ぺんぎんぺーぱーちぇーす -PennLawLL.M.留学記-

University of Pennsylvania Law School LL.M.(ペンシルベニア州フィラデルフィア)を修了し、日本に帰ってきました。留学時代のことやアメリカのことなどを細々と書いていきます。

不安を飼いならす

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ご無沙汰してます。すっかりブログからも遠ざかってしまってました。

司法試験まで1ヶ月を切りました。司法試験ブログではないのですが、決意表明と自分への確認的な意味で、模試の結果が出たのでこれを晒して、ここまでの勉強を振り返って思うところを少し書いて、今後の課題と方針を書いておこうと思います。

 

TKC模試

【判定】

総合 B 上位16.6%  331位/1991人

論文 B 上位12.0%

短答 D 上位62.7% 

 

【論文】

公法系 A 上位5.8%[憲法 A 上位7.6% 行政 B 上位11.4%]

民事系 A 上位6.4%[民法 B 上位11.4% 会社 B 上位13.0% 民訴 B 上位15.4%]

刑事系 C 上位42.9%[刑法 D 上位59.5% 刑訴 B 上位27.7%]

選択科目(国際私法) E 上位74.1%

 

 

辰已模試

【判定】

総合 A 上位15.4%  325位/2102人

論文 A 上位15.5%

短答 C 上位57.2%

 

【論文】

公法系 A 上位19.3%[憲法 C 上位41.0% 行政 A 上位10.5%]

民事系 B 上位23.1%[民法 A 上位12.7% 会社 C 上位50.6% 民訴 B 上位26.6%]

刑事系 A 上位7.5%[刑法 B 上位22.2% 刑訴 A 上位 5.2%]

選択科目(国際私法) C 上位48.4%

 

ということで、なんとか両方の模試で合格推定に入ることができ、ホッとしました。

ただ、短答がギリギリで冷や汗をかいています……。

良くも悪くも、総合、論文、短答ともどちらもほぼ同じなので実力が反映されている?と思います。

 

1 ここまでの勉強の振り返り&模試の感想

(1) 全体的に意識したこと

起案中心

今年は昨年とは違ってとにかく答練や過去問を実際に解いて書くということを勉強のメインにしました。だいたい答練と過去問で各科目15〜20通くらいは起案したと思います。なぜなら、以下のように利点が多いからです。

①実際にアウトプットしてあてはめの練習をすることではじめて論点を理解できる

②重要論点に必然的に何度も触れることになり、知識に強弱がつけられる

③受験生の相場観がわかり、必ず解けなければいけない問題とできなくてもいい問題がわかってくる。論述に力を入れるべきところがわかってくる

④自分のできなさを痛感することでモチベーションを維持できる

⑤わからない問題に直面したときの処理方法を学べる(意外と条文や趣旨から考えれば点がつく)

⑥時間管理、論述の配分管理ができるようになる

⑦一日中自習だとどうしてもマンネリ化してしまうが、起案や解説動画の視聴を入れるとメリハリが出る

たくさん問題を解いてみて、司法試験は知識が半分、問題の解き方が半分ということがよくわかったような気がします。特に公法系や刑法では、2時間をどう使うか、どこに力を入れて書くか、という書き方の違いだけで全然点数が変わってくると思います。実際に起案して解いた問題の数が力に直結する部分がかなり大きいと思いました。

 

友達に訊く

それと、ゼミや普段の勉強からわからないことはすぐ友達に訊くようにしました。これによって自分の理解があってるか確認できますし、皆が同じところで悩んでいるということがわかったり、そこは深入りしすぎないほうがいいと教えてもらったりすることで、勉強の強弱の方向性や時間の使い方がブレないようになったと思います。

 

(2) 昨年の反省

昨年は留学帰りで時間がとにかくなかったのもあり、得意だと思っていた刑法、コスパが良さそうな憲法や国際私法で勝負しようという戦略を立てました。

しかし、刑法は近年は問題の難易度が安定していること、種本が明らかであることから受験生のレベルが結構高く、高得点を採るのは中々難しい。憲法は確かに覚えるべき知識は少ないものの、運の要素が強く頼るべきではない。国際私法はあくまで選択科目であり、基本科目ができるのを前提とすべきである、と考えました。

