ぺんぎんぺーぱーちぇーす -PennLawLL.M.留学記-

University of Pennsylvania Law School LL.M.(ペンシルベニア州フィラデルフィア)を修了し、日本に帰ってきました。留学時代のことやアメリカのことなどを細々と書いていきます。

NY Bar 7 - Real Property

Real Property(不動産法)はわけがわからないとよく言われる分野である。イギリスの法律を起源に持ち、ローの授業ではうん百年前の判例を読まされるとかなんとか

ただ、アメリカは日本よりも個人の権利に対する執着というか尊重の念が強いので、そういう意味でも重要性は高いのかもな、とか思った

先生はブルックリン出身とかいうハッピーなおばさんだった。終始ニコニコしながら授業を進め、時々歌を歌う。簡単に言えばスピッてる。なかなかたまらないやつである(村上春樹風)。正直苦手であった

 

この科目が難しいとされるのは、そもそも仕組みが日本法と全く違うこと。そして何より概念が難しいことだろう。言葉もやたら長ったらしくややこしい

全体像

Ⅰ. Estate in Land(不動産所有権)

Ⅱ. Landlord / Tenant Law(賃貸借法)

Ⅲ. Servitudes(使用権)…Easements(地役権), The License(許可),The Profit(収益権), The Covenants(コベナンツ), Equitable Servitudes(衡平法上の負担)

Ⅳ. その他…Adverse Possesion(時効取得), Land Coveyancing(不動産権利譲渡)The Recording Sysyem(登記制度), Lateral Support(土地の基礎の支援), Water Rights(水利権), Possessor's Right(占有者の権利). Eminent Domain(土地収用件), Zoning(用途規制)

不動産所有権の部分が難しい。賃貸借法は契約各論という感じ。あとは細々した論点が並ぶ 

 

Ⅰ. ESTATE IN LAND(不動産所有権)

1. The Present Estates(現在の不動産所有権)& Future Interests(将来権)

The Present Estatesには大きく分けて4つの権利がある。そして,各々の特徴と,それに付属する,付与者か第三者が取得するfuture interestsが何かをまず整理する必要がある。

特徴というのは,Devisable(transfer at will / 遺贈可能か)、Descendible(die without will / 遺言なくても相続可能か)、Alienable(transfer intervivos / 存命中に譲渡できるか)である。

 

Fee Simple Absolute(完全所有権)

"To A" と記載する。無限の期間続く通常の所有権のことであり,当然,遺言,相続や譲渡によって移転可能である。すなわち,devisableかつdescendibleかつalienableということになる。

将来権は付属しない。言い換えれば,被相続人が存命中は相続人はおらず,単なる推定相続人がいるにすぎない。

 

Fee Tail(限嗣不動産権)

"To A and the heirs of his body"というものであるが,事実上廃止されており,試験には出ない。

 

Defeasible Fees(消滅条件付所有権)

これが最も重要な権利である。以下の3つにさらに分けられる。

Fee Simple Determinable(解除条件付完全所有権)

"To A fo so long as...", "To A during...", "To A until..."と記載する。解除条件が満たされると,自動的に権利が剥奪される(If the stated condition is violated, forfeiture is automatic)

遺贈,相続,譲渡は可能(これは以下の2つにも当てはまる)だが,常に条件による制約がつきまとう。例えば,「スタジオとして使う限りAへ」という条件付きで所有権が譲渡された場合,Aは,スタジオとして使う気の無いBに譲渡することはできない。

付与者はPossibility of Reverter(復帰可能権)という将来権を持つ。

 

Fee Simple Subject to Condition Subsequent(解除権付完全所有権)

"To A, but if X event occurs, grantor reserves the right to reenter and retake"と記載する。すなわち,ある条件が成就すると,付与者がその所有権を回復することになる。

付与者はRight of re-entry (再取得権。the right of reacquisition) という将来権を持つ。

 

Fee Simple Subject to Executory Limitation(Interest)(将来権の定めのある完全所有権)

