NY Bar 7 - Real Property

Real Property(不動産法)はわけがわからないとよく言われる分野である。イギリスの法律を起源に持ち、ローの授業ではうん百年前の判例を読まされるとかなんとか

ただ、アメリカは日本よりも個人の権利に対する執着というか尊重の念が強いので、そういう意味でも重要性は高いのかもな、とか思った

先生はブルックリン出身とかいうハッピーなおばさんだった。終始ニコニコしながら授業を進め、時々歌を歌う。簡単に言えばスピッてる。なかなかたまらないやつである(村上春樹風)。正直苦手であった

 

この科目が難しいとされるのは、そもそも仕組みが日本法と全く違うこと。そして何より概念が難しいことだろう。言葉もやたら長ったらしくややこしい

全体像

Ⅰ. Estate in Land(不動産所有権)

Ⅱ. Landlord / Tenant Law(賃貸借法)

Ⅲ. Servitudes(使用権)…Easements(地役権), The License(許可),The Profit(収益権), The Covenants(コベナンツ), Equitable Servitudes(衡平法上の負担)

Ⅳ. Adverse Possesion(不法所持による時効取得)

Ⅴ. Land Coveyancing(不動産権利譲渡)

Ⅵ. Others…The Recording Sysyem(登記制度), Lateral Support(土地の基礎の支援), Water Rights(水利権), Possessor's Right(占有者の権利),Eminent Domain(土地収用件), Zoning(用途規制)

不動産所有権の部分が難しい。賃貸借法は契約各論という感じ。あとは細々した論点が並ぶ 

 

Ⅰ. ESTATE IN LAND(不動産所有権)

1. The Present Estates(現在の不動産所有権)& Future Interests(将来権)

The Present Estatesには大きく分けて4つの権利がある。そして,各々の特徴と,それに付属する,付与者か第三者が取得するfuture interestsが何かをまず整理する必要がある。

特徴というのは,Devisable(transfer at will / 遺贈可能か)、Descendible(die without will / 遺言なくても相続可能か)、Alienable(transfer intervivos / 存命中に譲渡できるか)である。

 

Fee Simple Absolute(完全所有権)

"To A" と記載する。無限の期間続く通常の所有権のことであり,当然,遺言,相続や譲渡によって移転可能である。すなわち,devisableかつdescendibleかつalienableということになる。

将来権は付属しない。言い換えれば,被相続人が存命中は相続人はおらず,単なる推定相続人がいるにすぎない。

 

Fee Tail(限嗣不動産権)

"To A and the heirs of his body"というものであるが,事実上廃止されており,試験には出ない。

 

Defeasible Fees(消滅条件付所有権)

これが最も重要な権利である。以下の3つにさらに分けられる。

Fee Simple Determinable(解除条件付完全所有権)

"To A fo so long as...", "To A during...", "To A until..."と記載する。解除条件が満たされると,自動的に権利が剥奪される(If the stated condition is violated, forfeiture is automatic)

遺贈,相続,譲渡は可能(これは以下の2つにも当てはまる)だが,常に条件による制約がつきまとう。例えば,「スタジオとして使う限りAへ」という条件付きで所有権が譲渡された場合,Aは,スタジオとして使う気の無いBに譲渡することはできない。

付与者はPossibility of Reverter(復帰可能権)という将来権を持つ。

 

Fee Simple Subject to Condition Subsequent(解除権付完全所有権)

"To A, but if X event occurs, grantor reserves the right to reenter and retake"と記載する。すなわち,ある条件が成就すると,付与者がその所有権を回復することになる。

付与者はRight of re-entry (再取得権。the right of reacquisition) という将来権を持つ。

 

Fee Simple Subject to Executory Limitation(Interest)(将来権の定めのある完全所有権)

"To A, but if X event occurs, then to B"と記載する。すなわち,ある条件が成就すると,第三者に所有権が自動的に移転する(The estate is automatically forfeited in favor of someone other than grantor)。

すなわち,BがShifting executor interest(移転的将来権)という将来権を持つ。

 

 

Life Estate(生涯不動産権)

"To A for life"(「〜に一生付与する」)とのもの。「一生」というのがポイントで,期間を区切ってはならない。

付与者はReversion(復帰権)を持つ。

"To A for life, then to B"第三者はRemainderを持つ。

特定の人に付与され停止条件がついていない場合はvested remainder(何の制限もない場合をindefeasibly vested remainder, 解除条件付きをvested remainder subject to complete defeasance,継承者未確定の場合をvested remainder subject to openと呼ぶ),被付与者が未確定又は停止条件がついている場合はcontingent remainderとなる。

 

 

Rule Against Perpetuities(永続禁止ルール)

特定の将来権は,対象者の死後21年以内に条件成就により確定しないと無効になるというルールで,土地の絶対性と契約自由を折衷したものである。

特定の将来権とは,contingent remainders, executory interests, certain vested remaindes subject to openのことをいう。

 

2. Concurrent Estates

不動産の共有形態について。

Joint Tenancy(生存者取得権付共同所有)

Two or more people own with the right of surviovorship。生存者取得権がついているので,共同所有社の一人が死亡した場合,自動的にその持分が生き残った他の共同所有者に移る。したがって,譲渡は可能だが,遺贈や相続はできない。

この権利は,同時に,同じ書面により,同じ権利内容で,全体につき占有権を得ることを合意することにより成立する。

Tenancy by the Entirety(夫婦間不可分所有権)

Protected marital interest between married partners with the right og survivorship。生存者取得権がある夫婦間の共有形態。非常に強い保護を受ける不可分所有権である。夫婦の一方だけの債権者はこの権利に干渉できない。そして,夫婦も,単独では第三者に譲渡できない。

Tenancy in Common(単純共有)

Two or more people own with no right of survivorship。生存者取得権がないので,譲渡,遺贈,相続が可能である。

 

 

Ⅱ. LANDLORD/ TENANT LAW(賃貸借法)

1. Four Leasehold or Nonfreehold Estates

Tenancy for Years(期限付き賃貸借契約)

固定期間の賃貸である。"To A for 10 years"など。期間が経過すれば通知なくして自動的に契約は終了する。1年以上の契約の場合は書面による必要がある(SOF)。

Periodic Tenancy(期間更新賃貸借契約)

一定の期間が決められ,その期間が通知されるまで更新される続ける。"To A from month to month"など。また,期間について明言しなくても成立する(Implication)。

契約の終了には,期間と同等の期間を定めた上での通知を要する。

Tenancy at Will(任意終了不動産賃貸借契約)

期間の定めがない。"To T for as long as L or T desires"など。終了は双方の意思でいつでも可能である。

Tenancy at Sufferance(黙許不動産権)

賃借人が期間が過ぎたのに不当に居座ってる場合に発生する。賃貸人は,追い出すか,新たな期間の契約を結ぶかでき,この権利はそれまでの間存続する。

 

2. Tenant's Duties(賃借人の義務)

以下の3つの義務がある。

①第三者に対して

第三者に対しては,住居を適切に保つことや,自身が招いた人が被った損害について責任を持つ。

②修補義務

契約に定めがない場合は,修補義務を負う。通常の使用で生じる損傷を除いたものについて管理し,毀損をしない義務である。定着物については無断で除去してはならない。自身で定着させたものでも,一度定着すればLのものになるので,除去してはならない。

また,住居の状態を保持することにつき明示的に約束した場合,伝統的立場では,いかなる損害についても責任を負う。現在の多数派は,Tの過失によらず破壊された場合は,Tは契約を終了できる。

③賃料支払い義務

Tがこの義務を履行しない場合でも,Lは支払請求か裁判手続きによる退去請求しかできず,強制的に排除することなどの自救行為をしてはならない。

Tが義務を履行せず,しかし退去している場合は,Lは放棄(surrender),無視(ignore),転貸(re-let)ができる。

 

3. Landlord’s Duties

①目的不動産引渡し義務

②Implied Covenant of Quiet Enjoyment

TがLの干渉なく物件を平穏に利用できるようにしなければならない。

以下の要件(SING)を満たすと,みなし追放(constructive eviction)としてこの違反となる。

Substantial Interference…雨が降るたびに雨漏りがしてLがそれを直さないなど,実質的侵害が頻発することをいう。

Notice…Tが上記問題につきLにきちんと通知することをいう。

Goodbye…Lが是正を怠ったためにTが退去すること。

③Implied Warranty of Habituality

居住するということにつき黙示的に保証した場合は,その地域の基準などに照らし物件を通常の居住に適合するようにしなければならない。

この保証に反した場合は,Tは退去,修繕と費用の差し引き,賃料値下げ,残って損害賠償(Move, Repair, Reduce, Remain)ができる。

 

4. Assignment and Sublease

Assignment(賃借権譲渡)

これにより,TとLの間の不動産関係は終了する。

Sublease(転貸)

TとLの不動産関係は存続し,Lと転借人の間には何らの関係も発生しない。つまり,T(転貸人)は転借人の行為について責任を負い,LはTに責任を追求できるということになる。

 

5. L's Tort Liability

Lは,物件を安全に保つ義務を負っているわけではない。しかし,共用部の管理,隠れた瑕疵についてのTへの警告,修理の引受けなどについては義務を負う。

 

Ⅲ. SERVITUDES

Servitudesとは,不動産についての占有を伴わない権利を言う。

1. Easement(地役権)

The grant of a nonpossessory property interest entitles its holder to some form of use or enjoyment of another's land, called the servient tenement.

EasementにはAffirmative EasementとNegative Easementとがある。Affirmativeはその土地で何かをできるという権利,Negativeは本来承役地の所有者が行えることを行わないようにするものであり,光・空気・支え・水を遮らないことを内容とするものである。これは明示的でなければ形成されない。

Affirmative Easementは,以下の4つの方法(PING)により形成される。

  1. Prescriotion(取得時効)…continuous, open and notorious, actual under a claim og right that is hostile for request statutory period.
  2. Implication(黙示)…implied from prior use; at time land is severed, a used of one part existed from which it can be inferred that an easement permitting its continuation was intended.
  3. Neccessity(必要性)…division of a tract deprives one lot of means of acces out.いわゆる囲繞地である
  4. By Grant(設定)…writing signed by a grantor

Termination of an easement,すなわちeasementの終了には,以下の事由(END CRAMP)がある。

  1. Estoppel(禁反言)…要役地所有者(easement holder)
  2. Necessity…必要性により形成された場合は,その必要性がなくなれば消滅する。もっとも,その場合でも明示的に付与された場合は,必要性がなくなったからと行って自動的に消滅はしない。
  3. Destruction(要役地の破壊)…Destruction of the servient land
  4. Condemnation(土地収用)…Condemnation of the servient estate
  5. Release(放棄)…A written release
  6. Abandonment(不使用)…Show intent to never use easement again
  7. Merger(混同)…要役地と承役地の所有者が同一人になること
  8. Prescription(取得時効)

2. The License(許可)

A mere privilege to enter another's land for a delineated purpose.

