ぺんぎんぺーぱーちぇーす -PennLawLL.M.留学記-

University of Pennsylvania Law School LL.M.(ペンシルベニア州フィラデルフィア)を修了し、日本に帰ってきました。留学時代のことやアメリカのことなどを細々と書いていきます。

NY Bar11 - Evidence

Evidenceは日本の刑事訴訟法のうちの証拠法分野といった感じであるが、自白の議論はCriminal Procedureのほうに行っているので、範囲としてはより少ない

しかし重みとしてはCriminal LawとCriminal Procedureを合わせた量に値するのだから、いかにアメリカでは証拠能力が重要かがわかる。それは取りも直さず、アメリカの陪審員制度に直結している。簡単にいえば、関連性がありそうだけど実は無い証拠と、公判廷の供述で誤りが入りやすい証拠をできるだけ排除する必要がある

そこで分野として、大きく分けて以下の4つ

  • RELEVANCE 関連性
  • IMPEACHMENT (WITNESS) 弾劾証拠(証人)
  • HEARSAY 伝聞証拠
  • OTHERS その他

Evidenceは言ってることは至極まともでわかりやすく、アウトラインを読んでいるときは納得が行くのだが、、似たような話が多く、どこの部分の話をしているかをしっかり把握しないと問題で間違える。という理由で(あと好きなので)、理解のために全体像と注意点を整理しておく

 

RELEVANCE

1. Exclusionary Rule(証拠排除)の原則

Even if that is a relevant evidence, it will be inadmissible when the probative value of the evidence is substantially outweighed by one or more of following

  • Unfair prejudice 不当な偏見
  • Confusion of the issue 争点を混乱させる
  • Misleading the jury 陪審員に誤解を与える
  • Undue delay 不当な遅延
  • Waste of time 時間の浪費
  • Unduly cumulative 過度な繰り返し

証拠の価値より、それによる弊害が大きい場合には、関連性があっても排除される

 

2. Similar Occurence(類似行動)による証拠排除

In general, if evidence concerns some time, event or person, that evidence is inadmissible unless any exception permits.

例えば、「マンハッタンの地下鉄の路線1で痴漢が起きた。被告人は前にもこの路線で痴漢をしている」という証拠は認められない。あまりに一般的すぎて、陪審員を混乱させるだけで、関連性が無いからである。このように、単に類似した行動をとっているということくらいでは証拠能力は認められない。

しかし、以下の類型では例外的に証拠能力が認められる場合がある。

 

①Plaintiff's accident history

原則として、単なる事故歴は認められないが、例外として原告に傷害をもたらした事故が争点となっているときのみ証拠能力が認められる。

②Similar accidents caused by same event or condition. Other accidents caused by the defendant

これも原則として認められないが、例外的に、(1) both accidents occured under substantially similar circumstances, (2) to show the existence of dangerous situation, or causation of the accident ときは認められる。

③Intent is at issue

意図が争点である場合は認められる。

④Comparable sals on issue of value

金額が争点の場合、周辺の売買事例から市場価格を証明することができる

⑤Habit

単なる一般的傾向に過ぎない性格と異なり、より当該状況における行動を推認させるもの。つまり、"a repetitive response to a particular set of circumstances"をいい、frequencyとparticularityが必要。always, never, invariably, habituallyといったキーワードに注意。

⑥Industrial custom as standard of care

注意義務の基準を定めるための業界慣行のことである。同じ業界の他社がどのようにしているかを示すことは許容される。

 

3. Policy-Based Exclusions(政策的証拠排除)による証拠排除

以下の類型は、関連性は認められるものの、政策的配慮により証拠排除がなされる①Liability Insurance

「保険をかけていることで安心して注意力が低下した」などの推認は不可。ただし、保険対象物を所有・支配していたことの証明には使える

②Subsequent Remedial Measures

事故後の修理を認めないと危ないので、過失の証明などには使えない。

③Settlements of Disputed Civil Claims

和解を促進するために、和解の証拠和解の提案和解交渉中の発言には証拠能力を認めないとした。係争中事件に限る。

ただし、民事上の和解内容をその後の刑事事件の証拠として用いることは可能

④Plea Bargaining(答弁取引・司法取引)

