NY Bar 14 - MBE模試

昨日はMBEの模試だった。当日と同じように午前と午後で合計200問解いた

結果はそんな芳しくなくて、例年の平均点を少し下回るくらいというところ。僕は「MBE模試まではMBEに集中する」という作戦は取らずに、MBE, MEE, MPTを全体的にやってきた

というのも、MEEは確かに論述力に不安があるが、問題が単純なことから、数をこなせば確実にできるようになると感じてここでも点を取りに行くべきこと、MPTも今年から20%と重要度が増し、また問題は毎年似たようなものだからこれもきちんと対策をすれば点数が伸びるだろうこと、元々短答が得意でないこと、を勘案し、MBEで稼ぐというよりは、全体でバランスよく点数を狙うのがいいと思ったからだ

そういうわけでMEEとMPTはバーブリのスケジュールよりむしろ進んでいるくらいなのだが、結果的に(嫌いな)MBEが遅れ、今回はあぼーんという感じ。MBEは難問もあり完璧にしていくことは不可能だが、普通に勉強すれば取れるレベルというのはあるはずで、そこまで(つまり頭打ちを感じるまで)は確実に伸ばさなきゃなと

それは配点が50%と高いので当然ではあるし、あとは点数が客観的にわかるので精神衛生上よいというのもあると思う

エッセイは頻出論点の暗記でわりと土壇場でなんとかなるかもしれないが、MBEはなんとかならない。エッセイのほうが出来ない時の絶望感は大きい(論点が浮かばない時はどうしようもないので)わけだが、MBEはMBEで、点数として容赦なく突きつけられるので、それはそれで辛い

3時間×2というのは精神的に辛かった。全く同じような問題が200問続く。センター試験にしろ、日本の司法試験の短答にしろ、どんな試験にもちょっと設問の見た目が変わるとかメリハリというのはあるが、MBEには存在しない。ひたすら同じような問題で(でも科目は変えつつ)こちらの精神をジリジリと削っていく感じ。そういうわけで、集中力と精神力もつけなきゃいけないなと思いました(小並感)

 

見たことない論点もちらほらあるものの、概ね論点はわかってきて、後はその知識の精度だなという感じがする。というわけで、問題演習を少しスピードアップしつつ、アウトラインも読み込んでいきたい

NY Bar 13 - Civil Procedure

Civil Procedureは、州によって法が異なり,裁判所も異なるというアメリカ特有の事情ゆえ、管轄の分野が3分の1を占める。その他判決の種類や陪審制など、他の科目を理解する上でも重要となる知識が多い

それだけにローで履修すべきだったとも少し後悔したが、サマーのfoundationでちょっとかじった時に難しさと退屈さに辟易したので、今戻ったとしてもやはり取らないだろうなと思う。面白くもあるが、とにかくテクニカル

例によって、重要なところをまとめる。Evidence同様似たような話が多く混乱するので、深くは立ち入らず、重要なところを噛み砕いて説明する

*P=Plaintiff, D=Defendant

 

Ⅰ. 法廷選択(管轄)
1. Personal Jurisdiction

人的管轄と訳される。当事者に対して管轄が及ぶかどうかという問題。訴える側のPに及ぶのは当然なため、Dに管轄が及ぶか、つまり「Pがその州でDを訴えることができるか」が問題となる。なお、州裁判所か連邦裁判所かの違いはない。

Statuteに規定(Long Arm Statute)があればそれに従い管轄が認められる(エッセイではstatuteが与えられる)。

無ければ、Due ProcessとFairnessの観点からConsitutional analysisをしなければならない。具体的には、以下の3つである

  1. Contact: DとForum stateの間に一般的な関わり(Contact)があるかどうか。foreseeabilityも基準。Domicileがあれば確実に認められる。
  2. Relatedness: 当該事件におけるPの請求がDのforumとの繋がりから生まれていれば、Specific personal jurisdictionとしてDにForumとのContactがなくても要件を満たす
  3. Fairness: DやWitnessへの負担、州やPのInterestを考慮して判断

FainressはRelatednessの検討にのみ考慮される。要するに、ContactがあればPJは認められ、それがない場合に、Fairnessを考慮しつつRelatednessを検討するということだと思われる。

 

 

2. Subject Matter Jurisdiction

事物管轄と訳される。caseに対する管轄の問題である

state courtはgeneral SMJを持っているので、どのような事件も扱える。これに対して、federal courtはlimited SMJしか有さず、以下の2類型のいずれかの場合にのみ、事件を扱うことができる(つまり、federal courtに訴えることができるか否か、という問題である)

i Diversity of Citizenship & Alienage

つまり、「アメリカの異なる州の市民同士の場合」か「アメリカ市民と外国の市民の場合」がこれに当たる。PennsylavanianとCalifornianとか、New YorkerとFrenchなどである。このDiversityは"the action is filled"のときにあればよい。

この場合、訴額が$75,000を超えている必要がある。この計算に諸経費は含まないが、aggregation(併合。不可分な請求を除いては,複数の当事者による併合はできない)による合計が超えていればよい。また、結果的な勝訴額が下回っても構わない。Pが複数いる場合は,いずれか一人単体でこの金額を超えている必要がある(超えていなければSJの問題)。

*citizenshipは、domicileにより決まる。US人である必要があるので、green cardでは不十分

*会社の場合は、incorporatedの場所か、PPB (Principal Place of Business)の場所である

*PartnershipやLLCの場合はメンバー全員の住所地がcitizenshipとなる

*ただし、例外として、divorce, alimony, child custody, probate on stateのケースについては、 この類型によりSMJが認められることはない

 

ii Federal Question Cases

Pの請求が"Arises under federal law"である場合である。連邦憲法や立法についての場合など。この場合は、Citizenship要件も訴額要件も無い

Fedelal lawの問題であることがobviousでなければならない(Well Pleaded Complaint Rule)。抗弁で期待されるくらいでは不十分である。

 

以上の2類型に該当しなくても、Suppremental Jurisdiction (SJ)というのがあり、これに該当すればよい。

要件は、州裁判所に係属している事件との関係で"Common nucleus of operative fact"を有していることである。これは、Same Transaction or Occurens (T/O)があれば、必ず認められる。

ただし、statuteがSJを認めていない場合は、この要件をクリアしても、認められない。

また,SJは参加したthird partyには認められず,別途DiversityかFederal Questionを満たす必要がある。Permissive Joinderの場合はSJが認められる。

 

3. Removal

State courtからFederal courtに事件を移送することであり,Dが請求できる(Dが複数いる場合は全員で請求する必要がある)。送達(Service of process)から30日以内にしなければならない。

Federal CourtにSMJが認められる場合に、これが認められる。

ただし、例外として、Diversity Caseの場合で,①DがForumのCitizenである場合でかつ②State Courtに係属(the action was commenced)して1年以上経っている場合は,認められない

 

 

4. Venue

SMJは、Federal Courtがその事件についての管轄を有するか否かという問題だった。Venueとは、そのあとに、「じゃあどのFederal courtにするか」という問題である。

All Defendants reside

OR

②A substantial part of the claim arose

のFederal CourtがVenueとなる。

 

5. Erie Doctrine

英米法でも最重要の判例の一つであるエリー事件の法理

「Diversity Caseにおいて,Federal courtの裁判官は、State lawを用いなければならないか」という問題。

まずState lawと直接抵触するFederal lawがある場合は、Supremacy Clauseに基づいてFederal lawを用いなければならない。

抵触がない場合には、State Substantive law, Federal Procedural lawを用いらなければならない。なぜなら、"General Federal Common Law"というものは存在せず、コモンローの契約法、不法行為法、不動産法などがState lawであり、これを適用しなければならないからである。

 

 

 

Ⅱ. 送達・訴答・ディスカバリー

1. Service of Process(送達)

送達のことである。ザ・手続なので日本法でも一番つまらないところだが、アメリカも似たようなもんである。

送達は現実の受領が見込まれる形でしなければならず,原則は郵便である。

Personal ServiceとSubstituted Serviceがある。問題となるのは18歳未満の者に送達する場合であり,その人個人にできれば当然OKで(Personal Service),できない場合は,18歳以上の他の人,Dの住居に届ける(Substituted Service)。

会社に届ける場合は,担当者や偉い人に渡せばOK。

返答は30日以内にしなけれがならない。なお、state lawが規定していれば、メールでの送達なんかも可能だったりする。

 

2. Pleadings(訴答)

Pleading

訴えを開始するにあたっては、以下の3つを明示する必要がある

  1. Statement of grounds of SMJ
  2. Statement of Facts (Claim)
  3. Demand for Relief

これに対しては、相手方は、21日以内に、MotionかAnswerで応える。応えないとDefaultとなる。

Motion

これは、SMJやPJの欠缺、venueやprocessの瑕疵など、訴訟要件に問題があることを裁判所に対して示すことをいう。motion to dismiss(訴え却下の申し立て)など。

Answer

日本法で言う認否の答弁に当たる。Admit, Deny, State that you lack sufficient information to admit or denyの3つがある。

 

Counterclaim

反訴である。DがPに対して行う。以下の2つの類型がある

  • Compulsory; 文字通り強制的なもので、宇宙で唯一の強制的なclaimである(教授談)。Pのclaimと同じT/Oから生じた請求をした場合は、反訴が強制される(そうしないと権利の放棄を意味する)
  • Permissive; 同じT/Oから生じていない場合。別のcaseで訴えてもいいし、反訴でもいい

 

Crossclaim

同じT/Oから生じた請求で、同じpartyを相手に訴える場合を意味する。つまり,第三者がDを訴える場合がこれに当たる。これはもちろんpermissiveである

 

3. Discovery

ダフトパンクのアルバムの名前でもなければ、テレビ番組の名前でもない。日本でもよく話題に上がる、アメリカ特有の強力な証拠開示手続である。日本の民訴の文書提出命令より広汎であり、この時点で勝敗が決するとも言われる

原則として、ディスカバリーの基準は、証拠能力の基準より広い(Discoverable is greater than admissible)。Privilegeが及ばず事件に関係するものは,全て対象となる。

 

Required Disclosures

まず、要求されてなくても強制的に開示しなければならない証拠がある。

  1. Initial Disclosures: 事前に提出が義務付けられる。①請求を支持するために用いる情報の所有者の情報、②請求を支持するために用いる書類やモノ、がこれに当たる。写真や録音情報など(Electronically stored info, ESI)も含まれる。その他、金銭援助や保険補償額(Insurance)なども入る。ただし、自己の支配下にあるものに限られる
  2. Expert witness: 裁判所からの支持で提出が義務付けられる
  3. Pretrial required disclosure: trial前に証拠について述べる?という、もの

 

Discovery Tools

どのようにして証拠を要求するのか、という話

  1. Deposition: 宣誓供述書のことである。Deposition of witnessは供述不能の時に限り提出できる。
  2. Interrogatories: これは、質問書のことをいう
  3. Request to produce
  4. Medical exam: 裁判所の命令が必要
  5. Request for admission: partyにのみ出せる
  6. Parties sign substantive answers to discovery under oath
  7. Duty to supplement

 

Scope of Discovery

範囲の話。原則としては、"Anything relevant to claim or defence proportional to needs of the case"、つまり、適切な量であれば、関係するものは全てということである。かなり広い。なお,量が多すぎて探すのが大変というときは,自分で探すか,相手に探させなければならない。

例外として、PriviledgeとWork product(ワークプロダクト法理)がある。いずれかに当たる場合は、ディスカバリーの対象から外れる

PrivilegeはEvidenceで出てくる、attorney clientとかspousalとかに発生する特権である。

Work productとは、ロイヤーではなく、当事者やロイヤー以外の代理人(representative)が作りだしたもののうち、訴訟のために作られたものことをいう(material prepared in anticipation of litigation)。そのため、"Trial preparation materials"とも言われる

ただし、例外として、Work productに当たる場合でも、①Substantial needsと②Cannot obtain without undue hardshipであることを示せば、ディスカバリーの対象となる(Qualified work product

ただし、例外の例外として、Work productにあたり上記の2つの要件を満たす場合でも、Mental impressions, Opinions, Conclusions, Legal theoriesである場合は、ディスカバリーを免れる(absolute work product)。ややこしいな…

*なお、ロイヤーが外されているのは、別にprivilegeで守られているからだと思うが、ここの関係はちょっとわかりにくい

 

Enforcement of Discovery Rules

ちょっとここは割愛

 

 

Ⅲ. 多数当事者訴訟

Compulsory Joinder

同じT/Oから生じた請求で、1つでも同じquestionを共有している場合に、この要求が生じ、裁判所がnon partyに対し、caseに入るよう命令することになる

  1. 必要?:まず、necessary&requiredという基準で判断する。Absentee(不在者?)が必要なときとは、具体的には、彼が参加しないとその利益が害されてしまう場合(独立当事者参加の権利侵害防止みたいな感じだ)など。ただし、共同不法行為者はこれには当たらない
  2. 参加可能?:必要だ!という場合は、次に、じゃあ参加できるの?ということを考える。判断基準はfeasibleである。PJがあり、参加してもdiversity jurisdictionを害さないことである

Impleader(引込み訴訟)

impleadとは訴訟に引きこむことをいう。D側当事者が新しい者(Third party defendant, TPD)を引き込むことである。

これは、indemnity(TPDが請求全部につき責任を追う場合)とcontribution(TPDが一定割合の責任を追う場合)にのみ認められる

Interpleader(競合権利者確定訴訟)

原告が有する不動産につき数人から訴訟を起こされている場合で,その請求者同士で誰が権利者か確定するよう請求することをいう。

Intervention(訴訟参加)