Easementとは異なる単なる許可で,許可者の意思でいつでも撤回できる。

 

3. Profit(収益権)

The Profit entitles its holder to enter the servient land and take from it the soil or some substance of the soil, timber, minerals, oil.

要役地の土壌から物質を得る権利である。

 

4. Covenants

A promise to do or refrain from doing something related to land.

コベナンツとは一般に土地に対する不作為の約束(制約)のことをいう。不動産に関する新たな権利が与えられるわけではなく,契約上の制限・約束を加えるものである。affirmative, negative双方がある。

損害賠償を求めるものがコベナンツで,差止命令を求めるのが次に紹介するEquitable Servitudesである。

 

5. Equitable Servitudes(衡平法上の負担)

A promise that equity will enforce against successors. It is accompanied by injunctive relief, not damages.

後主に対しても拘束力がある衡平法上の負担を形成するには,以下の要件が必要である。

Writing, Intent, Touch and Concern, Notice(書面で拘束の意図を示し,またその約束が土地所有者として当事者に影響を及ぼすものであり,譲受人がその約束について悪意であること)

 

 

Ⅳ. Adverse Possession(不法所持による時効取得)

時効取得は以下の4要件を満たしてなされる。

①Continuous(継続)

Use has to be uninterrupted for given statutory period. (通常20〜30年)

②Open and Notorious(公開かつ通常)

A sort of possession that the ordinary owners would make under the circumstances: visible occupation is required.

③Actual(現実)

The entry cannot be hypothetical or fictitious.

④Hostile(所有者の同意が無いこと)

The possessor does not have the true owner's permission to be there. なお,マルチステートでは占有者の主観は関係ない(善意悪意の違いはない)。

 

なお,時効取得を主張する者は全占有者の占有期間との通算 (Tacking)を主張できるが,そのためにはPrivity(血縁,契約,ディード,遺言など不法でない関係性)が必要である。

 時効期間開始後に所有者が障害(disabilities)を有している場合は時効は完成しない。障害とは,未成年,精神障害,受刑などである。

 

 

Ⅴ. LAND CONVEYANCING(不動産権利譲渡)

1. The Land Contract(土地契約書)

土地の契約にはSOFが適用されるので,両当事者の署名ある書面により締結され,またConsiderationが定められる必要がある。

契約書記載の土地の広さと実際の広さが異なった場合は,価格の減額とSpecific Performanceが救済となる。

なお,SOFについてはPart Performance Doctrine(一部履行法理)があり,①買主の占有,②一部ないし全額の支払い,③実質的改良(Substantial improvements)のどれか2つがあれば,口頭契約でも有効である。

全ての土地売買契約には2つのImplied Promiseがある。一つは,クロージング時に売買可能な権原を以上することを約束すること,もう一つは,訴訟の脅威などがない標準的所有権を移譲するということである。

以下の3つの事情があると,権原は売買不能となる。

  1. Adverse Possession(不法所持)…一部でも生じていれば売買不能となる。
  2. Encumbrances(負担)…負担のない完全所有権でなければならない。
  3. Zoning Violation(用途規制違反)…訴訟リスクがあるためである。

売主は隠れた重大な瑕疵(Latent material defects)について虚偽の説明をしないことを約束しなければならず,虚偽や不作為につき責任を負う。

 

2. The Closing

Deed

重要な書類はDeedである。これはLegal Titleを売主から買主に移転するものである。Deedは付与者により署名された書面でなければならないが,Considerationの記載は不要である。

土地の説明は完璧である必要はないが,明確である必要がある。

引渡し要件(Delivery Requirement)はDeedを物理的に渡す(Physical Transfers)ことにより満たされる。もっとも,これが必ず必要というわけではない。要するに,DeedのPhysical Transferは,Deliveryの十分条件ではあるが,必要条件ではないということである。あくまで重要なのは意図(Present Intent)である。

Covenants for Title and the Three Types of Deed

  1. Quitclaim(権利放棄証書)…何らのコベナンツも含んでいない。しかし契約書でクロージング時に売買可能な所有権を移転することは約束しているので,このDeedが意味するのは,クロージング後の責任は何ら負わない,ということである。
  2. General Warranty Deed(一般保証証書)…前主含むすべての瑕疵を保証したもの。付与者に所有権・移転権原があること,地役権やモーゲージがないこと,平穏利用享受が可能なことなどを保障する(Warrants against all defect in title including those grantor's predecessors)
  3. Statutory Special Warranty Deed(制定法上の特別保証証書)…付与者自身のみについて保証するもの。①付与者は被付与者以外に当該不動産を譲渡していないこと,②不動産について負担を与えていないこと,を保証する。

 

Ⅵ. OTHERS

1. Recording System

A,Bと順に土地が譲渡された場合,どちらが勝つかという二重譲渡と登記の問題である。

コモンローでは,先に土地を得た者がValid Titleを取得するというルールだが,実際には州ごとに異なるルールが採用されているので,それを理解する必要がある。

Bona Fide Purchaser (善意の買主。BFP)とは,Person who takes property without notice of a prior instrument, and pays valuable considerationである。 

Race Statute Jurisdiction - First to record wins!

先に登記を得たら勝つ。善意悪意は無関係である。

Notice Statute Jurisdiction - Subsequent BFP wins!

BFPでなければならない。また,前主が登記をしていないことが必要。

Race Notice Statute Jurisdiction - Subsequent BFP who records first wins!

BFPでなければならない。また, 前主より先に登記をしなければならない。

 

The Shelter Rule

BFPからの譲受人は,たとえ自らが悪意でも,BFPが勝つ第三者に対して優先する。日本でいう絶対的構成のような感じである。これにより,BFPが容易に土地を譲渡できるようになっている。

 

2. Mortgages (Land Finance)

Mortgageとは,債務支払の担保として土地の担保権を移転することを言う(A mortgage is the conveyance of a security interest in land, intended by the parties to be collateral for the repayment of a debt)

The Equitable Mortgage

 

NY Bar 6 - MPT Work shop

さて、バーブリでもMPTの対策が始まった

MPTは知識が問われない純粋な読解・論述試験のため、明らかにアメリカ人に比べると不利であり、外国人、特に日本人は敬遠しがちである

が、今年から配点が20%になったし、決して軽んじることはできない

 

Workshopで学んだことの要点はだいたい以下の感じである(著作権的に若干心配ではあるので問題があれば言ってください)

 

バーブリが推奨する解き方は、資料読解とアウトライン作成に45分、回答に45分とのことである。そして、流れとしては、

  1. 目次をざっと読んで、Client, Type of documentなどを把握
  2. FILEのTask memoを読んで、求められている文書を把握(方法は以下)
  3. LIBRARYを読む。newest caseから先に読む。footnoteにも気を配る。次に、statutory materialsに移る。両者の関係を考察し、論述の流れを決める
  4. FILEに移る。必要なFactsを集める
  5. いざ書く

*書く内容が決まってないうちにFILEを読んでも時間の無駄なので、task memo以外は後回しにすること

 

なお、設問とも言えるtask memoの読み取りが重要で、推奨されている方法は以下のCall Dr Tというステップ

  • CLIENT: Who is the client?
  • AUDIENCE: Is my audience a lawyer, lay person, or both?
  • LEGAL PROBLEM: What legal problem does the task memo instruct you to research and solve to help your client?
  • LIMITING INSTRUCTIONS: Are there any instructions that narrow or limit the scope of my task?
  • DOCUMENT: What type of document does the task memo ask you to draft? A memo, letter , brief, or something else?
  • RESEARCH QUESTIONS: Are there any terms mentioned in the task memo that I want more information about?
  • TONE: Should you use an objective or persuasive tone when you draft?

 

時間勝負で、模範解答も長く、ちと(いや、かなり)絶望したが、先輩曰く出題の仕方は毎年同じだし、ある程度は資料をそのまま引き写しても合格点に届くということなので、徹底的に過去問と模範解答の検討をしたいと思う。この手の特殊な試験はそれだけの数の過去問に触れたかが勝負だと思っている

なお、バーブリのSample Answerはクオリティ高すぎ&量多すぎなので、ネットで手に入る別の模範解答を使うつもり

 

バーブリの先生は、「MPTは知識が要らないんだからvacationみたいなもんよオホホホホ」と言ってたが、我々外国人には鬼門だろう(というかバー全部鬼門な気がするが)。てわけで地道に頑張ります

NY Bar 5 - Criminal Procedure

 

刑法と違って、日本の刑訴法はアメリカのCriminal Procedureの影響をかなり受けているので、オリジナルの議論を直接学べる楽しい科目である

例えば、毒樹の果実理論はアメリカのFruit of poisonous treeを輸入したものだし、毒樹の果実でも証拠とできる例外の場合である、Independence Source, Inevitable Discovery, Attenuationはそれぞれ独立入手源の法理、不可避的発見の法理、希釈法理として輸入されている

 

また、非常にスマートというか、議論、structureが整理されていて、システマチック。そのため、先生も、細切れに知識を覚えるのではなくまず全体像、構造を理解して、そこに知識を入れていくように、と言っていた

ただ、裏を返せばprincipleが無いとも言え、つまんねーとこぼしている友人も多かった。例えば、捜索差押えの分野では、日本では一つの抽象的な規範があり、それを直接当てはめることができないような限界事例が問われるが、アメリカでは、「こういう場合はこう」というようにケースが類型化されている。よって、原則を一つか二つ覚えて、例外を幾つか覚えればよく、何というか暗記よりになっている

また、日本では、無令状捜索差押えがそもそもなぜ許されるのか、という点に議論があり、相当説と緊急処分説が対立しているが、そう言った議論は無い。というか、急迫状況(Exigent circumstances)あれば良いとする一方で、逮捕に伴う自動車の捜索(Automobiles searched incident to a custodial arrest)においては自動車が証拠物を含んでるとの合理的な理由を要求しているあたり、折衷的ということができそうである。さらに言えば、ニューヨークでは無令状身体検査(Frisk)の際は武器があると合理的に思う場合にしか認めないものの、マルチステートは法禁物(つまり薬物とか)でも認めるとするなど、結構ばらばら

 

内容的には、日本の刑訴から証拠法を除いたところという感じだが、日本以上に憲法の要素が強く、憲法修正4条(捜索差押え)と修正5条・6条(自白、ミランダ法理)、修正14条(デュープロセス)の各論という感じである。その他の論点も、二重の危険(Double Jeopardy)とか、自己負罪拒否特権(The priviledge against compelled testimony)とか、憲法から派生している。そしてこの辺りは日本が輸入している概念でもある

なお、公訴の提起の分野は無いので、あのめんどくさくてよく分からない訴因とかいうやつを学ばなくて良い。訴因ってアメリカ由来じゃなかったっけ?

