弁護士になるー勤務開始

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というわけで1月から都内の法律事務所で勤務を開始しました。

同期は30名以上いますし、弁護士は全体で500名近くいる大所帯の事務所です。普通の企業と異なり明確な部署の別もないので、あらゆる先生と仕事をする可能性があります。正直誰が誰やら、覚えるだけで一苦労です。また、これだけ数が多い中で、自分を認識してもらわなければなりません。自分をどういう人間として知ってもらうか、どう見せるか、つくづく難しいなと感じています。

 

研修と無力感

大手の一つである僕の事務所はまずは座学の研修です。企業法務の各分野について専門的にやられてるパートナーの先生方が概説します。司法試験や修習で扱ったものとは180度異なり、ビジネスマン・経済人になるための講義です。どのトピックもまさしく「こういう知識に精通すれば世界の動きがよく理解できるんだろうなぁ」というものです。

僕は修習中検事と進路を迷ったのですが(これについても改めて書きます)、検事になることのネックはやはり経済についての知見を得られないということにありました。社会を押し進める企業法務の方に夢と可能性を感じたのです。

というわけで、どの分野も非常に興味がそそられるものなのですが、「いったい自分に何ができるんだろう?どうやって役に立てるんだろう」という無力感に襲われています。

たしかに長い期間法律を勉強してきました。どの法律も私法の一般法である民法の基本思想を理解してることが大事になるんでしょう。司法試験論文試験のように長大な問題文を読み解いて短時間で意味のある文章を作る能力は必ず役に立つんでしょう。

でも、現状、7法+国際私法しかまともに勉強してこなかった自分にとって、知らない法律ばかりです。憲法行政法、刑事法などの多くの法律の知識は直接は役に立ちません。また、企業法務実務については、企業の法務部や金融機関で働いてきた人の方がずっと知ってます。「社会人」(僕はこの言葉が嫌いですけど)としても数年間のビハインドがあります。この中でどうやってバリュー出していけばいいのか。

結局、いい年だし、立派なデスクを与えられて秘書さんもついて「先生」などと呼ばれても、当然ながら1年目の右も左もわからないひよっこなのです。そこのギャップに新人弁護士は悩むんだろうなぁと思います。

 

弁護士であり、会社員ではない

他方で、「ひよっこだから」とも言ってられません。

僕の事務所は大規模ゆえ、若手のうちから営業をすることは求められていません。パートナーの仕事をもらってやることになります。そこで、先生方に何度も言われて肝に銘じなきゃな、と思ったのは「私たちは弁護士であり、会社員ではない」ということです。ともすれば仕事がパートナーから降ってくる事務所において、言われた仕事をやっていればいいや、となりがちだと思います。いきなりOJTで仕事をガンガンやり、早い段階で独り立ちが求められる小規模事務所の弁護士とはそこが違います。

でも、そうやって目的意識を持たず漫然と仕事をしていては、せっかくこんなに自由と独立が守られた弁護士になった意義はありません。我々は個人事業主であり、独立したプロフェッショナルの集合体なのです。そういうわけで、自分の専門をどうするのか、どういう弁護士になりたいのか、絶えず自分に問うていかなければならないな、と思いました。

 

悩んでいても仕方ない

もっとも、矛盾するようですが、最初のうちは悩んでいても仕方ありません。まずは与えられた仕事をがむしゃらにやる。好き嫌いをせずどんな仕事にも取り組む。やってみなければ向き不向きもわかりません。チャンスが山のようにある事務所に入れたことに感謝して、あらゆる案件に取り組みたいと思います。

 

というわけで、頑張っていきたいと思います。