関東人が関西で突き当たる文化の壁は色々とあるが、やはりなんと言っても違うのは言葉だろう。イントネーションはもちろん、語彙も結構違う。特に語彙は理解していないと誤解を生じる恐れもある。
そこでぺんぎん厳選の関西弁語彙を紹介する。関東人のあなたもこれだけ押さえておけば関西でも生きていける…かも。
巷には関西弁に関する本もあるが、イマイチ現状に即していない。そこで、日々関西弁に浸かるぺんぎんが実際によく聞く関西弁をまとめる。
特に重要なのには☆をつけたので忙しい人はそれだけチェックしよう。
1 動詞
☆ちょける
意味 ふざける。おどける。
例文 「あいつすぐちょけるやん」「ようこの雰囲気でちょけられるな」
非常によく使う。関西人はすぐにちょける愉快な人が多い。
☆なおす
意味 片付ける。元の場所に戻す。
例文 「この椅子なおしとこか」「この本どこになおしたらええ?」
関東人が間違える関西弁の代表格。非常によく使う。
コナンで、服部が焼死体についていた黒焦げの腕時計をコナンに渡しながら「この時計、なおしといて」と言ったところ、コナンが意味がわからなかったシーンは有名である。
☆ほる ほかす
意味 捨てる
例文 「このゴミどこにほったらいい?」「これもう使えんやろ。ほかしといて」
これも非常によく使う。「放る」が転じたものと思われるので、「放り投げて捨てる」という意味では同じである。
そういう意味でティッシュのゴミとかなら違和感を感じず対応できるのだが、比較的大きなものを「ほっといて」と言われると思わず投げそうになるので注意が必要である。
あと関東人的には「ほうっておく(放置しておく)」という意味にも取りうるが、うっかりそのまま置いといてしまうと「いや、ほっといってって言ったやん?」と怒られるので注意しよう。
のく
意味 どく
例文 「ほら、のいてのいて」「道の真ん中で人がのかんとしばいたろうかと思うわ」
「退く」という意味であり、「のいたのいた!」とは江戸弁?でも言うような気がするが、「のいて」だとパッとは漢字が出てこない。「のいて」と言われて数秒意味がわからず固まってしまったことがある。
おかまほる
意味 車で後ろから追突する
例文 「昨日運転しとったらおかまほられてん。ほんま最悪やわ」
要は「男のケ◯に後ろからぶち込む」という非常に下品な表現であるが、車を運転していると会話の中でわりと出てくる表現である。
「え、これ言わんの?関東弁でなんて言うん?」
「え、普通に『後ろから突っ込まれた』かな…」
「そのまんまやん。おもんな」
と関西人の興を削ぐことにもなる。
顔をさす
意味 顔が割れている
例文 「このへんは顔がさすから悪いことできひん」
道端のおばちゃんと話してて言われて意味がわからず聞いたのだが、友人に聞いたところみんなしらなかった。どうやら少し古い京都の言葉なようである。
いもる
意味:ビビる
例文:あいつほんまいもってるな
普通に「ビビる」も言うので、そこまでは使わない気がする。
いわす
意味 傷める。痛めつける。
例文 「膝いわしてもうたわ」「あぁん?なんやおまえ、いわすぞ?」
傷めるのほうの意味ではよく使う。膝をいわす、首をいわす、などなど、グキッと痛めたというニュアンス。痛めつけるのほうの意味はガラが悪すぎるのでほとんど使わない。
2 形容詞・副詞
☆いける
意味 大丈夫
例文 「あのー、予約してないんですけどいけます?」「調子悪そうやん。いける?」
英語でいうと"fine"とか"ok"の意味である。関東弁でも"good"的に「このお菓子いけるね!」とはいうが、関西弁ではかなり広い意味があり、何でも使える便利表現である。
引っ越してきた当初、ガス開栓の業者さんが来て色々とぺんぎんに説明したあと「いけます?」と言われて「え、いけるって何が?」と固まってしまったのをよく覚えている。ここでは「わかりましたか?理解できましたか?」という意味である。
ふてこい
意味 愛想がない。可愛げがない。
例文 「あの子、顔は可愛いけどふてこいよな」「あいつなんであんなふてこいん?」
「ふてぶてしい」が転じたものと思われるが、関西人に聞くとそれとは少しニュアンスが違い、なんか愛想がなくてブスッとしてるとかそんな感じの意味らしい。もっぱら女性に使われる言葉である。