 

 ちなみに、捜索差押えのstructureは明確で、以下のようになっている

 

●適法な令状による捜索差押えの要件

前提として、修正4条が適用されること

  • 捜査機関による
  • area or item protected by the 4th amendmentに行われた
  • 捜査機関がprotected areaに入るかpriacyを侵害した
  • 捜索差押え対象者に原告適格がある(個人のプライバシー権の侵害)

その上で、

  • 令状が中立的な判事により発行
  • 令状が合理的理由(probable cause)と特定性(particularity)を満たす    *probable causeとparticularityが無い場合、警察官は瑕疵ある令状を善意に(in a good faith)信頼した
  • 令状が警察官により適切に執行

されることが必要になる。各々の要件が論点となる。

 

●適法な無令状捜索差押えの要件

また、適法な無令状捜索差押えは、以下どれかに当てはまれば良い

  • 急迫性質(令状取る暇ない)Exigent Circumstances
  • 逮捕の伴うもの(逮捕されたら修正4条の権利がなくなる) Search Incident to Arrest
  • 対象者の同意 Consent
  • 車(プライバシーの期待が少ない)Automobile Exception
  • 外から見て明らかに違法な者がある Plain View
  • 収容に伴うもの Inventory Searched
  • その他特別な必要性 Special Needs
  • 職質と身体検査 Terry Stop and Frisk

 

ともかく、日本と違って、立法理由や規定の趣旨が問われることはなく、規範を覚えて、原則と例外、具体例を頭に入れれば良い感じ。やはり得点源にしたい科目である

 

 

NY Bar 4 - Criminal Lawの授業終了

ということで、2科目目のCriminal Lawの授業終了

とはいっても、たった1日で、しかもなぜかコマ数も少なく、実質3時間足らずの授業だった。それで刑法という科目の一応全てをカバーするんだからおそろしい

Tortsでも思ったが、アメリカの法律は、そもそも日本のように説が対立しているところが少ない。一応、MPC(Majority Penal Code。大多数の州が採用している説)とMinority Stateという違いはあるわけだが、何というか州ごとの思想の違いに過ぎなくて、日本でいうと、「県ごとに条例の細かい規定の内容は当然違いますよね」というくらいに思える

というわけで、説の対立に悩むこともなく、エッセイにおいてはいきなり規範をドンと書けば良い。そういう意味では、本当に暗記な試験だなと思った

某日本の先生と話してると「アメリカはすっきりしてていいよなー日本は本当バカだわ」とおっしゃっていたが、同意である

 

刑法は、比較的ニューヨーク法が特殊な部類に入るらしく、昨年までのアウトラインを見ると、まずはマルチステートの内容を説明して、その都度ニューヨークが異なる規定を採用している場合はそれを説明する。という感じだった。今年はMBE採用により差し当りはニューヨークプロパーの知識はないので、その点は楽になっている

以上の理由からアウトラインはニューヨークの知識も含んでいるので、修正した法がいいかもしれないが、それも面倒なので、僕は単純にニューヨークのところに×をつけて無視する形で済ませている

 

アメリカに来る時、仲のいい刑法のN先生から、「アメリカは手続法は発達しているけど実体法はイマイチだから、刑法はつまらないかもね」と言われた。それがいちばん好きな刑法ではなくEvidenceを履修した理由の一つでもある

実際刑法を勉強してみると、日本で問題となるところ(正当防衛や共犯など)が非常にあっさり説明されて、「ほんとにこんなんでいいの?」というくらい。ともかく構成要件(行為要件The act of requirementと心理状態Mental states)を丸暗記すればよさそう

内容についての面白かったこと、思いついたことなどをつらつらと。主に日米の相違について。同じなところについても少し

  • 作為義務の発生要件がわかりやすい(①法定作為義務(制定法、契約、被害者との関係、親子、配偶者、自主的保護の引き受け、危険の形成)、②作為義務を生じる事実についての認識、③作為可能性)
  • 犯罪を心理状態(mental state)で類型化する
  • 殺人(Homicide)が細かい(First degree premeditated muder, Murder, Felony murder, Voluntary manslaughter, Involuntary manslaughter)。ただし、日本の、傷害致死や強盗致死のように個々の犯罪の結果的加重犯としての類型化ではなく、殺人の一般的態様で類型化している、という違いによる
  • Strict Libalibityという抗弁が許されない犯罪類型があり、Staturory rapeについては年齢に錯誤がありいくらそれに合理的な理由があっても有罪になる。アメリカらしい厳しさ
  • 暴行罪と傷害罪の区別がない(両方Battery)
  • 窃盗罪(Larceny)と放火罪(Arson )の名前がかっこいい
  • Larcenyでは、行為時に故意が必要だが、返すつもりで了得し、のちに窃盗の故意を生じた場合は、continuing trespassとしてその時点で窃盗を成立させるという擬製がある。
  • 詐欺はFraudじゃなくてFalse Pretensesと呼ぶ。ちなみに、museのsupermassive black holeという曲に"You caught me under false pretenses"という歌詞があり、それを思い出す
  • 日本でも、相手を錯誤に陥らせて占有を移転させた場合は、終局的処分行為がないとして詐欺ではなく窃盗を成立させるが、アメリカでも、窃盗となる。理由付けが終局的処分行為の有無ではなく所有権titleの移転の有無、そしてLarceny by trickという名前が別についているという違いがあるが、発想としては同じ
  • 日本の強盗罪は「相手方の犯行を抑圧するに足りる程度の暴行・脅迫」によることが要件だが、アメリカのRobberyも"Any amount of force sufficient to overcome resistancy is sufficient"として、同じ要件。ただし、言い回し的にアメリカの法が要件がゆるいのかもしれない
  • 全体的に罪が少ない。賄賂罪とかはどこへいった…?
  • 日本の承継的共同正犯では、先行者の行為や結果を、自己の犯罪遂行の手段として積極的に利用する意思が必要とされる。これに対して、アメリカのAccessory after the fact(事後共犯)理論は、①重罪を犯した実行犯を助ける、②犯罪行為について知っている、③実行犯の逮捕、有罪判決を防ぐ意思、というのを要件としている。つまり、要件が違うのはもちろん、日本は自己の犯罪として、アメリカは共犯者を助けるものとして、というように、そもそも概念自体が異なっている(そういう意味では、これを比較する実益はないかもしれない)
  • 日本の共謀共同正犯では、要件は、①共謀(意思連絡)、②正犯意思、③共謀に基づいた一部の者の実行、である。これに対してアメリカのConspiracy(共謀)理論は、①顕示行為(overt act)、②合意、③合意が共謀の目的を達成するためになされること、であり、正犯意思もいらなければ、そもそも犯行の実行もいらない
  • 心神耗弱がなく、心神喪失(Insanity)しかない
  • Voluntary intoxication(自主的酩酊)という原自行為的な理論があるが、specific intent crimesでしか抗弁とならないものの、日本のように面倒な要件がなく、判断能力が深刻に低下してさえいればよい
  • 正当防衛では、deadly force(致死的な力)という概念で場合分けがなされる。銃があるアメリカらしい

 

ざっとだけど、こんなところだろうか

ご存知のように日本の刑法はドイツの影響を受けている。ドイツ人の友達と一緒に授業を受けていたが、彼とはいろいろ話があったし、もちろん彼はtatbestandについてよく知っている

そういうわけで、アメリカの刑法とは相違点が多い。その意味では少し戸惑うところもあるが、全体的にsuperficialなので、そんなに難しくはなさそう

 

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以下加筆

Criminal Lawは比較的解きやすい科目であるが,一応重要なところのみアウトライン的に言及しておく。

Homicide

Homicideとは広い意味での殺人という意味だが,様々な種類がある。

Murder

 

NY Bar 3 - Tortsの授業終了

1科目であるTortsの授業が終了

授業は非常に明快で、hypoも多く、ジョークも多く、とても面白かった。つくづく、アカデミックでのんびりとしている大学の講義よりも、こういう授業のほうがあってるなと思う

体験記とかを読んでると、「ザーッとさらうだけで知的刺激が少しもなくつまらない」という記述をしばしば見かけるので、僕の頭はそういう高尚な知的刺激より短絡的な理解を好むんだな、と少し悲しくなっております

 

Tortsは内容的に、日本法とも似通っているし、イメージがしやすいのでわかりやすい科目である。MBEを少し解いてみたが同じような問題ばかりだし、エッセイもまぁワンパターンだろう。得点源にしたい科目である

内容については、

  • 日本法と違ってプライバシー権が明確なので名誉毀損については真実性が抗弁となる
  • 侵害の対象によって細かく類型化されており、わかりやすい
  • 因果関係のBut for test + Proximate causationという判断基準が非常に簡明(名前はややこしいが)
  • また、因果関係の介在事情(Indirect cause case)が類型化されていてわかりやすい
  • Eggshell Sull Principleでたーwwwwww

などなどが感想。ざっくり言うと、日本法だと面倒な議論がある部分が事案の積み重ねで類型化されていて、非常に簡明な説明だなという印象。さすがアメリカ、という感じである

 

 

Tortsに関してはMノートがとても役に立った。先生のhypoやジョークも全て網羅されている。オチが先に分かってしまうという残念さはあるものの、授業の前にほぼ全て理解して臨み、授業はそれをなぞっていい具合に復習になる。英語の聞き取りが弱い身としては助かります

明日からの科目はHandoutがあるので、どのノートを使うか、紙かラップトップか、で少し迷っている。本番もラップトップで受けることを考えると、今からタイピングに慣れていくことは必要そうだが、記憶の定着と、書き込みのしやすさなどを考えるとやはり紙かな、と

そして、ノートについては、日本語メイン・日本語英語折衷・英語のみ、という選択肢がある。理解には圧倒的に日本語メインがいいのだが、本番はどうせ全て英語なことを考えると英語に慣れておくべき、というのも一理ある。が、今の所は、自分の英語力を過信せず、やはり日本語メインで行こうかなと思っている。何より理解することが先決で、暗記やアウトプットについては後で考えればいいかなと思っているからだ

 

復習と予習、あとは適宜MBEの問題をといていく感じ。Tortsはすでに6割取れたので、なんとかなりそう

 