そして、民事系全体に苦手意識があったのですが、民事系は科目数が多いこと、そして勉強量が点数に反映されやすいことから、ここに一番時間を割くべきだと考えて、今年は民事系全体の克服を目指しました。結局民事系(特に民法)から逃げていては合格は覚束ないと思いました。というわけで起案以外の勉強の多くの時間は短答と民事系に当てました。

 

(3) 各科目

民事系

ということで今年一番勉強した民事系ですが、だいぶ苦手意識は払拭できました。

民法は範囲は広いものの勉強量が確実に反映されますし、請求の立て方や条文から考えるという思考に慣れれば未知の問題が出てもなんとか対処できます。

会社法はとにかく判例を知っていればよく、そして意外と受験生のレベルが低く、かつスピード勝負の科目なので、基本論点を悩まず書いて時間を稼いで、831や423、429等のあてはめ重視の問題で量を書ければ点数は安定すると思いました。難しい問題はできなくてもたいして気にする必要はないと割り切れるようになりました。

民訴はとりわけ苦手意識が強かったのですが、受験生全体でも苦手としている人が多くレベルはそこまで高くありません。既判力、弁論主義、処分権主義等の重要概念をきちんと正確に理解すればあとはその応用にすぎませんし、判例の射程問題でも誘導にしっかり乗って原則例外の枠を守れば点はつくなと思いました。

模試の結果を見ても、辰已の会社法はしくじりましたが総じて民事系はよく、勉強の成果が出て嬉しく思います。特に民法はずっと苦手意識があったので、多少は克服できたのかな?と思っています。

 

公法系

公法系は問題を解いて復習する以外たいして勉強はしていないのですが、どちらも良かったので正しかったなと思います。

特に行政法はひたすら答練・過去問で練習するのみだと思います。やることは結局毎回同じなので、もしかしたら一番安定しやすい科目かもしれません。原告適格・処分性・裁量論は何度も実際に手を動かしてみなければ正確に書くことは難しいです。

裁量論は毎年のように出ているのにきちんと書けている受験生は多くありません。裁量が認められることを形式的理由・実質的理由双方から認定する。それが誰のどの判断に対するどんな裁量なのかを明示する。裁量基準がなければ裁量の逸脱濫用の規範をきちんと立てる。裁量基準があればまず行政規則には法的拘束力がないこと、にもかかわらず裁量基準として考慮すべきである理由をきちんと書く。合理的な裁量基準に従っていれば原則適法となることを理由とともに書く。そしてその合理性を検討する。合理的であっても個別事情審査義務に違反していないかを別途検討する。当たりまえのようですが、当たりまえに見えることを確実に行うのは案外難しいし、かつそれが一番重要であるということが多くの起案を通して身に沁みました。行政法はとにかく時間が厳しいので個別法の解釈以外の知識の部分で悩んでいるようでは絶対に最後まで書ききれません。

憲法はとにかく原告をコンパクトに抑えて私見に時間を残すことを強く意識しました。特に近年の問題や今回の模試両方のように2つの請求がある場合は時間が確実に足りないのでこれが重要です。答案政策の重要性が極めて高く、抽象論には配点がほぼ無さそうなので理論や知識はごく少量で足りるなと思いました(短答には必要ですが…)。判例に引きつけて考えることは当然重要ですが、それができないことを恐れるよりも、むしろそれに気を取られて目の前の問題文の事情から離れてしまうことを恐れるべきということに気づきました。

というのも、僕は情緒的な人間でしばしば登場人物に感情移入してしまい、つい私見で原告か被告に肩入れしてしまって筆が滑ってしまうということがよくありました。それが反省点です(辰已でも可哀想な原告に感情移入してしまい本件ではそこまで要求されていないことをだらだらと書いてしまいました)。平成29年の問題のように被告の反論は問題文に明示される可能性が高いので、愚直にそれを書くように意識したいと思います。上に憲法に頼るべきではないと書きましたが、そこさえ外さなければ憲法である程度の上位を取ることは難しくなさそうです。