干渉という意味である。Third Partyが自ら訴訟に参加する場合をいう。

以下の類型がある。

  1. Intervention of Right…裁判所の許可は不要。Subject matterにつき利害があり,またそれが損なわれている場合に認められる。
  2. Permissive Intervention…Common question of law or factがあり,裁判所が許可した場合に認められる。

Class Action

集団を代表して訴訟をおこす場合である。日本の集団訴訟と違い、個別の授権を必要としないため訴訟が容易、原告の数が極めて多い、というのが特徴である。

要件は

  1. Numerosity
  2. Commonality(集団に共通する問題があること)
  3. Typicality(Rep's claims are tyical of those of the class)
  4. Adequate&Fair Representation である

類型は

  1. Classに対する害を排除する場合
  2. Injunction, Declaratory Judgmentを求める場合
  3. 損害倍賞を求める場合(Common questions predominate over individual questions and class action is the superior method to handle the dispute)。Mass Tortのような場合である。この類型のみ,他のClass Membersへ通知をする義務がある。

Class ActionのClassは裁判所が承認する。また,和解をするにはやはり裁判所の承諾を要する。

また,SMJのDiversityの場合,訴額はトータルで$5,000,000を超えていればよい。

 

Ⅳ. 紛争の解決

1. Preliminary Injunctive Relief

予備的差止め的救済のことである。 Temporary Resraining Order(保全処分)、 Preliminary Injunction(予備的差止命令)がある

①処分や命令がなければ即座の回復不能な損害が生じる可能性があり,②相手方に対する害悪との均衡が取れ,③本案勝訴可能性があり,④公共の福祉に反しない,という条件を満たすと,認められる。

 

2. Pretrial Adjudication

公判前の審判のことである。

Voluntary Judgment(訴え取下げの申立て)

Pがnotice of dismissalにより自発的に訴え却下を望むことがある。ただし、これはDがanswerかmotion for summary judgmentを出す前にしなければならない。その後では裁判所の許可が必要である。

Default Judgment(欠席裁判(懈怠判決))

Dが送達から21日以内にpleade, answerをしない場合がこれに当たる

Motion to Dismiss(訴え却下を求める申立て)

である。Pの請求が、SMJやPJに欠けている,Venueの誤りなど訴訟要件を欠いている場合や、claimがきちんとなされていない場合,ケースはdismissedとなる。つまり、そもそも訴訟の流れに乗れない門前払いである。

Motion for Summary Judgment(略式裁判)

Dismissと違い訴訟の流れには乗ったものの、①重要な事実について論争がなく,②法が当然に判決を認めているなどしてtrialが必要ない場合,認められる。ディスカバリー終了から30日以内に行う。Partial Summary Judgmentも可能である。

 

3. Conferences and Meetings

Pretrial Conference(公判前整理)

最後の公判前手続は公判で議論される問題や証拠について決定し,審理が計画的に進むようにされる。これを変更するためには"only to prevent manifest injustice"という要件を満たす必要がある。

審理計画について,裁判所はこれを守らなければならない。Final Pretrial Conferenceの決定事項について,裁判官はこれを守ることが期待される。

 

4. Trial, Judgment, and Post-Trial Motions

Jury Trial

Jury trialの場合は、Juryが事実を決め、評決(verdict)を行う。Juryがいない場合(これをBench Trialと呼ぶ)は、裁判官が事実を決める

連邦裁判所の民事事件においては、陪審制による裁判を受けることが憲法修正7条により保障されている。ただし、エクイティ上の救済には及ばないため、例えば損害賠償請求を差止請求をする場合、差止めについてはJuryは事実を評価できない

なお、州裁判所にはこの保障はない(もっとも、ほとんどの州は州憲法でこれを保障しているようだが)。

Juryは6〜12人で,全員一致である必要がある。

陪審の選定(Voire direと呼ばれる)においては、各々当事者は陪審候補を排除することができる。これには2通りあり、Dismissal for cause(理由あり。Biasなどがある場合)は無制限に、Preemptory Challenge(理由なし。ただし人種と性別は除く)は各々3人までということになっている

この陪審の選定は勝敗を大きく左右する重要なものになるので、大きな裁判では陪審コンサルタントなるものが雇われ陪審の調査を綿密に行うらしい。この辺りは、映画Runaway Jury(邦題;ニューオリンズ・トライアル)に詳しい

 

Motions At and After Trial

Motions for Judgment as a Matter of Law(JMOL, Directed verdict

一定の条件下では、事件は陪審のところではなく、自動的に裁判官のところへ行く。これをJMOLと呼ぶ。

条件とは、「通常の人ならその結果に反対しないような場合」(reasonable people would not disagree on the result of the case when considering the evidence in the light most favorable to the non-moving party)である。要するにsummary judgmentのようなものだが、trialの中で行われるという違いがある

Renewed Motion for Judgment as a Matter of Law(RJMOL)

Trial後に再び行うJMOLである。"Renewed"ゆえ,RJMOLをするにはJMOLをしておかなければならない。

これはどういうことかというと、陪審が「通常の人なら導かないような答え」をうっかり導いてしまった場合に、裁判官が判断しようね、というものだ。

これは結構驚いたのだけれど、アメリカは体面的には陪審に一任しておきながら、きちんとこういう保険を置いているのだ。トンチンカンなverdictは出ないようになっている。

判決から28日以内に行わなければならない。

Motion for a New Trial

また,裁判官が誤りを犯した場合や,当事者,弁護人,証人,陪審の不正行為があった場合は,新しい裁判へ移ることがある。再審と同じかな

 

 

Ⅴ. APPEAL

Final Judgment Rule

上訴は、下級審の終局判決である"Final Judgment"からじゃないとできないというルール。

SMJを欠いていることを見落としていた場合などでも,それに基づくappealは可能である。

Denial of a motion for new trialもこれに当たる。

当たらないのは、

  • Denial of a motion for summary judgment
  • Grant of a motion for new trial
  • Grant of a motion to transfer the case to another district
  • Grant of a motion to remand to state court

である。

 

Interlocutory (Non-Final) Review

原則としては上訴の対象にならないが、Denial of an injunctionは例外的にこれが可能である。

Interlocutoryは対話という意味であり,法的には given provisionally during the course of a legal actionという意味である。

また,Collateral Order Exceptionというのがあり,

  1. It is distinct from the merits of the case(本案と区別されており)
  2. It involves an important legal question(重要な法的問題を含んでおり)
  3. It is essentially unreviewable if parties must await a final judgment(Final Judgmentを待っていてはunreviewableである場合)

には,例外的に,裁判所が判断を下すことが可能である。

Standard of Review by Appellate Court(上訴裁判所の審理方法)

Jury Trialにおいて,JuryがQuestions of factつまり事実について決定した場合は,その明らかな誤り(Clearly Errouneous)の有無を審理する。

非Jury Trialにおいては,Questions of Lawつまり法律判断については,De novo Reviewを行う。Court Discretionについては,Abuse of Discretionについて審理を行う。 

 

Ⅵ. PRECLUSION

preclude,すなわち防止するとか除外するとかいう意味だが、ここではすでに出された判決が他のケースで争われることを防止できるか、というのが論点となる。つまり、前訴の後訴への影響力の話、日本法で言うところの既判力などの議論である

Claim Preclusion (Res Judicata)

一つの請求は一度しか争えないという議論。以下の3つが要件

  1. Same Parties
  2. 前訴が本案判決についての正確なfinal judgmentがなされて終了した(Decided on the merits)
  3. Same Transactions(Claimが同じである必要はなく,同じT/Oから生じていればよいというのが多数説)

なお,Partiesが異なる場合でも,Previty (Special Relationship)がある場合にはPreclusionが発生しうる。

Issue Preclusion (Collateral Estoppel)

これはClaim Preclusionより狭く、"Claim"ではなく"Issue"単位で判断する。どうやら争点効の元になった概念なようで、非常に似ている

要件は

  1. Litigated and Decided(前訴が本案判決についての正確なfinal judgmentがなされて終了したこと)
  2. Issue must be the same(同様のissueが前訴の争いの対象となり、決せられたこと)
  3. The Issue was necessary to the judgment(Issueがjudgmentの基礎であったこと)
  4. 誰に対して:前訴の当事者であった者か、そのPrivity
  5. 誰によって:前訴の当事者であった者だれでも

である。Defensive is generally permitted and Offensive is generally NOT accepted.

 

 

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結局悪い癖が出て一応は全体を網羅する感じになった

こうして全体を振り返ってみると、結構面白い科目かなと。確かにテクニカルでルールばかりで実定法に比べると考える楽しみは少ないしハードだが、陪審制などは興味深いし、日本との比較も色々しがいがある

そして何より、管轄を始めとして、これを扱えるようになったら米国法に通じているな、と思わせる内容である。「アメリカって州によって法律違うんでしょ?どうすんの?」というのは誰もが一番に気になる質問だ

なお、Preclusionとかで日本のように判例と学説の対立とかのめんどくさい議論がなくて(実際にローで授業を取ったらあるのかもしれないし、まぁ日本のそういうnever-endingな議論も面白くもあるのだが)非常に楽だった

 

NY Bar13 - Constitutional Law

憲法は今日本で一番ホットな法律だといえると思う。ご存知のように日本憲法はアメリカの手によって作られ、その後もアメリカの判例法の影響を大きく受けているので、アメリカ法を学ぶことはすなわち日本法を学ぶことである

ところで、前に「アメリカ人は憲法を神聖化しないがきちんと守る。日本人は神聖化はするけど守らない」というようなツイートがtwitterで回ってきたが、実感としてそうだと思う

アメリカ人は憲法をもっと身近に感じている雰囲気がある。やはり、歴史的に自分たちで勝ち取って発展させてきたもの、独立と自由の象徴、という自負があるのだろう

*逆説的に、日本の憲法が「押し付け」られたものであることの影響は否定出来ないと思うが、これが改憲の理由になるとは考えていません

 

憲法(の人権規定)は内容的に楽しいのでちょっと筆が乗ってしまい、一応簡単なアウトラインのようなものになった。一応これですべての範囲を簡単に網羅している

 

 

まずは三権分立の話から 

FEDERAL JUDICIAL POWER 連邦裁判所の権限

1 Justiciability 司法判断適合性

つまりそもそも憲法訴訟の対象となるかという論点。日本では「法律上の争訟にあたるかどうか」という部分

①Standing 原告適格 (Imminent ot Present injury at stake)

Injury(損害)やCausation(因果関係)、Redressibility(救済可能性)が必要。第三者の場合は原則的に認められないが、両者間に密接な関係があったり、権利侵害を受けた当事者が当事者がその権利を主張しない可能性が高い場合は例外的に認められる。

また、原則的に市民・納税者という地位に基づく原告適格は認められないが、例外的に、国教樹立禁止条項違反の金銭支出、修正10条違反については認められる。

②Ripness 成熟性 (Nothing has happened)

未だ法律違反に問われていない場合は、成熟性を欠く。しかし、早く判断を得ないと困難が大きくなったりする場合には例外的に訴えを起こせる

③Not Mootness 非争訟性のなさ(Everything is over, Nothing to litigate)

提訴後の事由により権利侵害がなくなった場合は、ムートになったとして却下されてしまう。つまり、現実の紛争(救済の必要性)が必要である。

④Not Political Question 政治的問題

立法権司法権が判断すべき政治的問題には、裁判所は介入しない

 

2 Supreme Court Review 最高裁における司法審査

Writ of certiorari(裁量上告制度)による

 

3 The principle of Sovereign Immunity 主権免責(修正11条)

州が独立した司法権を有する。州が連邦政府を訴えることはできない

A州の市民が提起したB州に対する訴訟には,連邦政府司法権が及ばない。また,個人が連邦政府を訴えることも原則としてできない。

しかし,連邦政府や州は他の州を訴えることができる。

 

FEDERAL LEGISLATIVE POWER 立法権

1. Congress's authority to act 連邦議会の権限

CongresstはArticle 1 Section 8で示された権限を有する。tax, spending, commerceが主たるもの。修正10条によって、その他の権限は州政府の下にある。

commerceについては,比較的無制限に解されていたが,有名なLopez判決により限界があると判示された(学校の近くで銃を持つことは経済的活動ではないから規制権限は州にある)。

Police powerは基本的には州政府が持つが、軍事、ネイティブアメリカン保留区、連邦領、DCについては例外的にCongressが権限を有する

なお、Congressは,制限付きならばPresidentに権限を移譲できる。

2. Legislative veto 立法への拒否権 

Congressの権利発動のためには、Bicameralism(両院可決)とPresentment(大統領への送付)が必要

大統領はsign(署名)かveto(拒否権行使)か選べる。特定項目に対してはできない

 

まとめると,Congressは以下のPowerを有する

  • Tax & Spend for the general welware
  • Commerce
  • Declaration of War
  • Foreign Affairs
  • Coin Money
  • Federal Lands: DC, National Parks
  • Aliens

 

FEDERAL EXECUTIVE POWER 執行権

1. Foreing policy&Commander in chief 外交権&最高司令官

これはPresidentに属する。州には外交権はない

2. Domestic affairs 内政

appointment power, removal power, pardon powerはPresidentが有する

ただ、Presidentはimpeachまたはremoveされうる

 

まとめると,Presidentは以下のPowerを有する

  • Veto
  • Appoint: ambassadars, justices, other high cabinet officers
  • Pardon
  • Commander in Chief: deploy the troops, not declare the wars
  • Treaty
  • Execution Order: Domestic Issues
  • Executive Agreements
  • Removal

  

FEDERALISM 連邦制

1. Preemption

憲法及びそれに従って制定された法律は最高法規である(supureme law of the land)

これに反する州法は無効となる

 2. Dormant Commerse Clause & Priviledge and Immunities Clause (Article 4.2.1)

Dormant Commerce Clause

これは名前がミスリーディングだが、要するに、Congressが法律を定めていなくても、憲法によってinterstate commerceについての権限がCongress (Federal)に授与されていることにより、黙示的に、州によるinterstate commerceの規制が禁じられている、というものである。

つまり、このnegativeな結果を生むあたりがdormantということらしい。ネーミングがよくわからない…。

もっとも、州による規制自体が全く許容されていないというわけではなく、以下の要件を満たす場合には認められる。

①Does not discriminate against out-of-state competition to benefit local economic interests, and

②Does not unduly burden interstate commerce

また、Congressの承認がある場合も規制は認められる。

 

Privileges and Immunities Clause

また、他の州民(a residence of another state)の特権・免除を否定するような差別的な立法をしてはならない。

この判断基準は、原則は違法なものの、以下の2要件を満たせば例外的に合憲となる

Government must show that...