ということで、明日はCriminal Law

NY Bar 2 - 対策の基本方針

さて、前回の記事で出題内容などをざっと確認したので、今回は対策の基本方針(態度)について

ざっくり言うと

  1. バーブリの要求にきちんと応える
  2. その上で多めにやる
  3. 問題を多く解く
  4. 強弱をつける
  5. 日本語で理解してから英語のアウトラインや授業に臨む

 

という感じである。以下で詳述。

1. バーブリの要求にきちんと応える

要するに、「言われたことをちゃんとやる」ということ。人間は不思議なもので、何か課題が与えられると、「これでほんとに足りんのかよ?」と不安になり、余計なことをやろうとして、結局与えられた課題をこなさずに終わることが多い。

恥ずかしながらぺんぎんもそのタイプで、与えられたこともきちんとこなさず、余計なものに手を出して、結局全体としては勉強量が足りていなかった、という経験が多い気がする。

バーブリの最初のビデオでも言われたように、バー合格には、bestである必要も、goodである必要もなく、good enoughであればよい、のだから、まず大事なのはみんながやっていることをきちんとこなすこと、なはず。最大手が一応「これだけやれば平気」と提示しているのだから、そのボトムラインをきっちり守りたい。

具体的には、基本的には授業にはすべて出席し、やれと言われた課題はすべてこなしたい所存。

 

2. その上で多めにやる

1と矛盾するようであるが、バーブリは基本的にはJD向けに設定されたものであるので、我々LLMはやはり彼らより多めに勉強しなければならないだろう、ということ。

基本的に、スケジュールより少し早めに予習を進め、講義と並行して問題を解いていくことを目標とする。

 

3. 問題を多く解く

MPREでは、発表後に友人に勉強法とスコアを尋ねると、practice setを解いた回数と点数とが比較的比例していた。

アウトラインの量は膨大で、ダラダラ読んでいても頭に入らないし、出題されるところは決まっているし、出題のされ方に慣れる必要がある。実際に問題を解くと「あ、ここほんとに出るんだ」と危機感が生じて勉強のモチベーションにもなる。

というわけで、アウトラインをそこそこに読んだら、どんどん問題を解いていきたい。その上でアウトラインに戻るなど、行ったり来たりしたい。

 

4. 強弱をつける

我々に与えられた時間は短く、そして課される分野は幅広い。というわけで、「アメリカ法極めるンゴ〜」という発想は捨て去って、試験でいかに点を取るかに集中したい。つまり、よく出る分野を集中的に勉強したい。

バーブリの言うことは守りつつも、馬鹿正直に全部極めようということはせず、出るとこを効率的にやりたい。

MBEについては、既に述べた、「問題を解く」ということでこの点は解決できるだろう。

MEEについては、幸い、smart bar prepというサイトが頻出論点をまとめてくれている(フリーダウンロード可能)ので、ここに記載されている問題を集中的にやればよいと思う。

 

5. 日本語で理解してから英語のアウトラインや授業に臨む

僕はLLMに来た当初、「アメリカ法を直接英語で理解することが大事ンゴ。日本語のアンチョコには頼らないンゴ」と息巻いていただが、普通に無理だった。

僕は帰国子女ではないし、ずっと日本語で法律を勉強してきたのだから、まずは概念と思考を日本語で理解し、その上で英語の文献にあたったほうが、結局のところ、圧倒的に理解は早く、深い。悲しいが、結局、日本と日本語からは離れられないのだ。

そういうわけで樋口先生の本とかは持ってきていなかったのだが、いくつかはニューヨークなどで仕入れた。あと、日本語で詳細な解説がされているアウトラインも手に入れた。なので、まずはこれらをザッと読んで概念を理解し、その上で英語のアウトライン等を読む、という方法を取りたい。

 

講義が本格的には始まってないのでなんとも言えませんが、今の所はこんな感じです。

各科目の方針とかは勉強していく中で書いていきたいと思います。あと、MEEとMPTについては実際に問題を解いて発見がいろいろあると思うので、随時書いていきます。

NY Bar 1 - UBEの出題科目など

さて、卒業して少しのんびりし、先日から予備校のバー対策が始まった。

バーを受けない人のために簡単に説明しておくと、アメリカでは、ロースクールの勉強と司法試験(bar exam)に向けた勉強とは完全に切り離されており、五月半ばの卒業後から、バー対策に切り替え、二ヶ月で一気に詰め込む、というわりとむちゃくちゃなカリキュラムになっている。

予備校については、僕は、一番大手であり、特にペンでは定番のbarbriという予備校を使うことにした。恐らく日本人受験生の9割以上はbarbriを使うと思われる。

barbri bar reviewと言われるように、JDにとっては基本的には今までやった勉強の復習という感じだが、多くのLLMにとっては、新たな分野の勉強を今から始めることになる。しんどい二ヶ月であることが予想される。

 

さて、今回は出題科目などをざっとおさらい。

周知の通り、NY Barは今年から仕様が変わり、UBE (Uniform Bar Exam)が採用され、別立てで行われるNYLE (New York Law Exam)を除けば、全州統一の試験がなされる。

そしてその試験は、以下の3つの試験で構成される。

1. MBE (Multistate Bar Exam)

200問の択一試験。6時間。配点50%。2日目に実施。

出題範囲は、

Constitutional Law, Contracts and Sales, Criminla Law, Criminal Procedure, Federal Civil Procedure, Real Property, Torts

8科目

*ただし、Criminal LawとCriminal Proは二つで一つと数えるので、問題数の割合で言うと、全部で7科目となる。

MPRE同様、問題文が長い割に非常に時間制限が厳しく(1問あたり108秒)、選択肢も曖昧なものが多いため、正確な知識と高速な処理能力が求められる。

 

 

2. MEE (Multistate Essay Exam)

6題のエッセイ(論述)試験。1題あたり30分。配点30%。1日目に実施。

出題範囲は、上のMBE科目に加え、barbriのアウトラインに従うと、

Agency, Coporations, Partnership (以上をまとめてBusiness Association), Conflict of Laws, Family Law, Secured Transactions (UCC), Trusts, Wills

の8科目。

よって、合計16科目が出題範囲となる。

日本の試験に比べると、難しい法律解釈が期待されるというよりは、素早い問題処理(IRAC)が求められる模様。

 

3. MPT (Multistate Perfomance Test)

2題のエッセイ(論述)試験。1題あたり90分。配点20%。1日目に実施。

法律文書作成の試験。出題範囲はすべての法律だが、必要な法律知識は問題文ですべて与えられる(架空の法律もあったりする)。

よって、問われるのは、法律の知識ではなく、「与えられた資料を読んで、指示通りの法律文書を作成する能力」となる。

 

***************

ということで、日本の司法試験との決定的な違いは、「配点の半分が択一試験」ということだろう。

つまり、MPTを置いておくと、「与えられた長い問題文を読んで、自分の頭で考えて、論理的な文章を作成する」というよりは、「長い問題文をサッサと読めますか?幅広い法律知識を反射的に出せるように覚えていますか?」ということが問われているように思う。

そういうわけで、barbriでもMBEに重点が置かれている。もっとも、先輩などに聞いてみると、MBEで点を稼ぐことにやっきになるよりも、MEE, MPT含めバランスよく点数を取ることが重要らしい。その点については今後詳述していきたい。

次回はバー対策の全体的な指針というか、心がけについて書きたいと思います。

 

卒業しました。

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気づいたら一ヶ月以上更新してませんでした。ぺんぎんです。

えー…、まぁこの一ヶ月は色々ありました。

 

ファイナルの勉強をし、5時間の試験を何とかやりきり

ペーパーを何とか提出し

ファイナルプロジェクトのスライドとペーパーを何とか完成させ

就活を少しやり

ギターを買い

yearbook(卒アル)を苦心の末完成させ

同期とラスベガスに卒業旅行に行き

父とニューヨークに卒業旅行に行き

初のブロードウェイに感動し

久々に小説を読んで感動し

他の大学の人と知り合い

パソコンを新調し

 

そして、

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無事にペンシルベニア大学ロースクールを卒業し、LL.M.の学位を得ました。

晴れやかで素晴らしい卒業式でした。

ひとまず、ここまで来れたことに安堵しています。

そして、夢だった学校で勉強する機会をくれ、支えてくれた、両親や友人、先生方に感謝しています。

もちろん当ブログの読者の皆さまも。ありがとうございました。

 

時々このブログでも弱音を吐いてしまいました。正直言って、結局解決できずに終わったことは多いし、在学している間、将来への不安感や自分の能力への疑念などなどが頭を離れることはなく、プライベートでも色々あり、決して楽しい「夢の海外生活」だとは言えませんでした。

何というか、色々と考えさせられることが多かったものの、それを何かに昇華させることもなく、身動きが取れずに、散々掻き回された挙句、澱となって、心の底に溜まっていった。そんな気がします。

もちろん、その澱が単なるマイナスの存在というわけでは決してなく、それも含めて僕自身ですし、それも一つの経験だとは思います。何一つ無駄なことはないだろうし、connecting the dotsではないが、将来どこかで僕を救ってくれるものになると思います。

ただ、僕がアメリカの生活で企図していた「プラクティカルな自分」とはまるで真反対の結果で、それに対してもモヤモヤした思いを抱えるわけですが、それもまた、「俺らしいかな」とも思っています。

以前カリフォルニアでの留学を終え帰った時に、"wherever you go, you are yourself"という一つの結論を得たのですが、それを再確認した気分です。

とは言え、変わったのかな?考えてみれば、少なくとも内面的に変化したことは多いかもしれません。日本に帰って初めて、他人の目を通してそれを認識していくのかな。

 

Penn Lawは素晴らしい学校でした。

アメリカ人はもちろん、世界30カ国以上の友人ができ、多くの刺激を受けました。個性的で、優秀で、快活な人々で溢れていました。いい意味でも悪い意味でも、彼らから色々な影響を受けた。改めて、Penn Lawで学べたことに感謝するとともに、この学校のコミュニティの一部になれたこと、卒業生となれたことを、誇りに思います。

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どうも、久々なので筆のノリが悪いな笑。たまったことは、改めて書いていきたいと思います。もっとも、今日からBarbriの講義が始まり、これから忙しくなるのですが…。

 

ぺんぎんのペーパーチェイスと留学はもう少し続きます。

今後もよろしくお願いします。

 

ぺんぎん

地震とネットリテラシーなどについて

熊本の地震にニュースに触れて、大変胸が痛い。現在も辛い思いをされている方にはかける言葉が見つからない。

311の時も旅行でロンドンにいて…何もできない自分を歯がゆく思ったものだった。ロンドン時間で朝5:46。たまたまそのときホステルで朝食を食べながらテレビを見ていて知ったけど、そうじゃなかったらしばらく知らなかったのかなと思うとまた怖い。

