Fall Semester授業④(リーダーシップ)

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再び別のウォートンの授業に出てきた。写真はウォートンサーティフィケートの説明会の時のレセプション。

 

Leadership & Communication in Groups

これはMBAではなく、フレッシュマン(学部1年生)向けのコース。リーダーシップの最初の最初の導入講義である。25歳なのに19歳向けの授業に出てしまった。。

聴講のお願いをするべく先生のところへ行く。

「聴講してもいいすか?」「今日だけ?それともずっと?」「それは今日の感じで考えます」「このクラスはフレッシュマン向けだから聴講は原則ダメなの。」「僕はリーダーシップについては超フレッシュマンですよハハハ なんてね」「ハハハ。まぁとりあえず今日は見学していいわよ」「サンキュー」

やる気ある学生は基本ウェルカムなのがアメリカのいいところだと思う。

 

リーダーシップってのは聞こえはいいが正直なところ僕もよくわかっていない。ウォートンを始めビジネススクールにはリーダーシッププログラムというディパートメントがあって、ショートトリップ的イベント(軍隊体験とか)もあるらしい。要するに、仲間と一定の状況で話し合って一番妥当な結論を導く、ということだと思われる。

 

この日は、Cascadesというアクティビティを行った。中々面白いので皆さんも一緒に考えてみてください。

*なお、著作権ペンシルバニア大学に帰属していると思うので、リンク以外ではこの転載はされないようお願いします。ブログに書くのもいいのか微妙であるが……。

 

① 問題設定

学生は、まずあるビデオを見せられる。

ヘリに乗っていたところ、雪山で墜落し、パイロットは死亡。助けが来るまでに残った4人で何とか生き延びなければならない。

目の前にあるのは幸い焼失を免れた12個の道具。さて、この12個の道具に必要度で優先順位をつけたらどうなるだろうか?

道具:「信号炎管5個、クロスカントリースキー一式、クッキングポット、充電式懐中電灯、釣り糸と針、使い捨てライター、手斧、鎮静剤のボトル、雪靴一式、麻糸、ポケットナイフ、装填済みライフル」

 

② 各自の答え

さて、僕が考えた順番はこれ

1 信号炎管

2 使い捨てライター

3 ポケットナイフ

4 釣り糸と針

5 手斧

6 装填済みライフル

7 クッキングポット

8 充電式懐中電灯

9 クロスカントリースキー一式

10 麻糸

11 鎮静剤のボトル

12 雪靴一式

 

「とりあえず食って生き延びないと、移動したら疲れるから助けを待てばいいでしょ」という感じで、動物を仕留める道具を上位にし、移動に必要なものを下位にした。

 

③ チームでディスカッション、チームの答え

このあと、クラスは10人一チームに分かれて15分程度ディスカッションする。チームの中で12個の順位を決めるのである。

僕は聴講生ということで、一つのチームのディスカッションの様子を観察していた。流石に大学1年生なので若くがさつな感じだが、とにかく大声でまとめようとするやつ、冷静に仕切ろうとするやつ、全然発言しないやつ、疲れたーて感じの女子、など色々いて面白かった。

 

④ 遭難のエキスパートの答え

チームで新たな順番を決めたら、今度は再度ビデオを見て、遭難のエキスパートが選ぶ順番をシートに書き込んでいく。

プロが選ぶ順番は以下のような感じ。

1 使い捨てライター

 雪山での遭難で必要なのはとにもかくにも火。ライターが一番重要。遭難の信号にもなる。

2 クッキングポット

 次に必要なのが、脱水症状を防ぐための水。雪をポットに入れて溶かして水にする。雪は雑菌が入ってるのでそのまま食べてはいけない。

3 手斧

 火を燃やすに当たり、木を切るために必要。

4 雪靴一式

 あんま覚えてないが、確か木を探したりだったりする。

5 信号炎管5個

 助けを求めるのに必要だが、5個しかないから、てことでこの位置。

6 麻糸

 忘れました…。

7 充電式懐中電灯

 充電式なためすぐ切れちゃう、てことで意外にも重要度は低い。火が焚ければ明かりは要らないのかな。

8 ポケットナイフ

 強力な斧があればナイフの必要性は低い。

9 ライフル

 そもそも動物を仕留める必要はないとかなんとか…。

10 クロスカントリースキー一式

 まぁあまり意味は無い。

11 釣り糸と針

 「釣りなんかしねーよ」みたいなことを言ってた気が…。

12 鎮痛剤のボトル

 「遭難した際は出来るだけシャープでなければならない」だそう。

 

うろ覚えですみませぬ…。なんか、そもそも「動物を仕留める」ことが全く必要でないらしく、しくりました。

 

⑤ 回答の差

まず、個人の回答とエキスパートの回答の差を出します。

例えば、僕の場合、クッキングポットは7番にしたが、エキスパートは2番。差は5。こういう要領で、全ての差を足していく。合計値が小さいほど、エキスパートに近い答えが出せていた、ということになる。

 

僕の結果は42。個人の結果の平均値は31.6。うーんだいぶダメな結果だった模様…。

 

そして、チームの回答とエキスパートの回答の差を出して、比べる。

チームの結果の平均は、20。おぉ!個人平均と10以上も差がある。

そして、チームの結果よりよかった個人は、60人中わずか7人でした。

 

⑥ 検討

はい、ではこのアクティビティから何がわかるか?

それは、「個人で考えるより、チームで議論して答えを出した方がいい結果が出る」ということが実証できた、ということです。皆と話し合うことで色々な意見が聴け、偏った意見が排除され、より中立的な答えになるということか。

ただし、僕がこの結果に若干妥当性が欠けると思うのは、個人で考える時間に比べてチームで考える時間の方が圧倒的に長かった、ということ。個人でももっと長い時間考えたらもう少しマシな結果が出たのかなとも思う。

また、これはチームワークの勉強だったと思うが、Decision Making(意思決定)においては人数が多ければいいということもない。人数が多ければ、上に書いたようにより中立的で妥当な結論に流れてしまう。ビジネスにおいてはある意味ぶっとんだ意思決定の方が良かったりするはず(経営判断原則からは問題がありそうだが)。

 

リーダーシップの授業がどんなものか興味があったので、初回の授業に出席できてとてもいい経験になった。春学期はupper levelの聴講可能な授業があるらしいので、色々本を読んでもっと勉強したくなったら出てみようかな、と思う次第。

 

この一週間で出席した授業は以上。本当はもっと色々出たかったが、科目登録で悩んで若干心が折れてしまった…。来週ももう少しウィンドウショッピングしてみたいと思います。