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ぺんぎんぺーぱーちぇーす -PennLawLL.M.留学記-

University of Pennsylvania Law School LL.M.(ペンシルベニア州フィラデルフィア)を修了し、日本に帰ってきました。留学時代のことやアメリカのことなどを細々と書いていきます。

コロンビアでの日本人バックパッカー殺害事件を受けて/南米での過去の日本人死亡事件

www.nikkei.com

 

arcanaslayerland.com

今から2週間ほど前だが、大学生がコロンビアで強盗に殺害される事件が起きた。バックパッカーにとってまた衝撃的な事件が一つ増えてしまった。これを機に改めて海外での安全を考えたい。

 

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自分の経験から

僕も、初めて東南アジアに行ったときは、初めての海外で一人旅だったので、本当に気をつけていった。旅先で会う人はまず疑うようにしていた。

しかし、去年と今年にかけて南米に行ったときは、わりと気が緩んでいたなと思う。初めて友人と一緒に行って安心感があったというのもあるが、自分が旅慣れているという自信と、アメリカに1年暮らしたという海外への慣れのせいだと思う。

しかし、上のリンクの記事でも言っているように、この「慣れ」こそが一番恐ろしいと思う。「なんだ、意外と悪い人ばかりじゃないじゃん」という経験則を得ると「人を簡単に疑うなんてよくないな」と思うようになる。下手をすると、安全策を取っている人を見て「そこまで気をつけなくても大丈夫だよ」と、変に自信というか、先輩風を吹かせてしまうこともある。彼がどうだったかはわからないが、彼の死から学ぶべきなのはこういうことだと思う。

 

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中南米は危険なのか

中南米は危険というイメージがあるかもしれないが、一口に「中南米」と言っても広い。南米では今回事件が起きたコロンビア、ベネズエラ、そして中米ではホンジュラスエルサルバドルなどが最も危険と言われている。

 

実は、旅行先を考える時、中米も選択肢の一つだった。

「土地が狭くて一気に何カ国も行ける」「マイナーな国ばかりで面白そう」「中米を抜ける冒険感」が魅力で、メキシコからコロンビアまで行こうかなと思った。結局、あまり見どころが無いという理由で南米にすることにしたが、中米が本当に危険であるということも理由の一つだった。

そして、コロンビア(の首都ボゴタ)に行く案もあったが、2つの理由で却下となった。一つはエクアドルのキトから遠いこと、そしてもう一つは、「危険なこと」だ。

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http://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_248.html#ad-image-0より

この外務省の危険情報を見れば一目瞭然だが、コロンビアは最低でもレベル1、そしてレベル3の地域もかなりある。

実は、中南米全体でもこれは異常なのだ。

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ブラジル、ボリビアなどは、案外真っ白である。

確かに、ボゴタや今回事件があったメデジンはレベル1であり、ここ自体は旅行で行く人も多い。しかし、陸路でベネズエラエクアドルに抜けることを考えた場合、レベル2や3の地域は避けては通れない。そして、コロンビアではバス強盗が多発しているという情報が山のようにあった。バス強盗はもう防ぎようがない。世界で色々とテロが起きている時期でもあり、怖くて行くのをやめた。

 

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南米での主な日本人の事件

南米も大都市を選び危ない場所は避けるようにしたが、例えば日本人が過去で被害にあっている場所は警戒する。やはり自分と近い境遇の人の事件は衝撃度が高い。

 

世界一周屋 ~ Go around the world!! ~: 【La Paz】 ラパスで置き引きに遭う

例えば、ボリビアのラパスは置き引き等が多発している場所である。荷物には最大の注意を払った。

 

世界一周旅行中の夫婦ブロガー死亡、アフリカでマラリア感染か? | ちほちゅう

それから、ラパスは有名な世界一周ブログ夫妻がマラリアで死亡した場所でもあった。

彼らはアフリカでマラリアにかかり、ラパスに来て発症したものの、高山病だと勘違いして(ラパスの標高は4000m)、そのまま死亡してしまった。

そういうわけで、ラパスはバックパッカーにとってはある意味で特別な場所だった。僕はアメリカで黄熱病の注射を打ち、マラリアと高山病の薬も持っていったが、少し気分が悪くなったりすると何かの病気かと思って冷や汗が出た。

 

ボリビアで邦人女性が事故死 | 2011/6/3(金) 16:01 - Yahoo!ニュース

更に、デスロードと呼ばれるラパス近郊の崖を自転車で下るツアーでも、日本人が崖に転落して死亡している。僕はツアーに参加するか迷ったが、結局命の危険を感じてやめた。

 

エクアドル新婚旅行殺人事件 - Yourpedia

そして、エクアドルグアヤキルは日本人の新婚旅行夫婦が殺害された場所である。実際、夜のグアヤキルは人通りが無く、店も閉まっていて本当に危険を感じた。入国時に「流しのタクシーには乗るな」という注意書きをもらった。もしかしたら殺されるかもしれないという危機感を常に持ってはいた。

しかし、夜にバックパックを背負って(明らかに旅行者とわかる格好で)一人で出歩いたりもしたのだから、何も無かったのは運が良かったという言い方もできる。本来ならば、夜に一人出歩くべきではないのだ。僕がもしそこで被害にあっていたら、僕にも責任があるだろうなと思う。

 

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バックパッカーの武勇伝自慢は危ない

バックパッカーはハプニングを自慢げに話しがちだ。

たしかに、「あんな危ない目にあったけどなんとか助かった」というのは冒険譚としては面白い。僕自信も、ちょっと危ない目にあったことを武勇伝的に友達に話したことが結構ある(宿で荷物を荒らされたとか)。

しかし、自分の警戒のお陰で防げたという教訓ならともかく、単に危ないことをして危ない目にあったが助かったというのは「運が良かった」に尽きる。例えば「コロンビアは危ないっていうけど俺は何もなかったからだいじょぶ。全然へーきよ」というのは本当に無責任だ。単にそいつが運が良かったに過ぎない

「きれいな場所だったし、俺は大丈夫だったけど、被害にあった人もたくさんいるから、もし行くなら本当に気をつけるべきだよ」と言うべきだろう。今回の事件は、そういう文脈で語られるべき教訓だ

 

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 今回の事件からの教訓

ただし、そういう危険な都市に行くこと自体を批判するのはどうかと思う。メデジン自体はレベル1だし、今回殺害された方を批判する気にもなれない。

確かに、

①電子機器(iPhoneタブレット、カメラだろうか)を見えるように使っていた

②ひったくりを追いかけてしまった

というのは彼の落ち度かもしれない。旅慣れていることで油断もあったのかもしれない。しかし、カメラ等を普通に首から下げている旅行者は山ほど見たし、初めから銃を突きつけてきたような強盗ならともかく、単なるひったくり(刑法的にはこれも強盗になりうるが)だったら、つい追いかけてしまうのもわかる気がする。初めての強盗犯が凶悪犯だったというのは、運が悪かったとしか言いようがない。

 

ただ、こういう事件を受けて旅行する人が減ってしまうのは悲しいと思う。確かにいくら警戒しても防げない事件はあるし、その発生度は圧倒的に日本より南米などの方が高い。ただ、気をつければ防げるものが多いことも事実だし、旅行は本当に楽しい。南米は本当に行く価値があるところだ。

ただ、こういう事件を教訓にして、日本人の危機意識が上がればいいと思う。