当時僕はtwitterをやってなくて、日本のメディアにあまり触れられず、現状がなかなか分からなかった。帰りの飛行機で日本の雑誌に触れてようやくことの重大さに気づき、帰ってようやくそれが実感となった。それに比べると、今はtwitterをやってるし、ウェブメディアもアクセスしやすく、情報は格段に得やすい。

しかし、twitterは、正直ネットリテラシーが低い人たちが無駄に情報を拡散していて、かなり問題視している。例えば、救助を訴えるツイートにしても、それを拡散する意義はあるのだろうか?確かに多くの人の目に触れる機会はあるだろうけど、多くの目に触れる機会があるということは、「誰かが助けてくれるだろう」という他人頼りになることにつながる。ネットではいわゆるマルチポストは嫌われるけど、一体その解決に向けて誰が動いてるかがわからない。

とりわけ、引用RTやスクショによる情報の拡散はかなり危険だと思う。普通のRTなら元のツイートを削除すればいいけど、この2つだと、元ツイートを削除しても残ってしまう。結局、すでに解決された問題に人的・物的リソースが割かれることになってしまうことになりかねない。

そもそも、twitterは検索機能があるのだから、欲しい情報は検索で得られる。むやみな拡散は明らかに逆効果だと思う。

また、公式に 「#救助」というハッシュタグが使われることになっているが、本当に救助を求めていない人がこれを使ったり、公式通りではない使い方(場所とかも載せるわけでもなく、単に抽象的なお願いという形でツイートする)も見られる。これでは本当に必要な人の要請が埋もれてしまう。

 

また、当事者は焦っていてそれどころじゃないんだろうけど、安易な救助要請も散見されるし、何をどうして欲しいのかわからないことも多い。

twitterは元々日常のどうでもいいことやふとした感想を気軽につぶやけるツールなはずなので、こうした災害時の使用については少し対策を取らないとな、と思う。例えば、それこそ災害などの有事の際には通常の使用を控えるようにさせるだとか、あるいは場所で検索できるようにするとか。救助用の別のタイムラインみたいなものを用意するとか。今のように全てがタイムラインに集約されている状態だと、情報が錯綜して結局役に立たないのではないかなと。

また、「どうでもいいことをつぶやける」といったけど、デマの問題も深刻。

こういうことをしてしまうようなネットリテラシーの低い人は本当にtwitterを使うべきではない。僕も結構過激なことをつぶやくほうだけど、言っていいことといけないことのラインはきちんと引いてる。twitterは誰でにでも見られる可能性が高いということを(そしてその爆発的な拡散力を)きちんと認識するべき。

また、デマを流した奴がありえないのはもちろんだけど、それを拡散した人も同罪だと思う。明らかに嘘だとわかることや、真偽不明の情報。なんで、RTボタンを押す前に少し立ち止まって考えないのか。正直、拡散している人とかは中高生とかがメインで、よく考えず条件反射でツイート・RTしてるとしか思えない人が多い。デマに限らず、助けたいから、ではなく、単に騒ぎたいだけじゃないの?と思うことも。ライオン脱走のデマにしても、よく見れば下にストリートの名前が英語で書いてあるから熊本のものではないことはわかるはず。そんなことに目がいく余裕がない当事者の人はともかく、適当に見てRTした部外者は猛省すべきである。

 

それから、マスコミの問題も深刻。取材用ヘリのせいで支援物資が届けられないだとか。あるいは、被害に遭っている人に取材のお願いをリプライで送るとか。友人を亡くした人に送るとか。

確かに正しい情報を広げることは重要だし、我々はその恩恵を受けている。でも、正直マスコミの人はそればかり考えていて、情報提供者をなんとも思っていないことが多い。僕自身にも経験があるが、本当に不快だったし、腹が立った。ああいう態度は本当に改めるべき。最近はキュレーションメディアとか言って自分の足で情報を集めず単に既存の情報を整理するだけのものも多い。それはそれで重要だけど、結局あんたのメディアのPV数を増やしたいだけでしょ?としか思えない。大体、同じような情報を複数の媒体で流す必要はないのだから。本当に無意味。

 

それから、支援物資を運ぶこともどうなんだろうと。それによって道路が渋滞する危険もあるし、物資をきちんと区別して保管、運搬する人がいるかもわからない。

やはりこういうのはノウハウのあるプロにまかせるのが一番だろう。311の時も、送られてきた古着が結局役に立たずゴミになったとかそういうニュースを耳にした。

つまり、彼らがきちんと動けるように募金するのが一番ではないか。金はいくらあっても困らないし、それを有効に使える人の下に送るのが一番有効な方法だと思う。そういうわけで、僕も少ないながら募金をした。

 

もっとも、役に立とうという気持ちは素晴らしいし、それだけの行動力はすごいと思うし僕も見習いたい(311や今日本にいたとしても、僕は現地に行こうという考えは浮かばなかったと思う)。「やらない善よりやる偽善」だとは思う。「ボランティア行ってもしょうがないでしょ」と思うくらいなら、役に立つかわからなくてもいいからとにかくボランティアに行く人のほうが偉い。

しかし、本当の意味で役に立つためには何をすればいいかということは学ばなければならないと思う。

 

九州だけの問題だと思っていたけど、南海トラフの可能性もあるみたいだし(今回の地震との関連性の存在についてはまだ曖昧みたいだけど)、日本の危機なのかもしれない。そういうことを思うと、海外にいることが本当に歯がゆく思える。

南海トラフについては、向こう2,30年くらいで来るのは確実みたいだ。本当に日本は大丈夫なんだろうか。あの規模の地震が来たら、対策の取りようがない。想定被害地域に住んでいる人は移住しないとどうしようもない。今回の地震でもっとこういう問題についてみんなが(自分も含めて)きちんと考えるようになればいいなと思う。

ともかく、今回の一連の地震が早くおさまることを願っています。

【歌詞和訳5】Arctic Monkeys - "Do I Wanna Know?"

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歌詞和訳、やっぱり楽しいし表現も学べて一石二鳥なので、1日1個できたらなぁとか思ってる。他にやらなきゃならないことがたんまりあるわけだけど…。

 

今回は、アークティックモンキーズの最新アルバム(といっても3年前だが)"AM"の1局目を飾るこの曲。

 

youtu.be

アークティックモンキーズと言えば、I bet you look good on the dancefloorとかBrianstormとかひたすら激しいリフと疾走感のある曲が多い。僕はこのへんとかWhen the sun goes downとかは大好きで、I bet~は高校時代にバンドでカバーした思い出の曲だ。

ただ、アルバム全体で聴くと結構単調で飽きるので、実はバンドについては結構ニワカである。好きな曲鬼リピ野郎である

この曲を初めて聞いた時は「ん?」と思った。リフメインというのは従来と同じだが、このどっしりしたスローテンポは新境地。そして聴くたび病みつきになる。そして歌詞が素敵。そういう意味では前回のMadnessと同じような感じである。最近ハマり中

 

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"Do I Wanna Know?"

Have you got colour in your cheeks?
Do you ever get that fear that you can't shift the tide that sticks around like something in your teeth?
Hiding some aces up your sleeve
Have you no idea that you're in deep?
I've dreamt about you nearly every night this week
How many secrets can you keep?
Cause there's this tune I found that makes me think of you somehow and I play it on repeat
Until I fall asleep
Spilling drinks on my settee

頬を赤くしてどうしたんだよ

奥歯に物が挟まっているみたいな、まとわりついて流れを変えられないような、そんな恐怖を感じたことはあるかい?

奥の手を隠して。どれだけ奥底にいるか考えたことはあるかい?

ほとんど毎晩のようにお前の夢を見るよ

一体どれだけの秘密を持ってるっていうの?

お前のことを考えてしまう曲を見つけて、それを毎日寝つくまでかけてさ。気づいたらソファーに酒がこぼれてる始末さ

 

<Verse>
(Do I wanna know?)
If this feeling flows both ways
(Sad to see you go)
I've started hoping that you'd stay
(Baby we both know)
That the nights were mainly made for saying things that you can't say tomorrow day

(俺は本当に知りたいのか?)

もしこの感情を俺とお前とで共有してるならさ

(お前がいなくなるのを見るのは辛いんだ)

お前が残ってくれることを期待してしまうよ

(なぁ、お互いわかってるんだろ?)

その夜は、明日言えなかったことを言うために作られたんだって

 

<Chorus>

Crawling back to you
Ever thought of calling when you've had a few?
Cause I always do
Well baby I'm too busy being yours to fall for somebody new
Now I've thought it through
Crawling back to you

お前のところに這い戻るよ

ちょっと酔っ払った時とかに、電話をかけたくなったりすることってないかな

だって、俺はよくあるからさ

多分、お前のものでいるのに忙しすぎて、新しい女を作る気にもなれないんだよ

考え抜いてわかったよ

お前のところに這い戻るよ

So have you got the guts?
Been wondering if your heart's still open and if so I wanna know what time it shuts
Simmer down and pucker up
I'm sorry to interrupt it's just I'm constantly on the cusp of trying to kiss you
I don't know if you feel the same as I do
But we could be together if you wanted to

それで、決心はついた?

ずっと気になってるんだ。お前の心がまだ開いていて、それで俺はそれがいつ閉まるのか知りたいのか

心を鎮めて、そっと唇を突き出して

邪魔してごめん。ただ、お前にキスしようとこうしてるだけなんだよ

お前が同じように思ってるのかはわかんないけどさ

でも、お前が望んでくれたら、俺たちはまた一緒になれるような気がするんだ


<Verse>


<Chorus>

 

Crawling back to you

 

<Verse>

(Do I wanna know?)
Too busy being yours to fall
(Sad to see you go)
Ever thought of calling down?
(Baby we both know)
Do you want me crawling back to you?

(俺は本当に知りたいのか?)

お前のことが忘れられないんだ

(別れるのは辛いんだよ)

責めたいって思ったことはないのか?

(なぁ、俺もお前も知ってるんだろ?)

