スーツを語る。


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twitterではスーツ警察というアカウントが話題です。スーツ男子(笑)のダサいスーツ姿を摘発する人です。

僕は偉そうにオシャレを語れるほどオシャレでもないのですが、「弁護士になっていいスーツを着る」というのが勉強のモチベーションになってきたこともあり、スーツについてはちょっと齧っております。スーツ警察の指摘に概ね賛成です。

そんな私から見て、ちまたのスーツの着こなしがダサすぎると思っているので、今回はちょっと偉そうにダメ出ししてみます

 

1 スーツ

(1)色:黒はやめる。ネイビーかグレーにしよう

なぜか黒スーツが多い日本人。そもそもスーツ発祥の地である欧米で一番スタンダードなスーツはネイビーであり、黒はタキシードとかモーニングとかでしか着ないそうです(久々の欧米かぶれネタ)。日本でも基本的には礼服の色ですよね。

日本では、スーツ量販店がスーツを売るために、黒いリクルートスーツを開発し、黒スーツがメジャーになったと聞いたことがあります。その影響で就活が終わっても黒いスーツを着ているなら悲しいことです。ボストンキャリアフォーラムで黒いスーツの大群がボストンの町を歩いている光景の異様さはよく覚えています。

 

ブラウンとかもオシャレですが、少し難しい。

というわけで、まずはネイビーかグレーにしましょう。

ネイビー

色の明るさは様々ですが、あんまり青々としすぎるとタクシーの運転手か芸人の銀シャリプルゴリにしか見えなくなります。ある程度抑えた方がいいでしょう。

*プルゴリ=プルデンシャルゴリラ。知らない人は検索してみて下さい

 

グレー

特に明るいグレー(ライトグレー)は欧米では(また欧米か)ある程度の地位にある人が着るというイメージがあるそうです。日本でも、若手がライトグレーを着るのはどうなん?という議論もあります。確かに目立つし、どちらかといえば渋いイケオジによく似合います。

余談ですが……

僕はコラテラルというトム・クルーズが殺し屋を演じる映画が大好きです。初めて一人で映画館に行った思い出深い映画。

彼が着るライトグレー(シルバー)のスーツに憧れていました。よし、大人になったらこんな色のスーツを着よう、と。

コラテラル (字幕版)

コラテラル (字幕版)

 

 

そして、去年、奮発して麻布テーラーでオーダーしちゃいました。

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カノニコというイタリア製の光沢ある生地にしたので、かなーーーーりカッコいいです。

かなりカッコいいんですが、、、やはり目立つし、ちょっとまだまだ年が追い付いていない感じがします。

 

というわけで、グレーを買う場合も色は抑えめにしておいた方がいいでしょう。

 

(2)柄:基本無地がいい

ストライプは定番ですが、下手をするとヤクザかホストみたいになってしまったり、意外と難しいです。

格子柄も濃い柄にするとチャラいですが(リーガルハイの羽生くんみたいな)、薄っすらだとカッコいいと思います。

*僕のネイビーのスーツも薄っすら格子柄が入っています。気に入ってます。

 

(3)フラップ:基本しまおう

スーツのポケットについているヒラヒラをフラップと呼びますが、あれはもともと雨やほこりがポケット内に入ることを防ぐものであり、「屋外では出して、屋内ではしまう」というのが正しいそうです。

つまり……、例えば人の家にお邪魔してフラップを外に出していると

「アカン、お前の家、死ぬほどホコリ舞ってるわ」

というメッセージになるようです。京都人もビックリ。

ではどうすればいいか?正式にはわざわざ出したり入れたりした方がいいわけですが、さすがに面倒くさいし、ポケットに何か入れたはずみで片方だけしまわれたりしているのもみっともないですよね?

ということで、基本しまっておけばいいのではと思います。

 

(4)パンツの裾:だらしなくならないよう、ハーフクッションとかにしよう

裾がだるだるの人が多すぎませんか?だらしないし、足も短く見えます。

裾の長さですが、若干カジュアルになりますが、若い人であればハーフクッション(裾が靴にかかるかかからないかくらい)がスッキリ見えてよいと思います。ノークッション(かからない)は少し攻めすぎているような。いずれにせよ、短めなのが流行していると思います。

あとは裾をダブル仕上げにするとオシャレ度がグッと増します

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パンツは太すぎると野暮ったいですが、細すぎるとホストっぽくなります。何事もやりすぎないのが大事です。

 

2 シャツ

(1)襟:ワイドカラーかホリゾンタルにしよう

襟のことをカラーと言いますが、近年は少し開き目のセミワイドカラーワイドカラーや、180度開いているホリゾンタル(カッタウェイ )が流行りです。首元がスッキリ見えます。

カラーが狭いと、それだけでやぼったい印象を与えます(特にナローカラー)。

逆に言えば誠実さ・堅実さが増すという効果もありますが、せめてセミワイドくらいにした方がいいでしょう。

イタリアンなホリゾンタルは僕は好きですが、若干チャラい印象になります。

こればっかりは職場の雰囲気や個人のキャラクター次第でしょうか。まずはワイドカラーとかで様子を見ましょう。

 

(2)ボタンダウンにネクタイはやめないか?

ボタンダウンが好きな人、やたらと多いです。

襟をボタンで止めないと死ぬのか?というくらいにボタンダウンが氾濫しています。

ボタンがついていてなんとなくオシャレに見えるのでしょう。安い量販店に行くとほとんどがボタンダウンです。

ボタンダウンは、元々はネクタイをしていない時にカラーがひっくり返ることを防止するものであり、ネクタイをするのはおかしいそうです。オックスフォード生地の私服用のシャツとかにこそ似合います。

ビジネスでもノーネクタイのクールビズ用ではいいですね。ボタンダウンにネクタイはやめるのがベターです。

 *あえてボタンダウンにネクタイを合わせるコーディネートもありますが、上級者向きです。

 

(3)裏地柄、色付きボタンもやめないか?