 

刑事系

刑法はどちらも伸び悩んでしまったのが悔しいです。やはり受験生のレベルが高い科目だと思います。それだけに細かい気配りの積み重ねで点差がついてしまうのだと思いました。特に各論の構成要件の定義の正確さ等色々な部分で改善すべき点が見えてきました。事実の摘示と評価は比較的得意なのですが、むしろあてはめで書きすぎてしまうきらいがあるので、憲法同様筆が滑らないように意識する必要があると感じます。刑法は近年は量が多いので、何よりメリハリをつけることが最重要です。どこに山をもっていくかを決めて、それ以外はアッサリ書く(あるいは捨てる)勇気を持ちたいと思います。

刑訴は捜査法が比較的取り組みやすく証拠法・公判が難しいというイメージを持っていることが多いと思います。僕もそうなのですが、意外と捜査法は理論的な部分の詰めが重要かなと思いました(考えれば考えるほど納得できない部分が増えてはくるのですが)。そこの詰めがしっかりできればあてはめもスムーズにできます。捜査法は科目として面白く、友達と一番議論したなぁと思います。

刑訴でよくある失敗が捜査法で書きすぎて証拠法が極端に薄くなる、ということですが、捜査法はやはりあてはめ重視なのであてはめを簡略化することもできないと思いました。そこで僕は捜査法は典型問題に慣れることで十分な量を速く書くということを目標にし(つまり量は維持しつつ速く終える)、ある程度達成できたと思います。すなわち証拠法や公判にしっかり時間を残して、伝聞の推論過程等も丁寧に書くことができるようになったきたと思います。

 

国際私法

国際私法は答練がなかったのもあり、今年はほとんど放置してしまいました。確かにそこまで勉強量が必要な科目ではないのですが……。

 

短答

短答が相変わらず苦手で、どちらの模試もギリギリだったのでこの点はかなり落ち込んでいます。論文が良かっただけにもったいないですし、この期に及んで短答の心配をしている自分が嫌でなりません。

今回は特に得意な刑法でどっちも沈んでしまったのが痛かったです。細かい知識の正確性がまだまだだと反省させられます。憲法も重要判例の判旨が不正確だったり、人権分野での間違いが目立ちました。そしてやはり配点の高い民法の実力が足りていません。論文は比較的できてきたのに短答がイマイチなのは、良くも悪くも論文を起案量の慣れで乗り切っているということなのかなと思います。

 

2 残りの勉強方針と課題

(1) 全体

集約型

色々不安になって手を広げたくなってしまうのですが、血迷わず、今までやってきたことを淡々と確認し、身につけるようにしたいと思います。つまり、いわゆる拡散型の勉強ではなく集約型の勉強をしたいと思います。

具体的には今まで解いてきた過去問や答練の論点を復習しつつ、自分の答案と配点表を見比べて、あと5点、あと10点とるにはどうすればいいか、ということを意識したいと思います。最終的には答案で何点とれるかなので、常に答案でどう書くか、何は書かなくていいか、ということを意識して勉強したいと思います。

 

優先順位の高いものからやる

どうせ全てを完成させるのは無理なので、優先順位の高いものから確実にしていきたいと思います。ここが出たら嫌だなぁという穴を潰しつつ、典型重要論点がスムーズに書けるかを確認したいと思います。

 

起案は続ける

同時に、インプットばかりやって問題を解く感覚は失いたくないので、過去問の起案はある程度は続けたいと思います。

 

 (2) 各科目

民事系

基本的には答練と過去問を復習しつつ、えんしゅう本と百選を回したいと思います。特に民法会社法は常に条文を手元に置いて本番をイメージすることを意識したいです。特に会社法は目次から条文を引くことがまだ課題です。条文を探すのに時間がかかることが多いので、論点ごと、さらに知らない分野でもすぐに条文が引けるかを確認したいと思います。