  1. It's necessary to achieve an important government purpose
  2. There is no less discriminatory alternative to achieve the goal

3. Taxation of Interstate Commerce

前述のように,taxは原則としてCongressの権限である。

しかし,①州との実質的関連(substantial nexus)があり,②差別的でなければ(not discriminatory),taxが可能である。

4. Full Faith and Credit

Jurisdiction, on merits, final(管轄・本案判決・終局判決)の要件を満たした場合は、連邦裁判所・他州裁判所の判決を執行(enforce)しなければならない

すなわち,一つの州での判決は他の州でも権限を有するということである。

 

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ここまでが統治の分野。当然だが、日本と違って天皇の話はなく、連邦制の話が多い。権限の分配の議論は国の特徴をつかむ上でも面白いが、難しくてややこしい

ここからは人権の話。こちらのほうが断然面白い

  

 

GENERAL of CONSTITUTION'S PROTECTION OF INDIVIDUAL LIBERTIES

1. Government Action

憲法問題とするには、当然、政府の行為である必要がある。ただし、政府が憲法違反(人種差別等)を促進する場合もこれに当たる

また、伝統的に政府が専属的に行ってきたことを私人が行う場合には憲法が適用される(public functions exception)。私人間効力のような議論である。

2. Incorporation of the Bill of Rights 編入理論

日本法でよくありそうなテクニカルな条文操作

Bill of Rights(権利章典)と呼ばれる修正1〜10条の人権規定はもともと連邦政府に対するものである。しかし、これらは、修正14条のデュープロセス条項を媒介とする編入により(?)、州政府にも適用されることになる。

ただし、以下の4つは例外で、州政府への適用がない

兵士を民家に宿泊させない権利、刑事の大陪審による起訴、民事の陪審による審理、過剰な罰金禁止

*もっとも、これは単に憲法上の権利が州には及ばないということに過ぎない。ほぼすべての州において、民事で陪審制を受ける権利が法律で保証されている模様

3. Levels of Scrutiny 審査基準

  • Rational Basis Test 合理性の基準(合憲推定); The plaintiff must show that it's rationally related to a legitimate govermental purpose. 

  • Intermidiate Scrutiny 中間審査基準(違憲推定); The government must show that it's subtantially related to an important governmental purpose

  • Strict Scrutiny 厳格審査基準(違憲推定); The government must show that it's necessary to achieve a compelling governmental purpose

日本と違って、「こういう時はこの審査基準」というのが非常に明確に決まっていて(一部不明なものもあるが)わかりやすい。日本もこうだったらいいのに

 

 

DUE PROCESS

ProceduralとSubstantiveとがある。要するに、国家による個人の生命・自由・財産(Life, Liberty, Property)という権利の侵奪(deprivation)が許されるかという話で、憲法の核となる概念である(修正5条、14条)

1. Procedual Due Process 

Property Rightsの侵奪には、Fair Process (Notice and Hearing) が必要。その判断の際には以下の3要素の比較衡量(Three part balancing test)を行う

  • Importance of the interest to the individual
  • Ability of additional procedure to increase the accuracy of fact-finding
  • Government's administratrative and fiscal interests

2. Substantive Due Process

Fundamental Rights - Strict Scrutiny

Fundamental Rightsとは,①Privacy, ②Travel Interstate, ③Voteである。

アメリカの裁判の歴史で広がってきたプライバシー権には,以下のものがある。

Marry, Procreate, Custody of one's children, Keep a family together, Control the upbringing of one's children, Rasing Family, Contraception,(婚姻、出産、子の監護・教育、家族の同居、避妊)

また, Travel Interstate, Vote(国内旅行、投票)もFundamental Rightsであり,厳格審査が適用される。

Non-Fundamental Rights

原則としてRational Basis Testであり,International Travelなどにはこれが適用される。

その他の審査基準が特殊・不明なものとして,Abortion(undue burden), Private concensual same-sex activity, Bear arms(中絶、同姓の性行為、武器保有)がある。

また,そもそも権利性が否定されているものとして,Physician aided suicide, Education(医師の助けによる自殺、教育)

 

3. Other Clauses and Laws

Takings Clause 収容条項

公共の用(public use)のための収容には、正当な補償が必要。土地全部の収容はもちろん,経済的に大きく価値を既存するような場合にも補償が必要となる。

Contracts Clause 契約条項

州政府は契約上の義務を遡及的に無効にすることはできない( No state shall impair the obligations of contracts. Article 1.10.1)

Ex Post Facto Laws 遡及処罰禁止

行為時に適法なことの処罰や行為後の刑の引上げは禁止。これは刑事事件のみに適用される。

 

14th AMENDMENT - EQUAL PROTECTION 

どのような区別かによって審査基準も変わる。修正14条は、直接的には州政府にしか適用されないが、修正5条を通じて連邦政府にも適用される

修正14条が問題となるのは,Group of Peopleに基づく差別をするときである。

1. Strict Scrutiny- Classification Based on Race, Alienage, and National origin

人種、国籍、出身国という本人には変えられない重要な出自による差別は許されない。Strict scrutinyによる。

*大学のaffirmative actionについては、compelling interestが必要。多様性確保はこれに当たるので、人種の考慮は許されるが、人種に基づいて自動的に点数を与えるような場合は違憲

Alienageについては,ただし、統治体としての州の性格に結びついている(integral to self government)場合は、市民要件を課してもよい(警察官や陪審など) 

2. Intermidiate Scrutiny - Gender Classification, Legitimacy Classification (Discrimination againt Non-Marital Children)

Genderについて,ただし、過去の差別を救済するための区別(classification designed to remedy past discrimination and differences in opportunity。つまりアファーマティブアクション)は認められる

Legitimacy, つまり非嫡出子に対する差別である。日本でもこれがやっと考慮されたわけだが、アメリカは離婚が非常に多く、非嫡出子の数も甚大なので、かなり早い段階に認められたのかなと思う。

3. Rational Basis Test- Other Types of Discriminatiuon/Classification

Age, Disability, Wealth, Economic regulation, Sexual orientation(年齢、障害、富、経済規制、性的嗜好)などは,一番緩いRational Basis Testによる。

Sexual orientationはLGBTとも関連するので(上のsame sex activityもそうだが)今後もう少し権利性が認められていくかもしれない

 

1st AMENDMENT - FREEDOM OF SPEECH

1. Types of Restriction

Content Basis Restriction 内容規制

言論自体の主題や思想といった内容自体を規制するものなので、Strict Scrutinyが用いられる

Content Neutral Resriction 内容中立規制

内容にかかわらない規制なので、もう少し規制がしやすい。Intermediate Scrutinyによる

2. Prior Restraints

事前抑制のこと。言論を差し止める裁判所の作用をいう。これはそもそも言論が発表されることを妨げるものなので、当然Strict Scrutinyによる

3. Vagueness and Overbreadth

どちらも日本の憲法解釈でも取り入れられている。法律にanyとかallとかがあればこれを疑う必要がある。

Vaguness 曖昧性ゆえに無効

曖昧すぎる基準は、何がダメで何がいいかわからないから無効

Overbreadth 過度の広汎性ゆえに無効

あまりに広すぎる規制は無効

4. Symbplic Speech

象徴的言論も保護の対象となる。①政府抑圧に関連しない重要な利益があり、②言論の効果が政府の目的達成に必要な程度より少ない場合は、規制できる。

保護されるもの;Flag burning, Contribution limits to election campainge

保護されないもの;Draft card burning, Nude dancing, Expenditure limits to election 

5. Obscenity and Sexually Oriented Speech

以下の要件を満たすと制限の対象となる

(i) patently offensive

(ii) lack serious redeeming artistic, literary, political or scientific value

6. Commercial Speech

Intermdediate Scrutinyによる

7. Other Speeches

  • Anonymous Speech: 匿名でいる権利もある
  • Government Speech: 政府によるものは性質上合憲。私人の言論への政府補助は、政府の正当な利益に合理的に関連する限り合憲
  • Incitement Illegal Activity (clear and present danger): 違法行為を教唆する言論は、それが差し迫ったものであれば、制限可能(明白かつ現在の危険)
  • Child Pornography: わいせつ性がなくても禁止可能
  • Falsity: 言論が間違っていたとしても修正1条の保護対象。別途その言論の害悪の検討が必要

9. Defamation

名誉毀損の対象によって類型化されている

  • Public Officials or Candidates: 公益性が高いので、公務員が虚偽及び現実的悪意(falsity and actual malice)を示す必要がある
  • Public Figures: 基本的に同上。ただし上と違ってclear and convincing evidenceは不要
  • Private Figure in a matter of "Public Concern":虚偽と過失を立証
  • Private Figure

10. Public Forum

伊藤正己裁判官が紹介したあれの元

  • Public Forum: 政府の敷地。表現活動のために開放しなければならない。Strict Scrutinyによる。e.g. 歩道、公園
  • Designated Public Forum: 政府の敷地。閉鎖もできるが、言論のための場所
  • Limited Public Forum: 政府の敷地。一定のグループや題目に限る。e.g. 市長の講演のために公開した場所
  • Non-Public Forum: 憲法上言論禁止が許されている場所。合理的理由があれば良い。e.g. 軍基地、刑務所の外、学校、空港

このように、二元論ではなく4つの類型がある

 

1st Amendment - Other Rights

1. Freedom of Association

Punishing membershipt/joining groupについてはStrict scrutinyが適用される。

政府は、(i) actively affiliated with the group, (ii) knowledge of the group's illegal activity, (iii) had specific intent to further those illegal activitiesを立証しなければならない。差し迫った危険要件がないあたり、日本の泉佐野事件の基準よりはゆるそうである

2. Freedom of Religion

Free Exercise Clause 

これは、「宗教上の行為を自由に行うことを禁じる法律は違憲」というもの。宗教的理由を理由に解雇したりすることは当然に許されない

Establishment Clause

ここでいうestablishmentとは国教樹立のことである。要するに、政教分離原則のことである

基準は、日本でも知られているレモンテストである。

(i)  Statute must have a Secular purpose

(ii) The primary Effect must be neither to advance nor inhibit religion, and

(iii) No eXcessive government entanglement with religion

この3つのどれか一つに反すると違憲となる。SEXで覚えろとのことである

レモンテストのほうが、3つ全てを満たすことを要求しているので,目的効果基準よりも違憲になりやすい(つまり、政治と宗教のつながりに敏感)ということが言える。

 

 

だいたいこんな感じです。憲法は、日本が多くの概念を輸入しているし、人権規定については生の概念を勉強できて面白い(ただ、設問は微妙で難しい)。

統治についてはアメリカならではのfederalとstateの関係という厄介な問題があるので、がんばりたい

NY Bar 12 - Conflict of Laws

法の抵触、つまり日本でいう国際私法に当たる分野。ただ、アメリカという国の特性上、外国法との抵触ではなく、国内の州同士のものがメイン

講義時間も2時間で、エッセイの出題率もCon Lawと並んで最も低いので、重要度は最も低い科目。出るとしても単独で出ることはなく、他の科目の一要素として登場する

日本での選択科目は国際私法にしており、一通りは勉強したので、とっつきやすかった

例によって、自分の理解のために簡単なアウトラインのようなものを書く

 

 

RECOGNITION OF JUDGMENTS

外国判決の承認の問題

判決が法廷により行われ、当事者が異なった法廷で承認される(recognized)されることを望んだ場合に、この問題が生じる

元の管轄地をRendering jusrisdiction,新しい管轄地をRecognizing jurisdictionと呼ぶ

1. Sister State Judgments-他州判決

Step1:Rendering StateがFull faith and credit statuteを満たしているか

Full faith and credit statuteとは、Duties that states within the United States have to respect the "public acts, records, and judicial proceedings of every other state. をいう。 

要件1: 管轄

PJとSMJを有している必要がある。ただし、管轄地での事件がunfairな場合は、管轄の決定そのものにfull faith and creditが認められる

要件2: 本案判決

Rendering stateの判決は、本案判決でなければならない。つまり、lack of jurisdictionm, misjoinder, improper venue, failure state claimといった事情がある場合は要件を満たさない

ただし、和解の決定は(裁判所が判断したわけではないものの)本案判決に含まれることに注意

要件3: 終局判決

判決は最終的なものである必要がある

 

Step2: 信頼性に対して有効な抗弁があるか

有効な抗弁

  • 刑事の判決:full faith and creditが与えられない。
  • 判決が詐欺によって得られたこと:同上

有効そうに見えるが、有効でない抗弁

 

2. Foreign Judgments- 外国判決

こちらは重要性が下がる。州だと義務のソースが合衆国憲法だが、こちらの場合はComity(国際的礼譲)とTreaty(条約)になる

Recognizing courtが、Recognizeすべきかを判断することになる。ちなみに日本では民訴法118条による。

 

 

CHOICE OF LAW-準拠法選択

訴訟が複数の州をまたがる事実に関わり、それぞれの法律が異なっている場合に問題となる。

原則としては、以下の3つのアプローチによって決まるForum courtの法によることになる。

答案の流れとしては、

P1でissueを述べる(常に同じ)。

"The issue presented is which state's law will govern the outcome of this litigation. The governing law will be selected by the forum court using the ___."

