司法試験合格(予定)体験記①

無事に司法試験を受験し終わることができました。

改めて、体力・精神力ともに限界まで削られる試験ですね……。二度と受けたくないと思いました。

 

まず苦手な短答ですが、なんとか130点以上をとることができました。一安心です。

最終合格者平均にはいかないでしょうが、短答合格者平均はなんとか超えられそうです。

民法

目標の60点には届かず50点前後でした。大崩れせず良かったものの、最後まで克服できなかったのは残念です。

憲法

重要判例を読み込むという作戦が功を奏し、35点前後でした。ただ、専門家でも見解が分かれる問題を出すのは相変わらずどうかと思いました…。

刑法

苦手な学説問題を克服し全問正解することができました。マイナー犯罪の判例六法読み込みも効き、46点前後でした。

というわけで刑法に救われた形です。本当に良かった……。

 

さて、結果はわかりませんが自己満足的備忘録的意味で合格(予定)体験記を書いておきます。

 

【前日】

前々日までに民事系のインプットに目処をつけて公法・国際私法のみやる予定でしたが民事系が中々終わらず結局この日の午前中までやっていた気がします。このままじゃ永遠に終わらないと見切りをつけて公法の答練の復習をザッと終わらせ、国際私法の今まで解いた全年度分の過去問をザーっと見返しました。

それも中々終わらず、15時くらいには大学を出て有明のホテルに向かうつもりでしたが、結局ホテルに着いたのは19時くらいでした。コンビニで買った夕食を部屋で食べ、風呂に長く浸かり(今住んでる家にはシャワーしか無いのでホテルに泊まる機会があるとこここぞとばかりに長く入る)、国私を詰め込んで睡眠薬を飲んで12時頃寝ました。ただ全然寝付けず相当うなされ何度も目が覚めました。

 

【1日目】

試験前

7時過ぎには起きるつもりでしたが中々寝付けなかったのもあり(睡眠薬を飲んでも寝付けなかったのは珍しく、緊張していたことが伺われます)、起きたのは8時過ぎでした。普通に寝坊です笑。

父と彼女から連絡が来ていたので慌てて返し(僕が寝坊しがちなので毎回連絡してくれていました)、トマトジュース、プロテインと粉飴の牛乳シェイク、スタバのコーヒーのペーパードリップ、バナナ、果物入りヨーグルト、レーズンパンという朝食(ここ数ヶ月まったく同じ朝食を摂るようにしていました)を食べて、さっと国際私法を見返して試験会場に向かいました。

会場に9時くらいについて一息つくと後ろから◯◯と小さい声で僕の名前が呼ばれました。なんとローで仲の良かった(しかしよくケンカをする)友人が斜め後ろに座っていたのでした。腐れ縁もここまでいくとすごいです。これでだいぶ緊張が和らいだように思います。

 

国際私法

昨年国際取引法が出たため出ないだろうと思っていたところ案の定出ずに安心しました(ウィーン売買条約は得意ですが、信用状取引等は捨てていました)。

第1問の最初が法性決定で悩む問題で難しかったですが、それ以外は通則法、国際民訴からのスタンダードな問題だったと思います。

模試後ネットの講座を取って全年度の過去問をザッと全てやり直し、趣旨や反対説等もかなり自分のノートに補充したのですが、それがかなり活きたように思います。

 

憲法

国際私法がわりとできたのでいいスタートを切れたわけですが、憲法の問題文を開いた瞬間愕然としました。問題文が会話形式でしたし、何より設問がいわゆる三者間形式でなくなっていました。

正直、相当焦って冷や汗が出ました。僕は憲法はとりわけ直近2年の問題や採点実感等、そして昨年公法系1位の答案を徹底的に研究し、いかに形式を守ることが高得点に繋がるかがわかっていてそれを守ることだけを考えていたのに、それができなくなってしまったわけです。

判例を意識して、というところにだいぶ引きづられてしまい、答案のバランスがうまくとれなかったと思います。悔いが残るところです。

おそらく、問題が研究し尽くされて中身がスカスカでも形式が守れていれば(さらにたいして判例を意識しなくても)高得点がついてしまうことを憂慮しての形式変更だと思います。

まぁ真の憲法の能力があればどのような問題にも対処できるはずなので、そういう意味では言い訳ができないことではありますが、過去問を研究してきた人ほど焦った問題だったと思います。

