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ぺんぎんぺーぱーちぇーす -PennLawLL.M.留学記-

University of Pennsylvania Law School LL.M.(ペンシルベニア州フィラデルフィア)を修了し、日本に帰ってきました。留学時代のことやアメリカのことなどを細々と書いていきます。

NY Bar 13 - Civil Procedure

Civil Procedureは、日本と異なるアメリカの性格(州によってほうが異なる)上、管轄の分野が3分の1を占める。その他判決の種類や陪審制など、他の科目を理解する上でも重要となる知識が多い

それだけにローで履修すべきだったとも少し後悔したが、サマーのfoundationでちょっとかじった時に難しさと退屈さに辟易したので、今戻ったとしてもやはり取らないだろうなと思う。面白くもあるが、とにかくテクニカル

例によって、重要なところをまとめる。Evidence同様似たような話が多く混乱するので、深くは立ち入らず、重要なところを噛み砕いて説明する

*P=Plaintiff, D=Defendant

 

法廷選択(管轄)
1. Personal Jurisdiction

人的管轄と訳される。当事者(D)に対して管轄が及ぶかどうかという問題

statuteに規定があればそれに従うが、無ければ憲法的分析をする。具体的には、以下の3つである

Contact; Dとforum stateの間にcontactがあるかどうか。foreseeabilityも基準

Relatedness; Pの請求がDのforumとの繋がりから生まれていれば、specific personal jurisdictionとしてDにforumとのcontactがなくても満たす

Fairness; Dやwitnessへの負担、州やPのinterestを考慮して判断

 

2. Subject Matter Jurisdiction

事物管轄と訳される。caseに対する管轄の問題である

state courtはgeneral SMJを持っているので、どのような事件も扱える。これに対して、federal courtはlimited SMJしか有さず、以下の2類型のいずれかの場合にのみ、事件を扱うことができる(つまり、federal courtに訴えることができるか、という問題)

(i) Diversity of Citizenship & Alienage

つまり、「異なる州の市民同士の場合」と、「アメリカの州の市民と外国の市民の場合」がこれに当たる。pennsylavaniaとcaliforniaとか、new yorkとfranceなどである

*citizenshipは、domicileにより決まる。US人である必要があるので、green cardでは不十分

*会社の場合は、incorporatedの場所か、PPB (Principal Place of Business)の場所である

*また、この場合、訴額が$75,000を超えている必要がある。この計算には諸経費は含まないが、aggregationにより合計で超えていればよい

*ただし、例外として、divorce, alimony, child custody, probate on stateのケースについては、 この類型によりSMJが認められることはない

(ii) Federal Question Cases

Pの請求が"arises under federal law"である場合である。連邦憲法や立法についての場合など。この場合は、citizenship要件も訴額要件も無い

*なお、以上の2類型に該当しなくても、Suppremental Jurisdictionというのがあり、これに該当すればよい。要件は、"common nucleus of operative fact"を有していることである。これは、同じtransaction or occurens (T/O)があれば、必ず認められる。

ただし、statuteがSJを認めていない場合は、この要件をクリアしても、認められない

 

3. Removal

移送のことである。state court→federal courtのものをいう。送達(service of process)から30日以内にしなければならない。diversity of jurisdictionかFQが認められる場合に、これが認められる

ただし、例外として、Dがforumのcitizenであり、state courtに係属して1年以上経っている場合は、認められない

 

4. Erie Doctrine

英米法でも最重要の判例の一つであるエリー事件の法理

Diversity Jurisdictionがある場合においては、federal courtの裁判官は、stateのsubstantive lawを用いらなければなら似とするもの

 

5. Venue

SMJは、事件がfederal courtで扱われる場合についての問題だった。Venueとは、そのあとに、「じゃあどのfederal courtにするか」という問題である

原則として、Pは、すべてのDが居住しているところ(domicile)か、主張の重要部分が発生したところ、で訴えることができる

 

 

送達・訴当・ディスカバリー

1. Service of Process

送達のことである。ザ・手続なので日本法でも一番つまらないところだが、アメリカも似たようなもん

Personal serviceとSubstituted serviceがある。後者は、使者?に届けるものをいう。返答は30日以内にしなけれがならない

なお、state lawが規定していれば、メールでの送達なんかも可能だったりする

 

2. Pleadings

Pleading

訴えを開始するにあたっては、以下の3つを明示する必要がある

  • SMJに関する陳述
  • Claimの要旨
  • Reliefの要求

これに対しては、相手方は、21日以内に、motionかanswerで応える

  • motion; これは、SMJやPJの欠缺、venueやprocessの瑕疵など、訴訟要件に問題がある場合のもの。motion to dismiss(訴え却下の申し立て)など
  • answer; これはpleadingに当たる。admit, deny, state that you lack sufficient information to admit or denyの3つがある。日本法で言う認否に当たる

 

Counterclaim

反訴である。以下の2つの類型がある

  • Compulsory; 文字通り強制的なもので、宇宙で唯一の強制的なclaimである(教授談)。Pのclaimと同じT/Oから生じた請求をした場合は、反訴が強制される(そうしないと権利の放棄を意味する)
  • Permissive; 同じT/Oから生じていない場合。別のcaseで訴えてもいいし、反訴でもいい