中身について、民法は出題が予想される担保物権家族法、さらに債権譲渡等苦手な分野を中心に論証を確認したいと思います。会社法は百選のA、Bランクを中心に復習したいと思います。民訴は昨年のような重要概念の問題とそれ以前の判例の理解を問う問題双方の出題が予想されます。そこで、弁論主義、自白、処分権主義、既判力についてはもう一度基本書などを用いて理解を確認し、かつ百選のA、Bランクを中心に復習したいと思います。特に苦手な複雑訴訟と上訴についてはそれぞれの制度趣旨や規範、あてはめについて確認したいと思います。

 

公法系

憲法は短答対策で百選を復習。あとは答練、過去問の参考答案を見ながらどうやって構成するか、どういう対立軸を置くかをイメトレしたいと思います。また、社会権や私人間効力等書き慣れていない問題のフレームワークを決めておくことも課題です。このあたりは問題集などを参照したいと思います。

行政法原告適格、処分性、裁量論の処理とあてはめを再確認し、さらに各訴訟要件について要件と定義を覚えて本番でスムーズに処理できるようにしたいと思います。コンパクトに論じるところと丁寧に論じるところのメリハリをつけて時間内に終えるように。

 

刑事系

刑法は間接正犯の知情類型や共犯など総論でいくつか理解があやふやな部分を確認したいと思います。あとは各論の構成要件と定義。比較的マイナーな犯罪も含めて漏れなく正確にあてはめられるようにすることが課題です。重大な法益侵害を拾う、争点となる犯罪を拾う、という意識でメリハリのついた論述を心がけたいです。

刑訴は証拠法の犯行計画メモや実況見分調書など苦手なところと、公判の訴因の特定や認定など苦手な部分を潰したいと思います。

 

国際私法

今年一番勉強していない科目です。 民事系に十分な時間を割くという戦略自体は正しかったと思いますが、流石にこれではマズイので、残りでなんとかそこそこレベルまでは上げれればと思います。やはり一科目でもFを取ると厳しい……。

去年は結構勉強したので、前にやった過去問、基本書、論証、問題集をザッとをやり直して記憶を喚起したいと思います。法性決定で議論があるところを押さえる、反対説を押さえる、趣旨を充実させる、このあたりが課題です。

 

短答

ここに来て最大の課題が残念ながら短答です。昔からマークシートが苦手なんですが、最後まで苦しめられます……。

対策はパーフェクト中心ですが、最近はこれに加えて年度ごとの過去問を本試験より短い時間で定期的に解いています。こうすると全範囲に短時間で触れられるし、速く解く練習になるのでいいかなと思っています。

民法は知識の強弱をつけるためにもあまりやってなかった百選をここ最近やってます。百選判例については確実にしたいです。あとは条文知識が足りてないので、条文や択一六法を脇においてチェックを付けながらパーフェクトや百選を回してます。

刑法は、学説問題が課題です。そのためパーフェクトだけでなく条文を脇に置きながら百選や基本書を確認してます。どの科目もそうですけど、勉強が進んでから百選を読むと面白い…(昔は最初に百選を読んでたりしたんですがこれは効率が悪かった)。あとは基本論点でも判例知識の詰めが甘く、5個の正誤問題で1つ落とすとかがよくあるので、出題済みの判例知識は確実にしたいと思います。あとは各論のマイナー犯罪が課題です。論文にも直結するので時間を使いたいと思います。

憲法は大法廷判決や新しめの判例を中心に著名判例の判旨や結論を確実にすることが課題です。著名判例はかなり細かく訊いてくるのでしっかり判旨を読み込まないとダメだなと感じました。ただ民法・刑法に比べると費用対効果が悪い気がするので、民法と刑法で確実に8割が取れることを最優先にしたいと思います。

 

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優秀な友人が「司法試験は相対評価だから」ということをしばしば言ってましたがようやく意味がわかってきたように思います。結局差がつくのは典型論点をどれだけ正確に書けるかということだなと。まぁ、彼らにとっての「典型論点」の範囲はわりと広いというのもあるかもしれませんが……。山を高くしていけば裾野も自然に広がるということでしょうか。

どうしても難問ができないことに気が取られてしまいますが、ある程度は諦めつつ、基本的なところをしっかりできるようにして後悔しないように頑張りたいと思います。

ということで本番までわずかですが、悔いが残らないよう毎日を過ごしたいと思います。