Fall Semester開始・授業①(会社法、法曹倫理、会社法、契約法)

ということで、本日8月31日から秋学期が開始し、本格的なロースクール生活のスタートとなった。

 

学校に行ってみると待ち受けてたのはこれ。

 

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文字通り山のようなドーナツとコーヒー。うーむ何ともアメリカである。なんか、何かにつけてこういうComplementary(無料の)フードやコーヒーが提供される気がする笑。「まずは胃袋を掴め」じゃないが、コストがかからないわりに学生には好評なので早稲田も取り入れてはどうだろうか。

 

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いい朝!!!!!

 

ちなみに、アメリカの大学では始めの2週間ほどはadd/drop periodと呼ばれ、事前科目登録(Advanced registration)の時に登録していない授業に自由に出たりして、実際に履修する授業を決めることができる。席に空きがあれば新たに授業を登録し、あるいは気に入らなければ登録を抹消することができる。

シラバスがあるとはいえ「授業に出てみなければわからない」ことは多い。アメリカは専門を決めるのもそうですよね、大学入学前に専門を決めるのではなく、入ってから色々見る中で決めていく。とてもいい制度だと思う。add/dropは日本も取り入れてほしい。

 

さて、この日の授業は、以下の二つ。

 

① Corporations(会社法

ペンローの看板教授の一人であるFisch(フィッシュ)先生の授業である。彼女はとても厳しいと評判で、Call onされた(当てられた)学生が失神したとか嘘かホントかわからない噂が飛び交うほど、皆に恐れられている。僕も初っぱながこの先生か…と若干憂鬱だった。

しかし、今回はCall onはなく、自主的を挙手を投げかけるだけだった。そして、こういう時は必ず誰かしらが発言するのがアメリカである。僕も発言しなければ、と思う。

彼女の説明は非常にクリアで、わかりやすく、英語も明瞭で聴き取りやすい。LLMが嫌いとの噂だが、もしかしたら配慮してくれているのだろうか。スライドも非常に簡潔でわかりやすく(配布が無いのが残念だけど)、内容も面白く、とてもいい授業だなという印象。

もっとも、まだ初回のadd/drop期間だから、という可能性もあるので、油断はできないところ。

なお、ペンLLMはビジネスロイヤーが多いという事情もあり、LLM生はかなりの確率で会社法は履修している。この授業も全部で100名くらいの大教室だが、そのうち20人程度はLLM生。

 

② Professional responsibility(法曹倫理)

NYバーの要件のため、ほぼ全員が履修する。秋学期は4クラスあるのでどれか一つを取ることになる。昨年と教授が変わっており情報がネットのシラバスしか無かったが、検察ではなく弁護士倫理である、学者じゃなく弁護士が教えている、何故か教授が二人であり飽きがなさそう、との理由から月曜夜のクラスにした。

先生は二人ともペンシルバニア州の弁護士で、中々優秀そうである。交互に講義し、学生と積極的な会話をして授業が進む。

正直、法曹倫理は既に早稲田でやったし、法曹倫理はアメリカから輸入しているところが多いはずなので、あまり面白くはなさそうだ。教授が「さぁ、これから皆が大好きな法曹倫理の授業を始めます」として笑いを取ってたことからも、アメリカでもあまり人気の無い授業であることは伺われる。ウォーターゲート事件での弁護過誤(malpractice)を理由にABA(アメリカ法曹協会)がこれを必修科目にした、というようなことを言ってた。

グループワークが多いらしくそこそこハードそうだが、まぁただ話を聴くだけよりは面白そうなのでこれにしようかなと思う。

 

 

これに加え、様子を見るために以下の二つの授業を聴講。

 

③ Corporations(会社法

同じ科目であるが、教えている先生が違う(ブラットン教授)。フィッシュ先生との比較の意図で一応聴講してみた。早稲田に来てたJD学生二人も取っていた。

彼の評判は講義評価資料でも微妙だったのだが、実際もその評判通りだった。わりと年のいったいかつい偉そうな教授だが、あまり教育熱心という感じはしない。ユーモアのある人のようで、度々笑いを取るが、あまり授業は進まない。説明も不明瞭だし、英語も聴き取りづらく、周りも「何言ってるかわかんねぇ」といった感じ。

なお、会社法はもう一人スキール先生という教授が教えているが、こちらは評判がよく、フィッシュと同じく登録は満杯となっている。僕はこちらは出ていないのでわからないが、ペンで会社法を学ぶならフィッシュ先生かスキール先生がいいと思われる(あとは、M&Aを教えているロック先生が有名)。

 

④ Contracts(契約法)

実は、僕はCommon Law Contracts for Civil Lawyersという別の契約法の授業を登録している。これは、名前からわかる通り、シビルロー国で契約法を学んだLLM生向けに特別に開講されている授業である。契約法はアメリカ法の中でも重要で、LLM生の中でも履修の需要が高いが、LLM生が1L(JD1年生徒)向けのContractsの授業に殺到することは学校的には好ましくなく(1Lは法律の初学者対象であり、既に他国で法律を学んでいるLLM生が入るとdistractingなため、と思われる)、実際1L科目はLLM生は一つしか取れないことになっている(別途申請すれば2つ以上も可能)。

そういうわけで開講されたのがCommon Law〜である。しかし、その授業の評判はあまり良くなく、では1L向けのContractsはどうか、というわけで聴講してみた。

授業は75分だったが、"If you give me a good answer, I'll give you this pen"という言葉により契約が成立するか、ということについて教授が延々と学生と対話することで幕を閉じた。要するに、goodという文言は明確で無い、とか、penの質が悪かったらどうするか、(これは議論してなかったが、英米法に特有のconsideration(約因)の有無)等が問題となるわけだ。

「そんなの結論を教えればいいじゃん」と思うが、あっさり結論を教えずに対話を通して学生に法的思考(legal mind)を叩き込むのがアメリカ的教育、というところだろう。これぞホンモノのSocratic Methodという感じだ。これがヘタクソな早稲田の教員は一度是非アメリカのロースクールで本場のソクラテスを体験してみることを勧める。

 

(早稲田の文句が多いのは母校愛だよ!!)

 

まぁしかし、その議論の様子は面白いとはいえ、一応既に5年間も法律を勉強してる身としては流石に回りくどい。明日のCommon Law〜次第だが、おそらくこれは履修しないと思う。

 

 

さて、あとは、まぁこれは偶然もあるのだけど、今日受けた教授の男女比が1:4だったというのがすごい。日本のアカデミアでは女性はまだ少なく、特に法学部はその傾向が顕著な気がするが、アメリカは女性の教授もかなり多い(3〜4割くらいはいるので)。この辺は流石だなという感じがする。

 

さすがに4つも授業に出たので疲れた。しばらくはこんな感じだろうが、色々な授業を体験できるのは面白い。五月病なうだが頑張れぺんぎん!