俺に戻ってきてほしいの?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

これはストーリーは単純で、振られた男が彼女とよりを戻そうとすがる曲だ。

ちょっと情けないが、ぺんぎんも女々しいとよく言われるのでこの歌詞には非常に共感出来る。特に、"Ever thought of calling when you've had a few? Cause I always do"というところは、あぁあるあるとなる人は多いだろう。

ところで、オアシスのSlide Awayとかもそうだけど、なぜかぺんぎんは失恋ソングが好きである。考えてみたら、初めて自分で作った曲も失恋ソングだった。別に当時失恋したわけではなかったのだけど。単に書きやすいからかな。

こういうラブソングをこのどっしりしたメロディでやっちゃう、そういうところがたまらない。これぞロックって感じだ。まっすぐだけど口下手だからこんな方法でしか言えない。しかもぶっきらぼうかつちょっと偉そうな言い方で。散々うじうじして最後に質問で終わるところも、なんとも人間臭い。

【歌詞和訳4】 Muse -"Madness"

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久々に歌詞和訳。

今回は、先日ライブに行ったミューズのMadness。


Muse - Madness - Live At Rome Olympic Stadium

 

苦悩しつつも答えを探そうとするラブソングである。邦題は「マッドネス~狂おしい愛」

前にカリフォルニアに留学した頃にリリースされて、その時よく聴いてて、そしてまたアメリカに戻ってきて、再びよく聴いてる。歩いてる時とかによく口ずさむ。

初めて聞いた時の感想は、「なんだこれ?」という感じだった。ママママママママと繰り返す謎なイントロ、全体的に暗くて地味な印象。

しかし、数回聴くとガラリと印象が変わった。癖になるんですよね、このゆったりとしたビートと覚えやすい歌詞。そして、独特のパネルを使ったベースと、打ち込みっぽいドラム。そしてキレのあるギターソロにラストの壮大な美しさ。サウンド的にも新しい曲だった。

多くの名曲があるミューズの中でも、個人的にはベスト3に入れたい曲です。

 

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"Madness"

I, I can't get these memories out of my mind
And some kind of madness has started to evolve, yeah
I, I tried so hard to let you go
But some kind of madness is swallowing me whole, yeah

どうしても君との思い出が頭から離れないんだ

忘れようとすると、ある種の狂気みたいなものが噴き出してくる

君を手放そうと努力してみたけど、うまくいかない

ある種の狂気みたいなものが僕を飲み込んでいくんだ


I have finally seen the light
And I have finally realized what you mean

やっと光が見えたよ

そしてやっと気づいた。君が言いたかったことを

And now, I need to know is this real love or is it just madness keeping us afloat?
And when I look back at all the crazy fights we had
Like some kind of madness was taking control

今こそ確かめなきゃいけない。これは本当の愛なのか、それとも単に、狂気が僕たちをフワフワさせていただけなのか

僕らがしてきたバカバカしいケンカを一つ一つを思い返してみると、気づくんだ

ある種の狂気みたいなものがそれを支配していたってことに

And now I have finally seen the light
And I have finally realized what you need
やっと光が見えたよ

そしてやっと気づいた。君が必要としていることを

And now I have finally seen the end (Finally seen the end)
And I'm not expecting you to care (Expecting you to care)
But I have finally seen the light (Finally seen the light)
I have finally realized (Realized)
I need to love
I need to love

やっと終わりが見えたよ。もう君は気にする必要はない

でもやっと光が見えたよ。そしてやっと気づいたんだ

僕は愛が必要なんだ

Come to me. Trust in your dream
Come on and rescue me
Yes I have known, I can be wrong
Maybe I'm too headstrong

Our love is madness

こっちに来てよ。君の思うことを信じて

こっちに来て、僕を救ってよ。わかってるよ、僕がわがままなのは

でも、狂気こそが僕らの愛そのものなんだよ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

この曲の解釈はいくつかに分かれる気がする。

 

①Real Love≠Madness説

僕らの愛を支配していたのは単なる狂気で、それは本当の愛ではなかった。僕は単に恋していたかっただけだった。だからもう君に好きになってもらう必要はない。

②Real Love=Madness説

僕らの愛を支配していたのは狂気だった。しかし、狂気こそが恋(愛)の本質なんだ。だから、もう悩む必要はない。君の感情に従って、僕の元に戻ってきてほしい。わがままなのはわかってるけど、でも恋ってのはそもそも狂気なんだからいいじゃないか。

 

どちらが正しい解釈か、以下で考察。

 

歌詞は非常にシンプル。マットは小難しい単語を使いがちだけど、この曲ではそういうのを一切排している。直球さが伝わってくる。

しかし、言いたいことは初見ではちょっとわかりにくい。

そこで、時制に注目してみる。

まず、"I have finally realized I need to love"というのはどうか。

ここでのneedは動詞だから、恋が必要だったと後から気づいたのならば、"I have finally realized I had needed to love"にしなければならない。

しかし、恋が必要なのが、自分にとってなお続いてる状態や真理を表す場合は、時制の一致の適用を受けないから、現在形でよいことになる。

ということは、「恋が必要」なのは主人公にとって普遍の事柄なんだろう。

ただ、loveが一般的なものなのか(つまり自分のエゴで誰かを愛していたいのか)、あるいは彼女への特定の愛なのかは少しわからない。

 

あと、"what you mean"と"what you need"が現在形なのも引っかかる。

君が言ってたことや君が欲していたことをあとから「あ、そういうことだったのか」と気づいたのならばここは大過去になるはず。

ここが現在形になっているということは、今現在の彼女の言動を理解した、ということになるのかな。あるいは、言動自体は過去だったけど、その言動をする感情は現在も彼女の中に残っていると。

 

 

結論から言うと、僕としては、Real Love=Madness説が正しい解釈だと思う

まず、最後が"Our love is madness"と現在形で締められていることもそう

そして、確かに、"real love"と"madness"がorで繋がっていることからも、madnessとは単なる一過性の狂気にすぎなくて、real loveではないとも取れる

歌詞の意味について議論している以下のサイトでも、そういう意見はある。

Muse - Madness Lyrics | SongMeanings

The opening verse describes a period of time after a breakup that this person has had time to reflect on everything. Trying to let go. And in the pain of heartbreak you question everything that you've done and think about everything you did wrong. He crys out "I need to love" and it sounds like letting go.

This song isn't necessarily only about realising your faults and hoping that your love returns to you. When I listen to this I think there is a possibility that it means that he's come to terms with the relationship ending ( "now, I have finally seen the end" ), accepted that their love is "madness" or not healthy, and is hopeful for the future - asking for new love to come to him. "Trust in the dream", the dream being a more fulfilling love.

確かに、"end"を文字通り取ればこういう解釈もできそうだ。 

 

しかし、"I have finally seen the light"とか"I have finally seen the end"と自分の中で心境の変化があることが見て取れるから、

「その二項対立は誤りで、結局すべての愛は狂気だった」

というのが結論(=light, end)ということなんではないだろうか。

 

上記のサイトでも、僕と同じ解釈の方が多い。

以下印象的なコメントを少し引用。訳は面倒なのでつけないが、要するに、

「彼女と一度別れてその関係についてよく考えてみて、自分がいかに彼女を必要としてるかわかった」

という解釈が展開されている(マット自身もインタビューでそう語ってた模様)。

"You've had a fight with your girlfriend and she goes off to her mum's house for the day and you're on your own going: 'What did I say?'" says Matt, describing the song's inspiration. "I'm sure a lot of blokes have that experience in the early stages of relationships where you go, 'Yeah, she's right, isn't she?'"

he said that he wrote this song after getting in some sort of argument with his fiancee, Kate Hudson, and she left him some time to think about their relationship and so in that time period he wrote this song.

So, I guess to me the song is talking about him finally realizing that she is what he needs and that he needs to show that he loves her. I love this song, the lyrics are very personal and have a lot of emotion in them.

 

そして歌詞の一部("I need to love")について

As a quick note, I read the lyrics on Muse's official site and instead of Matt singing "I need to love", he actually says "I need YOUR love". I know it doesn't seem like that big a change, but to me changing the word "to" to "your" kind of gives the song a different meaning at the end where he is still longing for this person he's with.

これはその通りで、"I need YOUR love"と歌っているライブもある(カラオケでもそうなってた気がする)。I need your loveだとしたら直球であなたの愛が欲しいということになるが、好きなのは君だけなんだから、言わずもがなloveは君への愛に他ならない、とも取れるので、"I need to love"と結局そんなに違いはないかもしれない。

 

さらに歌詞の一部("Maybe I'm too headstrong")について

The lyrics at the end of the song should read... "Come to me Just in a dream Come on a rescue me Yes I know I can't be wrong and baby you're too headstrong, our love is madness"

The song is about being able to put arguments and our own personal ego aside for love. He can't be wrong and she is too headstrong basically say the same thing. We are stubborn as people but putting aside our egos help us love and realize the love we need

そう、baybe you're too headstrongと言ってる(ように聞こえる)ライブもあるのだ。

これは主語が変わってるので大きな違いがあるようにもとれるが、「結局おれらお互い強情だったよね」ということが言いたいなら、主語がどっちでも結局は同じということになる。

 

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長くなってしまったのでここらで終わりにしたいが、シンプルだけど非常に深く本質的なことを語っている名曲だと思う。真の愛とは何かを考えさせてくれる。

僕としては、Our love is madnessというこの曲の主題にはひどく共感する。

だいたい、恋はもちろん、愛というのもある種の狂気に決まってるんではないだろうか。理屈や理性では解釈できないことが多すぎるから。

しかし、その説明しがたい狂気を生み出す魔力みたいなものこそが、恋(愛)の魅力だと思う。本当に大切なことは目に見えないというが、本当に大切なことは説明できない、と僕は思う。

もちろん「いや狂気に操られてちゃダメでしょ」という人もいると思うので、意見があればぜひ聞いてみたい。

ともかくは、Madness、ぜひ聴いてみてください。

Fight Night -Wharton v. Law- その3ー試合当日

 

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というわけで、いよいよ試合当日。

 

起きてから

起きたはいいものの、緊張して食欲が湧かない。試合前には炭水化物を取っておかなければならないわけだが、全然食べる気が起きない。

とりあえずうどんを茹でたが、まずいこともあり半分で残す。どうしたものかと思って、近所のうまいラーメン屋に行こうと思ったが、油っぽくて気持ち悪くなってはいけないのでやめる。

結局honeygrowに行くことに。honeygrowとはスパゲッティと焼きそばの間みたいなおしゃれヌードルを提供するカジュアルな今風のお店。タブレットで色々とカスタマイズして注文できる。

まぁまぁうまいが、12ドルくらいする高級品である。

 

それから軽く走ったりストレッチしたりしてると、気づいたら3時。

友達にPillow Fightに誘われていたので近所の公園に向かう。

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これは文字通り枕で相手を叩くイベント。結構楽しかったけどくしゃみが半端ない。

 

これが結構いいリラックス&ウォーミングアップになった。

4時頃、会場であるThe Palestraに向かう。

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リングは普段練習で使っているものより少し大きめ。バウンド心地も違う。緊張してくる。