"To A, but if X event occurs, then to B"と記載する。すなわち,ある条件が成就すると,第三者に所有権が自動的に移転する(The estate is automatically forfeited in favor of someone other than grantor)。

すなわち,BがShifting executor interest(移転的将来権)という将来権を持つ。

 

 

Life Estate(生涯不動産権)

"To A for life"(「〜に一生付与する」)とのもの。「一生」というのがポイントで,期間を区切ってはならない。

付与者はReversion(復帰権)を持つ。

"To A for life, then to B"第三者はRemainderを持つ。

特定の人に付与され停止条件がついていない場合はvested remainder(何の制限もない場合をindefeasibly vested remainder, 解除条件付きをvested remainder subject to complete defeasance,継承者未確定の場合をvested remainder subject to openと呼ぶ),被付与者が未確定又は停止条件がついている場合はcontingent remainderとなる。

 

 

Rule Against Perpetuities(永続禁止ルール)

特定の将来権は,対象者の死後21年以内に条件成就により確定しないと無効になるというルールで,土地の絶対性と契約自由を折衷したものである。

特定の将来権とは,contingent remainders, executory interests, certain vested remaindes subject to openのことをいう。

 

2. Concurrent Estates

不動産の共有形態について。

Joint Tenancy(生存者取得権付共同所有)

Two or more people own with the right of surviovorship。生存者取得権がついているので,共同所有社の一人が死亡した場合,自動的にその持分が生き残った他の共同所有者に移る。したがって,譲渡は可能だが,遺贈や相続はできない。

この権利は,同時に,同じ書面により,同じ権利内容で,全体につき占有権を得ることを合意することにより成立する。

 

Tenancy by the Entirety(夫婦間不可分所有権)

Protected marital interest between married partners with the right og survivorship。生存者取得権がある夫婦間の共有形態。非常に強い保護を受ける不可分所有権である。夫婦の一方だけの債権者はこの権利に干渉できない。そして,夫婦も,単独では第三者に譲渡できない。

Tenancy in Common(単純共有)

Two or more people own with no right of survivorship。生存者取得権がないので,譲渡,遺贈,相続が可能である。

 

 

Ⅱ. LANDLORD/ TENANT LAW(賃貸借法)

1. Four Leasehold or Nonfreehold Estates

Tenancy for Years(期限付き賃貸借契約)

固定期間の賃貸である。"To A for 10 years"など。期間が経過すれば通知なくして自動的に契約は終了する。1年以上の契約の場合は書面による必要がある(SOF)。

 

Periodic Tenancy(期間更新賃貸借契約)

一定の期間が決められ,その期間が通知されるまで更新される続ける。"To A from month to month"など。また,期間について明言しなくても成立する(Implication)。

契約の終了には,期間と同等の期間を定めた上での通知を要する。

 

Tenancy at Will(任意終了不動産賃貸借契約)

期間の定めがない。"To T for as long as L or T desires"など。終了は双方の意思でいつでも可能である。

 

Tenancy at Sufferance(黙許不動産権)

賃借人が期間が過ぎたのに不当に居座ってる場合に発生する。賃貸人は,追い出すか,新たな期間の契約を結ぶかでき,この権利はそれまでの間存続する。

 

2. Tenant's Duties(賃借人の義務)

以下の3つの義務がある。

第三者に対して

第三者に対しては,住居を適切に保つことや,自身が招いた人が被った損害について責任を持つ。

 

修補義務

契約に定めがない場合は,修補義務を負う。通常の使用で生じる損傷を除いたものについて管理し,毀損をしない義務である。定着物については無断で除去してはならない。自身で定着させたものでも,一度定着すればLのものになるので,除去してはならない。

また,住居の状態を保持することにつき明示的に約束した場合,伝統的立場では,いかなる損害についても責任を負う。現在の多数派は,Tの過失によらず破壊された場合は,Tは契約を終了できる。

 