答弁取引促進のためである。有罪答弁の申入れや不抗争の抗弁(nolo contendere)などには証拠能力が認められない。

ただし,撤回されなかった有罪答弁は,後の訴訟での被告について証拠能力を有する。

⑤Offer to Pay Hospital or Medical Expenses

善行促進。これで責任を認めることにはならない。ただし,「治療費は支払いますよ。僕がよそ見したのが悪いんで」などと言ってしまった場合に過失の証拠として用いることは可能である。そういうわけで,アメリカでは簡単に謝るなと言われるのだろう

 

4. Character Evidence(性格証拠)

Character Evidenceとは、人の人格傾向(a person's general propensity or disposition)に関する過去の悪口(past bad acts)の証拠である。予断を生むためその証拠排除が問題となる。民事事件と刑事事件で分けて考える。

i. Civil Cases

  • Generally, inadmissible
  • Admissible only if it's an essential element of a claim of defense: (1) Hiring or Entrustment case, (2) Defamation, (3) Child Custody

つまり、通常はダメだが、その性格自体が立証の中心として不可欠な場合(e.g.子の監護権事案では、人柄も考慮要素の一つ)は例外的に認められる

 

ii. Criminal Cases

  • Prosecutor: No reputation evidence for proving the defendant committed a crime in conformity with that bad character 
  • Defendant: Can introduce evidence of a relevant character of a trait →Then prosecution can introduce
  • Reputation and Opinion are okay; Specific act is not okay

つまり、検察側から被告人の過去の犯罪を指摘して「被告はこんなに悪いやつだから今回も罪を犯した」ということをいうことはできないが、仮に被告人が「いや、おれマジでいいやつなんで犯罪とかしないッス」と自分の性格の話をしだしたら、“反駁のドア”が開いてしまい、検察は「は?待ってください裁判長、こいつマジで悪いやつなんで。ほらこの証拠見てくださいこいつがいいやつとか嘘ですよ」と反論することができるということである

また、評判と意見に限り、事実は用いることができない

つまり、「被告人はmotherfuc*erってみんな考えてるよ」という評判や、「被告人はマジでpus*y」という意見はよいが、「被告人は万引きした」という事実や、殺人事件で相手の誠実さを問うようなことはだめ

 

Victim's Character - Sexual Misconduct Case

Rape Sield Law(レイプ被害者保護法)により,性犯罪被害者の性的傾向についての証拠などは原則として許容されなくなった。

例外として,
①被害者の具体的性的行動から,残存した精液などが第三者のものであると証明する場合

②被告と被害者の過去の性的行動から,同意があったことを推認させる場合

③Love Triangle Defense(三角関係の抗弁)として,他方との関係保持のために同意のあった性交渉を同意がなかったと虚偽の主張をしている,との主張をする場合

は認められる。

Defendant's Other Crimes for Non-Character Evidence (MIMIC Exceptions)

原則として、検察官が被告人の犯罪的性格や悪性格を立証するために被告の他の犯罪や悪行を示してはならない。しかし,以下の5つの類型においては、例外的にこれが認められる。MIMICと覚える

  • Motive 動機(e.g., 以前に警察官に摘発されたため、復讐の動機がある)
  • Intent 意図(e.g., 麻薬の譲渡意図)
  • Mistake 錯誤
  • Identity 同一性(e.g., 同様の時間に同様の場所で同様の犯行をしたこと)
  • Common scheme or Plan 共通の計画

Other Sexual Misconduct to show propensity for sexual assaults or child molestation

性犯罪は再犯率が高い(プラス人々の嫌悪)ということで、これに限っては検察官でも立証可能。通常の性格証拠と反対に、prior actsはよいが、reputationやopinionはダメである。

 

 

IMPEACHMENT (WITNESS)

Impeachment(弾劾)とは証拠能力の話ではなく、あくまで証人の証明力を減殺するものに過ぎない。そこで、Relevance, Hearsayの議論と分けて考える必要がある

弾劾の方法としては、証人に尋問する方法(confronting the witness)と外部証拠による方法(extrinsic evidence)の2つがある

基本的には尋問によるが、外部証拠でも可能なものもある。

【尋問でしかできないもの】

  • Prior incosistent statements: for only dishonery or false statement。実質証拠としては使えないが、弾劾には可能
  • Inquiry about bad acts without conviction: if it relates to deceit or dishonest

