ぺんぎんぺーぱーちぇーす -PennLawLL.M.留学記-

University of Pennsylvania Law School LL.M.(ペンシルベニア州フィラデルフィア)を修了し、日本に帰ってきました。留学時代のことやアメリカのことなどを細々と書いていきます。

LLM交換留学のデメリットについて本気出して考えてみた

前回の記事では、「ぶっちゃけ人生楽しくなるかどうかっしょ」とそれだけで留学を決めたなんかただのアホみたいになってるので、今回は本当に悩んでいる方のためにも(といっても、学生でLLM留学しようと考えてるのが日本に何人いるのかわかりませんが)、もう少しまともなことを書いておこうと思います。


前回書いたデメリットとメリットにコメントしていく感じで。
今回はデメリット(リスク)です。



①他国はともかく、日本人の学生特攻はほぼいない
これですね。要するに前例が少なくて無茶、ということです。
しかし、「他国はともかく」と書いているように、他国では学生特攻はかなりメジャーです。むしろ僕のように大学院から派遣されるのでなく、大学の法学部を卒業してそのままLLMへ、というパターンが非常に多いらしい(特に中国?)。
また、パリ大だとうちのローと同様交換留学を設けているようです。ソルボンヌとアサスで若干異なるが、コロンビア、シカゴ、UCヘイスティングスなどが協定校らしい。

そうすると、むしろ日本が遅れているという見方が強いですね。先例が無いからってビビる必要は無いのではないでしょうか



②TOEFL100点が取れたとはいえ、教授のスーパー速い英語についていける自信がない(以前の留学で嫌というほど実感)
例えば、元々帰国子女とかで、「ちょいっと勉強したらTOEFL100点超えました」、というやつと、僕みたいに「試験対策しまくって何回も受けて無理矢理100点まで上げました」、というやつとでは、同じ点数でも意味が全く異なります。

それに、僕は103点ですが、トップ校となると110点くらいがゴロゴロいそうです。この7点は大きい。

僕みたいな純ジャパでも十分TOEFL100点は取れるわけですが、LLMの授業についていけるか否かというのはまた別問題です。
以前の留学では、学部の教養課程の法律の授業に出たわけです。先生ごとの訛りやスピードにもよりましたが、基本的に早口すぎて、半分もわからなかったこともあります。早口だけでなく、単語がわからないという理由もありましょう。

そう言う意味ではやはり不安です。でもまぁ、またあの環境で揉まれる中で次第についていけるようになるのでは、とも思います。最近英語力が伸び悩んでるように感じるので、まぁ荒療治は悪くないのでは。



③NYバーは日本の司法試験よりは受かりやすいとはいえ、やはり難しい(外国人受験者の一発合格率は50%弱)
「アメリカの司法試験は簡単なんでしょ」と言われます。
確かに、アメリカ人にとってはめちゃくちゃ簡単な試験です。なぜなら、トップレベルのローともなると司法試験合格率は優に9割を超えるからです。

このサイトニューヨーク州にあるロースクールをNYバーの合格率で並べたものですが、トップスリーのNYU、コロンビア、コーネルはそれぞれ97,96,94%です。落ちた奴は多分当日風邪でも引いてたか、前日に彼女にフラれて気が動転するかしていたのでしょう。

しかしながら、外国人受験者の場合は50%弱と大きく下がります(ローごとの資料は無いので、トップ校だともう少し上がるかも)。
これは知識の問題と言うよりは、やはり英語力の問題とされます。特に、論文試験でのタイピング速度が追いつかないんだとか。そう、日本と違ってパソコンで受けられるのです(しかも自前のもの。これにソフトをインストールする)!! 進んでますね。膨大な量を手書きさせる日本の試験は、苦行文化の名残かなんかでしょうか。

確かに、日本語では早く打てても英語だと途端に遅くなりますからね。この差は練習と経験で詰めることはできても、さすがに埋めることはできないでしょう。


しかし、何と言ってもニューヨーク州司法試験、日本と違い、年に2回あります。また、何度でも受けられます。

そういうわけで、仮に落ちてもまた機会を見計らってオルバニーかバッファローに飛び試験を受ければ言い訳です。LLMを取っておけばそれだけで強力です。まぁでも、一回目で受かりたい。