賃料支払い義務

Tがこの義務を履行しない場合でも,Lは支払請求か裁判手続きによる退去請求しかできず,強制的に排除することなどの自救行為をしてはならない。

Tが義務を履行せず,しかし退去している場合は,Lは放棄(surrender),無視(ignore),転貸(re-let)ができる。

 

3. Landlord’s Duties

目的不動産引渡し義務

 

Implied Covenant of Quiet Enjoyment

TがLの干渉なく物件を平穏に利用できるようにしなければならない。

以下の要件(SING)を満たすと,みなし追放(constructive eviction)としてこの違反となる。

Substantial Interference…雨が降るたびに雨漏りがしてLがそれを直さないなど,実質的侵害が頻発することをいう。

Notice…Tが上記問題につきLにきちんと通知することをいう。

Goodbye…Lが是正を怠ったためにTが退去すること。

 

Implied Warranty of Habituality

居住するということにつき黙示的に保証した場合は,その地域の基準などに照らし物件を通常の居住に適合するようにしなければならない。

この保証に反した場合は,Tは退去,修繕と費用の差し引き,賃料値下げ,残って損害賠償(Move, Repair, Reduce, Remain)ができる。

 

4. Assignment and Sublease

Assignment(賃借権譲渡)

これにより,TとLの間の不動産関係は終了する。

Sublease(転貸)

TとLの不動産関係は存続し,Lと転借人の間には何らの関係も発生しない。つまり,T(転貸人)は転借人の行為について責任を負い,LはTに責任を追求できるということになる。

 

5. L's Tort Liability

Lは,物件を安全に保つ義務を負っているわけではない。しかし,共用部の管理,隠れた瑕疵についてのTへの警告,修理の引受けなどについては義務を負う。

 

Ⅲ.SERVITUDES

Servitudesとは,不動産についての占有を伴わない権利を言う。

1. Easement(地役権)

The grant of a nonpossessory property interest entitles its holder to some form of use or enjoyment of another's land, called the servient tenement.

EasementにはAffirmative EasementとNegative Easementとがある。Affirmativeはその土地で何かをできるという権利,Negativeは本来承役地の所有者が行えることを行わないようにするものであり,光・空気・支え・水を遮らないことを内容とするものである。これは明示的でなければ形成されない。

Affirmative Easementは,以下の4つの方法(PING)により形成される。

  1. Prescriotion(取得時効)…continuous, open and notorious, actual under a claim og right that is hostile for request statutory period.
  2. Implication(黙示)…implied from prior use; at time land is severed, a used of one part existed from which it can be inferred that an easement permitting its continuation was intended.
  3. Neccessity(必要性)…division of a tract deprives one lot of means of acces out.いわゆる囲繞地である
  4. By Grant(設定)…writing signed by a grantor

Termination of an easement,すなわちeasementの終了には,以下の事由(END CRAMP)がある。

  1. Estoppel(禁反言)…要役地所有者(easement holder)
  2. Necessity…必要性により形成された場合は,その必要性がなくなれば消滅する。もっとも,その場合でも明示的に付与された場合は,必要性がなくなったからと行って自動的に消滅はしない。
  3. Destruction(要役地の破壊)…Destruction of the servient land
  4. Condemnation(土地収用)…Condemnation of the servient estate
  5. Release(放棄)…A written release
  6. Abandonment(不使用)…Show intent to never use easement again
  7. Merger(混同)…要役地と承役地の所有者が同一人になること
  8. Prescription(取得時効)

  

2. The License(許可)

A mere privilege to enter another's land for a delineated purpose.

Easementとは異なる単なる許可で,許可者の意思でいつでも撤回できる。

 

3. Profit(収益権)

The Profit entitles its holder to enter the servient land and take from it the soil or some substance of the soil, timber, minerals, oil.

要役地の土壌から物質を得る権利である。

 

4. Covenants

A promise to do or refrain from doing something related to land.

コベナンツとは一般に土地に対する不作為の約束(制約)のことをいう。不動産に関する新たな権利が与えられるわけではなく,契約上の制限・約束を加えるものである。affirmative, negative双方がある。

 

 

5. Equitable Servitudes