P2でアプローチについて説明

P3でアプローチを適用し、準拠法を特定し、結論を導く

*日本の国際私法では準拠法を決定して終わりだが、ここでは結論を述べることまで必要とのこと

 

以下の3つが具体的なアプローチである

Approach1: Vested Rights (1st Restatement)

P2: "Under this approah the court will apply the law of that state mandated by the applicable vesting rule. That rule is selected according to the relevant substantive area of law."

P3 (Example)

  1. 法分野:This is a torts case.
  2. ルール:Thefore, the applicaple vesting rule is the place of injury. 
  3. 適用:Here, the injury occured in Michigan and thus Michigan law applies.
  4. 準拠法に従った結論:Under the Michigan law, a non-paying passenger cannot recover against the driver, and so the claim is barred

 

Approach2: Interest Analysis-公益分析

P2: "Under this approach the court will consider which states have a legitimate interest in the outcome of the litigation. The forum court will apply its own law as long as it has a legitimate interest. If the forum state has no legitimate interest, it will apply the law of another interested state."

P3 (Example)

  1. Legitemate interestを持つ州の特定:In this case, only Illinois has a legitimate interest.
  2. Conflictのtypeを特定:It is interested in permitting recovery to compensate its injured resident (the prlaintiff). Michigan is not interested in applying its restriction against recovery simoply because the accident occured there. Rather, it would be interested in appying its restriction only if the degendant were a Michigan resident. But the defendant in this case is from Illinois, so Michigan is not interested. This case is therefore a false conflict,
  3. 準拠法特定:and Illinois law should apply.
  4. 適用:Under Illinois law, the plaintiff may recover.

 

Approach3: Most Significant Relationship(最密接関係地法 (2nd Restatement))

P2: "Under this approach the court will appply the law of the state which is most significantly related to the outcome of the litigation. To determine this, the court will consider connnecting facts and policy principle."


P3 (Example)

  1. 事実:In this case, the factual connections are split. The accident occured in Michiganm and the injury was sustained there. Both the plaintiff and the defendant are from Illinois.
  2. Policy Princiople: As a matter of policy, Illinois seems to have the greater interest because the law at issue is a loss distribution tule and both parties share an Illinois domicile.  
  3. 最密接関係による準拠法選択:As a result, Illinois appears to have the most significant relationship to the dispute and its law should apply.
  4. 適用:Under Illinois law, the plaintiff may recover. 

 

[Application to Specific Substantive Areas-各々の実体法への適用]

Approach1と3で必要な、各々の実体法での特徴について

1: 不法行為

A1では、単純に結果発生地(where the injury occured)による

A2では、事実で、結果発生地、加害行為地、当事者の居住地、何らかの関係が発生した地、を考慮する。Polocy Principlesで、forum stateの関係する政策と、他の繋がりある州の政策を考慮する。これにより再密接関係地を決める

*ただし、大抵は結果発生地になる模様

 

2: 契約法

まず、準拠法が選択されていれば(valid, expressedである必要)、当然それによる。invalidとされるのは、全く契約と関係ない場所の法律が選ばれたような場合

A1では、基本的には契約執行地になる。もしケースが履行についてならば、履行地となる

A2では、事実で、契約締結地、交渉地、履行地、居住区を考慮する。Policy Principlesでは、forum stateや他の関係する州の関連した政策、及び当事者の通常の期待を考慮する

 

3: 物権法

不動産の場合は、その所在地の州の法律による

動産の場合は、州間の取引に関する場合、取引の時の場所の法律になる。相続に関する場合は、死亡者の死亡時のdomicileになる

 

4: 家族法

婚姻は、どの州でも有効となる。ただし、婚姻のために一時的に他州へ映るのは禁止されている(LGBT婚との間で議論がありそう)

嫡出については母親のdomicile, 他の問題は父親のdomicileによる

 

[Defenses to Choice of Law-準拠法選択への抗弁]

Defense1: 公序良俗違反

Defense2: 手続規定

 

[DOMICILE]

これは日本語では本籍とか住居と訳されたりするが、籍というのはアメリカには無いので微妙に違う。具体的には、①物理的居場所と②そこに留まる意思の2つの要素によって決せられる。なので,常居所地に一番近いかもしれない。

基本的には引っ越しの意図を持って他州に移ればdomicileも移る。留学は留まる意思が無いから移らないのかな?

 

まぁそういう感じで、だいたいもう理解したかなという感じ。ルールの記述のところは暗記したい

NY Bar11 - Evidence

Evidenceは日本の刑事訴訟法のうちの証拠法分野といった感じであるが、自白の議論はCriminal Procedureのほうに行っているので、範囲としてはより少ない

しかし重みとしてはCriminal LawとCriminal Procedureを合わせた量に値するのだから、いかにアメリカでは証拠能力が重要かがわかる。それは取りも直さず、アメリカの陪審員制度に直結している。簡単にいえば、関連性がありそうだけど実は無い証拠と、公判廷の供述で誤りが入りやすい証拠をできるだけ排除する必要がある

そこで分野として、大きく分けて以下の4つ

  • RELEVANCE 関連性
  • IMPEACHMENT (WITNESS) 弾劾証拠(証人)
  • HEARSAY 伝聞証拠
  • OTHERS その他

Evidenceは言ってることは至極まともでわかりやすく、アウトラインを読んでいるときは納得が行くのだが、、似たような話が多く、どこの部分の話をしているかをしっかり把握しないと問題で間違える。という理由で(あと好きなので)、理解のために全体像と注意点を整理しておく

 

RELEVANCE

1. Exclusionary Rule(証拠排除)の原則

Even if that is a relevant evidence, it will be inadmissible when the probative value of the evidence is substantially outweighed by one or more of following

  • Unfair prejudice 不当な偏見
  • Confusion of the issue 争点を混乱させる
  • Misleading the jury 陪審員に誤解を与える
  • Undue delay 不当な遅延
  • Waste of time 時間の浪費
  • Unduly cumulative 過度な繰り返し

証拠の価値より、それによる弊害が大きい場合には、関連性があっても排除される

 

2. Similar Occurence(類似行動)による証拠排除

In general, if evidence concerns some time, event or person, that evidence is inadmissible unless any exception permits.

例えば、「マンハッタンの地下鉄の路線1で痴漢が起きた。被告人は前にもこの路線で痴漢をしている」という証拠は認められない。あまりに一般的すぎて、陪審員を混乱させるだけで、関連性が無いからである。このように、単に類似した行動をとっているということくらいでは証拠能力は認められない。

しかし、以下の類型では例外的に証拠能力が認められる場合がある。

 

①Plaintiff's accident history

原則として、単なる事故歴は認められないが、例外として原告に傷害をもたらした事故が争点となっているときのみ証拠能力が認められる。

②Similar accidents caused by same event or condition. Other accidents caused by the defendant

これも原則として認められないが、例外的に、(1) both accidents occured under substantially similar circumstances, (2) to show the existence of dangerous situation, or causation of the accident ときは認められる。

③Intent is at issue

意図が争点である場合は認められる。

④Comparable sals on issue of value

金額が争点の場合、周辺の売買事例から市場価格を証明することができる

⑤Habit

単なる一般的傾向に過ぎない性格と異なり、より当該状況における行動を推認させるもの。つまり、"a repetitive response to a particular set of circumstances"をいい、frequencyとparticularityが必要。always, never, invariably, habituallyといったキーワードに注意。

⑥Industrial custom as standard of care

注意義務の基準を定めるための業界慣行のことである。同じ業界の他社がどのようにしているかを示すことは許容される。

 

3. Policy-Based Exclusions(政策的証拠排除)による証拠排除

以下の類型は、関連性は認められるものの、政策的配慮により証拠排除がなされる①Liability Insurance

「保険をかけていることで安心して注意力が低下した」などの推認は不可。ただし、保険対象物を所有・支配していたことの証明には使える

②Subsequent Remedial Measures

事故後の修理を認めないと危ないので、過失の証明などには使えない。

③Settlements of Disputed Civil Claims

和解を促進するために、和解の証拠和解の提案和解交渉中の発言には証拠能力を認めないとした。係争中事件に限る。

ただし、民事上の和解内容をその後の刑事事件の証拠として用いることは可能

④Plea Bargaining(答弁取引・司法取引)

答弁取引促進のためである。有罪答弁の申入れや不抗争の抗弁(nolo contendere)などには証拠能力が認められない。

ただし,撤回されなかった有罪答弁は,後の訴訟での被告について証拠能力を有する。

⑤Offer to Pay Hospital or Medical Expenses

善行促進。これで責任を認めることにはならない。ただし,「治療費は支払いますよ。僕がよそ見したのが悪いんで」などと言ってしまった場合に過失の証拠として用いることは可能である。そういうわけで,アメリカでは簡単に謝るなと言われるのだろう

 

4. Character Evidence(性格証拠)

Character Evidenceとは、人の人格傾向(a person's general propensity or disposition)に関する過去の悪口(past bad acts)の証拠である。予断を生むためその証拠排除が問題となる。民事事件と刑事事件で分けて考える。

i. Civil Cases

  • Generally, inadmissible
  • Admissible only if it's an essential element of a claim of defense: (1) Hiring or Entrustment case, (2) Defamation, (3) Child Custody

つまり、通常はダメだが、その性格自体が立証の中心として不可欠な場合(e.g.子の監護権事案では、人柄も考慮要素の一つ)は例外的に認められる

 

ii. Criminal Cases

  • Prosecutor: No reputation evidence for proving the defendant committed a crime in conformity with that bad character 
  • Defendant: Can introduce evidence of a relevant character of a trait →Then prosecution can introduce
  • Reputation and Opinion are okay; Specific act is not okay

つまり、検察側から被告人の過去の犯罪を指摘して「被告はこんなに悪いやつだから今回も罪を犯した」ということをいうことはできないが、仮に被告人が「いや、おれマジでいいやつなんで犯罪とかしないッス」と自分の性格の話をしだしたら、“反駁のドア”が開いてしまい、検察は「は?待ってください裁判長、こいつマジで悪いやつなんで。ほらこの証拠見てくださいこいつがいいやつとか嘘ですよ」と反論することができるということである

また、評判と意見に限り、事実は用いることができない

つまり、「被告人はmotherfuc*erってみんな考えてるよ」という評判や、「被告人はマジでpus*y」という意見はよいが、「被告人は万引きした」という事実や、殺人事件で相手の誠実さを問うようなことはだめ

 

Victim's Character - Sexual Misconduct Case

Rape Sield Law(レイプ被害者保護法)により,性犯罪被害者の性的傾向についての証拠などは原則として許容されなくなった。

例外として,
①被害者の具体的性的行動から,残存した精液などが第三者のものであると証明する場合

②被告と被害者の過去の性的行動から,同意があったことを推認させる場合

③Love Triangle Defense(三角関係の抗弁)として,他方との関係保持のために同意のあった性交渉を同意がなかったと虚偽の主張をしている,との主張をする場合

は認められる。

Defendant's Other Crimes for Non-Character Evidence (MIMIC Exceptions)

原則として、検察官が被告人の犯罪的性格や悪性格を立証するために被告の他の犯罪や悪行を示してはならない。しかし,以下の5つの類型においては、例外的にこれが認められる。MIMICと覚える

  • Motive 動機(e.g., 以前に警察官に摘発されたため、復讐の動機がある)
  • Intent 意図(e.g., 麻薬の譲渡意図)
  • Mistake 錯誤
  • Identity 同一性(e.g., 同様の時間に同様の場所で同様の犯行をしたこと)
  • Common scheme or Plan 共通の計画

Other Sexual Misconduct to show propensity for sexual assaults or child molestation

性犯罪は再犯率が高い(プラス人々の嫌悪)ということで、これに限っては検察官でも立証可能。通常の性格証拠と反対に、prior actsはよいが、reputationやopinionはダメである。

 

 

IMPEACHMENT (WITNESS)

Impeachment(弾劾)とは証拠能力の話ではなく、あくまで証人の証明力を減殺するものに過ぎない。そこで、Relevance, Hearsayの議論と分けて考える必要がある

弾劾の方法としては、証人に尋問する方法(confronting the witness)と外部証拠による方法(extrinsic evidence)の2つがある

基本的には尋問によるが、外部証拠でも可能なものもある。

【尋問でしかできないもの】

  • Prior incosistent statements: for only dishonery or false statement。実質証拠としては使えないが、弾劾には可能
  • Inquiry about bad acts without conviction: if it relates to deceit or dishonest

【尋問・外部証拠どちらでもよいもの】

  • Bias, Interest or Motive to misrepresent: false, slanted, mistakn in party's favorであることを示す
  • Sensory Deficiencies: 視力や聴力など
  • Bad Reputation or Opinion about witness's character for truthfulness: 証人の虚偽証言を推認させる
  • Criminal Past Convictions: 有罪判決を受けた者は,宣誓下でもなお嘘をついてる可能性がある(ほんとにそうか???)。ただし、felonyならどんな犯罪でもいいが、misdemeanorならdishonestyに関するもののみ。どちらでも10年以内の犯罪
  • Contradiction: 事実と異なることを述べた場合。重要な事実の場合のみ、外部証拠持ち込み可能

