ぺんぎんぺーぱーちぇーす -PennLawLL.M.留学記-

University of Pennsylvania Law School LL.M.(ペンシルベニア州フィラデルフィア)を修了し、日本に帰ってきました。留学時代のことやアメリカのことなどを細々と書いていきます。

官庁訪問を終えて

長いようで短かった官庁訪問を終えました。

結果として,第一志望であった某省には第3クールまで進んだものの,内定獲得には至りませんでした。残念です……かなりへこんでいます。

実は官僚という進路はあまり考えたことがなく,国家総合の試験も「受験料ダダだからお前も受けろよ」と友人に言われ,司法試験の予行練習にもなるなとの邪な思いで受験し,運よく合格したという経緯があります。

しかし,実際にその進路を考えてみると,とても惹かれました。弁護士はプロフェッショナルとしてクライアントをサポートする立場にいますが,官僚(行政官)は国を動かすプレイヤー側にいます。「ぺんぎん君はプレイヤーの方が向いているかも知れないね」と多くの方に言われたことや,自分自身の多動的な性格を考えても,プロフェッショナルより,ジェネラリストとして多くの課に関与し,あらゆる政策立案に携わる総合職官僚のほうが向いているな,という思いも出てきました。

とりわけ僕が志望した某省は数年前から何度か説明会に行ったこともあり,憧れている省でした。

 

官庁訪問では実際に現役官僚として働かれている方のお話を業務説明という形で聴くことができます。自分が希望した分野の方とマッチングしてくださり,もう一つの省も含め,合計12名の方と,概ね一時間ほど,長いときは一時間半ほど,お話させていくことができました。今まさに行っている業務について,あるいは今後の日本の向かうべき方向性について,そして職員としての使命について,様々なお話を聴くことができ,本当に刺激的な毎日でした。

そして,たかだが数日間霞ヶ関にいただけで,自分の思想というか,考える姿勢が変化していくことを感じました。僕はどちらかというとリベラルで,現政権には反対的な立場にいましたが,実際に国の安全保障や経済問題などに向き合っている方とお話すると,国の切実な面というか,国の内部にいる方ならではの視点が見えてきました。もちろん憲法は遵守しなければならないと考えることには変わりはないですし,それは間違いありません。また,公法や刑事法を通して権力をいかに制限するかということを学んでいたので,その重要性は今でもよく理解しているつもりです。しかし,他方で,国というマクロな視点で考えてみると,もっと根の深い,立ち向かうべき問題が多くあることを痛感しました(だからといって国民一人ひとりを軽視していいわけではないですし,影響を受けやすいのも僕の悪癖かもしれませんが)。

また,「官僚」というと,メディアを見れば常に批判される立場です。とりわけ森友問題,加計問題が世間を騒がせている今はそうです。そういう意味で僕も少なからず良くない印象を持っていました。しかし,僕が話した方々は,皆気さくで,決して偉ぶったりせず,真摯に日本のために努力されていました。給料だって民間や弁護士と比べてそう高くないですし,SNSなどでの発信も制限されているし,建物はボロボロで薄暗く,ろくに冷房も効いていません。実際に表に出る仕事は政治家がやっています。そういうお世辞にも恵まれているとはいえない環境の中で,国のため,国民のために誇りを持って仕事をされている。僕もそういう仲間の一人になりたいなと思いました。

僕が行った省は毎クールの終わりに評価を伝えてくれるのですが,僕は第1,第2とも「極めて高く評価しています」という最高評価(らしい)をもらえていました。第3クールの課題も比較的良かったとのことです。お会いした職員の方も,ずっと課長補佐以上で,後半になるにつれ年次が高い方になり,入口面接でも「評価はお伝えしている通りですのでがんばってください」と暗に可能性を示されていたので,正直納得が行かない部分もあります。油断していたわけではありませんが,このまま行けば大丈夫だろうという前向きな希望がありました。

しかし内定獲得に至らなかったのは,一つには他の志望者の優秀さがあったと思います。学歴が高いのはもちろん,頭がキレ,気さくで,人当たりがよく,素晴らしい人が多かったです。確かに,彼らとまともにやりあって勝てるかなぁ,というのは,常々感じているところでした。いわゆる人気省庁の一つですし,志望者数も今年は多かったので,本当に突き抜けて優秀でなければ内定に至らない,というのは理解ができるところです。

また,説明会に10回以上参加している人もザラでした。僕は志望したのが遅かったこともあり,数回参加した程度です。その点での熱意というか,かける思いが足りなかったのは認めざるをえないところだと思います。

ここ数週間で官僚,国家公務員という仕事への憧れが高まり,弁護士からの方向転換を決意して臨んだので,残念な思いでいっぱいであります。しかし,上述したように現役官僚の方やそれを目指す優秀な学生と様々な話をすることができ,人間的に成長できた実感があるので,訪問したことは後悔していません。ここで学んだことを糧に今後も精進したいと思います。