、「唐突な質問が来ても趣旨から自分なりに答えを考える」などの基本的なことは練習で十分に改善できるし、これだけでもできればかなり印象は良くなるはずです。逆に言えばこれすらできてない人が多すぎます。

面接は結局コミュニケーションなので、相手が求めているものを考え、空気を読んで回答することが大事だと思います。自分中心に考えてしまいがちな人は、自分が言いたいばっかりに聞かれてないことを言ってしまったりしがちです。質問の意図や雰囲気を考えて、適宜話す内容や長さを変えることが重要です。

 

*****************

最終的には総合評価なので、数字で評価されることで足切り、その後数字で評価できないことに進むというわけではないと思いますが、少なくとも前者を通過している以上は一定の評価水準を満たしていることになります。

そこからは言ってしまえば「ご縁」「フィーリング」であり、試験と違って不確定要素が多いためここがうまくいかないとしんどいですが、めげずに場数を踏むことが大切になると思われます。

僕も色々へこむこともありましたが、面接がうまくいかなかったからといって人間性が否定されているわけでは決してないはずです(と、自分に言い聞かせて頑張りました)。面接を繰り返していけばうまくなるし、自分と相性の良い事務所も自然とわかってくると思います。

というわけで就活中の方のご検討をお祈りします。