僕が利用した交換留学選考についてしばしば訊かれるので、情報公開して問題ない限りでまとめておこうと思います。
仮にうちの大学院の制度を利用してLLM留学しようという人がいれば、役に立てるのではと思います。
1 概要
フランス、ドイツ、韓国、カナダへの留学もありますが、アメリカのみに話を絞ると、以下の学校が選択肢としてあります。
《Non-Degree》
スタンフォード、コロンビア
《LLM》
ペンシルベニア、バージニア、ミシガン、コーネル、UCヘイスティングス、フォーダム、イリノイ、ワシントン(シアトル)
Non-Degreeというのはその名の通り学位が得られない普通の交換留学です。超トップ校が選択肢としてありますが、学位は得られず、従ってNY州司法試験も受けられないというデメリットがあります。
LLMには法学部卒しか行けないという規定を設けているので、法学部以外の出身で留学したい場合や法学研究科の方がこちらを利用するケースが多いです。
LLMは、正規の過程に入学し、マスターの学位が得られます。交換留学なのに正規過程、という中々特殊なポジションになります。
Non-DegreeもLLMも、1年(10ヶ月)の留学です。
2 選考過程
選考は、まず書類選考で、TOEFLと書類(Personal Statement, Study Plan)を提出します。
これが通ると、面接選考。面接に通れば派遣の内定という形になります。ただ、あくまで内定なので、改めて留学先の学校から合格通知を得る必要があります。
3 選考の考慮要素
選考は、判明している限りは以下の要素で行われます。
②GPA
③出願書類(Personal Statement, Study Plan)
④面接
⑤交換留学生優先枠の有無
以下で簡単に説明します。
① TOEFL
これは、100点が必須となります。
ロースクールは学校によっては90点くらいでも通してくれたりしますが、100点というのは早稲田が派遣するための要件なので、どの学校にアプライする場合でも必須です。
100点を超えた場合、例えば100点と110点で差がつくかは定かではありません。
② GPA
これは大学院春学期のみの成績です。学部の成績は提出しません。
半期だけなので、ここでしくると痛いです。その分「ここで成績取れないと留学行けない」というプレッシャーがすごかったですね…。
僕は一応上位20%くらいだったのですが、要件が厳しいペンやミシガンの場合はそれくらいが必要になると思われます。やはり法律を勉強しにいくわけなので法律の成績は重要でしょう。
③ 出願書類
Personal StatementとStudy Planの二つです。
《Personal Statement》
まぁいわゆる志望動機ですね。A4一枚ほど。
なぜアメリカに留学したいのか、なぜペンなのか、といったことを、今までの自分の経験や問題意識と合わせてアツく語ります。
ちなみに、これを書くときは法律文書の三段論法、すなわち「問題提起→規範→あてはめ」がそのまま使えたなと。
つまり、僕の場合は、
- 問題提起:国際的取引などに従事する弁護士になりたい。そのためには語学力、広い視野、米国会社法やビジネスの知識などが必要だ。どうすればいいか。
- 規範:アメリカに1年留学すれば英語をめっちゃ使う。ペンローはダイバーシティに重きを置いており多国籍である。NYやDCにも近くあらゆる分野に触れられる。ペンローは会社法・ビジネス分野で強い。
- あてはめ:ペンローに留学すれば、自分が求める英語力や広い視野や会社法・ビジネスの知識が得られる!!!!すごい!!!!これしかない!!!!
ざっくりいうとこんな感じです。シンプルですけど、英語的文章を書く際はこういうかっちりした構成の方が説得力が増していいと思います。
《Study Plan》
研究計画です。ただロースクールは「研究」って感じではないので、砕いて言うと、「取りたい授業」を書くことになります。こちらもA4一枚ほど。
これも上記と同様三段論法で書きます。
- 問題提起:ビジネスロイヤーになるには◯◯の知識が必要。
- 規範:ペンローには××や△△の授業がある。
- あてはめ:ペンローに留学すれば、なりたい自分になれる!!!!!