 

Crossclaim

これは、日本法で言えば求償請求に当たるだろうか

同じT/Oから生じた請求で、同じpartyを相手に訴える場合を意味する。これはもちろんpermissiveである

 

 

3. Discovery

ダフトパンクのアルバムの名前でもなければ、テレビ番組の名前でもない。日本でもよく話題に上がる、アメリカ特有の強力な証拠開示手続である。日本の民訴の文書提出命令より広汎であり、この時点で勝敗が決するとも言われる

原則として、ディスカバリーの基準は、証拠能力の基準より広い(Discoverable is greater than admissible)

 

Required Disclosures

まず、要求されてなくても強制的に開示しなければならない証拠がある

  1. Initial Disclosures: 事前に提出が義務付けられる。請求を支持するために使う情報の所有者の情報、あるいは請求を支持するための書類やモノがこれに当たる。写真や録音情報など(Electronically stored info, ESI)も含まれる。その他、金銭援助や保険補償額なども入る。ただし、自己の支配下にあるものに限られる
  2. Expert witness: 裁判所からの支持で提出が義務付けられる
  3. Pretrial required disclosure: trial前に証拠について述べる?という、もの

 

Discovery Tools

どのようにして証拠を要求するのか、という話

  1. Deposition: 宣誓供述書のことである
  2. Interrogatories: これは、質問書のことをいう
  3. Requesto to produce
  4. Medical exam: 裁判所の命令が必要
  5. Requesto for admission: partyにのみ出せる
  6. Parties sign substantive answers to discovery under oath
  7. Duty to supplement

Scope of Discovery

範囲の話。原則としては、"Anything relevant to claim or defence proportional to needs of the case"、つまり、適切な量であれば、関係するものは全てということである。かなり広い

例外として、priviledgeとwork product(ワークプロダクト法理)がある。いずれかに当たる場合は、ディスカバリーの対象から外れる

privilegeはEvidenceで出てくる、attorney clientとかspousalとかのことである

work productとは、ロイヤーではなく、当事者やロイヤー以外の代理人(representative)が作りだしたもののうち、訴訟のために作られたものである。そのため、"trial preparation materials"とも言われる

ただし、例外の例外として、work productに当たる場合でも、substantial needsとnot always availableであることを示せば、ディスカバリーの対象となる(qualified work product)

ただし、例外の例外の例外として、work productにあたり上記の2つの要件がある場合でも、mental impressions, opinions, conclusions and legal theoriesである場合は、ディスカバリーを免れる(absolute work product)。ややこしいな…

*なお、ロイヤーが外されているのは、別にprivilegeで守られているからだと思うが、ここの関係はちょっとわかりにくい

 

Enforcement of Discovery Rules

ちょっとここは割愛

 

 

多数当事者訴訟

1. 判断基準 

同じT/Oから生じた請求で、1つでも同じquestionを共有している場合に、この要求が生じ、裁判所がnon partyに対し、caseに入るよう命令することになる

  1. 必要?:まず、necessary&requiredという基準で判断する。Absentee(不在者?)が必要なときとは、具体的には、彼が参加しないとその利益が害されてしまう場合(独立当事者参加の権利侵害防止みたいな感じだ)など。ただし、共同不法行為者はこれには当たらない
  2. 参加可能?:必要だ!という場合は、次に、じゃあ参加できるの?ということを考える。判断基準はfeasibleである。PJがあり、参加してもdiversity jurisdictionを害さないことである

2. 類型

Impleader (third-party practice)

impleadとは訴訟に引きこむことをいう(と思う)。D側当事者が新しい奴(third party defendantと呼ぶ)を引き込むことである

これは、indemnity(TPDが請求全部につき責任を追う場合)とcontribution(TPDが一定割合の責任を追う場合)にのみ認められる

Intervention

干渉という意味なので、日本法でいう補助参加に当たると思う(ドイツ語ではインテルヴェンツィオーンとかだった気がする)。non-party自ら訴訟に参加する場合をいう

Class Action

集団を代表して訴訟をおこす場合である。日本の集団訴訟と違い、個別の授権を必要としないため訴訟が容易、原告の数が極めて多い、というのが特徴である

要件は、Numerosity, Commonality, Typicality, Representative adequateである

類型としては、classに対する害を排除する場合、injunctionなどを求める場合、損害倍賞を求める場合がある。損害賠償を求める場合に限り、他のclass membersへ通知をしなければならない

 

 

紛争の解決

1. Preliminary Injunctive Relief

予備的差し止め的救済?のことである。 Temporary Resraining Order(保全処分)、 Preliminary Injunction(予備的差止め命令)がある

2. Pretrial Adjudication

公判前の判決?のことである。

Voluntary Judgment

訴え取り下げの申し立てである。まず、Pがnotice of dismissalにより自発的に訴え却下を望むことがあるただし、これはDがanswerかmotion for summary judgmentを出す前にしなければならない

