ぺんぎんぺーぱーちぇーす -PennLawLL.M.留学記-

University of Pennsylvania Law School LL.M.(ペンシルベニア州フィラデルフィア)を修了し、日本に帰ってきました。留学時代のことやアメリカのことなどを細々と書いていきます。

Summer Programの授業①ーFoundations

サマープログラムで受講した授業3つについて①

< Foundations of the US Legal System>

 

1 概要

LLM生約120名全員で受ける講義授業である。試験があり、成績がつく。

その名の通りアメリカ法の基礎であり、NYバー受験要件科目でもある。

 

2 内容

主な内容は、

・コモンローとは

・アメリカ(法)の歴史

憲法と議会の関係

権利章典(Bill of Rights)

・平等条項(修正14条)

民事訴訟法の基礎(管轄がメイン)

・証拠法の基礎

 

憲法がメインだが、民訴、証拠法なども含みかなり膨大な範囲を扱う。

最初はアメリカの歴史的なことから始まり若干面食らった(まさか法律の授業でノルマン・コンクエストというワードを聞くとは)。判例の歴史や最高裁判事の変遷等法律を絡めつつも、普通のアメリカの歴史を扱う。歴史は嫌いではないがそこまで好きでもなく、極めて大切なのはわかるがぶっちゃけ退屈である。

とはいえ、一応アメリカで暮らす大学院生としてはその国の歴史はある程度知る義務があると思うし、ちょうどこの前は終戦記念日であり、安倍談話の発表等で日米関係はますます注目の的となっている。そういう意味でも、この機会にきちんとアメリカの歴史の基礎くらいは頭に入れておきたいとは思ったので、有意義ではあった。なお、水村美苗が「アメリカの歴史の授業は、最初はイギリスをすごい礼賛しているのに途中でいきなり敵として下げる」みたいなことを書いていたが、それが垣間見えて面白かった。

その後は主に憲法の統治機構の話が続いた。これも議会と裁判所の関係や、法律がどのようにして議会を通過するかなど非常に重要な話である。それはわかるが、どうも個人的にはあまり法律の授業という感じがせず(法解釈中心の日本の法教育に染まっているからでしょうか。日本でも統治は授業では選択科目扱いだし試験でもほぼ出ないしで、あまりきちんと勉強してない)、中々身が入っていない。きちんと復習しなければなとは思う。

その後は人権規定 (Bill of Rights)を扱った。こちらも修正14条との関係の技術的な話が多いのだが、だいぶ法律の話っぽくなってきており、面白い。

その後は民事訴訟法の基礎。とはいえ、日本法でメインになる判決効等の話とは異なり、管轄(Jurisdiction)の話が中心である。管轄の話は非常に複雑・難解で、NYバーでまた勉強しなければと思うと若干先が思いやられる。

最後に証拠法を扱った。アメリカの証拠法は民事・刑事でほとんど共通であり、Evidenceという一つの科目となっている。誘導尋問(leading examination)は反対尋問(cross examination)では出来るとか、伝聞(hearsay)と非伝聞の区別の仕方、等は基本的には日本法と同じであり、また、相違があっても同じような概念(例えば、(悪)性格の立証(character evidence))が登場したり、そこまで難しくないという印象。証拠法はアメリカが本場という感じがあり、実は秋学期に履修予定である。個人的には好きな分野。

 

3 教科書・課題

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なお、教科書はまさかの5冊であり(日本人の先輩の方に頂けたので教科書代は浮いた)、毎回Reading Assingmentとして数十ページ読んでくることが課される。

しかし、アメリカの大学の授業によくあることだが、実際はアサインメントの内容と授業内容が必ずしもリンクしているわけではない。とはいえ、ある程度読んでいることは前提に話が進むのでサボるわけにもいかない。かといって、全部馬鹿正直に読んでたら時間がいくらあっても足りないし、教授もそれは期待していないと思われる

 

(ページを指定するときにSkimという言葉が多く使われることからもわかる)。そういうわけで、大事なところとそうでもないところを見極めつつ、いかにサーっと読めるか、ということが重要。そしてこの力は、リサーチでも非常に重要になる。

 

実際のところ、きちんと読んでるという人はあまりいなかった気がする。ペンに来てるのはビジネスロイヤーが多く、別に憲法なんてあんま興味ないしなー、という感じ。

ぺんぎんも、なんだかんだできちんとは読めず、反省している。確かに、試験のことを考えれば後述のOutlineで勉強する方がよっぽど効率はよい。しかし、NYバーでは「速読力」が重要と言われていることからも、普段からサボらず読書課題をこなして地道に英語を読む力をつけておくことは重要だよなと思う。なんていうか、「意義とか考えてる暇あったらとりあえず読め」というある種の「訓練」だと思った方がいい気がする。

 

 4 試験

試験は45問の4択形式(multiple choices)。

授業で扱ったことが問われるわけだが、正直、やった内容を超えた問題も出た気がする。結構難しかった。

なお、アメリカでは講義内容等をまとめたレジュメ(Outline)を参照することが多いが、今年も数年前に作成されたOutlineが出回り、基本的にみんなそれで勉強した。そこらへんは日本と変わらない。

なお、試験の実施方法は日本と違ってかなり面白かったので、改めて書きたいと思う。

 

5 まとめ

内容自体は憲法の統治機構が中心で、そこまで面白いものではなかった。ただ、本格的な各科目の授業に入る前に、憲法始め、民訴法と証拠法という重要な科目の基礎をサーっとでも勉強しておくことは非常に有意義だと思う。また、改めてアメリカの歴史を(アメリカ人の口から)勉強することも意味があることだと思う。秋学期他の授業と併行して行う学校が多い中、事前に勉強させてくれるペンの配慮がありがたい。

 

他の二つの授業についても書いていきます。