この中ではCriminal Past Convictionsが重要である。

通常,Character Impeachmentは許されないが,この過去の有罪判決で,10年以内のものならば,①あらゆるFelony, ②Honestyかtruthfulnessに関係するMisdemeanorなら許容される。

また,このImpeachmentはCollateral Matter(事件や信用性と直接関係しないもの)には用いることができない。

 

 なお、減殺された信用性は回復 (Rehabilitation)することができる。以下の2つの方法がある。

  • Showing witness's good character for truthfulness 証人の誠実さを示す
  • Prior consistent statement to rebut a charge of recent fabrication 一貫性のある供述によって、作り話だという弾劾に対抗する

 


HEARSAY

Hearsay(伝聞証拠)の定義は、

Out-of-court statement offered to prove the truth of the matter asserted

 1. Non-Hearsay

真実性立証のためでなければ、out-of-court statementでもHearsayではない。

典型的なのは以下の3つ

①Verval act 発言の存在自体が意味がある場合

②To show effect on person who hear or read the statement 例えば、「その情報を得ていた」という事実だけを証明したい場合

③Circumstantial evidence of speaker's state of mind 心理状態の証明。心神喪失が典型的

 

2. Prior statements of trial witness

確かに証人なので反対尋問は可能だが、陳述の時に反対尋問ができなかったので、伝聞に当たる

 

3. Party admissions

当事者の自白は、その利益に反するものであれば証拠能力がある

 

4. Hearsay exceptions

Hearsayに当たる場合でも,以下の例外に当てはまれば証拠能力が認められる。日本の用に誰の前で話したかによって分かれておらず,単純なので,暗記が要求されるところ。

[Unavailabilityが必要な類型]

Unavailability(証人の供述不能。例として、privilege, illness or death, lack of memory, or stubborn refusal to testify)が必要とされるのは以下の3つ。

①Former Testimony

宣誓供述下での過去の供述。反対尋問ができたことにより正確性が担保される。

Same subject matterに関するものでなければならない。

②Statement agains Interest

通常嘘をつかないからである。

In criminal case, it must be supported by additional circumstances showing trustworthiness of statement。

③Dying Declaration

死を確信した時の発言は厳粛だからである。実際の死亡は要しない。

刑事事件ではhomicide事件のみ,民事事件ではいつでも可能。

 

[Unavailabilityが不要な類型]

①Excited Utterance

作り話できない。Shocking event, Excitement or Exclamation。ScreamはShriekなどが必要である。

②Present State of Mind

固有知識と密接(Contemporaneous statement concerning-)。Intent, Emotion, Painなどに注目。

③Declaration of Intent

同上

④Present Physical Condition

同上

⑤Past Recorded Recollection

注意喚起の為に示されたメモなどの証拠能力が認められることがある。

証人が過去にそのdocumentを作ったものの,現在はその内容を思い出せない場合

⑥Statement for the purpose of obtaining medical tratment or diagnosis

通常医学的援助のために誠実となる。Concerning declarant's present symptons, past symptons or general cause of the condition with the purpose for the treatment. To anybody (not limited to medical persons)

ただし,目的が医学的援助を得るためのものに限られるため,「Aに刺された」と言った場合,「Aに」の部分については例外が適用されない。

⑦Business records

業務中は正確な記録を作成する義務があり,正確と推定される。

(1) Made in the regular course of business relevant to type of business, (2) the business regularly keeps such records, (3) Made contemporaneouslly, (4) Information observed by employees

⑧Public records

同上。(1) Internal activities, (2) matters observed pursuant to a duty imposed by law, OR (3) Resulting from an investigation authorized by law

 

OTHERS

その他の論点

1. Authentication of Writing

書証の認証の話。筆跡の証明とか、写真とかである。

Public Documents

通常,認証はそれにつきpersonal knowledgeを持っている者が行う。なお,public documentsはself-authenticatingと呼ばれ,認証はいらない。

 

Judicial Notice

また,Judicial Notice(裁判所が当然に確知する事実)は,証拠なくして事実を事実と受け止めることである。common knowledgeとかunquestionable resourcesに基づくeasy verificationがこれに当たる。

民事事件ではそれをConclusiveなものとして扱わなければならない。刑事事件では裁判官に委ねられる。

 

Best Evience Rule

特に重要なのがこのルール。名前がミスリーディングだが、要するにできるだけ書面(ただし、録音や動画も含む)証拠の場合は原物(the original)を提出せよ,ということ。書面の内容の真正を立証しようとする当事者は、原物を提出するか、不存在の正当な理由を示さなければならない。

ルールが適用されるのは、書面が法的意味を持つ場合(ディードや契約書など)と、書面のみから学んだ知識を証言する場合である。

ルールが適用されない類型は、証拠と独立して証人が独立知識を持つ場合である。

そもそもルールの埒外にあるものとしては、(1)Voluminous records, (2) Certified copies of public records, OR (3) Collateral documents (not important merits of the case)があり、

また、原物不提出が正当化される類型としては、(1) Lost or cannnot be found with due deligence, (2) Destroyed wothout bad faith,OR (3) Cannot be obtained with legal process

2. Cross Examination

反対尋問のルール。ここは日本と同じ

3. Opinion Testimony

意見証人。一般人と専門家とある

一般人の場合の要件は,①MatterにつきPersonal Knowledgeを有していること,かつ②宣誓などによりWillingnessを示すこと,である。

4. Privilege

Attorney-Client Privilege

依頼者が弁護士に気軽に相談できるようにするもの。

保護されるためには,

①Confidential communications between attorney (or representative of either) 

②Made during professional, legal consulation

③Unless plivilege is waived by the client Or an exception is applicable

という要件を満たす必要がある。

communicationsというのは情報の交換を要し,単なる知識などは含まない。attorneyは弁護士だけでなく,依頼者が弁護士と信じたその他の者も含む。

依頼者のみ,この特権を自発的に放棄することができる。

ただし,将来の犯罪や詐欺の場合にはこの特権は適用されない。つまり,依頼者が弁護士に脱税を頼んだ場合などは特権は発生しない。また,依頼者と弁護士の争いにも発生しない。

 

Physicial-Patient Privilege

Confidential communication or information acquired by physician from patient for the purpose of diagnosis or treatment of a medical conditionに発生する特権である。

看護師や家族など他の人がいても,特権は発生する。

 

Spousal Privileges

以下の2つの特権がある。

①Spousal Immunity(Testimonial Privilege, 夫婦間の証言拒否特権)

刑事事件において,配偶者が被告人となったとき,証言者として,配偶者との交信について一切話さなくてもよい。

②Confidential Communications Between Spouse(Communication Privilege, 交信秘密特権)

刑事・民事事件において,配偶者の同意がない限りは,結婚をしている間に行われた秘密の交信(なお,離婚した後も特権は継続する)を公開してはならない。また,これを理由に公開を拒絶できる。

つまり,夫婦どちらも「特権があるから勝手に話すな」「特権あるから話せない」といえるということである。

ただし,双方に対する例外として,

  • 共同で実行しようとした将来犯罪や詐欺についての交信
  • 家族共同体を破壊する虐待などについての交信
  • 夫婦間の離婚訴訟等の民事訴訟

には特権は適用されない。

 

だいたい網羅したかと思います。好きな科目なのもあり簡単なアウトラインのようになってしまった

日本法に比べると、抽象的な規範があってそれに当てはめるのではなく、規範がすでに具体的に設定されている。そのため、オープンブックのロースクールの試験の時は条文集が読めて比較的簡単に感じたが、バーでは細かい規定をすべて覚えなければいけないので、簡単そうで難しい科目

それでも、ローで履修したアドバンテージがあるし、得点源にしたい

NY Bar 10 - Wills

Wills(遺言法)だが、寝過ごして授業に出そこね、後日ビデオで見るという失態を犯した

Willsは正式な科目名としてはWills and Estateとなる。というのも、科目の半分くらいはIntestament(無遺言死亡)で、そもそもwills(遺言)が無いので、estate(財産)の振り分けというのが正しいからである

日本法で言えば相続法ということになるが、日本の相続法はきちんと勉強したことがなくいつも付け焼き刃だったので、あまり比較ということはできない。が、まぁ相続はある程度常識が通じるところなので、特に難しくは感じない。

ただ、intestamentもそうだが、collateralが傍系親族という意味で使われたり、advancementが生前贈与分だったり、ademptionという辞書に載ってない単語が出てきたり、結構単語は面倒で、辞書を引く機会が多い

というのも、MBE科目は日本人アウトラインを使っているので、わからない単語は横に書いてあるし、日本語で概念を掴んでから英語で理解するという方式をとっているのに対し、非MBE科目はUBE対応のアウトラインがないのでバーブリのハンドアウトでやっている、という理由もある(ただ、ザーーとNY用の日本語アウトラインを読んで概念を掴んだりはしている)。

 

「そもそも問題文は英語なんだから英語オンリーで勉強したほうがいいんでない?」という意見もありそうだが、これは自分がその分野を日本語でどれだけ勉強したかによると思う

Real Propertyのようにむしろ日本語にしたほうがわかりにくいような単語が多い場合や初めて登場する概念が多い場合は英語でやったほうがいい。しかし、日本とあまり変わらず、すでにその科目を日本語で勉強している場合は、やはり対応する日本語を知っていたほうが話がはやい(細かいルールが違っていたとしても)。例えば、比較的わかりやすい表現でいくと、assignment of rightsという表現が出てきた時、「あぁ、権利を割り当てるか、移転するかするのね」と思うわけだが、ちょっと中身を見れば「あぁ、債権譲渡か」と納得するわけである。結局、asingment of rights=債権譲渡と納得した上で、日本法のことを思い出しながら米国法でどうかを考えることになる

advancementにしても、"Irrevocable gift intended by the donor as prepayment of an inheritance"という定義を見れば、相続の前に行われた贈与ということであぁ生前贈与のことかな、と思うが、だったら先にadvancement=生前贈与と理解してからこの定義を読んだほうが頭に入るかな、と思っている

多分英語力増強の面ではこういう横着は良くないのだが、今は短時間で内容を理解することが大事だと考えているので、こういうやり方を基本的にはとっている

 

ちなみにこの時役に立つのはMacBookのForce Touch(感圧トラックパッド)である。単語の上にカーソルを合わせて強く押しこめば辞書が表示されるので、めちゃくちゃ重宝している。いちいち辞書アプリにコピペしたりする必要が無い

 

 

Willsは遺言の有効な成立とか、その変更とか解釈を扱うことになる。まぁなんとかなるかなと思っている。マルチプルチョイスが無いので、演習を通して重要なルールを潰していきたい

NY Bar 9 - 試験地はマンハッタン

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NY Barの試験地は、NYC (Manhattan), Albany, Buffalo, Saratoga, White Plainsの5箇所がある

基本的にニューヨーク州居住の受験者にはマンハッタンが割り当てられ、それ以外の受験者は残りの4つから早い者勝ち、という感じと聞いていた

 

で、結論からいうと僕は運良くマンハッタンで受験できることになった

 

当初は、サラトガとホワイトプレインズ(ていうかどこ?笑)はアクセスも悪く不人気で、オルバニーとバッファローどっちにしようかなと思っていた。日本人は、①街が小さくて移動が楽、②受験会場が1つしかないため、事前にホテルの予約が可能、③受験後ナイアガラの滝を観光できる、という理由からバッファローが人気とのことで、でもオルバニーも一応ニューヨーク州の州都だしついでに観光したいよなぁとか迷っていた

*ちなみに、Albanyは「ルバニー」「ールバニ」と発音するのだが、「ルバニー」という友達が多く、ぺんぎんは気になっていちいち訂正したくなり嫌なヤツになっている

ニューヨーク州の住民に会場割り振りのメールが一斉送信され、「州外はまだかなぁ」とか友達と話していた翌日(6月8日)の朝9:41にメールが来た。Real Propertyの授業中だった。僕は偶然携帯をいじっていたので即座に開く。同時にwhat's appのペンのバー受験者のグループに emails were outとのメッセージが入り、みんなでどこにしようかという話になった

僕がリンク先を開くとマンハッタン(New York City)も選択肢にあり、すっかり諦めていたので戸惑った。マンハッタンは騒がしそうだし、バッファローとオルバニーもこの機会に行ってみたいしな(旅行好きの悪い癖)とか思ってしまったからである

でも友達がtake NYCといい、「まぁマンハッタンならバスで行けるし慣れてるから不安も少ないよな」と思って結局マンハッタンを選んだのです

 

マンハッタンの州外民への枠は相当少ないようで、なんとその数分後(メールが送信されてから15分後)くらいにはもうすべて埋まり、リンク先の選択肢から消えた模様

 

いやー授業中に携帯いじっていていいこともあるもんすね(棒)

 

しかし、朝の9時半過ぎとか西海岸では6時半過ぎなわけで、普通寝てますよね。そこらへんはあまりフェアじゃないなぁーと思った。まぁ、受験者が今アメリカにいるわけでもないので、そこは東海岸基準でやって文句はないのだろうけども

 

会場はマンハッタンの西の外れのJacob Javits Convention Centerというところ。地図を見て「あっ」と思った。メガバスの発着地点なのだ。今まで何回も通ったし、コンベンションセンターも何回も見た。そういうわけで、結構精神的には落ち着いてのぞめそう。ホテルも会場の真ん前のを押えた