【尋問・外部証拠どちらでもよいもの】

  • Bias, Interest or Motive to misrepresent: false, slanted, mistakn in party's favorであることを示す
  • Sensory Deficiencies: 視力や聴力など
  • Bad Reputation or Opinion about witness's character for truthfulness: 証人の虚偽証言を推認させる
  • Criminal Past Convictions: 有罪判決を受けた者は,宣誓下でもなお嘘をついてる可能性がある(ほんとにそうか???)。ただし、felonyならどんな犯罪でもいいが、misdemeanorならdishonestyに関するもののみ。どちらでも10年以内の犯罪
  • Contradiction: 事実と異なることを述べた場合。重要な事実の場合のみ、外部証拠持ち込み可能

この中ではCriminal Past Convictionsが重要である。

通常,Character Impeachmentは許されないが,この過去の有罪判決で,10年以内のものならば,①あらゆるFelony, ②Honestyかtruthfulnessに関係するMisdemeanorなら許容される。

また,このImpeachmentはCollateral Matter(事件や信用性と直接関係しないもの)には用いることができない。

 

 なお、減殺された信用性は回復 (Rehabilitation)することができる。以下の2つの方法がある。

  • Showing witness's good character for truthfulness 証人の誠実さを示す
  • Prior consistent statement to rebut a charge of recent fabrication 一貫性のある供述によって、作り話だという弾劾に対抗する

 


HEARSAY

Hearsay(伝聞証拠)の定義は、

Out-of-court statement offered to prove the truth of the matter asserted

 1. Non-Hearsay

真実性立証のためでなければ、out-of-court statementでもHearsayではない。

典型的なのは以下の3つ

①Verval act 発言の存在自体が意味がある場合

②To show effect on person who hear or read the statement 例えば、「その情報を得ていた」という事実だけを証明したい場合

③Circumstantial evidence of speaker's state of mind 心理状態の証明。心神喪失が典型的

 

2. Prior statements of trial witness

確かに証人なので反対尋問は可能だが、陳述の時に反対尋問ができなかったので、伝聞に当たる

 

3. Party admissions

当事者の自白は、その利益に反するものであれば証拠能力がある

 

4. Hearsay exceptions

Hearsayに当たる場合でも,以下の例外に当てはまれば証拠能力が認められる。日本の用に誰の前で話したかによって分かれておらず,単純なので,暗記が要求されるところ。

[Unavailabilityが必要な類型]

Unavailability(証人の供述不能。例として、privilege, illness or death, lack of memory, or stubborn refusal to testify)が必要とされるのは以下の3つ。

①Former Testimony

宣誓供述下での過去の供述。反対尋問ができたことにより正確性が担保される。

Same subject matterに関するものでなければならない。

②Statement agains Interest

通常嘘をつかないからである。

In criminal case, it must be supported by additional circumstances showing trustworthiness of statement。

③Dying Declaration

死を確信した時の発言は厳粛だからである。実際の死亡は要しない。

刑事事件ではhomicide事件のみ,民事事件ではいつでも可能。

 

[Unavailabilityが不要な類型]

①Excited Utterance

作り話できない。Shocking event, Excitement or Exclamation。ScreamはShriekなどが必要である。

②Present State of Mind

固有知識と密接(Contemporaneous statement concerning-)。Intent, Emotion, Painなどに注目。

③Declaration of Intent

同上

④Present Physical Condition

同上

⑤Past Recorded Recollection

注意喚起の為に示されたメモなどの証拠能力が認められることがある。

証人が過去にそのdocumentを作ったものの,現在はその内容を思い出せない場合

⑥Statement for the purpose of obtaining medical tratment or diagnosis

通常医学的援助のために誠実となる。Concerning declarant's present symptons, past symptons or general cause of the condition with the purpose for the treatment. To anybody (not limited to medical persons)

ただし,目的が医学的援助を得るためのものに限られるため,「Aに刺された」と言った場合,「Aに」の部分については例外が適用されない。

⑦Business records

業務中は正確な記録を作成する義務があり,正確と推定される。

(1) Made in the regular course of business relevant to type of business, (2) the business regularly keeps such records, (3) Made contemporaneouslly, (4) Information observed by employees

