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ぺんぎんぺーぱーちぇーす -PennLawLL.M.留学記-

University of Pennsylvania Law School LL.M.(ペンシルベニア州フィラデルフィア)を修了し、日本に帰ってきました。留学時代のことやアメリカのことなどを細々と書いていきます。

アメリカ大統領選の結果を受けて、感想めいたもの


Donald Trump's victory speech in full – video

 

なんとトランプが勝ってしまった。なんだかんだ言ってクリントンが勝つと思っていたので、驚いてる

そしてそれは皆さんも同じだろう。NYTですら、開票開始時は80パーでクリントンが勝つとしてたのだ。選挙前の予想なんて信じられたものじゃないことが証明されてしまった

 

結果の原因

今回の結果の原因は色々書かれているのであえて僕が書く必要は無いだろうが、感想的な感じで書いておく

 

隠れトランプが思いの外多かった・ポリコレへの疲れ

やはりトランプ支持を表明することは自分が差別主義者と表明することにも繋がりかねないので、表立って言う人は少なかった

また、エリート白人層では、僕が以前書いたような「白人差別」を受けて、こっそりトランプに投票した人も多かっただろう

「アメリカは権利意識が高くてすごいなぁ」と僕も常々思っていたが、恐らく彼らもそれに疲れていたのだろう。人種宗教階層関係なくみんなが平等というのは理想だが、やっぱりそれは不可能だと少し諦観を感じる

アメリカ人は、周りにどんな人がいるかわからないので、普段はマイノリティとかをバカにする発言はできない。特定の国の悪口も言えない(目の前の人がそことのハーフかもしれない)。でも、人間そんなキレイなものではない。たまにはブラックジョークとかも言いたくなるだろう。そういうののガス抜きがFamili Guyとかのブラックなアニメだと思っていたが、それだけじゃ足りないということだろう。発言をするたびに神経を使っていて、擦り切れてしまった(あるいは、トランプを見ていてその必要性に疑問を感じた)のがこの結果かもしれない

 

ノリで投票してしまった

Brexitのときもそうだったけど、「まさか当選しないだろう」と思ってノリでトランプに投票してしまった人が結構いたのかもしれない

 

我々が見ていた「アメリカ」はアメリカの半分でしかなかった

確かにそうなのだ。結局、日本人が知っているアメリカというのは旅行や仕事で訪れる都会(カリフォルニア沿岸部、NY、DC、ボストン、マイアミ、オーランド、シカゴなど)あるいは、それにプラスして有名大学がある大学街(アナーバー、イサカとか)だけであって、それ以外の南部や中西部のことは、映画でくらいでしか知らなかったのだ

僕にとっても、以前留学していたカリフォルニアのYolo County、そしてこの前までいたフィラデルフィアは、どちらも8:2くらいでクリントンだった。結局、そういう「民主党的な」アメリカだけを見ていたにすぎない。ペンシルベニアは結果的にトランプで、そしてこれが全体の勝利を決定づけてしまったわけだが……

FBのフィードはアメリカ人たちの阿鼻叫喚で溢れている。冗談じゃなく、地獄のような様相を呈している。喜んでいる人はほぼいない

もっとも、こういうことを言うと「おまえはアッパー層にいることをアピールしたいだけじゃねーか」という批判が来るだろう。まぁ、ロースクールなんてその最たるものだろうから、特別否定はしない

 

しかし、これを受けて、「田舎の低学歴労働者はしょうもねー」と言い放ってしまうのは少しどうかと思う。それはやはり民主主義の否定だろうし、今までの政治がそうした人たちの声を十分に拾っていなかったのも事実なのである

しかも、投票した人の属性を見ると、高所得者層はトランプに投票していたし(法人税の引き下げを言ってるから当たり前ではあるのだが)、そう簡単な話でもない

 

 

 

今後の影響

この大統領選の結果は、アメリカだけでなく世界レベルで大きな影響がある。日本も例外ではない

ヘイトクライムが増える

トランプが勝ったことにより、「人種差別が容認された」と考える人は少なくないだろう。人種マイノリティ、LGBTQ等に対するヘイトクライムは今後更に増えると予想される。とりわけ、ミソジニーは大きく力を増すだろう。あれだけ女性蔑視をしていたトランプが女性に勝ってしまったのだから。性犯罪なんかも増えると思う

そして、司法についていうと、トランプが保守派の裁判官を指名すると、今までの歴史で認められてきた権利が大きく後退するだろう。裁判官は終身制なので、その影響は計り知れない。そして、アメリカを参考にしている日本にも影響がないとは思えない

 

日本での9条の議論の盛り上がり

トランプが発言通り日本に米軍費の支払いを要求するとすると、日本では米軍なんていらねーという声が盛り上がるはず。憲法改正の話は進むだろうし、核を持つかどうかという議論も出てくると思う

フランスやフィリピンでも右派が台頭しているようだし、グローバル化が一つの終焉を迎えて、それぞれの国家がより独立していくんだろうなぁ、と思う

ただ、これが議論のきっかけになるのなら、喜ばしいかもしれない。今日本は決断が迫られているのだ。このまま日米同盟を継続していくか、同盟は続けるにしても、日本も自主防衛力を持つべきなのか。日本人は最早平和ボケしてるわけにはいかない

 

チャレンジが増える・反知性主義の前進・倫理観(ポリコレ)の後退

トランプは元々裕福な家庭に生まれたとはいえ、いい大学を出て、自分の力で会社を大きくし、世界屈指の富豪に上り詰め、美しい妻をもらい、アメリカ各地に自分の名前を冠したビルを建て、ニューヨークの一等地に住んでいる。そして、政治経験が無いのに、アメリカ大統領に選ばれた。まさにアメリカンドリームというか、「経験が無くても、やる気と信念があれば何でもできる」という空気感になるだろう。これは喜ばしいと思う

一方で、イェールローを出て、弁護士になり、国務長官として働き、といういわゆる「エリート」の代表格であるクリントンの敗北は、反知性主義を更に進めることになるかもしれない

更に、ヘイトクライムの増加にも関係するが、トランプの勝利により「多少ポリコレに反することでもビビらずに言ったもんがち」「目的のためなら手段に多少問題があっても構わない」「本音を言うという名目があれば他人を貶めても平気」という空気感が出てくるだろう。みんな建前を捨てて本音を言える社会はいいのかもしれないが、弱者は間違いなく生きづらくなると思う

 

 

まぁ他にもたくさんあるだろうが、パッと思いついたのはこんなところだ

まさに今我々は時代の節目に生きてるんだな、という感じがする。今後もこの影響がもたらすものには注視していきたい。