 

とまぁそんな感じ。相変わらずスケジュール遅れ気味なので(実は昨日ニューヨーク行ってたからなんですけども)頑張ります

NY Bar 8 - 途中経過

バーブリが始まって2週間が終わろうとしているが、早くも疲れが見えてきたというか、中だるみ感が出てきてしまった。最初は、

バーブリすぐバーイグザムはsprintじゃなくてmarathonだからとかいって休むことを勧めてくるし大したことなさそうだな。むしろこんなんで大丈夫か?」

とか思っていたのだが、蓋を開けてみれば早くもビハインドである。序盤にあった貯金もなくなってしまった。なかなかうまくいかない。今日なんて疲れで初めて授業を休んでしまった。まぁあとでビデオを見ればいいので問題はないが、こうしてまたタスクがたまっていくと…

なんで時間がかかってるかというと、問題を解いたりするたびにアウトラインに戻って読み返したり、いろいろ書き込んだりしているからなんですね。まぁこれは勉強法としては正しいとは思うし、英語な分普通より時間がかかってしまうというわけ

受験の時も思ってたけど、問題を解いた時の見直し(解説を読む時間)にどれくらい時間をかけるかというのはちょっと考えものである。丁寧に解説を全部読んでるのは時間の無駄だし、かと言ってきちんと理解しないとせっかく時間をかけて問題を解いた意味がなくなるし、また同じ間違いを繰り返すことになる。このへんメリハリつけてやりたいなと思う

とりあえず、授業をペースメーカーとしつつ、MBE, MEE, MPT各々どんどん演習をしていきたいと思う。Tortsとかはもう合格点を超えるくらいに完成させなきゃいけないんだろうな

がんばります。

NY Bar 7 - Real Property

Real Property(不動産法)はわけがわからないとよく言われる分野である。イギリスの法律を起源に持ち、ローの授業ではうん百年前の判例を読まされるとかなんとか

ただ、アメリカは日本よりも個人の権利に対する執着というか尊重の念が強いので、そういう意味でも重要性は高いのかもな、とか思った

先生はブルックリン出身とかいうハッピーなおばさんだった。終始ニコニコしながら授業を進め、時々歌を歌う。簡単に言えばスピッてる。なかなかたまらないやつである(村上春樹風)。正直苦手であった

 

この科目が難しいとされるのは、そもそも仕組みが日本法と全く違うこと。そして何より概念が難しいことだろう。言葉もやたら長ったらしくややこしい

全体像

Ⅰ. Estate in Land(不動産所有権)

Ⅱ. Landlord / Tenant Law(賃貸借法)

Ⅲ. Servitudes(使用権)…Easements(地役権), The License(許可),The Profit(収益権), The Covenants(コベナンツ), Equitable Servitudes(衡平法上の負担)

Ⅳ. Adverse Possesion(不法所持による時効取得)

Ⅴ. Land Coveyancing(不動産権利譲渡)

Ⅵ. Others…The Recording Sysyem(登記制度), Lateral Support(土地の基礎の支援), Water Rights(水利権), Possessor's Right(占有者の権利),Eminent Domain(土地収用件), Zoning(用途規制)

不動産所有権の部分が難しい。賃貸借法は契約各論という感じ。あとは細々した論点が並ぶ 

 

Ⅰ. ESTATE IN LAND(不動産所有権)

1. The Present Estates(現在の不動産所有権)& Future Interests(将来権)

The Present Estatesには大きく分けて4つの権利がある。そして,各々の特徴と,それに付属する,付与者か第三者が取得するfuture interestsが何かをまず整理する必要がある。

特徴というのは,Devisable(transfer at will / 遺贈可能か)、Descendible(die without will / 遺言なくても相続可能か)、Alienable(transfer intervivos / 存命中に譲渡できるか)である。

 

Fee Simple Absolute(完全所有権)

"To A" と記載する。無限の期間続く通常の所有権のことであり,当然,遺言,相続や譲渡によって移転可能である。すなわち,devisableかつdescendibleかつalienableということになる。

将来権は付属しない。言い換えれば,被相続人が存命中は相続人はおらず,単なる推定相続人がいるにすぎない。

 

Fee Tail(限嗣不動産権)

"To A and the heirs of his body"というものであるが,事実上廃止されており,試験には出ない。

 

Defeasible Fees(消滅条件付所有権)

これが最も重要な権利である。以下の3つにさらに分けられる。

Fee Simple Determinable(解除条件付完全所有権)

"To A fo so long as...", "To A during...", "To A until..."と記載する。解除条件が満たされると,自動的に権利が剥奪される(If the stated condition is violated, forfeiture is automatic)

遺贈,相続,譲渡は可能(これは以下の2つにも当てはまる)だが,常に条件による制約がつきまとう。例えば,「スタジオとして使う限りAへ」という条件付きで所有権が譲渡された場合,Aは,スタジオとして使う気の無いBに譲渡することはできない。

付与者はPossibility of Reverter(復帰可能権)という将来権を持つ。

 

Fee Simple Subject to Condition Subsequent(解除権付完全所有権)

"To A, but if X event occurs, grantor reserves the right to reenter and retake"と記載する。すなわち,ある条件が成就すると,付与者がその所有権を回復することになる。

付与者はRight of re-entry (再取得権。the right of reacquisition) という将来権を持つ。

 

Fee Simple Subject to Executory Limitation(Interest)(将来権の定めのある完全所有権)

"To A, but if X event occurs, then to B"と記載する。すなわち,ある条件が成就すると,第三者に所有権が自動的に移転する(The estate is automatically forfeited in favor of someone other than grantor)。

すなわち,BがShifting executor interest(移転的将来権)という将来権を持つ。

 

 

Life Estate(生涯不動産権)

"To A for life"(「〜に一生付与する」)とのもの。「一生」というのがポイントで,期間を区切ってはならない。

付与者はReversion(復帰権)を持つ。

"To A for life, then to B"第三者はRemainderを持つ。

特定の人に付与され停止条件がついていない場合はvested remainder(何の制限もない場合をindefeasibly vested remainder, 解除条件付きをvested remainder subject to complete defeasance,継承者未確定の場合をvested remainder subject to openと呼ぶ),被付与者が未確定又は停止条件がついている場合はcontingent remainderとなる。

 

 

Rule Against Perpetuities(永続禁止ルール)

特定の将来権は,対象者の死後21年以内に条件成就により確定しないと無効になるというルールで,土地の絶対性と契約自由を折衷したものである。

特定の将来権とは,contingent remainders, executory interests, certain vested remaindes subject to openのことをいう。

 

2. Concurrent Estates

不動産の共有形態について。

Joint Tenancy(生存者取得権付共同所有)

Two or more people own with the right of surviovorship。生存者取得権がついているので,共同所有社の一人が死亡した場合,自動的にその持分が生き残った他の共同所有者に移る。したがって,譲渡は可能だが,遺贈や相続はできない。

この権利は,同時に,同じ書面により,同じ権利内容で,全体につき占有権を得ることを合意することにより成立する。

Tenancy by the Entirety(夫婦間不可分所有権)

Protected marital interest between married partners with the right og survivorship。生存者取得権がある夫婦間の共有形態。非常に強い保護を受ける不可分所有権である。夫婦の一方だけの債権者はこの権利に干渉できない。そして,夫婦も,単独では第三者に譲渡できない。

Tenancy in Common(単純共有)

Two or more people own with no right of survivorship。生存者取得権がないので,譲渡,遺贈,相続が可能である。

 

 

Ⅱ. LANDLORD/ TENANT LAW(賃貸借法)

1. Four Leasehold or Nonfreehold Estates

Tenancy for Years(期限付き賃貸借契約)

固定期間の賃貸である。"To A for 10 years"など。期間が経過すれば通知なくして自動的に契約は終了する。1年以上の契約の場合は書面による必要がある(SOF)。

Periodic Tenancy(期間更新賃貸借契約)

一定の期間が決められ,その期間が通知されるまで更新される続ける。"To A from month to month"など。また,期間について明言しなくても成立する(Implication)。

契約の終了には,期間と同等の期間を定めた上での通知を要する。

Tenancy at Will(任意終了不動産賃貸借契約)

期間の定めがない。"To T for as long as L or T desires"など。終了は双方の意思でいつでも可能である。

Tenancy at Sufferance(黙許不動産権)

賃借人が期間が過ぎたのに不当に居座ってる場合に発生する。賃貸人は,追い出すか,新たな期間の契約を結ぶかでき,この権利はそれまでの間存続する。

 

2. Tenant's Duties(賃借人の義務)

以下の3つの義務がある。

①第三者に対して

第三者に対しては,住居を適切に保つことや,自身が招いた人が被った損害について責任を持つ。

②修補義務

契約に定めがない場合は,修補義務を負う。通常の使用で生じる損傷を除いたものについて管理し,毀損をしない義務である。定着物については無断で除去してはならない。自身で定着させたものでも,一度定着すればLのものになるので,除去してはならない。

また,住居の状態を保持することにつき明示的に約束した場合,伝統的立場では,いかなる損害についても責任を負う。現在の多数派は,Tの過失によらず破壊された場合は,Tは契約を終了できる。

③賃料支払い義務

Tがこの義務を履行しない場合でも,Lは支払請求か裁判手続きによる退去請求しかできず,強制的に排除することなどの自救行為をしてはならない。

Tが義務を履行せず,しかし退去している場合は,Lは放棄(surrender),無視(ignore),転貸(re-let)ができる。

 

3. Landlord’s Duties

①目的不動産引渡し義務

②Implied Covenant of Quiet Enjoyment

TがLの干渉なく物件を平穏に利用できるようにしなければならない。

以下の要件(SING)を満たすと,みなし追放(constructive eviction)としてこの違反となる。

Substantial Interference…雨が降るたびに雨漏りがしてLがそれを直さないなど,実質的侵害が頻発することをいう。

Notice…Tが上記問題につきLにきちんと通知することをいう。

Goodbye…Lが是正を怠ったためにTが退去すること。

③Implied Warranty of Habituality

居住するということにつき黙示的に保証した場合は,その地域の基準などに照らし物件を通常の居住に適合するようにしなければならない。

この保証に反した場合は,Tは退去,修繕と費用の差し引き,賃料値下げ,残って損害賠償(Move, Repair, Reduce, Remain)ができる。

 

4. Assignment and Sublease

Assignment(賃借権譲渡)

これにより,TとLの間の不動産関係は終了する。

Sublease(転貸)

TとLの不動産関係は存続し,Lと転借人の間には何らの関係も発生しない。つまり,T(転貸人)は転借人の行為について責任を負い,LはTに責任を追求できるということになる。

 

5. L's Tort Liability

Lは,物件を安全に保つ義務を負っているわけではない。しかし,共用部の管理,隠れた瑕疵についてのTへの警告,修理の引受けなどについては義務を負う。

 

Ⅲ. SERVITUDES

Servitudesとは,不動産についての占有を伴わない権利を言う。

1. Easement(地役権)

The grant of a nonpossessory property interest entitles its holder to some form of use or enjoyment of another's land, called the servient tenement.

EasementにはAffirmative EasementとNegative Easementとがある。Affirmativeはその土地で何かをできるという権利,Negativeは本来承役地の所有者が行えることを行わないようにするものであり,光・空気・支え・水を遮らないことを内容とするものである。これは明示的でなければ形成されない。

Affirmative Easementは,以下の4つの方法(PING)により形成される。

  1. Prescriotion(取得時効)…continuous, open and notorious, actual under a claim og right that is hostile for request statutory period.
  2. Implication(黙示)…implied from prior use; at time land is severed, a used of one part existed from which it can be inferred that an easement permitting its continuation was intended.
  3. Neccessity(必要性)…division of a tract deprives one lot of means of acces out.いわゆる囲繞地である
  4. By Grant(設定)…writing signed by a grantor

Termination of an easement,すなわちeasementの終了には,以下の事由(END CRAMP)がある。

  1. Estoppel(禁反言)…要役地所有者(easement holder)
  2. Necessity…必要性により形成された場合は,その必要性がなくなれば消滅する。もっとも,その場合でも明示的に付与された場合は,必要性がなくなったからと行って自動的に消滅はしない。
  3. Destruction(要役地の破壊)…Destruction of the servient land
  4. Condemnation(土地収用)…Condemnation of the servient estate
  5. Release(放棄)…A written release
  6. Abandonment(不使用)…Show intent to never use easement again
  7. Merger(混同)…要役地と承役地の所有者が同一人になること
  8. Prescription(取得時効)

2. The License(許可)

A mere privilege to enter another's land for a delineated purpose.

Easementとは異なる単なる許可で,許可者の意思でいつでも撤回できる。

 

3. Profit(収益権)

The Profit entitles its holder to enter the servient land and take from it the soil or some substance of the soil, timber, minerals, oil.

要役地の土壌から物質を得る権利である。

 

4. Covenants

A promise to do or refrain from doing something related to land.

コベナンツとは一般に土地に対する不作為の約束(制約)のことをいう。不動産に関する新たな権利が与えられるわけではなく,契約上の制限・約束を加えるものである。affirmative, negative双方がある。

損害賠償を求めるものがコベナンツで,差止命令を求めるのが次に紹介するEquitable Servitudesである。

 

5. Equitable Servitudes(衡平法上の負担)

A promise that equity will enforce against successors. It is accompanied by injunctive relief, not damages.