Default and Default Judgment

欠席裁判のことである。Dが送達から21日以内に返事をしない場合がこれに当たる

Motion to Dismiss for Failure to State a Claim

訴え却下を求める申し立てである。Pの請求が、十分に請求について述べていない場合、ケースはdismissedとなる。つまり、そもそも訴訟の流れに乗れない場合

Motion for Summary Judgment

略式裁判である。Dismissと違い訴訟の流れには乗ったものの、重要な事実について論争が無かったり法が当然に判決を認めているなどしてtrialが必要ない場合

 

3. Trial, Judgment, and Post-Trial Motions

Jury Trial

Jury trialの場合は、Juryが事実を決め、評決(verdict)を行う。Juryがいない場合(これをBench Trialと呼ぶ)は、裁判官が事実を決める

連邦裁判所の民事事件においては、陪審制による裁判を受けることが憲法修正7条により保障されている。ただし、エクイティ上の救済には及ばないため、例えば損害賠償請求を差止請求をする場合、差止めについてはJuryは事実を評価できない

なお、州裁判所にはこの保障はない(もっとも、ほとんどの州は州憲法でこれを保障しているようだが)

陪審の選定(voire direと呼ばれる)においては、各々当事者は陪審候補を排除することができる。これには2通りあり、for cause(理由あり)は無制限に、peremptory(理由なし)は各々3人までということになっている

この陪審の選定は勝敗を大きく左右する重要なものになるので、大きな裁判では陪審コンサルタントなるものが雇われ陪審の調査を綿密に行うらしい。この辺りは、映画Runaway Jury(邦題;ニューオリンズ・トライアル)に詳しい

 

Motions At and After Trial

一定の条件下では、事件は陪審のところではなく、自動的に裁判官のところへ行く。これをMotions for judgment as amatter of law(または、単にDirected verdict)と呼ぶ

条件とは、「通常の人ならその結果に反対しないような場合」である。要するにsummary judgmentのようなものだが、trialの中で行われるという違いがある

また、trialのあとでは、Renewed motion for judgment as a matter of lawという名前になる。これはどういうことかというと、陪審が「通常の人なら導かないような答え」をうっかり導いてしまった場合に、裁判官が判断しようね、というものだ

これは結構驚いたのだけれど、アメリカは体面的には陪審に一任しておきながら、きちんとこういう保険を置いているのだ。トンチンカンなverdictは出ないようになっている

また、何らかの問題があった場合は、新しい裁判へ移ることがある(Motion for a new trial)。再審と同じかな

 

 

上訴

1. Final Judgment Rule

上訴は、"final judgment"からじゃないとできないというルール。

これに当たるのは、Denial of a motion for new trialである

当たらないのは、

  • Denial of a motion for summary judgment
  • Grant of a motion for new trial
  • Grant of a motion to transfer the cae to another district
  • Grant of a motion to remand to state court

である

2. Interlocutory (Non-Final) Review

原則としては上訴の対象にならないが、denial of an injunctionは例外的にこれが可能である

3. Standard of Review by Appellate Court

 

 

PRECLUSION

preclude,すなわち防止するとか除外するとかいう意味だが、ここではすでに出された判決が他のケースで争われることを防止できるか、というのが論点となる。つまり、前訴の後訴への影響力の話、日本法で言うところの既判力などの議論である

Claim Preclusion

一つの請求は一度しか争えないという議論。以下の3つが要件

  1. 前訴と後訴で原告と被告が同一なこと
  2. 前訴が本案判決についての正確なfinal judgmentがなされて終了したこと
  3. 前訴と後訴の請求が同一なこと(同じT/Oから生じていればよいというのが多数説)

Issue Preclusion (Collateral Estoppel)

これはClaim Preclusionより狭く、"Claim"ではなく"Issue"単位で判断する。どうやら争点効の元になった概念なようで、非常に似ている

要件は

  1. 前訴が本案判決についての正確なfinal judgmentがなされて終了したこと
  2. 同様のissueが前訴の争いの対象となり、決せられたこと
  3. そのissueが前訴の判断に重要であったこと(judgmentの基礎であったこと)
  4. 誰に対して:前訴の当事者であった者か、そのPrivity
  5. 誰によって:前訴の当事者であった者だれでも

である

 

 

***********

結局悪い癖が出て一応は全体を網羅する感じになった

こうして全体を振り返ってみると、結構面白い科目かなと。確かにテクニカルでルールばかりで実定法に比べると考える楽しみは少ないしハードだが、陪審制などは興味深いし、日本との比較も色々しがいがある

そして何より、管轄を始めとして、これを扱えるようになったら米国法に通じているな、と思わせる内容である。「アメリカって州によって法律違うんでしょ?どうすんの?」というのは誰もが一番に気になる質問だ

なお、Preclusionとかで日本のように判例と学説の対立とかのめんどくさい議論がなくて(実際にローで授業を取ったらあるのかもしれないし、まぁ日本のそういうnever-endingな議論も面白くもあるのだが)非常に楽だった