 

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それから、トレーナーにテーピング(ラッピング)してもらう。いつも自分でやるのよりかなり頑丈。

 

トレーナーからの試合の注意について説明を受けて、控え室で待機。

僕は主に音楽を聴きつつストレッチをして過ごす。それから試合が近づくと、ダッシュしたり、シャドーやミットをしたりしてウォーミングアップ。

 

 

試合は全部で8戦。僕の試合は2試合目だった。

Boys ang Girls Groupの余興(太鼓演奏?とか)が終わると、いよいよボクシングの試合開始。

1試合目のロー生は、日本クォーターでもあり、この前の学会で早稲田に行ったりとそこそこ仲のいい友達だった。この試合を控え室から覗いてると、普通にビビってきた。あんなとこで戦うのかと。速攻でKOされたらどうしようと。

僕は多分応援してくれる人の数だと一番ではなかったかと思う。というのは、ロースクールの代表というだけでなく、LLMの代表でもあり、LLMの友達の多分半分くらい(60人くらい)が応援に来てくれてたからだ。

おまけに大げさにみんなの写真を取って動画を作ってたりしたので、プレッシャーが半端ではない。絶対に負けられないという思いがあった。

そんなことを考えながら彼の試合を見ていると、判定で彼は負けてしまった。控え室に戻った彼は"Fuck"の一言ともにそこらへんにあった椅子を蹴って、うつむいてた。声をかけられる状況じゃなかった。緊張が増す。

 

入場&余興

さていよいよである。まずは相手の入場。

相手のウォートン生は、何の因果か日本とのハーフのやつだった。ちなみに、マッチアップは体重によって決まってるので、これは完全な偶然である。

彼は、黒人の父と日本人の母との間にアメリカで生まれ、それからスタンフォードに行き、ドロップアウトして自分のヒップホップレーベルを立ち上げ、それからウォートンに来たというかなり独特・優秀な経歴の男である。

しかし、そんなことは関係ない。相手になった以上、ぶちのめすだけだ。

ちなみに相手は身長が165cmくらいとかなり低め(僕は176cmくらい)だが、その分かなりのマッチョで、筋肉の浮き上がりからすると体脂肪率も8%くらいだろう。いい体をしてる。

「いや、相手が入場してくるのを見たときは◯◯くん終わったなと思ったよ」(同期の日本人の方の談)

相手はヒップホップな感じの入場で、なんというかヒール感に溢れていた。個人的にヒップホップがあまり好きではないのもあり、闘争心が湧く。

 

 

そして僕の入場。僕らの余興はこうである。

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まず黒服とベジータの友達がプリンセスを誘拐した体でリングまで走る。そのあと、仲間であるピッコロとブルマが僕(孫悟空)を呼び、あとから追っかけてリングに入る。

それから、孫悟空vs黒服、ブルマvs黒服、ピッコロvs黒服、でそれぞれ相手を倒す。

最後に、ボス戦という感じで、孫悟空vsベジータ。悟空がかめはめ波ベジータを倒す。

それから、悟空がプリンセスの縄を解き、プリンセスとキスし、ハグしてハッピーエンド。

 

という感じ。

他の奴の余興が単にリングに入ってyaaayってやるだけとか、よくてダンスとかだったので、きちんとコスプレしてここまでやった僕らの余興は結構ウケがよかった。まぁ、大観衆の前でかめはめ波やるのは恥ずかしかったが。。

 

しかし、この茶番みたいな余興のおかげで緊張が解けたのがよかった。

悟空の衣装を脱いで、ヘッドギア、マウスピース、グローブをつけ、リングコーチにワセリンを塗ってもらい、いざ試合開始。

 

Fight Night -Wharton v. Law- その2ー準備

Fight Nightはチャリティ(Fund Raising)イベントなので、集客が大事。ということでプロモーション活動にも身が入る。

 

試合前も色々とやりました。

①写真撮影

ファイティングポーズで写真を撮る。これが宣伝に使われる。

友達には軒並み「めっちゃ弱そう」と言われた。うるせぇ

 

②コメントなど

身長・体重などのデータとともに、質問に対するコメントを出す。

ぺんぎんのは以下のとおり

What made you decide to fight?
I just desired to be strong. Just wanted to challenge myself. Before coming to Philly, my friend told me Penn has a great event, Fight Night. This is exactly what I wanted.
 
What are your favorite and least favorite parts of training?
My favorite is hitting the bag, the best way to reduce stress.
My least favorite is being hit by girls. It's just painful.
 
Is there anything you'd like to say to your opponent?
Well, let's have a terrific fight. But I will be victorious.

ちなみに、最後の"I will be victorious"というのはMUSEのUprisingのサビの最後の"We will be victorious"から取っている。

ぺんぎんにとってはこれが戦いの曲。歌詞とメロディで闘争心が溢れてくる。

 

試合直前もこれを聴いてテンションあげてた。


Muse - Uprising (Live Video)

 

③プロモーションビデオ

これは自主的に作ることを決める。というのも、3年前に出場した日本人の方の動画がかっこよかったから。動画は作ったことがなかったが、iPhoneに最初から入ってるiMovieでわりと簡単にできた。

BGMはoasisのライブの入場曲でおなじみのFuckin' in the Bushes

youtu.be

 

この曲は映画Snatchの挿入歌としても使われている。前にオアシス仲間の友達にこれを見せてもらって、ボクシングとマッチしてて良いなと思い選曲

youtu.be

 

 

動画はロースクールの前と、Quadrangleの前と、ボクシングジムと、それからロッキーステップで撮影。

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もちろんロッキーの真似をして階段を駆け上がりバンザイするカットも。

 

 

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それから学校の友達に"Go Law!!" "Beat Wharton!!"というボードを持ってもらって写真を撮った。急いでやったけど3分の2くらいの70人ほどをカバー。

 

手前味噌だけど動画は結構ハイクオリティ。顔出ししてるだけにここに載せられないのが残念。動画作成、ハマりそう。

 

④計量(Weigh-in)

試合の2日前、実際のプロのボクシングのように計量をする。

といってもこの目的はエンターテインメントで、目標の体重とズレていても特に罰があるわけではない。

僕は事前に出した目標体重は140lbだったが、確かここでの体重は140.2lb(64kg)とかだった。この体重コントロールの無駄な優秀さたるや

それからtrash talk、つまり試合前の煽り合いをする。

英語で気の利いたことも言えないなと思ったので、同期にもらったピカチュウのパーカーを対戦相手に着せて馬鹿にしようと思ったが、相手に触れてはいけないというルールがあるのか主催者にノーと言われ、ちょっとグダッてしまった。

それでもなんとか、(相手は背が低いので)「お前は俺のかわいいピカチュウ、リングの中でお世話してやるぜ」みたいなことを言った。性格的に向いてない。

 

⑤試合前のパフォーマンスの準備 with Entourage

試合前は入場の後に、一人50秒間のパフォーマンスをすることができる。会場を盛り上げるための余興。

これは何をしようか色々悩んだ。例えば上にあげた日本の方は殺陣をやったようで、かっこよかった。どうせなら日本的なものがいい。

それをEntourage(「取り巻き」の意味)7人と話し合う。最初にポケモンが挙がったが、さすがにそれじゃ可愛すぎるというか、戦い感がないのでパス。

そして、じゃあということでドラゴンボールになった。僕が思ってるよりみんな(ポーランド、スイス、タイ、メキシコ、ロシア、インドネシアのやつら)ドラゴンボール大好きでノリノリ。

これに伴って、僕のニックネーム(リングネーム)も"Super Saiyan"になる。スーパーサイヤ人って英語でこういうとは知らなかった。

それで、衣装を買ったり、集まってリハーサルをしたり。久々の文化祭気分で楽しい。

 

さて、この準備を経て、ようやく本番である。

Fight Night -Wharton v. Law- その1ー練習

 

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実は身バレが怖くてあまり書いてなかったのだけれど、ボクシング部に入部したあと、Fight Nightに参加することにした。昨日が試合だった。

Fight Nightとは、今年で12回目となるペンシルベニア大毎年恒例のボクシングイベントで、 ウォートンvsローの対抗マッチ。チャリティイベントということで、チケット代は全てBoys & Girls Group of Philadelphiaに寄付される。

前回の記事では1回目の練習しか書いてなかった。その時はまだ実際のスパーリング練習はなく、筋トレとかミット打ちとかの、いわゆるボクササイズ。

 

2月くらいから、実際のスパーリング練習が始まった。

大体練習内容は以下のとおり

①向き合って軽くジャブを打ち合う

これは相手に当てるだけで、本気では打たない。とにかく打つことと打たれることに「慣れる」ことが目的だと思う。守ってるだけではダメで、休まず撃ち続けることが必要。

本気では打たないはずなのだけど、やってると段々ヒートアップしてきて、ミニスパーリングのようになる。そうなるとかなりしんどい

②女子にひたすら顔面を打たれる

多分ドMにはたまらない練習笑。男と女が一列に並び、男が女にひたすら顔を打たれる。

これは「顔面を打たれる」ことに慣れることが目的。男の右ストレートだと危険なので、女子にという感じ。

しかし、いくら女子とはいえ経験者の右は結構重い。しかもこちらは守るか避けるだけで打ち返せない。至近距離なので全てを避けることは無理で、ボコボコ不可避。結構きつかった。

③スパーリング(ボディのみ)

そのあと、1R1分で実際にスパーリング。

まずはボディだけで顔はなし。しかしボディはボディでしんどい。きちんと腹を硬くしておかないと、本当に来る。一回かなりうまい奴のパンチが入った時はリアルにうげっとなった。

ボディだけだと、ついガードも下がりがちになってよく怒られた。"Hands up, Chin down"(腕上げて顎下げて)というのがボクシングの基本中の基本だが、これを徹底することは案外難しい。

④スパーリング(左で顔のみ)

今度は逆に顔のみだが、利き腕と反対だけ使える。

これは結構面白くて、横に避けたり(スウェイ)することが重要。あとはリーチが長いほど当然だが有利。

⑤スパーリング(ボディと左で顔のみ)

つまり、右で顔面を殴るのはダメという制約でのスパーリング。より実践に近い。

⑥自主練

その他、試合が近くなってくると練習後に自主練

  • パンチングボール:タイミングを養う練習。結構難しい
  • サンドバッグ:1分とか2分で時間を区切って、ステップを踏みながら打つ
  • ミット:友達に協力してもらって色んなコンビネーションで打つ

サンドバッグはこれぞボクシングって感じだし、ストレス解消になって楽しい。スパーリングと違って殴られないし笑

 