後主に対しても拘束力がある衡平法上の負担を形成するには,以下の要件が必要である。

Writing, Intent, Touch and Concern, Notice(書面で拘束の意図を示し,またその約束が土地所有者として当事者に影響を及ぼすものであり,譲受人がその約束について悪意であること)

 

 

Ⅳ. Adverse Possession(不法所持による時効取得)

時効取得は以下の4要件を満たしてなされる。

①Continuous(継続)

Use has to be uninterrupted for given statutory period. (通常20〜30年)

②Open and Notorious(公開かつ通常)

A sort of possession that the ordinary owners would make under the circumstances: visible occupation is required.

③Actual(現実)

The entry cannot be hypothetical or fictitious.

④Hostile(所有者の同意が無いこと)

The possessor does not have the true owner's permission to be there. なお,マルチステートでは占有者の主観は関係ない(善意悪意の違いはない)。

 

なお,時効取得を主張する者は全占有者の占有期間との通算 (Tacking)を主張できるが,そのためにはPrivity(血縁,契約,ディード,遺言など不法でない関係性)が必要である。

 時効期間開始後に所有者が障害(disabilities)を有している場合は時効は完成しない。障害とは,未成年,精神障害,受刑などである。

 

 

Ⅴ. LAND CONVEYANCING(不動産権利譲渡)

1. The Land Contract(土地契約書)

土地の契約にはSOFが適用されるので,両当事者の署名ある書面により締結され,またConsiderationが定められる必要がある。

契約書記載の土地の広さと実際の広さが異なった場合は,価格の減額とSpecific Performanceが救済となる。

なお,SOFについてはPart Performance Doctrine(一部履行法理)があり,①買主の占有,②一部ないし全額の支払い,③実質的改良(Substantial improvements)のどれか2つがあれば,口頭契約でも有効である。

全ての土地売買契約には2つのImplied Promiseがある。一つは,クロージング時に売買可能な権原を以上することを約束すること,もう一つは,訴訟の脅威などがない標準的所有権を移譲するということである。

以下の3つの事情があると,権原は売買不能となる。

  1. Adverse Possession(不法所持)…一部でも生じていれば売買不能となる。
  2. Encumbrances(負担)…負担のない完全所有権でなければならない。
  3. Zoning Violation(用途規制違反)…訴訟リスクがあるためである。

売主は隠れた重大な瑕疵(Latent material defects)について虚偽の説明をしないことを約束しなければならず,虚偽や不作為につき責任を負う。

 

2. The Closing

Deed

重要な書類はDeedである。これはLegal Titleを売主から買主に移転するものである。Deedは付与者により署名された書面でなければならないが,Considerationの記載は不要である。

土地の説明は完璧である必要はないが,明確である必要がある。

引渡し要件(Delivery Requirement)はDeedを物理的に渡す(Physical Transfers)ことにより満たされる。もっとも,これが必ず必要というわけではない。要するに,DeedのPhysical Transferは,Deliveryの十分条件ではあるが,必要条件ではないということである。あくまで重要なのは意図(Present Intent)である。

Covenants for Title and the Three Types of Deed

  1. Quitclaim(権利放棄証書)…何らのコベナンツも含んでいない。しかし契約書でクロージング時に売買可能な所有権を移転することは約束しているので,このDeedが意味するのは,クロージング後の責任は何ら負わない,ということである。
  2. General Warranty Deed(一般保証証書)…前主含むすべての瑕疵を保証したもの。付与者に所有権・移転権原があること,地役権やモーゲージがないこと,平穏利用享受が可能なことなどを保障する(Warrants against all defect in title including those grantor's predecessors)
  3. Statutory Special Warranty Deed(制定法上の特別保証証書)…付与者自身のみについて保証するもの。①付与者は被付与者以外に当該不動産を譲渡していないこと,②不動産について負担を与えていないこと,を保証する。

 

Ⅵ. OTHERS

1. Recording System

A,Bと順に土地が譲渡された場合,どちらが勝つかという二重譲渡と登記の問題である。

コモンローでは,先に土地を得た者がValid Titleを取得するというルールだが,実際には州ごとに異なるルールが採用されているので,それを理解する必要がある。

Bona Fide Purchaser (善意の買主。BFP)とは,Person who takes property without notice of a prior instrument, and pays valuable considerationである。 

Race Statute Jurisdiction - First to record wins!

先に登記を得たら勝つ。善意悪意は無関係である。

Notice Statute Jurisdiction - Subsequent BFP wins!

BFPでなければならない。また,前主が登記をしていないことが必要。

Race Notice Statute Jurisdiction - Subsequent BFP who records first wins!

BFPでなければならない。また, 前主より先に登記をしなければならない。

 

The Shelter Rule

BFPからの譲受人は,たとえ自らが悪意でも,BFPが勝つ第三者に対して優先する。日本でいう絶対的構成のような感じである。これにより,BFPが容易に土地を譲渡できるようになっている。

 

2. Mortgages (Land Finance)

Mortgageとは,債務支払の担保として土地の担保権を移転することを言う(A mortgage is the conveyance of a security interest in land, intended by the parties to be collateral for the repayment of a debt)

The Equitable Mortgage

 

NY Bar 6 - MPT Work shop

さて、バーブリでもMPTの対策が始まった

MPTは知識が問われない純粋な読解・論述試験のため、明らかにアメリカ人に比べると不利であり、外国人、特に日本人は敬遠しがちである

が、今年から配点が20%になったし、決して軽んじることはできない

 

Workshopで学んだことの要点はだいたい以下の感じである(著作権的に若干心配ではあるので問題があれば言ってください)

 

バーブリが推奨する解き方は、資料読解とアウトライン作成に45分、回答に45分とのことである。そして、流れとしては、

  1. 目次をざっと読んで、Client, Type of documentなどを把握
  2. FILEのTask memoを読んで、求められている文書を把握(方法は以下)
  3. LIBRARYを読む。newest caseから先に読む。footnoteにも気を配る。次に、statutory materialsに移る。両者の関係を考察し、論述の流れを決める
  4. FILEに移る。必要なFactsを集める
  5. いざ書く

*書く内容が決まってないうちにFILEを読んでも時間の無駄なので、task memo以外は後回しにすること

 

なお、設問とも言えるtask memoの読み取りが重要で、推奨されている方法は以下のCall Dr Tというステップ

  • CLIENT: Who is the client?
  • AUDIENCE: Is my audience a lawyer, lay person, or both?
  • LEGAL PROBLEM: What legal problem does the task memo instruct you to research and solve to help your client?
  • LIMITING INSTRUCTIONS: Are there any instructions that narrow or limit the scope of my task?
  • DOCUMENT: What type of document does the task memo ask you to draft? A memo, letter , brief, or something else?
  • RESEARCH QUESTIONS: Are there any terms mentioned in the task memo that I want more information about?
  • TONE: Should you use an objective or persuasive tone when you draft?

 

時間勝負で、模範解答も長く、ちと(いや、かなり)絶望したが、先輩曰く出題の仕方は毎年同じだし、ある程度は資料をそのまま引き写しても合格点に届くということなので、徹底的に過去問と模範解答の検討をしたいと思う。この手の特殊な試験はそれだけの数の過去問に触れたかが勝負だと思っている

なお、バーブリのSample Answerはクオリティ高すぎ&量多すぎなので、ネットで手に入る別の模範解答を使うつもり

 

バーブリの先生は、「MPTは知識が要らないんだからvacationみたいなもんよオホホホホ」と言ってたが、我々外国人には鬼門だろう(というかバー全部鬼門な気がするが)。てわけで地道に頑張ります

NY Bar 5 - Criminal Procedure

 

刑法と違って、日本の刑訴法はアメリカのCriminal Procedureの影響をかなり受けているので、オリジナルの議論を直接学べる楽しい科目である

例えば、毒樹の果実理論はアメリカのFruit of poisonous treeを輸入したものだし、毒樹の果実でも証拠とできる例外の場合である、Independence Source, Inevitable Discovery, Attenuationはそれぞれ独立入手源の法理、不可避的発見の法理、希釈法理として輸入されている

 

また、非常にスマートというか、議論、structureが整理されていて、システマチック。そのため、先生も、細切れに知識を覚えるのではなくまず全体像、構造を理解して、そこに知識を入れていくように、と言っていた

ただ、裏を返せばprincipleが無いとも言え、つまんねーとこぼしている友人も多かった。例えば、捜索差押えの分野では、日本では一つの抽象的な規範があり、それを直接当てはめることができないような限界事例が問われるが、アメリカでは、「こういう場合はこう」というようにケースが類型化されている。よって、原則を一つか二つ覚えて、例外を幾つか覚えればよく、何というか暗記よりになっている

また、日本では、無令状捜索差押えがそもそもなぜ許されるのか、という点に議論があり、相当説と緊急処分説が対立しているが、そう言った議論は無い。というか、急迫状況(Exigent circumstances)あれば良いとする一方で、逮捕に伴う自動車の捜索(Automobiles searched incident to a custodial arrest)においては自動車が証拠物を含んでるとの合理的な理由を要求しているあたり、折衷的ということができそうである。さらに言えば、ニューヨークでは無令状身体検査(Frisk)の際は武器があると合理的に思う場合にしか認めないものの、マルチステートは法禁物(つまり薬物とか)でも認めるとするなど、結構ばらばら

 

内容的には、日本の刑訴から証拠法を除いたところという感じだが、日本以上に憲法の要素が強く、憲法修正4条(捜索差押え)と修正5条・6条(自白、ミランダ法理)、修正14条(デュープロセス)の各論という感じである。その他の論点も、二重の危険(Double Jeopardy)とか、自己負罪拒否特権(The priviledge against compelled testimony)とか、憲法から派生している。そしてこの辺りは日本が輸入している概念でもある

なお、公訴の提起の分野は無いので、あのめんどくさくてよく分からない訴因とかいうやつを学ばなくて良い。訴因ってアメリカ由来じゃなかったっけ?

 

 ちなみに、捜索差押えのstructureは明確で、以下のようになっている

 

●適法な令状による捜索差押えの要件

前提として、修正4条が適用されること

  • 捜査機関による
  • area or item protected by the 4th amendmentに行われた
  • 捜査機関がprotected areaに入るかpriacyを侵害した
  • 捜索差押え対象者に原告適格がある(個人のプライバシー権の侵害)

その上で、

  • 令状が中立的な判事により発行
  • 令状が合理的理由(probable cause)と特定性(particularity)を満たす    *probable causeとparticularityが無い場合、警察官は瑕疵ある令状を善意に(in a good faith)信頼した
  • 令状が警察官により適切に執行

されることが必要になる。各々の要件が論点となる。

 

●適法な無令状捜索差押えの要件

また、適法な無令状捜索差押えは、以下どれかに当てはまれば良い

  • 急迫性質(令状取る暇ない)Exigent Circumstances
  • 逮捕の伴うもの(逮捕されたら修正4条の権利がなくなる) Search Incident to Arrest
  • 対象者の同意 Consent
  • 車(プライバシーの期待が少ない)Automobile Exception
  • 外から見て明らかに違法な者がある Plain View
  • 収容に伴うもの Inventory Searched
  • その他特別な必要性 Special Needs
  • 職質と身体検査 Terry Stop and Frisk

 

ともかく、日本と違って、立法理由や規定の趣旨が問われることはなく、規範を覚えて、原則と例外、具体例を頭に入れれば良い感じ。やはり得点源にしたい科目である

 

 

NY Bar 4 - Criminal Lawの授業終了

ということで、2科目目のCriminal Lawの授業終了

とはいっても、たった1日で、しかもなぜかコマ数も少なく、実質3時間足らずの授業だった。それで刑法という科目の一応全てをカバーするんだからおそろしい

Tortsでも思ったが、アメリカの法律は、そもそも日本のように説が対立しているところが少ない。一応、MPC(Majority Penal Code。大多数の州が採用している説)とMinority Stateという違いはあるわけだが、何というか州ごとの思想の違いに過ぎなくて、日本でいうと、「県ごとに条例の細かい規定の内容は当然違いますよね」というくらいに思える

というわけで、説の対立に悩むこともなく、エッセイにおいてはいきなり規範をドンと書けば良い。そういう意味では、本当に暗記な試験だなと思った

某日本の先生と話してると「アメリカはすっきりしてていいよなー日本は本当バカだわ」とおっしゃっていたが、同意である

 

刑法は、比較的ニューヨーク法が特殊な部類に入るらしく、昨年までのアウトラインを見ると、まずはマルチステートの内容を説明して、その都度ニューヨークが異なる規定を採用している場合はそれを説明する。という感じだった。今年はMBE採用により差し当りはニューヨークプロパーの知識はないので、その点は楽になっている

以上の理由からアウトラインはニューヨークの知識も含んでいるので、修正した法がいいかもしれないが、それも面倒なので、僕は単純にニューヨークのところに×をつけて無視する形で済ませている

 

アメリカに来る時、仲のいい刑法のN先生から、「アメリカは手続法は発達しているけど実体法はイマイチだから、刑法はつまらないかもね」と言われた。それがいちばん好きな刑法ではなくEvidenceを履修した理由の一つでもある

実際刑法を勉強してみると、日本で問題となるところ(正当防衛や共犯など)が非常にあっさり説明されて、「ほんとにこんなんでいいの?」というくらい。ともかく構成要件(行為要件The act of requirementと心理状態Mental states)を丸暗記すればよさそう