⑧Public records

同上。(1) Internal activities, (2) matters observed pursuant to a duty imposed by law, OR (3) Resulting from an investigation authorized by law

 

OTHERS

その他の論点

1. Authentication of Writing

書証の認証の話。筆跡の証明とか、写真とかである。

Public Documents

通常,認証はそれにつきpersonal knowledgeを持っている者が行う。なお,public documentsはself-authenticatingと呼ばれ,認証はいらない。

 

Judicial Notice

また,Judicial Notice(裁判所が当然に確知する事実)は,証拠なくして事実を事実と受け止めることである。common knowledgeとかunquestionable resourcesに基づくeasy verificationがこれに当たる。

民事事件ではそれをConclusiveなものとして扱わなければならない。刑事事件では裁判官に委ねられる。

 

Best Evience Rule

特に重要なのがこのルール。名前がミスリーディングだが、要するにできるだけ書面(ただし、録音や動画も含む)証拠の場合は原物(the original)を提出せよ,ということ。書面の内容の真正を立証しようとする当事者は、原物を提出するか、不存在の正当な理由を示さなければならない。

ルールが適用されるのは、書面が法的意味を持つ場合(ディードや契約書など)と、書面のみから学んだ知識を証言する場合である。

ルールが適用されない類型は、証拠と独立して証人が独立知識を持つ場合である。

そもそもルールの埒外にあるものとしては、(1)Voluminous records, (2) Certified copies of public records, OR (3) Collateral documents (not important merits of the case)があり、

また、原物不提出が正当化される類型としては、(1) Lost or cannnot be found with due deligence, (2) Destroyed wothout bad faith,OR (3) Cannot be obtained with legal process

2. Cross Examination

反対尋問のルール。ここは日本と同じ

3. Opinion Testimony

意見証人。一般人と専門家とある

一般人の場合の要件は,①MatterにつきPersonal Knowledgeを有していること,かつ②宣誓などによりWillingnessを示すこと,である。

4. Privilege

Attorney-Client Privilege

依頼者が弁護士に気軽に相談できるようにするもの。

保護されるためには,

①Confidential communications between attorney (or representative of either) 

②Made during professional, legal consulation

③Unless plivilege is waived by the client Or an exception is applicable

という要件を満たす必要がある。

communicationsというのは情報の交換を要し,単なる知識などは含まない。attorneyは弁護士だけでなく,依頼者が弁護士と信じたその他の者も含む。

依頼者のみ,この特権を自発的に放棄することができる。

ただし,将来の犯罪や詐欺の場合にはこの特権は適用されない。つまり,依頼者が弁護士に脱税を頼んだ場合などは特権は発生しない。また,依頼者と弁護士の争いにも発生しない。

 

Physicial-Patient Privilege

Confidential communication or information acquired by physician from patient for the purpose of diagnosis or treatment of a medical conditionに発生する特権である。

看護師や家族など他の人がいても,特権は発生する。

 

Spousal Privileges

以下の2つの特権がある。

①Spousal Immunity(Testimonial Privilege, 夫婦間の証言拒否特権)

刑事事件において,配偶者が被告人となったとき,証言者として,配偶者との交信について一切話さなくてもよい。

②Confidential Communications Between Spouse(Communication Privilege, 交信秘密特権)

刑事・民事事件において,配偶者の同意がない限りは,結婚をしている間に行われた秘密の交信(なお,離婚した後も特権は継続する)を公開してはならない。また,これを理由に公開を拒絶できる。

つまり,夫婦どちらも「特権があるから勝手に話すな」「特権あるから話せない」といえるということである。

ただし,双方に対する例外として,

  • 共同で実行しようとした将来犯罪や詐欺についての交信
  • 家族共同体を破壊する虐待などについての交信
  • 夫婦間の離婚訴訟等の民事訴訟

には特権は適用されない。

 

だいたい網羅したかと思います。好きな科目なのもあり簡単なアウトラインのようになってしまった

日本法に比べると、抽象的な規範があってそれに当てはめるのではなく、規範がすでに具体的に設定されている。そのため、オープンブックのロースクールの試験の時は条文集が読めて比較的簡単に感じたが、バーでは細かい規定をすべて覚えなければいけないので、簡単そうで難しい科目

それでも、ローで履修したアドバンテージがあるし、得点源にしたい