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スパーリングに関しては、体重差がしんどかった。

僕は体重が増えても大体140lb(64kg)で、プロボクサーならそこそこ重いだろうけど、素人、しかもアメリカとなれば当然ながら軽いほう。スパーリングの相手はいつも5kgほど重い。この差はかなり大きい。

しかし、スパーリングが始まった時にはすでにFight Night参戦が決まっていたので、あとには引けなかったのが実情笑。てか、スパーリングもしたことないのに試合出ること決めるとか無謀すぎ……。

 

あとは、初心者はマウスピースつけること自体がしんどい。

最初は口に入れるだけで吐き気がして、ハサミでカットしたり色々してみた。そしてマウスピースをしてるとき鼻で息をしなければならない。ぺんぎんは口呼吸が癖になっておりこれがしんどい。

最初はもう練習が嫌で嫌で仕方なかった。腕はしんどいし、殴られたら痛い。

しかし、やはり慣れとは怖いもので、練習を重ねるうちにわりと平気になっていった。考えてみればケンカなんてしないし、人を殴ったり殴られたりすること自体が皆無なんだから当たり前だった。ボクシングはまずこれに慣れることから始まる。

 

そんなわけで、この2ヶ月は

ボクササイズ練習…週1〜2回ほど

スパーリング練習…週2〜3回ほど

で、大体週3〜4でボクシングをし、それ以外の日は休んだり、家のジムで筋トレやシャドーをしたり、とわりとボクシング中心の生活だった。完全にボクシング留学と化してしまった笑

 

と、ロッキーばり…とは言わないけど結構ハードなトレーニングをした。食事もとにかく食べるようにし、プロテインも1日3〜4回飲む。あとアミノ酸も取る。

てことで、腕と腹筋は明らかに筋肉質になり、体重も2kg増えた。人間やればできる。

 

次回はFight Nightの準備などについて。 

早稲田ロースクール米国LLM交換留学選考〜選考過程・選考要素など〜

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僕が利用した交換留学選考についてしばしば訊かれるので、情報公開して問題ない限りでまとめておこうと思います。

仮にうちの大学院の制度を利用してLLM留学しようという人がいれば、役に立てるのではと思います。

 

1 概要

フランス、ドイツ、韓国、カナダへの留学もありますが、アメリカのみに話を絞ると、以下の学校が選択肢としてあります。 

《Non-Degree》

スタンフォード、コロンビア

《LLM

ペンシルベニアバージニア、ミシガン、コーネル、UCヘイスティングス、フォーダム、イリノイ、ワシントン(シアトル)

 

Non-Degreeというのはその名の通り学位が得られない普通の交換留学です。超トップ校が選択肢としてありますが、学位は得られず、従ってNY州司法試験も受けられないというデメリットがあります。

LLMには法学部卒しか行けないという規定を設けているので、法学部以外の出身で留学したい場合や法学研究科の方がこちらを利用するケースが多いです。

LLMは、正規の過程に入学し、マスターの学位が得られます。交換留学なのに正規過程、という中々特殊なポジションになります。

 Non-DegreeもLLMも、1年(10ヶ月)の留学です。

 

2 選考過程

選考は、まず書類選考で、TOEFL書類(Personal Statement, Study Plan)を提出します。

これが通ると、面接選考。面接に通れば派遣の内定という形になります。ただ、あくまで内定なので、改めて留学先の学校から合格通知を得る必要があります。

 

3 選考の考慮要素

選考は、判明している限りは以下の要素で行われます。

TOEFL

②GPA

③出願書類(Personal Statement, Study Plan)

④面接

⑤交換留学生優先枠の有無

  

以下で簡単に説明します。

① TOEFL

これは、100点が必須となります。

ロースクールは学校によっては90点くらいでも通してくれたりしますが、100点というのは早稲田が派遣するための要件なので、どの学校にアプライする場合でも必須です。

100点を超えた場合、例えば100点と110点で差がつくかは定かではありません。

 

② GPA

これは大学院春学期のみの成績です。学部の成績は提出しません。

半期だけなので、ここでしくると痛いです。その分「ここで成績取れないと留学行けない」というプレッシャーがすごかったですね…。

僕は一応上位20%くらいだったのですが、要件が厳しいペンやミシガンの場合はそれくらいが必要になると思われます。やはり法律を勉強しにいくわけなので法律の成績は重要でしょう。

 

③ 出願書類

Personal StatementとStudy Planの二つです。

《Personal Statement》

まぁいわゆる志望動機ですね。A4一枚ほど。

なぜアメリカに留学したいのか、なぜペンなのか、といったことを、今までの自分の経験や問題意識と合わせてアツく語ります。

ちなみに、これを書くときは法律文書の三段論法、すなわち「問題提起→規範→あてはめ」がそのまま使えたなと。

つまり、僕の場合は、

  • 問題提起:国際的取引などに従事する弁護士になりたい。そのためには語学力、広い視野、米国会社法やビジネスの知識などが必要だ。どうすればいいか。
  • 規範アメリカに1年留学すれば英語をめっちゃ使う。ペンローはダイバーシティに重きを置いており多国籍である。NYやDCにも近くあらゆる分野に触れられる。ペンローは会社法・ビジネス分野で強い。
  • あてはめ:ペンローに留学すれば、自分が求める英語力や広い視野や会社法・ビジネスの知識が得られる!!!!すごい!!!!これしかない!!!!

ざっくりいうとこんな感じです。シンプルですけど、英語的文章を書く際はこういうかっちりした構成の方が説得力が増していいと思います。

 

《Study Plan》

研究計画です。ただロースクールは「研究」って感じではないので、砕いて言うと、「取りたい授業」を書くことになります。こちらもA4一枚ほど。

これも上記と同様三段論法で書きます。

  • 問題提起:ビジネスロイヤーになるには◯◯の知識が必要。
  • 規範:ペンローには××や△△の授業がある。
  • あてはめ:ペンローに留学すれば、なりたい自分になれる!!!!!

とこんな感じです。僕は具体的な授業名を4つほど挙げました。そのためにはシラバスを仔細に読まなくてはなりません。結構大変です。

しかし、具体性を持たせれば持たせるほど、「おれは他のどの学校でもなくペンに来なくてはならない」という説得力が増します。がんばりました。

そういえば、ここに書いた4つの授業、結局一個も取ってねぇや…(すんません)

 

この2つの書類作成は、かーーーーなり大変でした。ここまできちんとした英語の志望動機を書くのは初めてだったし、内容的にも文章的にも、推敲を繰り返しました。

そして、先輩や知り合いの先生に内容・文章両面で添削を繰り返ししてもらいました(5回はやったでしょうか)。最後に留学に来てたネイティブの子に文法をチェックしてもらい、完成です。

 

④ 面接

書類選考に通ったら、今度は先生方数名との英語面接です。

……こういう面接で訊かれた内容ってバラしても問題ないんですよね?笑

僕が訊かれたのは、

  • 留学を希望する理由を3分程度で簡潔に述べよ
  • なぜペンローを志望するか
  • どうやって英語を勉強したのか
  • 会社法の条文を一つ指摘してそれについて説明せよ
  • ペンロー以外でも留学を志望するか

最初の2つはまぁ定番ですよね。これについては事前に回答を用意していたので、それを述べました。

3つ目は、僕は書類で「大学入るまで海外に出たことがない」みたいなことを書いてたのでそっから来た質問だと思います。「バックパッカーしててそこで身につけた。あとはカリフォルニアに留学した」とか答えました。

えーー……、面接ではいろいろあったので、また改めて書きたいと思います。

 

⑤ 交換留学生優先枠の有無

優先枠とは、大学院入試の段階で得られる枠です。出願時にTOEFL90かTOEIC900点以上あり、入試成績とかがそこそこいいともらえるようです

しかし、ここでいう「優先」が、「優先して留学にいかせるよ」なのか「留学先まで優先的に選べるよ」のどちらなのかは定かではありません。まぁ、応募者がそんなにいないので前者だと意味がないので、後者かなとは思うのですが…。

 

<その他の考えられる要素>

ここから先はぺんぎんの予想です。全く考慮されてないかもしれません。

⑥ 人物

一応大学院の代表として送り出すわけですから、この辺も見られてるかもしれません。面接はもちろん、ゼミの先生に当たるとか?(そこまではしないか…)

⑦ 入試の際の成績

成績が前期のGPAだけでは少ない気もするので、もしかしたら入試の成績も考慮要素かも、しれません。

⑧ 入試の際のステメン

入試の際ステートメントと呼ばれる志望理由書を書きます。優先枠もそうですが、もしかしたらここで留学について書いてあるかどうかも見られるかもしれません。

というのは、僕はステメンで「入学したら絶対に留学します!!」と決意を示してるのに加え、「留学先はペンシルベニア大学ロースクールを志望しています」と明確に志望を書いていたからです。ここまで決めてるヤツはなかなかいないでしょう。もしかしたらこれが評価された、のかも??

 

4 派遣決定後

例年は教授会での決定前に内示みたいのが出てたみたいですが、僕の時は教授会の決定を経てからの通知だったので、1週間ほどかかりました。

僕は結果への不安からノイローゼとなり、ストレスで頰に巨大な腫瘍みたいのができるなど、最悪の状態でした。早く教えて欲しいよね…。

 

決定後にすることは、

<ペン以外>

① LSAC登録、出願

あくまで早稲田の選考に通ってもまだ決定ではありません。改めてLSACというサイトを通じて自分で出願する必要があります。

② レジュメ送付

たぶんいりますよね?レジュメとは英文履歴書ですね。決まったテンプレがないので、わりと面倒です。

③ 推薦状

2〜3通?ゼミの先生などにお願いするようです。

 

<ペン>

ペンの場合は大学同士の結びつきが強いおかげで、お手軽です。

① 基本情報、レジュメ、TOEFLの送付(メール)

担当者に直接メールです。LSACは使いません。

 

以上です。推薦状は入りません。

他のみんなは派遣決定から正式な合格まで3〜5ヶ月くらいかかっていましたが、ペンの場合は2週間で通知が来ました。助かります。

 

******************

選考の過程は以上です。

ペンの場合はともかく、他の学校の場合は普通に個人で出願するのとあまり大差が無いと思います。LLMはLSAT(SATのロースクール版)はいりませんし。

違うのは学部の成績が要らないということでしょうか。僕は学部の成績が悪いので、交換留学制度を使えてラッキーでした。

 

長くなりました(読んでくれた人がいると嬉しいけど…)。

なお、情報はアップデートされている可能性もあるので、あくまで参考ということで、宜しくお願いします。