とこんな感じです。僕は具体的な授業名を4つほど挙げました。そのためにはシラバスを仔細に読まなくてはなりません。結構大変です。
しかし、具体性を持たせれば持たせるほど、「おれは他のどの学校でもなくペンに来なくてはならない」という説得力が増します。がんばりました。
そういえば、ここに書いた4つの授業、結局一個も取ってねぇや…(すんません)
この2つの書類作成は、かーーーーなり大変でした。ここまできちんとした英語の志望動機を書くのは初めてだったし、内容的にも文章的にも、推敲を繰り返しました。
そして、先輩や知り合いの先生に内容・文章両面で添削を繰り返ししてもらいました(5回はやったでしょうか)。最後に留学に来てたネイティブの子に文法をチェックしてもらい、完成です。
④ 面接
書類選考に通ったら、今度は先生方数名との英語面接です。
……こういう面接で訊かれた内容ってバラしても問題ないんですよね?笑
僕が訊かれたのは、
- 留学を希望する理由を3分程度で簡潔に述べよ
- なぜペンローを志望するか
- どうやって英語を勉強したのか
- 会社法の条文を一つ指摘してそれについて説明せよ
- ペンロー以外でも留学を志望するか
最初の2つはまぁ定番ですよね。これについては事前に回答を用意していたので、それを述べました。
3つ目は、僕は書類で「大学入るまで海外に出たことがない」みたいなことを書いてたのでそっから来た質問だと思います。「バックパッカーしててそこで身につけた。あとはカリフォルニアに留学した」とか答えました。
えーー……、面接ではいろいろあったので、また改めて書きたいと思います。
⑤ 交換留学生優先枠の有無
優先枠とは、大学院入試の段階で得られる枠です。出願時にTOEFL90かTOEIC900点以上あり、入試成績とかがそこそこいいともらえるようです。
しかし、ここでいう「優先」が、「優先して留学にいかせるよ」なのか「留学先まで優先的に選べるよ」のどちらなのかは定かではありません。まぁ、応募者がそんなにいないので前者だと意味がないので、後者かなとは思うのですが…。
<その他の考えられる要素>
ここから先はぺんぎんの予想です。全く考慮されてないかもしれません。
⑥ 人物
一応大学院の代表として送り出すわけですから、この辺も見られてるかもしれません。面接はもちろん、ゼミの先生に当たるとか?(そこまではしないか…)
⑦ 入試の際の成績
成績が前期のGPAだけでは少ない気もするので、もしかしたら入試の成績も考慮要素かも、しれません。
⑧ 入試の際のステメン
入試の際ステートメントと呼ばれる志望理由書を書きます。優先枠もそうですが、もしかしたらここで留学について書いてあるかどうかも見られるかもしれません。
というのは、僕はステメンで「入学したら絶対に留学します!!」と決意を示してるのに加え、「留学先はペンシルベニア大学ロースクールを志望しています」と明確に志望を書いていたからです。ここまで決めてるヤツはなかなかいないでしょう。もしかしたらこれが評価された、のかも??
4 派遣決定後
例年は教授会での決定前に内示みたいのが出てたみたいですが、僕の時は教授会の決定を経てからの通知だったので、1週間ほどかかりました。
僕は結果への不安からノイローゼとなり、ストレスで頰に巨大な腫瘍みたいのができるなど、最悪の状態でした。早く教えて欲しいよね…。
決定後にすることは、
<ペン以外>
① LSAC登録、出願
あくまで早稲田の選考に通ってもまだ決定ではありません。改めてLSACというサイトを通じて自分で出願する必要があります。
② レジュメ送付
たぶんいりますよね?レジュメとは英文履歴書ですね。決まったテンプレがないので、わりと面倒です。
③ 推薦状
2〜3通?ゼミの先生などにお願いするようです。
<ペン>
ペンの場合は大学同士の結びつきが強いおかげで、お手軽です。
① 基本情報、レジュメ、TOEFLの送付(メール)
担当者に直接メールです。LSACは使いません。
以上です。推薦状は入りません。
他のみんなは派遣決定から正式な合格まで3〜5ヶ月くらいかかっていましたが、ペンの場合は2週間で通知が来ました。助かります。
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選考の過程は以上です。
ペンの場合はともかく、他の学校の場合は普通に個人で出願するのとあまり大差が無いと思います。LLMはLSAT(SATのロースクール版)はいりませんし。
違うのは学部の成績が要らないということでしょうか。僕は学部の成績が悪いので、交換留学制度を使えてラッキーでした。
長くなりました(読んでくれた人がいると嬉しいけど…)。
なお、情報はアップデートされている可能性もあるので、あくまで参考ということで、宜しくお願いします。