内容についての面白かったこと、思いついたことなどをつらつらと。主に日米の相違について。同じなところについても少し

  • 作為義務の発生要件がわかりやすい(①法定作為義務(制定法、契約、被害者との関係、親子、配偶者、自主的保護の引き受け、危険の形成)、②作為義務を生じる事実についての認識、③作為可能性)
  • 犯罪を心理状態(mental state)で類型化する
  • 殺人(Homicide)が細かい(First degree premeditated muder, Murder, Felony murder, Voluntary manslaughter, Involuntary manslaughter)。ただし、日本の、傷害致死や強盗致死のように個々の犯罪の結果的加重犯としての類型化ではなく、殺人の一般的態様で類型化している、という違いによる
  • Strict Libalibityという抗弁が許されない犯罪類型があり、Staturory rapeについては年齢に錯誤がありいくらそれに合理的な理由があっても有罪になる。アメリカらしい厳しさ
  • 暴行罪と傷害罪の区別がない(両方Battery)
  • 窃盗罪(Larceny)と放火罪(Arson )の名前がかっこいい
  • Larcenyでは、行為時に故意が必要だが、返すつもりで了得し、のちに窃盗の故意を生じた場合は、continuing trespassとしてその時点で窃盗を成立させるという擬製がある。
  • 詐欺はFraudじゃなくてFalse Pretensesと呼ぶ。ちなみに、museのsupermassive black holeという曲に"You caught me under false pretenses"という歌詞があり、それを思い出す
  • 日本でも、相手を錯誤に陥らせて占有を移転させた場合は、終局的処分行為がないとして詐欺ではなく窃盗を成立させるが、アメリカでも、窃盗となる。理由付けが終局的処分行為の有無ではなく所有権titleの移転の有無、そしてLarceny by trickという名前が別についているという違いがあるが、発想としては同じ
  • 日本の強盗罪は「相手方の犯行を抑圧するに足りる程度の暴行・脅迫」によることが要件だが、アメリカのRobberyも"Any amount of force sufficient to overcome resistancy is sufficient"として、同じ要件。ただし、言い回し的にアメリカの法が要件がゆるいのかもしれない
  • 全体的に罪が少ない。賄賂罪とかはどこへいった…?
  • 日本の承継的共同正犯では、先行者の行為や結果を、自己の犯罪遂行の手段として積極的に利用する意思が必要とされる。これに対して、アメリカのAccessory after the fact(事後共犯)理論は、①重罪を犯した実行犯を助ける、②犯罪行為について知っている、③実行犯の逮捕、有罪判決を防ぐ意思、というのを要件としている。つまり、要件が違うのはもちろん、日本は自己の犯罪として、アメリカは共犯者を助けるものとして、というように、そもそも概念自体が異なっている(そういう意味では、これを比較する実益はないかもしれない)
  • 日本の共謀共同正犯では、要件は、①共謀(意思連絡)、②正犯意思、③共謀に基づいた一部の者の実行、である。これに対してアメリカのConspiracy(共謀)理論は、①顕示行為(overt act)、②合意、③合意が共謀の目的を達成するためになされること、であり、正犯意思もいらなければ、そもそも犯行の実行もいらない
  • 心神耗弱がなく、心神喪失(Insanity)しかない
  • Voluntary intoxication(自主的酩酊)という原自行為的な理論があるが、specific intent crimesでしか抗弁とならないものの、日本のように面倒な要件がなく、判断能力が深刻に低下してさえいればよい
  • 正当防衛では、deadly force(致死的な力)という概念で場合分けがなされる。銃があるアメリカらしい

 

ざっとだけど、こんなところだろうか

ご存知のように日本の刑法はドイツの影響を受けている。ドイツ人の友達と一緒に授業を受けていたが、彼とはいろいろ話があったし、もちろん彼はtatbestandについてよく知っている

そういうわけで、アメリカの刑法とは相違点が多い。その意味では少し戸惑うところもあるが、全体的にsuperficialなので、そんなに難しくはなさそう

 

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以下加筆

Criminal Lawは比較的解きやすい科目であるが,一応重要なところのみアウトライン的に言及しておく。

Homicide

Homicideとは広い意味での殺人という意味だが,様々な種類がある。

Murder

 

NY Bar 3 - Tortsの授業終了

1科目であるTortsの授業が終了

授業は非常に明快で、hypoも多く、ジョークも多く、とても面白かった。つくづく、アカデミックでのんびりとしている大学の講義よりも、こういう授業のほうがあってるなと思う

体験記とかを読んでると、「ザーッとさらうだけで知的刺激が少しもなくつまらない」という記述をしばしば見かけるので、僕の頭はそういう高尚な知的刺激より短絡的な理解を好むんだな、と少し悲しくなっております

 

Tortsは内容的に、日本法とも似通っているし、イメージがしやすいのでわかりやすい科目である。MBEを少し解いてみたが同じような問題ばかりだし、エッセイもまぁワンパターンだろう。得点源にしたい科目である

内容については、

  • 日本法と違ってプライバシー権が明確なので名誉毀損については真実性が抗弁となる
  • 侵害の対象によって細かく類型化されており、わかりやすい
  • 因果関係のBut for test + Proximate causationという判断基準が非常に簡明(名前はややこしいが)
  • また、因果関係の介在事情(Indirect cause case)が類型化されていてわかりやすい
  • Eggshell Sull Principleでたーwwwwww

などなどが感想。ざっくり言うと、日本法だと面倒な議論がある部分が事案の積み重ねで類型化されていて、非常に簡明な説明だなという印象。さすがアメリカ、という感じである

 

 

Tortsに関してはMノートがとても役に立った。先生のhypoやジョークも全て網羅されている。オチが先に分かってしまうという残念さはあるものの、授業の前にほぼ全て理解して臨み、授業はそれをなぞっていい具合に復習になる。英語の聞き取りが弱い身としては助かります

明日からの科目はHandoutがあるので、どのノートを使うか、紙かラップトップか、で少し迷っている。本番もラップトップで受けることを考えると、今からタイピングに慣れていくことは必要そうだが、記憶の定着と、書き込みのしやすさなどを考えるとやはり紙かな、と

そして、ノートについては、日本語メイン・日本語英語折衷・英語のみ、という選択肢がある。理解には圧倒的に日本語メインがいいのだが、本番はどうせ全て英語なことを考えると英語に慣れておくべき、というのも一理ある。が、今の所は、自分の英語力を過信せず、やはり日本語メインで行こうかなと思っている。何より理解することが先決で、暗記やアウトプットについては後で考えればいいかなと思っているからだ

 

復習と予習、あとは適宜MBEの問題をといていく感じ。Tortsはすでに6割取れたので、なんとかなりそう

 

ということで、明日はCriminal Law

NY Bar 2 - 対策の基本方針

さて、前回の記事で出題内容などをざっと確認したので、今回は対策の基本方針(態度)について

ざっくり言うと

  1. バーブリの要求にきちんと応える
  2. その上で多めにやる
  3. 問題を多く解く
  4. 強弱をつける
  5. 日本語で理解してから英語のアウトラインや授業に臨む

 

という感じである。以下で詳述。

1. バーブリの要求にきちんと応える

要するに、「言われたことをちゃんとやる」ということ。人間は不思議なもので、何か課題が与えられると、「これでほんとに足りんのかよ?」と不安になり、余計なことをやろうとして、結局与えられた課題をこなさずに終わることが多い。

恥ずかしながらぺんぎんもそのタイプで、与えられたこともきちんとこなさず、余計なものに手を出して、結局全体としては勉強量が足りていなかった、という経験が多い気がする。

バーブリの最初のビデオでも言われたように、バー合格には、bestである必要も、goodである必要もなく、good enoughであればよい、のだから、まず大事なのはみんながやっていることをきちんとこなすこと、なはず。最大手が一応「これだけやれば平気」と提示しているのだから、そのボトムラインをきっちり守りたい。

具体的には、基本的には授業にはすべて出席し、やれと言われた課題はすべてこなしたい所存。

 

2. その上で多めにやる

1と矛盾するようであるが、バーブリは基本的にはJD向けに設定されたものであるので、我々LLMはやはり彼らより多めに勉強しなければならないだろう、ということ。

基本的に、スケジュールより少し早めに予習を進め、講義と並行して問題を解いていくことを目標とする。

 

3. 問題を多く解く

MPREでは、発表後に友人に勉強法とスコアを尋ねると、practice setを解いた回数と点数とが比較的比例していた。

アウトラインの量は膨大で、ダラダラ読んでいても頭に入らないし、出題されるところは決まっているし、出題のされ方に慣れる必要がある。実際に問題を解くと「あ、ここほんとに出るんだ」と危機感が生じて勉強のモチベーションにもなる。

というわけで、アウトラインをそこそこに読んだら、どんどん問題を解いていきたい。その上でアウトラインに戻るなど、行ったり来たりしたい。

 

4. 強弱をつける

我々に与えられた時間は短く、そして課される分野は幅広い。というわけで、「アメリカ法極めるンゴ〜」という発想は捨て去って、試験でいかに点を取るかに集中したい。つまり、よく出る分野を集中的に勉強したい。

バーブリの言うことは守りつつも、馬鹿正直に全部極めようということはせず、出るとこを効率的にやりたい。

MBEについては、既に述べた、「問題を解く」ということでこの点は解決できるだろう。

MEEについては、幸い、smart bar prepというサイトが頻出論点をまとめてくれている(フリーダウンロード可能)ので、ここに記載されている問題を集中的にやればよいと思う。

 

5. 日本語で理解してから英語のアウトラインや授業に臨む

僕はLLMに来た当初、「アメリカ法を直接英語で理解することが大事ンゴ。日本語のアンチョコには頼らないンゴ」と息巻いていただが、普通に無理だった。

僕は帰国子女ではないし、ずっと日本語で法律を勉強してきたのだから、まずは概念と思考を日本語で理解し、その上で英語の文献にあたったほうが、結局のところ、圧倒的に理解は早く、深い。悲しいが、結局、日本と日本語からは離れられないのだ。

そういうわけで樋口先生の本とかは持ってきていなかったのだが、いくつかはニューヨークなどで仕入れた。あと、日本語で詳細な解説がされているアウトラインも手に入れた。なので、まずはこれらをザッと読んで概念を理解し、その上で英語のアウトライン等を読む、という方法を取りたい。

 

講義が本格的には始まってないのでなんとも言えませんが、今の所はこんな感じです。

各科目の方針とかは勉強していく中で書いていきたいと思います。あと、MEEとMPTについては実際に問題を解いて発見がいろいろあると思うので、随時書いていきます。

NY Bar 1 - UBEの出題科目など

さて、卒業して少しのんびりし、先日から予備校のバー対策が始まった。

バーを受けない人のために簡単に説明しておくと、アメリカでは、ロースクールの勉強と司法試験(bar exam)に向けた勉強とは完全に切り離されており、五月半ばの卒業後から、バー対策に切り替え、二ヶ月で一気に詰め込む、というわりとむちゃくちゃなカリキュラムになっている。

予備校については、僕は、一番大手であり、特にペンでは定番のbarbriという予備校を使うことにした。恐らく日本人受験生の9割以上はbarbriを使うと思われる。

barbri bar reviewと言われるように、JDにとっては基本的には今までやった勉強の復習という感じだが、多くのLLMにとっては、新たな分野の勉強を今から始めることになる。しんどい二ヶ月であることが予想される。

 

さて、今回は出題科目などをざっとおさらい。

周知の通り、NY Barは今年から仕様が変わり、UBE (Uniform Bar Exam)が採用され、別立てで行われるNYLE (New York Law Exam)を除けば、全州統一の試験がなされる。

そしてその試験は、以下の3つの試験で構成される。

1. MBE (Multistate Bar Exam)

200問の択一試験。6時間。配点50%。2日目に実施。

出題範囲は、

Constitutional Law, Contracts and Sales, Criminla Law, Criminal Procedure, Federal Civil Procedure, Real Property, Torts

8科目

*ただし、Criminal LawとCriminal Proは二つで一つと数えるので、問題数の割合で言うと、全部で7科目となる。

MPRE同様、問題文が長い割に非常に時間制限が厳しく(1問あたり108秒)、選択肢も曖昧なものが多いため、正確な知識と高速な処理能力が求められる。

 

 

2. MEE (Multistate Essay Exam)

6題のエッセイ(論述)試験。1題あたり30分。配点30%。1日目に実施。

出題範囲は、上のMBE科目に加え、barbriのアウトラインに従うと、

Agency, Coporations, Partnership (以上をまとめてBusiness Association), Conflict of Laws, Family Law, Secured Transactions (UCC), Trusts, Wills

の8科目。

よって、合計16科目が出題範囲となる。

日本の試験に比べると、難しい法律解釈が期待されるというよりは、素早い問題処理(IRAC)が求められる模様。

 

3. MPT (Multistate Perfomance Test)

2題のエッセイ(論述)試験。1題あたり90分。配点20%。1日目に実施。

法律文書作成の試験。出題範囲はすべての法律だが、必要な法律知識は問題文ですべて与えられる(架空の法律もあったりする)。

よって、問われるのは、法律の知識ではなく、「与えられた資料を読んで、指示通りの法律文書を作成する能力」となる。

 

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ということで、日本の司法試験との決定的な違いは、「配点の半分が択一試験」ということだろう。

つまり、MPTを置いておくと、「与えられた長い問題文を読んで、自分の頭で考えて、論理的な文章を作成する」というよりは、「長い問題文をサッサと読めますか?幅広い法律知識を反射的に出せるように覚えていますか?」ということが問われているように思う。

そういうわけで、barbriでもMBEに重点が置かれている。もっとも、先輩などに聞いてみると、MBEで点を稼ぐことにやっきになるよりも、MEE, MPT含めバランスよく点数を取ることが重要らしい。その点については今後詳述していきたい。

次回はバー対策の全体的な指針というか、心がけについて書きたいと思います。