最期の関門・二回試験②

さて、各科目簡単に振り返ってみます。

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(初日終わりにみんなで食べに行った、大阪福島のラーメン人生JET)

 

1日目 民事裁判

いちばん苦手な民裁が初っ端。

訴訟物と要件事実は単純で簡単でしたが、事実認定で途中で泣きそうになりました。事実認定って難しいよぉ……

終わった後に数人でラーメン屋に行ったときに禁断の答え合わせをしてしまったのですが、そこで判断枠組(証拠構造)を間違えていることが発覚。ラーメンの味がしなくなる。

しかし後日友人に聞いたところ、判断枠組間違えても(結局書くことは同じなので)Aがついたりもするらしい。致命的かもしれないと思ったので良かった…。

量はあくまで量にすぎないけど、集合では15頁くらいしか書けなかったのに27頁書けたので、成長を感じました。

 

2日目 刑事弁護

指導担当弁護士に「弁護科目はちゃんと弁護士の立場で書くんやで〜」と送り出されたので、その言葉を肝に銘じて臨む。

あまり問題の内容は言えないですが、間接事実が強力すぎてどう見ても有罪な事案で、「え、これを無罪弁論するの?」と暗澹たる思いになりました。何の非も無いのにボコボコにされためっちゃ可哀想な被害者の揚げ足を取るようにその供述の信用性について検討していたら、嫌な気持ちになってきました。僕はどうやら刑事弁護は向いてなさそうである……

「第1 結論

被告人は無罪。犯人ではない」

と書きながら「あぁ、これうっかり情状弁護しちゃうやついるんじゃないだろうか……」と思った(実際友人の一人は午前中情状弁護するつもりだったらしい)。

被告人が無罪主張するのに情状弁護するのは絶対にやってはいけないタブーである。こういう一発アウトがあるのは二回試験の本当に恐ろしいところ。

 

3日目 刑事裁判

苦手でしたが意味合い重みを徹底対策して克服した?と刑裁に臨む。3日目ともなると良くも悪くも試験慣れしてくる。

設問1は集合や実務修習では出題されていないタイプの問題が出て、面食らいました。小問については出ると思って対策した分野が出たので完璧に回答。

事実認定は集合や模擬裁判でやった事項が出たので、「君たち、ちゃんと復習したよね??」という教官の声が聞こえてきそうでした。

 

3日目終わって福島で焼き鳥を食べる。土日が間に入るのは嬉しい。

土日は友達と茶屋町のスタバで勉強するが、疲労が溜まってあんまり捗らない。手も痛くて腱鞘炎になりそう。

 

4日目 検察

比較的得意な科目。一時期検事とも迷っていたので実務修習中に唯一ガッツリ勉強した。

犯罪事実があまりに悲惨で(家族をめった刺し)読んでていて胸が痛くなった。

送致罪名での起訴が難しそうで一つ落として公訴事実を書いたんですが、「被告人供述鵜呑みにしてええんか?」との某指導担当検事の声が聞こえてきて思い直し、送致罪名でいくことにして、公訴事実を書き直す。

送致罪名変えてかつそれが軽い罪で間違えだったら致命的だし(過去にそれで落ちた人がいたと聞いていた)、検察マインド的にはいけそうなら重い罪でいくんじゃない…?と思ったのである。

が、終わった後友人と話していると6〜7割送致罪名で書いたようである。まじか!?

あとで検事任官予定の同期とかと話したところでは、①認定落ちは検事の恥、②最後の検面調書での検察官と被疑者の問答からすると、検察官は送致罪名での立証が難しそうと考えていることがわかるし、証拠関係からも実際に難しい、とのことで罪名を落とすべきだったようである。なるほど……。

 

ただ、今回は3〜4割くらいは送致罪名で起訴しているほど微妙な事案であるし、その他の犯罪の成否できちんと迷ったことを示していれば大丈夫だろうということなので、大丈夫だと思う(結論)。

*ちなみに、思ったより罪名を変えた人が多いことには理由がある。集合のときに窃盗で送致されたが業務上横領で起訴するのが正しい事案が出されたところ、「とりあえず送致罪名でいけばいいやろ」と窃盗で書いた人が続出し、教官にだいぶ怒られた。これによって「あ、ちゃんと変えなあかんのや」となって、今回もそれに引っぱられたのでは?と思う(ま、正解してるんですけど…)

 

5日目 民事弁護

民弁は69期の大量虐殺事件(民弁のみで41人が不合格)の恐怖が大きかったので、緊張感もひとしおでした。

とにかく準備書面等から主張を落とさないことに気をつけて、ここは守れたようです。

民弁は教官からは「小見出しをつけて読みやすくしろ」と口を酸っぱくして言われたのですが、優秀起案を読んでるとそんなに小見出しをつけてないことに気付きました。要は、多少読みやすくなくても事実が書いてあれば点を上げざるを得ないんですよね。なるほど……

その作戦通り小見出しは適当にしてとにかく事実を書きまくって、結果的によく書けたと思います。

 

 

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二回試験が難しいのは、5日間で裁判官→弁護人→裁判官→検察官→代理人、とマインドを毎回変えなきゃいけないとこにあったなと思います。意識して変えないと、ついつい弁護士の立場なのに「〜だから、認められる。」とか第三者的立場で書いてしまいがちです。 

弁護修習の序盤に刑事事件の弁論要旨と被告人質問事項を起案したのですが、それを指導担当に見せたところ、

おまえは検察官か!?!?被告人の味方しないでどうすんねん!!

とこっぴどく叱られました。

接見してても、被疑者にあれこれ尋ねたくなってしまい

お前は取調官か!?弁護人の仕事ちゃうやろ」

と怒られました。

民事の準備書面起案でも

なんでそんな裁判官みたいな書き方すんねん?あんた当事者の代理人やろ?

ともよく言われました。

司法試験は基本的に裁判官目線ですし、弁護修習のときは裁判修習と検察修習を終えて来たので、完全にそっちのマインドになってたんですよねぇ。

 

ちなみに、二回試験についてのよくあるアドバイスとして「閃くな」「ホームランを狙うな」というのがありますが、これは優秀で集合の成績もいい人にのみ当てはまります。

というのも、そもそもそんな優秀じゃない人にとっては「自分が閃いているかどうかもわからない」んですね……悲しいぞ……。

そういう意味では、白表紙とか定番参考書をしっかり読んでおくのはもちろん、やはり周りの人がどれくらい書けているかを把握するかというのが一番重要なので、友人から優秀起案をコピーして読ませてもらったり、起案についてあれこれ話し合うのが一番勉強になりました。

 

思えばここに来るまで、大学入試、ロー入試、期末試験4回、司法試験、と長い道のりでした(僕は留学も挟んだのでやたら長かったです)。まさに最後の関門という感じの試験でしたね。二度と受けたくない……。

 

まぁとにかく終わってよかったです。流石にこれで落としてたらキリがないので落ちてはいないはずですが、それでも発表までは緊張しますね……。

 

さて、京都に遊びに行ってきます\(^o^)/