④1年遅れるからゼミやローの友達と一緒に司法試験を受けられない。ますます社会に出るのが遅くなる
僕は既修で入学しているので、留学すると+1年ということになります。
これはありますね。ただでさえ僕は24歳です。社会に出るのが遅いです。生涯年収とかも下がっちゃうのでしょうね。

でもまぁ、人生80年あると考えれば多少遅れても構わないでしょう。しかも留年とかならともかく留学というめちゃくちゃ有意義なことで遅れるのだからね。どーんとしていることが大事です。あまり気にしないようにしました。

ゼミやローの友達と試験を一緒に受けられないのは正直ツラいです。今まで同期だったけど、同期じゃなくなってしまうし、ここまで一緒に頑張ってきたわけだから。多少、置いてかれるな、という感じはあります。

でもまぁ、これも、留年とかじゃなく留学なのだから名誉の遅れでしょう。人生、少し回り道したっていいじゃないか、と思うのです。あんまり説明になってないな?笑



⑤1年のブランクのあと帰国後9ヶ月程度で日本の司法試験の準備をしなければいけない
これが多分最大のリスクです。怖すぎます。
1年間勉強しないと人ってほとんど忘れてしまうんじゃないでしょうか。実際、僕は以前の留学のとき、半年でしたけど、帰ってきたら日本法のことはほとんど忘れてました。
勉強しようかな、と六法と基本書数冊は持ってったけど、忙しくて結局やる暇がなかった。アメリカ法を勉強できる環境にありながら、日本法をやることがアホらしかったのです

それから帰国してロー入試まで1年弱。勉強の遅れ方が半端ではなく、ほんとに大変でした。

先輩に訊くと、アメリカに行くまでにしっかり日本法の基礎を固めておいて、帰ってきたら復習するだけ、という状態にしておくといいということです。なので今は一応全体を完成させるべく、勉強が大変です。手続きもあるし、慌ただしい。

まぁでも、未修はともかく既修で入った場合、日本で勉強している時間が減るわけではありません。うまいこと知識を途切れさせないようにすれば、問題ないのではないでしょうか。そういうわけで、今回は、アメリカでもこっそり日本法の勉強はするつもりでいます…。
結論としては何とかなると思って全力を尽くすほかはないです。


⑥留学自体弁護士になって勉強したい具体的な分野が出てきてから行くべき
これは実際問題大きいのではと思っています。

例えばM&Aの授業を取るとして、僕みたいに教科書でその概要を知って、論点を把握して答案用紙で書けるようにしているレベルと、実際に弁護士としてM&A業務にあたっている人とでは、理解が天と地ほど違うはずです。

また、実際に業務をしていれば色々と疑問点が出てくるはずです。それこそ、そこいらの会社法の教科書を読んでもわからないような疑問が出てくるかもしれません。そういった疑問を抱えて授業を聴けば吸収率も全然違うはずです。

また、実際の業務内容がわかっていれば、その経験が頭の中にあるから臨場感を持って授業に臨めます。
実際、僕は授業の一環で実際の刑事事件に少し携わる機会があったのですが、そこで実際の条文の使い方を学び、弁護方法とかで悩んだ後に刑事訴訟実務の基礎の授業を聴いたら、理解度がまるで違いました。むしろ現場で疑問に思っていたことにきちんとした学問的答えがあったりして、すっきりするばかりです(もちろん答えが無いのもありますけども)。

そういうわけで、ある意味で実務経験が無い中で留学に行っちゃうのは、「もったいないかな」と思うことがあるのは事実ですね。


とはいえ、UPennの先輩曰く、授業についていけるかどうか、という意味では、実務経験の有無でそこまで大きな違いは無いようです。上に書いたように他国は学部上がりの留学生も多いですし、LLM自体、「他国で法律を勉強した人」を対象にしており、必ずしも実務経験を必要としているわけではありません。

まぁ、実際に行ってみないとわからないですけども、ここについてはあまり気後れせず、むしろ頭まっさらでかえって吸収率がいいのでは、と前向きに捉えています。


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デメリット(リスク)はこんな感じですね。

まぁリスクの無い決断はないので、これくらいはいいのでは、等と思います。考えだすと不安で仕方ないのですけどね…笑

次回は肝心のメリットの方について書きます。ぺんぎんでした。