わいせつ文書の規制という内容も、たしかにオリンピックを迎えるにあたり社会的に問題視されている観点で、僕自身もアメリカではコンビニとかには置いてなくて日本の特殊な部分だよなーと考えたりしていましたが、それだけに(?)色々と言える部分が多く、問題文から離れず書くのが難しかったと思います。

 

行政法

原告適格と裁量論というある程度予想していた出題でした。

しかも、個別法が辰巳のスタ論スタートという講座でやった墓埋法そのもので、ラッキーでした。墓埋法の原告適格は講座のものより難易度が高かったので、二人の書き分けという意味でも難しい問題だったと思います。

裁量は裁量基準がなかったためあてはめ勝負でした。憲法で消えた主張反論形式が出てかなり戸惑いましたが、概ね書けたと思います。

 

試験後

ホテルに戻って軽く食事をし民事系の勉強をしましたが全然頭に入ってきません。とはいえ模試の経験から1日目の夜にまともに勉強できるとは思っていなかったので、重要なところをサッと眺めてあとは翌朝にやろうとある程度諦められました。

しかしメンタルが相当キツイ夜でした。なんでこんなに辛い思いをしているんだろうと思いました。1日目の疲労、憲法の衝撃、そして明日は一番暗記量が問われる勝負の民事系……、まとめノートを全て完全に覚えているわけではない……。

司法試験は1日目、2日目の負担が重すぎるというのはよく不満が上がるところですが、あえて受験生に負担をかけてメンタルの弱い、あるいは試験前に詰め込みをしようとしている受験生を落とす?意図なのかなと勝手に思っています。

普段は親や友達に泣きついたりあまりしないんですが、学部のゼミとローが一緒だった友達にしんどいとLINEしたところ電話をしてくれました。友達と話すとだいぶ不安が取れるものです。お陰でなんとか心が折れずに済んだと思います。

 

 

【2日目】

試験前

緊張はだいぶ解けたのか睡眠薬がよく効き勉強中に寝落ちし、朝7時過ぎに目覚めると民事系のノートがベッドに散乱している状態でした。

昨日と同じ朝食を食べ、軽くシャワーを浴びて、机に向かい民事系の最終確認をし、9時頃に試験会場に向かいました。

 

民法

設問1は落ち着いて条文から考えられ、よくできたと思います。

設問2は苦手だった所有権留保が出ましたが、ある程度予想して直前に見ていたところだったので比較的できたと思います。登記の問題も自分なりに処理ができたかなと。

設問3も予想していた相続させる旨の遺言でしたが、何を思ったか時間がなくて焦ったのか、金銭債務を預金債権と同様に不可分債務と書いてしまいました……。預金債権についてはきちんと書けたので、大きく減点されていないとよいのですが。

 

会社法

予想していた帳簿閲覧請求と利益相反間接取引が出ました。

帳簿閲覧請求は典型的な競業の問題ではありませんでしたが、落ち着いて処理できたように思います。株主総会取消決議は答練か模試で出て復習していた議長の議事整理権で書くことができました(おそらく説明義務違反で書いてしまう人が多いだろうなぁ〜と思いながら)。ただあとで友達と話してどうやら利益供与の論点を落としてしまったようでへこみました。Gについては全くわからなかったので飛ばしてしまったんですよねぇ……。

利益相反については徹底的に対策していたのできちんと処理できたと思います。非常に登場人物の関係が複雑でややこしかったですが。

最後の174条の問題はどこかで見覚えがあったのですが、あとで友達と話したところローの期末試験で出ていたらしいです。まぁこの問題は趣旨から自分で規範を定立してサラッと処理できればよかった問題だと思います。

 

民訴

民法・会社は一応そこそこできたと思い、ここいらでなんだか試験を受けるのが楽しくなってきました(ランナーズハイみたいな?あるいは疲れすぎておかしくなったか…)

民訴は弁論主義も既判力もでずかなり肩透かしを食らった感じですが、ある程度予想していた文提が出ました(ほんとに出るんだなぁとなんだか笑ってしまいました)。

補助参加の問題は難しかったですが、落ち着いて条文を見て一応の回答は書けたと思います。

 

試験後

彼女が有明まで来てくれたので近くのモールでもんじゃ焼きとお好み焼きを食べました。

試験中に何をしているんだというように思われるかもしれませんが、自分的にはこれくらいの余裕が無いくらいではダメだと前々から決めていたので、一度リラックスできて良かったです(模試のときも2日目終わりはたいてい外で遊んで帰りました)。一瞬だけでも試験のことを頭から置いて、またすぐに切り替えることが重要だと思います。

 

 

というわけで次回は中日から最終日にかけて書いていきます。