特に夏用のシャツに多いのが襟や袖の裏地にチェックなどの柄を施したり、ボタンを黒くしていたりと装飾がついているものです。

この装飾、いりますか?

何もついていないとシンプルすぎて不安なんですか?

やはりオシャレは引き算だと思うのですよ(一回言ってみたかった)。とりわけ、スーツはフォーマルな格好なんだから、こういうゴチャゴチャしたものは不要だと思います。しかも、ちょい見せ・チラ見せというのがいかにも中二病くさいです(ディスりすぎてごめんなさい。個人の感想です(逃げ))。

ちょっとした遊びがほしいならクレリックはどうですか?めちゃくちゃ可愛いです。ブリティッシュな香りが知的です。ラウンドカラーとか可愛くて死にます。

 クレリックはこれは由緒正しいシャツの形であり、ゴチャゴチャとは違うのです。

 

(4)最凶最悪・一発退場のドゥエボットーニ 

(うわぁああああああ)

2つボタンがついた襟高のシャツ。

なんなんだろうか、これは。本当にダサいの一言に尽きる。これを着て合コンに行くのはワンピースでいえば覇気無しでロギアに挑むくらい、鬼滅でいえば呼吸無しで上弦に挑むくらい無謀です。 

 

3 ネクタイ

(1)太さ:ナロータイはダサい。大剣幅とラペル幅を合わせよう

弁護士ドラマSUITSで、ハーヴィーがマイクの細いネクタイにダメ出ししていたシーンがありました。

細いネクタイ(ナロータイ)はモードっぽさ、フェミニンぽさを演出できて、バンドマンの衣装とかだと最高にカッコいいのですが(あとバチェラーの坂東さんとかね)、カジュアルすぎてビジネスの場には合いません。

そもそもネクタイの大剣(太い方)の太さはスーツのラペル(襟の一番太い部分)の太さと合わせるのが基本です。

最近はクラシック回帰なので一番多く出回っているネクタイは8センチのものだと思います。高いブランドものとかだと9.5とかめちゃ太いのもあるので気をつけましょう。いずれにせよ、自分のスーツのラペル幅をチェックしよう。

 

(2)柄:無地(ソリッド)か小紋柄がよい。レジメンタル、チェックは難しい

やたら多く見るのがレジメンタル(ストライプ)。

別にレジメンタルがダメというわけではなく、ブルックスブラザーズに代表されるようなトラッドなアイビースタイルで着こなせればかっこいいのですが、本来これは難しい柄で、何も考えずに選ぶと就活生のように見えてダサくなることうけあいです。

レジメンタルにするなら個人的には模様の太いもののほうがかっこいいと思います。細すぎるとカジュアルになります。

 

また、多いのがチェック。

チェックは間違うと一気に子供っぽくなる難しい柄です。学芸会か??これも着こなせるまでは避けた方が無難でしょう。

 

無地で少し厚みのあるキチンとしたものはそれだけでかっこいい。色は落ち着いたネイビー、ブラウンとかがイケてます(ちなみに、ネイビーとブラウンの組み合わせはイタリアでは鉄板で、アズーロ・エ・マローネと呼ばれています。ネイビースーツにブラウンネクタイは最強です)。

 

あと、実は一番フォーマルとされているのは小紋です(水玉とは違います)。

柄が小さければ小さいほどフォーマルになります。小紋柄は大人っぽさが出てかっこいいですし、華やかでこなれた印象になります。 

 

(3)結び方1:プレーンノットが基本

結び方は色々ありますし、ここは個性や好みを出していいところだと思いますが、僕が見ていると変に丸っこくて野暮ったい結び方の人が多いです(ウィンザーノットかしら)。

基本的にはシンプルなプレーンノットが良いと思います(ただし、ある程度厚みのあるキチンとしたネクタイ。安っぽい薄手のものだと貧相になってしまう。薄いものならダブルにしたりセミウィンザーにしたりするとよい)。

 

(4)結び方2:ディンプルを作ろう

葬式の時を除いてはネクタイはディンプル(えくぼ)を作るのが正しいです。

ディンプルを作るだけでVゾーンに立体感が生まれます。

10年20年スーツを着てネクタイを締めてきてディンプルを作っていない人を見ると、素直に「なんで?」という疑問が浮かびます。義務教育で教えるべきでしょう。

 

(5)結び方3:過ぎたるは猶、なんとやら。長さはベルトにかかる程度

ネクタイの長さが長すぎ、あるいは短すぎる人が多いです。

長すぎるとダラしないし「おまえはトランプか?」となります。逆に短すぎると、フザケているように見えます。

適切な長さに結びましょう。

 

 

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まとめると

ネイビーかグレーの無地のスーツで

ダブル裾のパンツをハーフクッションで履き

シャツは裏地やボタンの柄なしのワイドカラーかホリゾンタルにし

ラペル幅にあったソリッドか小紋柄のネクタイを、シングルノットでディンプルを作って、丁度いい長さに結ぶ

これだけである。これだけやれば誰でもかっこよくなるのだ。なぜそれができないのか!!????

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いかがでしょうか。今回はちょっとふざけてディスり多めにしたので、気を悪くされた方はごめんなさい。

でもスーツの着方って教えて貰う機会がないので、自分で調べないとなかなかわからず、わからないままなんとなく着てる人が多い気がするんですよね。非常にもったいないです。

どうせ仕事で着るなら、義務感で着るのではなく、楽しく着たいものです。上に書いたことを守るだけでもかなりカッコよくなるかと思います。

みなさんも楽しいスーツライフを!!