男女平等の観点からは問題だが、関西ではまだ「女は愛嬌」的な文化が残っているので、ふてこい人は嫌われる印象。
しらこい
意味 ずるい。白々しい。わざとらしい。
例文 「あいつ絶対知ってるくせに知らんていうねん。ほんましらこいわ」「何話してもはっきりせんし、しらこいやつやわ」
これもニュアンスが掴みづらい表現。知ってるくせに話さなかったり人を出し抜いたりするような人を悪く言う表現である。
おぼこい
意味 幼い。子供っぽい。世間知らずな。
例文 「おまえはほんまにおぼこい子が好きやな」
英語でいうとchildish, naiveという意味の言葉。
男前
意味 イケメン。男らしい。
例文 「あいつバリ男前やな」
「男らしい」という意味では関東でも使う気がするが、関西では「(顔が)イケメン」という意味で使われることが多い。
ぬくい
意味 あったかい
例文 「今日はぬくいなぁ。春やなぁ」
関東でも部屋の中などで「ぬくぬくしてる」というが「ぬくい」は室内外問わず「暖かい」「温かい」ことを指す。女子の「ぬくい」は大変に可愛い。
ゲラ
意味 笑い上戸
例文 「ゲラやからしょうもないことでもすぐ笑ってまうねん」
そこまで使わないと思う。
意味 アホ。落ちこぼれ。使えないやつ。
例文 「おまえどんだけぽんこつやねん」「あいつ刑裁もCとったん?ほんまぽんこつやな」
ぽんこつは関東でも使うような気もするが、こちらに来てからかなりの頻度で聞くようになった。「頭が悪い」とかちょっとシビアな意味も持ちうるが、基本的には「アホ」と同じような軽いニュアンスである。
しゅんでる
意味 染みてる
例文 「このおでん、味がしゅんでて美味しいなぁ」
関西は和食が美味しいお店が多く、おでんや煮物を食べる機会も多い。手料理に感想を求められたらこれを使おう。
☆キショい
意味 キモい
例文 「あいつバリキショいな」「キッしょ!!!」
関東での「キモイ」がこれである。関東人的には「キモイ」はカジュアルな感じがするが、「キショい」は「気色悪い」に通じるかなりヘビーな印象があり、最初は無駄にへこんでしまったものである(ちょうど、アホとバカのニュアンスが反対なのと似たようなものか)。
「キッショ!!!」は「気持ち悪いことを平気でやるくらいすごい」という褒め言葉的な意味もあるので、言われてもショックを受けないようにしよう。(ただし、「キショいキショいキショい」とか連続になるとかなりガチめに引かれてることが多いので気をつけよう)
☆イラチ
意味 イライラしやすくすぐ怒る人
例文 「あいつなんであんなキレてるん?イラチすぎやろ」
発音に注意(ラにアクセント)。関西人はイラチが多い。
サラ サラピン
意味 新しい
例文 「このコップ、サラやから割らんといてな」
有名であるが、そこまで聞く機会はない気がする
こしょばい
意味 くすぐったい
例文 「やめて!ほんまにこしょばい」
めちゃくちゃ可愛い。言われるとますますくすぐりたくなってしまう(←キッショ!)
☆バリ
意味 めっちゃ。くそ。
例文 「え、バリやばない?」
「めっちゃ」も使うが、「バリ」はよりカジュアルである。関東弁の「クソ」よりは上品である。
☆正味(しょーみ)
意味 正直なところ。ぶっちゃけ。(または意味のない強調)
例文 「おまえしょーみあいつのことどう思ってるん?」「しょーみ不味いな、ここ」
「ぶっちゃけ」とほぼ同じ意味で使われている気がするが、リズムを整えるために意味なく使う場面も多い。
☆言ったら(ゆったら)
意味 言い換えれば。言ってみれば。
例文 「修習生っていうんは、まぁゆったら弁護士のことやな」
かなり飛躍があることもある。
☆まーまー
意味 (意味のない強調表現)
例文 「まーまーやばいな」
「しばしば」とか「かなり」とかの意味も持ちうるが、基本的には意味なくつけてリズムを出すための表現である。
関東弁だと「そこそこ」という意味に感じるが、どちらかといえばプラス的ニュアンスがある。
いうてるまに
意味 すぐに
例文 「あいつ遅いな。ま、いうてるまに来るやろ」「ゆーてるまやで」
「そうこう言っている間に」の意味であり、語感がいいのでよく使う。
次回に続く